お話を伺ったスタッフの方




動く→動かす  関澤春佳さん

みなさん、「動く→動かす」という名前のNGO団体をご存知ですか?特定非営利活動法人アフリカ日本協議会の中に事務所を構えており、日本のNGO、78団体(2015年7月現在)をまとめるネットワーク団体です。
今回わたしたちがお話を伺ったのは、「動く→動かす」で広報に特に力を入れて活動している関澤春佳さん。
昨年4月から活動されているそうなのですが、そんな関澤さんに仕事に対する熱い思いを語っていただきました。


―国際協力に興味をもったきっかけはなんですか?
関澤さん:高校の時です。私は商業科だったのですが、隣にあった国際科の授業をとることができたんですね。すごい視野広いな、グローバルなことをやっているなと思っていて、国際協力ではなく、海外かっこいいな、というところがスタートでした。わたしは茨城出身なのですが、それから高校で横浜にきて、田舎と都会の違いというのをすごく感じました。生きている環境、人、コミュニティというのが場所によって全然違うんだなって。日本の中でも価値観や考え方が異なっていて、だったら海外と日本ではもっと違うのでは、と考えるようになりました。文化や言語が異なる人たちはどんな価値観や考え方をもっているのだろう、と人間自体に興味を持つようになって、海外の人たちと交流したいな、と思い始めたのが国際協力に興味をもったきっかけです。“異文化についてもっと知りたい“という漠然な思いを抱きながら大学へ入学し、1年時の夏に国際協力研修でフィリピンへ1ヵ月行った経験がNGOで働くきっかけとなりました。詳しくはWEB上にアップされている卒論を読んでいただければ幸いです(笑)
フィリピン研修の様子
フィリピンでの研修の様子


黄色の服を着ているのが関澤さん


―おもしろいですね。大学卒業後はどうされたのですか?
関澤さん:4年間企業にいました。大学在学中に、ボランティアなどの活動をしていた時に、NGO/NPOは営業力と広報力が弱いなと感じました。とても良いことをやっている人がたくさんいるのに、どうして企業の人たちや社会に伝わらないのだろう、どうして寄付文化が日本で広まらないのだろう、とよく考えていましたね。でもいきなりNGOに就職しても、私はなにもできないし、専門を聞かれたときに何もできないのが嫌だったので、広告業界にいって人脈をつくることとノウハウを学ぶことを目標に3年がんばってみようと思っていました。でも働いているうちに楽しくなってきて、結果的に4年間いましたね。



―企業での4年間はどう過ごしていたのですか?
関澤さん:営業をやっていたので、15社のクライアントさんと繋がりができました。基本的には企業のサービスや商品にどう付加価値をつけ、どんな手法で広めるのか、を考える仕事ですが、雑談も大切にしていました。そこで国際協力やボランティアという言葉に対する企業の人たちの考え方を個人的に分析していました。その中で、「週末にボランティアしているの?ずっと仕事をしているようなものじゃん。偉いね。」と言われたことがあって。私としては、ボランティアを仕事と思ったとこはなかったので、こんな風に思う人がいるのだなあ、って思った経験があります。あと、偽善や自己満足と言われたこともありましたね。でも基本的には社会のために何かしたいけど、時間もお金もないからできないと思っている人たちってたくさんいて、そういう将来的に協力してくれそうな人とつながったり、逆にいろんな情報を伝えたりしていました。企業の人たちって国際協力に関する情報をどこで得たらいいかを知らない人が多いんです。そこからか、と思いました。確かに興味がないと調べないし、情報にもアクセスしないじゃないですか。だから生活していて自然と目につくもの、と考えるとポスターや広告の力だなって。でもそれはNGOの弱い部分だなと改めて実感しました。広告のノウハウを身につけた今、NGOで実践しているところですね。かっこよく言うと「今日の自分になるための4年間だったな」と思っています。やっとNGOで働けたので、本当にやりたい仕事を今やっているという感じです。



―ところで、どうして「動く→動かす」に入ったのですか?
関澤さん:NGO/NPOの活動を広める仕事がしたい、という考え方がベースとしてあったのですが、1つの組織に入ってしまうと、その団体のことしか見れなくなってしまうので、ネットワーク団体に入る方がより多くの団体の広報に携われると思ったからですね。ネットワークだと多くの情報がすぐ入るというメリットがあって、そこにも魅力を感じていました。また、スタンド・アップという貧困をなくすためのキャンペーンに大学時代に参加したことがあって、実はそれの事務局をしていたところが「動く→動かす」だったんです。それを知らずに応募しました(笑)



―では「動く→動かす」に入って、現在のお仕事内容はどんなものですか?
関澤さん:基本的には、みんなが日々やっているアドボカシーとかキャンペーンとかを「翻訳」して一般の人にどう広めるかっていうのをやっています。「翻訳」と言っても英語から日本語、とかではなく、難しい言葉や意味が分からないカタカナの言葉を一般の方へも分かりやすく変えて伝えるということです。それはSNSとかTwitterなどのツールの閲覧者を増やすことにつながっていて、例えば「動く→動かす」のFacebookの話をすれば、最初いいね!数が1万5千だったのに、この半年でそれが15万になったんですよ。広告業界が企業にやっていることを別に企業だけじゃなくてNGOにもやればいいと思っていて、だから広告のノウハウをこれからもっと伝えていこうと考えています。でもまだまだ課題はあって、それぞれの団体の最終的な課題を拾い上げるためのヒアリング能力とか広告的な目線でどういう質問ができるか、整理できるかというところが関わってきます。実際自分がNGOの中に入っていろいろなネットワークの課題解決に携われればいいなと思っていたんですが、まだそれができていないので、この半年間ではSNSで一般の人に伝えるためのベースラインを作りあげました。加盟団体のヒアリングに関しては、次年度の課題ですね。



―広告代理店で働いていたことは大きな強みですね。
関澤さん:強みにしたいし、みんなに必要だって思われるように今必死で頑張っているところですね。良いことしている人たちはいっぱいいるけど、それを伝える人たちがいない。企業だったら広報の人とか営業の人が伝える役をやっていて、でもNGOでは営業をする時間がない。だからわたしは一般の人への周知に力を入れたいなと思っています。最初「動く→動かす」に入って会議に出ても、専門用語が多すぎて他のスタッフが何を言っているか分からなかったことがありました。でも私自身がそれを当たり前に話してしまっている。最近は私もNGO側だから一般の感覚がなくなってきていて、それはまずいなと思っていますね。一般の人にもわかるように広報することに意味があるので、たまに大学の友達や企業で働いている友達などの他業界で働いている人に会って、最初の感覚を忘れないようにしています。



―これまでの活動の中で思い出深いエピソードはありますか?
関澤さん:SDGs(※1)採択後にSDGs採択イベントをやったのですけど、その時150人くらい集まったんですよ。NGOの中では一から声をかけて一般の人がこんなに来てくれるなんてありえなかったみたいです。でもなぜそれができたかというと、やっぱりSNSとかファンを増やすとか加盟団体を増やすとか、団体の理解をしてくれる人を増やせたから。それがどれだけ重要なのかをNGOのみんなが肌で感じてくれて、“広告にも力があるんだよ”っていうことを少しでも伝えられたのがすごく嬉しかったです。
あともう1つ。そのイベントの内容が国会議員と中学生が対話するというものだったんですけど、不登校の高校生が申し込んでくれていたんですね。その子があとから「自分より若い中学生がそういう風に頑張っている姿を見て感動して学校に行けるようになりました」って連絡をくれたんです。イベントをするだけじゃなくて、その後その人がどういうアクションをしたかっていうのが一番重要じゃないですか。他にもその日を境にユニセフに毎月いくらって寄付することにしましたと言ってくださった方もいたし、そうやって動いてくれることがイベントをやるゴールだし、自分としては一番嬉しかったことですね。
(※1)SDGs・・・2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択されたもの。人間、地球及び繁栄のための行動計画として、2030年までの達成宣言および目標をかかげており、ミレニアム開発目標(MDGs)(※2)の後継であり、17の目標と169のターゲットからなる。
(※2)MDGs・・・ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)。開発分野における国際社会共通の目標で、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択されたもの。極度の貧困と飢餓の撲滅など,2015年までに達成すべき8つの目標を掲げ、達成期限となる2015年までに一定の成果をあげた。



―まさに団体名の「動く→動かす」通りですね。そういえばなぜ「動く→動かす」という名前なのですか?
関澤さん:「1人の動くが世界を動かす」というのがキャッチフレーズです。でも一瞬見たとき、何をしている団体なんだろうってわからないですよね。電話でのやりとりの際に、よく聞き返されます(笑)
もともとミレニアム開発目標(MDGs)が2000年にできて、世界の貧困をなくそうと立ち上がったときにいろんな海外の市民社会がネットワークをそれぞれの国で作っていて、その国の代表が集まってチーム作って定期的に話したり、スカイプでミーティングをしていたんです。その日本支部としていたのが「動く→動かす」の事務局を務める、アフリカ日本協議会。アドボカシーや直接現地に行ってなにかをするような事業だけではなくて、一般への理解を広めるためにキャンペーンやイベントとか、そういう一般の人たちへのアクセスって大事だよね、ということで、ホワイトバンドプロジェクト(ほっとけない世界の貧しさキャンペーン)がスタートして、その受け皿の組織として2009年に「動く→動かす」ができました。



―ですがMDGsは昨年で終わりました。これからどうなるのですか?
関澤さん:もともとはMDGs達成のために活動するネットワーク団体だったので、MDGsが終わったら活動終了なのですが、加盟団体からは活動を存続してほしい、という声があって、さらにMDGsのあとにSDGsができましたよね。だから引き継いでやっていくという流れで、SDGsをゴールにしている人たち、興味ある人たちが集まってこれからもやっていくという感じです。これまでは開発系NGOの集まりでしたが、SDGsには環境系の目標が多く入っていることもあり、環境系NGOとの連携も大切になってきます。SDGsは幅広い目標が入っていて達成できるのか不安だ、と言われていますが、社会はそれだけ複雑な問題が絡み合っている、ということを示していますよね。逆に考えれば、色々な社会問題に対して活動している人たちと繋がれる良いチャンスだと捉えています。



―なるほど。団体はまだこれからも続いていくということですが、関澤さん自身は何かキャリアプランはありますか?
関澤さん:やりたいことはNGOの横のつながりを作ることです。各団体が全部ばらばらで動いてるってことがあってもったいないなと思うんですね。例えばイベントカレンダーみたいなものを作って、「この団体がこれをするなら、うちもそれに合わせてこれをやりたい」という感じで、ネットワーク事務局がそこをまとめて運営できたらいいなと思っています。情報共有がまず重要かなと思うんです。もともと、NGOと企業をつなげる何か組織みたいなのを作りたいと思っていました。そのために起業しようかなとも思っていましたね。でも起業がゴールというわけではなくて、どこの組織に私がいたとしても、人と人をつなげることができればいいと思っています。でも正直、やらなきゃいけない雑務だとかの量がすごく多くて、ちょっと処理しきれなくて、次の戦略とかを全然考えられないので、その先の先の行動ができない自分がちょっと悔しい面もあります。



―わかりました。それでは最後に、国際協力に興味を持っている学生へのメッセージをお願いします。
関澤さん:自分の強みを1個でも見つけてほしいです。人は必ず役割があると思っています。さらに言えば、それが何かしら海外のことに繋がっていると思います。今自分に自信ある子が少ないように思います。自分自身と会話する人があんまりいない。対相手との自分しか見えていない人が見受けられるので、自分がどうなりたいのか、何したいのか、自分自身と会話する時間を持ってほしいなと思います。周りに求められている自分がどうなのか、という視点も大事ですが、夢を語れる人がもっと増えてほしいなと思いますね。



<感想>
関澤さんのお話を聞いて、一般の企業に入ってただキャリアを積むだけではなくて、自分の強みを作るということを考えて就職するということが大切だと感じました。関澤さんは自分からそれを求めて広告業界に入っていったので、すごいなと思いました。ネットワークづくりという具体的に外国へ支援するという活動ではないけれど、今後の国際協力活動の重要な側面であると感じました。私もこれから、社会に入っていくうえで自分のできることを探していきたいと思っています。
(JANICユース 長屋葵)




もっと詳細を知りたい方はこちらから↓

http://www.ugokuugokasu.jp/index2.html(動く→動かす公式HP)
http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/index.html(アフリカ日本協議会公式HP)
http://www.ugokuugokasu.jp/action2015jp/(アクション2015公式HP)
http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/(SDGsについて)
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