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ソマリアの飢饉終息宣言

2012年02月11日 16時43分10秒 janic10の投稿
テーマ:ソマリア、アフリカ
2月3日に国連は、ソマリアの飢饉が終息したと宣言しました。
昨年末の雨季に久しぶりの雨が降ったことと、国連の食糧配給等の救援活動に対する反政府武装勢力による妨害が少し緩和してきたことによって、最悪の事態は脱したと言われています。

国連が「飢饉」を宣言するには、以下の3つの条件が必要です。
1)栄養摂取が1人1日あたり2100カロリー未満
2)子どもの栄養失調率が30%を超えている
3)死亡率が1日1万人あたり2人以上
このようなひどい状態からは改善したとはいえ、まだ230万人以上の人々が人道援助無しでは生存できないという状況は続いています。

過去60年で最悪の干ばつが東アフリカ全域を襲ったとのことですが、ケニヤやエチオピアなども同じように雨が降らない状態にはなりましたが、ソマリアのように飢饉が宣言されることにはなっていません。なぜソマリアだけが飢饉が起きるような状態になってしまったのでしょうか。
この点について、JANICの機関紙シナジーのvol.152の特集「東アフリカは“今”」に、ソマリアの飢餓の原因と解決の可能性について書きました。機関紙では紙面の関係で元々の原稿が大幅に削られてしまいましたが、その元原稿をJANICのウェブサイトにアップしました。
私は、ソマリアの飢餓を考えるには4つのキーワードがあると考えています。
第1が「列強によるアフリカ分割の影響」、第2が「遊牧の民」、第3が「氏族社会」、第4が「地政学的な位置」です。これらのキーワードに加えて、図や年表も交えて分かりやすく解説したつもりです。
A4用紙5ページほどの原稿ですので、ぜひお読みください。


最初に書いたように、ソマリアを中心とした東アフリカの飢餓はまだ終わっていません。
JANICのメンバー団体も継続して支援活動を行っており、JANICでは「東アフリカ飢餓 緊急まとめて募金」を引き続き呼び掛けています。
そのまとめて募金に、1月17日JICAの有志の方々から1,206,599円もの寄付をいただきました。JICAの皆さま、ありがとうございました。

$国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ
(JICAアフリカ部 畝部長様より、目録をいただきました)

頂戴しましたご寄付は、東アフリカで支援活動を行っている下記5団体に配分させていただきます。
(特活)ICA文化事業協会
(特活)世界の医療団(メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)
(特活)難民を助ける会
(特活)フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
(特活)ワールド・ビジョン・ジャパン
なお、各団体の活動報告が「東アフリカ飢餓 まとめて募金」のウェブ上にアップされています。

JANICでは、3月末まで東アフリカ飢餓の募金キャンペーンを継続しますので、どうぞご協力をお願いします。

また、なんとかしなきゃ!プロジェクトでも、引き続きSOS Africa キャンペーンを行っています。
facebook版もありますので、こちらをご覧になった方は、ぜひいいね!を押してください。

最近の画像つき記事
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Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ

2012年02月06日 00時34分13秒 janic10の投稿
テーマ:ソマリア、アフリカ
1月25日に「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」の2011年度助成団体の報告会と2012年度新規助成団体への贈呈式がありました。
私は、明治学院大学の勝俣先生、アフリカ日本協議会の稲場氏とともにこのファンドの審査員の1人として出席し、2012年度の助成に関する審査過程などについて講評しました。
国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ

パナソニックは、経営理念として「わたしたちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」とうたっているように、CSR(企業の社会的責任)に関する先進企業のひとつです。

CSRとは、企業が利益の一部を寄付などの形で社会に還元するというチャリティだけを指すのではなく、社会を構成する組織の一つとして、製品やサービスの提供のみならず原材料の調達や流通を含む総べての組織活動において、社会に与える影響に関して責任を持った行動をすることです。

パナソニックでは、本業におけるCSRに加えて企業市民活動として従来から「環境」と「子ども」に関してNPOの組織基盤強化支援を行ってきました。
それに加えて、2010年度からは「アフリカ」をテーマに追加して、アフリカで活動するNPO/NGOの組織マネジメント強化、特に広報活動を対象にした助成プログラムである「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」を開始しました。

今回の助成プログラムには、33団体から応募があり、その中から以下の5団体が助成団体に決定しました。
1)ADRA Japan:「フォトボイス」で知る住民の声~住民視点からの南スーダンとジンバブエ~
2)ケア・インターナショナル・ジャパン:モバイルアプリ開発『CARE:アプリカ』
3)テラ・ルネッサンス:ウガンダ、コンゴ民主共和国における課題及び活動啓発を目的とするウェブサイト映像コンテンツの充実化
4)道普請人:子供達の夢と未来をのせた土のう袋、~ケニアの人々の声を届けることで広げる支援者の輪~
5)ロシナンテス:「アフリカを知ろう、そして自分たちと比べよう!(小中学生へのアフリカでの団体活動紹介DVD作成事業)

各団体の事業概要と助成理由については、団体概要とともに以下のウェブ上で明らかになっているので、ここでは詳細は述べませんが、いずれの事業も日本の市民にとって遠い存在であるアフリカをどう身近に感じてもらうか、工夫を凝らした広報活動を計画しています。
特に、今年2年目となる「道普請人」の、土嚢を使った住民による道作りという彼らが進めるユニークな事業に関して、土嚢袋に書いた絵とその製作過程を撮ったビデオによる広報は注目に値するものです。
国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ
(道普請人の木村先生による事業紹介)

2011年度は、東日本大震災を受けて日本社会全体が東北地方の被災地の救援と復興に取り組んだ年でした。多くの国際協力NGOも、被災地に駆けつけ、それぞれの専門性を活かした支援活動を行いました。東北地方へ人材や資金を振り向けたために、本来事業である途上国支援に影響が出たNGOもありました。また、「今は日本が大変な時なんだから海外を支援する余裕など無い」といった声も聞かれました。そんな内向きな風潮の中、人々に途上国の貧困問題など世界に目を向けてもらうためにも、広報を強化する必要があります。その意味で、アフリカを対象とした広報活動を支援する「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」の意義は大きいと思います。

今回助成が決まった各NGOの試みが成果を上げ、市民レベルでも政府レベルでも引き続き途上国を支援しようとの声が高まることを願っています。それが、東日本大震災で世界中の人々から私たちが受けた支援の恩返しにもつながると思います。


年末募金キャンペーン

2012年01月29日 16時46分23秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
12月から1月に掛けて行った年末募金のキャンペーンには、大勢の方からご寄付をいただきました。
ご支援いただいた皆様、ありがとうございました。

その寄付の中に、浦和明の星女子中学・高等学校の生徒の皆さんからの募金607,233円も含まれています。
浦和明の星女子中学・高等学校は、カトリックミッションスクールで、学校創立当時(45年前)からクリスマス行事のチャリティー活動として、クリスマスの心『愛のこころ』を周りの方々と分かち合ったり、周りの方々に自分たちが何ができるかを考え行動することを行ってきたそうです。
具体的には、施設を訪問してプレゼントを渡していっしょに時間を過ごしたり、清掃活動のお手伝いをしたり、病院にいる患者さんたちにクリスマスカードや千羽鶴をおくったりなど、様々な動をされています。

同校では毎年街頭募金も行っており、今回はその寄付先としてJANICの「NGOサポート募金」「教育支援まとめて募金」を指定していただきました。
まとめて募金は、教育や保健医療など8つの分野について、実際に活動をしているNGOに寄付される仕組みになっています。

今回の街頭募金は、生徒さんたちが手作りのポスターや募金箱、チラシを用意して、実施してくださいました。
国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ


国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ

JANICとはどんな団体か、なぜ募金が必要なのか、集まった募金はどのように使われるか、などをカラフルなイラストといっしょに丁寧に説明してあります。
これらのチラシやポスターを持って、中学1年生175名、高校1年生171名が、浦和駅、大宮駅など8つの駅の周辺で、道行く人々に募金を呼びかけてくれました。

国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ

国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ

今回の募金は、あるつながりの中で実現しました。
今から20年以上前、私がJVCのスタッフとして働いている時に、アフリカを応援しようというボランティアの人たちがいました。いっしょにチャリティーウォークやエチオピア支援バザーを行ったボランティアの中に、当時まだ恵泉女学園の学生だったCTさんがいました。
私がJVCを離れた後もCTさんとは時々連絡を取り合っていましたが、そのCTさんの娘さんが浦和明の星女子高等学校の1年生で、今回募金の寄付先を決める際にJANICのまとめて募金を提案してくれたそうです。親から子へとボランティア精神がしっかりと引き継がれたのですね。

世界の貧困状況やNGOについて調べてチラシやポスターを作り、寒空の下で道行く人たちに募金を呼び掛けてくれた浦和明の星女子中学・高等学校の生徒の皆さん。そして生徒の自主的な取り組みを応援してくださった先生方。どうもありがとうございました。
みなさんの善意の寄付は、NGOのプロジェクトを通してアジアやアフリカの子どもたちの教育のための活動に大事に使わせていただきます。

NGOと青年海外協力隊との連携

2012年01月22日 21時10分32秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
今年最初の外の仕事は、1月5日の青年海外協力隊帰国隊員への講演でした。
現地での任期が終わって帰国したばかりの協力隊員の「帰国時オリエンテーション」が開催され、その中で「国際協力NGOへの就職・参加」というテーマで、日本のNGOの現状と参加の方法について話をしました。

帰国直後の協力隊員に対してNGOの話をするということは、NGO-JICA協議会の下で今年度検討が続けられてきた、NGOと協力隊との連携の議論の中で決まったものです。
青年海外協力隊は、日本政府のODA予算によりJICAが実施する「JICAボランティア事業」のひとつで、1965年に始まって以来4万人近くの人が80ヶ国以上の国に派遣され、途上国の開発に協力してきました。その目的は、以下の3点です。(外務省ホームページより)
(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
(2)友好親善・相互理解の深化
(3)ボランティア経験の社会還元

発足以来40年以上経つ協力隊ですが、事業仕分けの影響で昨年見直しの議論がありました。
その検討結果は、外務省のウェブサイトに「我が国海外ボランティア事業のあり方(案)」が、JICAのウェブサイトに、「世界と日本の未来を創るボランティア ~JICAボランティア事業実施の方向性~」が掲載されています。そして、それらの中では「NGOとの連携」も盛り込まれています。

私は以前、日本国際ボランティアセンター(JVC)、シェア=国際保健協力市民の会(SHARE)と実働型のNGOで働いてきましたが、同僚には協力隊出身者が大勢いました。
途上国の現状を改善するために役に立ちたいという熱い思いを持って現地に飛び込み、2年以上に渡って住民と共に働いてきた協力隊出身者は、NGOにとって貴重な人材です。
特に、海外駐在スタッフを募集する時、その国で働いていた協力隊員は、現地の言葉や生活、社会状況を良く知っていてすぐにでも仕事ができるので、採用される率が高まります。派遣国と違う国であっても、医療関係者や農業技術者などの専門職をはじめとして、途上国での活動経験が即戦力となります。

このように、従来から個人としての協力隊員とNGOとは関係がありましたが、それを制度としてさらに連携を深めるためにどうしたらよいかを、タスクグループを作って議論してきました。最終報告書は、3月に行われるNGO-JICA協議会に提出される予定ですが、基本方針は合意されています。

1つは、途上国におけるNGOと協力隊との連携です。
従来、協力隊の派遣先は現地政府機関でしたが、その派遣先として日本のNGOも可能にするということです。また、日本のNGOが実施するプロジェクトの周辺に協力隊員を派遣するというアイディアもあります。これにはプロジェクト内容と同職種の協力隊員を派遣して活動の広がりを持たせるという方法と、異なる職種で相乗効果を求めるという方法とがあります。後者の例で言えば、NGOが実施する複合農業プロジェクトの対象地に栄養士の協力隊員が派遣されて、新しく導入された野菜の調理法を村人が学んだり村人の栄養改善に関する知識の普及を行ったりすることです。

もうひとつは、帰国した協力隊員とNGOとの関係強化です。
途上国の人々の生活改善などに取り組んでやりがいを感じ、帰国後も国際協力の仕事をしたいと希望する隊員は多いようです。しかし、実際に国際協力関係に就職できる人は少なく、生活するために普通の仕事に就く人が大半だと、協力隊事務局の人は言っていました。一方、NGOにとって協力隊経験者は、前述の通り即戦力を期待できる存在です。しかし、日本のNGOのキャパシティはあまり大きくないため、スタッフとして就職できる人の数は、帰国隊員の数と比べるとほんのわずかです。

仮にNGOに就職しなくても、派遣先だった国や専門としている分野で活動しているNGOの会員やボランティアになることで、間接的に途上国とつながることができます。また、会員やボランティアからやがて職員になったり、あるいは役員として団体の運営に関わったりという可能性もあります。ボランティアとしてNGOの組織運営を身近に見る中でノウハウを学び、将来自分でNGOを立ち上げるということもあるかもしれません。

1月5日の講演では、帰国隊員とNGOの関係強化のための第1弾の取り組みでした。
その最後で、「助言者として、開発教育の担い手として、スタッフの候補として、みなさんの参加をお待ちしています! まずは、会員、ボランティアから始めてください。」と呼びかけました。
すぐに反応があるわけではありませんが、彼/彼女たちが実家に戻って久々の日本での生活を楽しんだ後、さて次に何をするかという時に、そういえばオリエンテーションでNGOのことをしゃべっていた人がいたなあ、地元にどんなNGOがあるのかどうか調べてみようか。そんな風に考える人が1人でも多く出てくれることを期待しています。

新年のご挨拶

2012年01月09日 18時43分24秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
新しい年の始まりにあたり、ご挨拶申しあげます。

昨年は、東日本大震災というたいへんな災害を日本人は受けました。
大震災の直後から、多くの国際協力NGOが素早く救援活動を開始して一定の評価を得ました。JANICも震災チームを立ち上げて、岩手、宮城、福島3県に拠点を構えて、被災地で活動するNGOの支援や情報発信を行いました。
震災に際して、多くの日本人が被災した人々のために、何でも良いからできることをしたいという思いに駆られて、寄付をしたりボランティアに駆けつけました。阪神大震災以来のボランティアやNGO/NPOの活躍は、その存在意義と役割を改めて人々に再認識させ、寄付税制改正にもつながりました。

その一方で、日本社会全体が東北支援に集中したために、海外への関心が薄れ、国際協力NGOにとっては厳しい環境が続いています。東アフリカで起きた大規模な飢餓を、JANICはJICAやUNDPと共同で訴えましたが、残念ながら一般の人々の関心を高めることはできませんでした。しかし、JANICは、このような時だからこそ、先頭に立って地球規模課題への取り組みを訴えていかねばならないと考えています。

今年は、引き続き東日本大震災の被災者支援活動を、JANICも取り組んでいきます。
発災後1年となる3月に、国際協力NGOは東日本大震災において何ができて、何ができなかったか。その教訓を踏まえて、次の大規模災害に対してどのような備えが必要かを考えるシンポジウムを計画しています。それと合わせて、活動を行ったNGOにも執筆をお願いした報告書の作成を進めています。
その上で、4月から始まる2012年度は、フクシマの原発問題を中心に取り組んでいく予定です。
原発問題に関しては、ピースボートなどが主催する「脱原発世界会議2012 YOKOHAMA」が今度の週末(1月14,15日)に開催されます。JANICもこの会議に協力しており、特に海外ゲストの福島県訪問のアレンジを担当しています。まだ前売り券もあるようですので、脱原発に関心がある方は、ぜひ世界会議にご参加ください。

また、今年はJANICにとって設立25周年という記念すべき年に当たります。
この機会を利用して、広く日本社会にNGOとJANICの存在、および果たすべき役割を訴えていきたいと思います。それは単にJANICをPRするということではなく、昨年の震災への対応で示された日本の市民社会のあり方、NGOが市民社会の強化において果たす役割を問うものにしていきたいと考えています。

東日本大震災以外に、今年国際協力分野で注目すべきこととしては、以下のようなことがあります。

1)リオ+20:6月20日~22日まで、ブラジルのリオデジャネイロで開催
   「リオ+20国内準備委員会」、 「リオ+20 地球サミット NGO連絡会」
2)IMF・世界銀行グループ年次総会:10月12日~14日に東京で開催

これらの国際会議やJANIC25周年をはじめ、国際協力に関する話題を、このブログに随時アップしていきます。

どうぞ、今年もよろしくお願いします。


$国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ
(ベランダのベコニアがこの寒さにもかかわらず多くの花を咲かせています)

ポストMDGs

2011年12月26日 21時01分08秒 janic10の投稿
テーマ:MDGs
12月16日に、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の開発・環境委員会で「MDGsの現状と課題」というテーマで講演をしました。WCRP日本委員会は、「諸宗教間の対話と相互理解から生まれる英知を結集し、平和のための宗教協力を行う」ことを目的とした組織で、仏教、神道、キリスト教、イスラム教などの宗派を超えて平和活動を行っています。

WCRP日本委員会は、昨年世界の軍事費の10%を削減してその資金で貧困問題などMDGsを達成しようという「ARMS DOWN! キャンペーン」を推進し、日本全国で約1000万人の署名を集めました。また、今年6月にはMDGsシンポジウムを共催するなど、JANICのMDGsキャンペーンの重要なパートナーです。

講演では、まずMDGsの現在の達成状況を報告しました。
MDGsには8つの目標と21のターゲットがありますが、全体としては達成状況が厳しい状況にあります。世界全体の平均でみると、目標1の貧困削減目標などいくつかの目標は達成の可能性が高いですが、地域別、国別の達成状況についてはかなり差があり、特にサハラ以南のアフリカ諸国では多くの指標が非常に厳しい状況です。

また、目標自体にも問題があります。例えば、貧困削減については「1990年と比較して1日の収入が1米ドル未満の人口比率を2015年までに半減させる」ことが目標であり、「国連ミレニアム開発目標報告 2010」によると、1990 年の 18 億人から 2005 年の 14 億人へと減少し、貧困率も46%から 27%へと低下したことから、2015年には15%程度に下がると予想しています。しかし、これは東アジアや東南アジアの急激な経済成長によるところが大きく、サハラ以南アフリカではあまり低下していません。
一方で、初等教育の普及に関しては、「2015年までに、世界中のすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする」ことが目標ですが、「すべての」ということは初等教育普及率が100%でないと目標を達成したことにはならず、現状の地域間格差を考えるとほぼ不可能と言えます。

2008年のリーマンショック以来の経済不況がMDGsへの取り組みに対して負の影響を与えており、先進各国は途上国援助に対して消極的になっています。また、貧困削減よりも、途上国の経済成長によって貧困層も恩恵を受けるという1960年代に流行った「トリクルダウン理論」の復活を主張する風潮もあります。しかし、トリクルダウン理論については、実際には経済成長の恩恵は一部の富裕層を富ますことにしか寄与せず、かえって貧富の差を拡大することになりました。この経済成長重視と並行して、各国政府がODAを自国の企業の経済的利益に利用しようとする姿勢が強まってきています。

このように、MDGsの達成には様々な困難が伴っていますが、だからといって目標を放棄するわけにはいきません。共通の目標を掲げたことにより、多くの分野で改善が進んでいることは事実です。また、MDGs達成期限である2015年は終着点ではありません。MDGsの成果や課題を検証し、2015年以降にどのような取り組みをするべきか、「ポストMDGs」の議論が既に始まっています。
日本政府は、2011年6月に開催したMDGsフォローアップ会合で、ポストMDGsの議論を開始しました。さらに、2011年10月に公表された来年のリオ+20に向けた成果文章への日本政府のインプットの中でもポストMDGsについて提案しています。日本政府以外にも、他国の政府や国際機関、国内外のCSOもポストMDGsの議論を開始しています。

それではポストMDGsではどのような点が盛り込まれるべきなのでしょうか。
以下はJANIC提言グループがまとめた提案です。

前提としては、既存のMDGsの良さである、シンプルでわかりやすく、すべてのアクターが積極的に取り組むべき開発目標であるという面は残すべきです。
そのうえで、ポストMDGsは第一に「人権の保障」を中心とした考え方に基づき、目標設定をしていくべきです。例えば、貧困削減の目標については、既存の指標にある貧困人口や飢餓人口の削減だけではなく、小作人の農地使用権や、スラムの居住権の問題についても焦点を当てるべきです。
第二に、格差の是正という視点も入れるべきです。例えば、貧富の格差は、食料の増産だけでは解決できず、資源の配分や貧困層の雇用の保障をしていくことが重要です。
第三に、MDGsの目標8に掲げられている先進国の責任である、対GNI比のODA拠出額についても、引き続き目標設定していくべきです。


JANICでは、世界で行われている議論に注目しつつ、ポストMDGsについても取り組んでいきます。

道端ジェシカさんとの対談 - モノによる援助

2011年12月18日 13時15分22秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
今年の1月末に、モデルの道端ジェシカさんと「使わなくなった物を贈るボランティア」というテーマで対談しました。
http://nantokashinakya.jp/projects/interviews/talk_JessicaMichibata_MasashiYamaguchi.html
対談の内容がなんとかしなきゃ!プロジェクトのウェブ上にアップされたのが3月10日で、週末にブログを書こうと思っていた矢先に東日本大震災が起きました。震災対応で忙しくなったことと、日本社会全体が自粛ムードの中で著名人との対談をブログで取り上げることにためらいがありましたが、暮れも押し迫った中、今年のことでもあるのでブログに書くことにしました。

最初に対談の話があったとき、相手が道端さんと聞いてすぐに「ぜひやらせてください」と答えたのですが、テーマが「使わなくなったモノ」による援助と知って躊躇してしまいました。
「使わなくなったモノ」というと、古着や使用した文房具を途上国に送ることを思い浮かべますが、援助関係者の間では、日本から輸送費を掛けてモノを送るよりも、現地で必要なものを調達する方がよいというのが、一般的な考え方です。

対談では、私がソマリアで難民救援に携わっていた時の、日本から送られてきた毛布に関するエピソードをお話しました。日本製の柔らかい高級毛布よりも、軍隊が使う防水加工した毛布の方が、雨漏りがする小屋で寝起きする難民には役に立ちました。現地のニーズに合っていないと、せっかく善意で送ったモノが有効に利用できないという一つの例です。

東日本大震災に際して、被災地に全国から多くの救援物資が送られ、被災地の人々の生活が支えられましたが、中には洗濯もされていない古着がダンボールに詰めて送りつけられたというケースもあったそうです。自分にとっていらないから「送る」というのではなく、相手の立場に立って「使っていただく」という意味で「贈る」という気持ちが大切だと思います。

その他に気をつけなければならないこととして、緊急救援の初期段階を除いて、無料の物資が多量に供給されると、現地の商人や生産者の生活を破壊してしまうことがあります。例えば、古着が無料で配られると、新品の衣料品が売れなくなったり価格が暴落して流通業者や生産者が影響を受けることがあります。送るタイミングや量も検討が必要です。

前述の通り、現地調達の方が一般的に効率的、効果的であることが多いと思いますが、日本から送ることが全く意味が無いと言うわけではありません。送るものが現地のニーズに合っていて、受け取る側の体制がしっかりしていれば、有効活用も可能です。
例えば、使わなくなったリコーダーや鍵盤楽器をカンボジアに送っているJHP学校をつくる会や、日本ではあまりリサイクルされない車椅子を途上国に送る活動を続けている「飛んでけ!車いす」の会、再生自転車を保健推進員の移動手段として活用しているジョイセフなど、好事例もたくさんあります。

「使わなくなったモノ」を海外に直接送るのではなく、有効活用する方法が他にあります。
道端さんがご自身で実践しているのは、着なくなった洋服をチャリティーオークションに出して、その売り上げをUNHCRに寄付して難民救援に役立てているそうです。道端さんが着た洋服であれば、買いたい人も大勢いるでしょう。普通の人でも、古着屋で売ってそのお金を寄付するということは可能です。

古着以外に有効活用できるものとして、①古切手、②古本やゲームソフト、DVD/CD、プリペイドカード、③書き損じはがき、④使用済みインクカートリッジなど、様々なものが有効活用されています。

このうち、①古切手ではキリスト教海外医療協力会(JOCS)が有名です。事務所に併設された切手ルームでは、毎日ボランティアの人たちが仕分け作業をしています。
②の古本などは、シャプラニール市民による海外協力の会が有名で、「ステナイ生活」を提唱しています。
③の書き損じはがきは、多くのNGOが収集していますが、JANICも集めていますのでぜひご協力ください。特にこれから年賀状の時期ですが、宛名を書き損じたり、印刷に失敗したり、年賀状が余ってしまったりという時には、1枚でも構いませんのでJANICにお送りください。
また、④の使用済みインクカートリッジについては、ヤマダ電機さんがご協力していただき、インクカートリッジ一つについて10円がJANICのNGOサポート募金に寄付されます。JANICへ直接送っていただかなくても、お近くのヤマダ電機の「ジット回収ボックス」をご利用いただけます。

様々な使わなくなったモノが、直接途上国に送る、日本国内で換金して途上国支援に役立てるといった方法で、活かされます。ぜひ皆さんも身近なものを使って、国際協力に参加してください。
また、モノではなく、直接の寄付も大歓迎ですので、よろしくお願いします。

釜山ハイレベルフォーラム

2011年12月11日 19時17分55秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
11月25日から29日まで、韓国釜山で行われた「援助効果に関する第4回閣僚級会議(Hi-Level Forum:略称HLF-4)」に向けた市民社会フォーラム(Busan Global Civil Society Forum: BCSF)に参加してきました。

閣僚級会議(HLF)は、2002年にローマで第1回会議が開催されて以来、3年ごとに援助国政府、国際機関など世界中の援助関係者が集まって、援助の効率性を高めるために話し合う会議です。
長年にわたる援助にも拘らず途上国の貧困問題の解決があまり進んでいない現状に対して、より効果的な援助を実施するための枠組みを作ることを目的に議論が続けられてきました。援助効果に関する詳細については、JANICのウェブをご覧ください。

今回のHLF-4では、中国やインドなどこれまでに援助効果の議論に参加してこなかった新興国が参加したことや、市民社会の代表が閣僚級会議の成果文章の作成に関るシェルパとして参加するなど、一定の前進がありました。
その一方で、ヨーロッパの経済危機の中で各国が内向きになっていることに加えて、新興国の参加を促がすために成果文章全体が援助国側の責任に関して曖昧な表現になるなど、市民社会からは過去の会議と比べて後退したと評価されています。

私は本会合には参加せず、前述の通り市民社会フォーラム(BCSF)の部分だけに出席しました。このBCSFは、本会合に向けて市民社会の提言をまとめるために開催されたものですが、世界中から300人を超える市民社会の活動家が集まり、テーマ別に別れたワークショップを積み重ねて、Civil society statement to the Fourth High Level Forum on Aid Effectivenessを最終日の11月29日に採択しました。

$国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ
(BCSFのオープニング・セッション)

3日間の市民フォーラム中で、私が参加したテーマ別ワークショップは以下の5つです。
1)Development for a Decent World. Trade Union preparatory meeting for the HLF-4
2)Successful Accountability Instruments for CSOs
3)CSO Accountability and Transparency
4)Public-Private Cooperation
5)Fragile States

だいたいどのワークショップでも最初にプレゼンテーションがあり、その後小グループに分かれてディスカッションして、その後グループ間の共有を行い、最後にオーガナイザーが事前に作っていた提言文の修正を行って合意するという流れでした。

このうち、1)は労働組合が主な参加者で、decent work(人間らしい生活を継続的に営める人間らしい労働条件)を成果文章の中に位置づけることを最大の目標としていました。このワークショップはITUCという世界の労働組合の連合体が主催していましたが、オープニングセッションで韓国労働組合から二人が壇上に並んでコメントを述べるなど、BCSFにおいて労働組合のプレゼンスが高いことに驚きました。その一方で、日本からは労働組合の代表者が参加していなかったのが残念でした。

2)のアカウンタビリティについては、私自身も長年にわたってNGOのアカウンタビリティを研究してきたことから関心がありました。議論の途中で、先進国は上からアカウンタビリティを押し付けてくる、という途上国側の反発があり、一時険悪なムードにもなりかかったのですが、最後は全ての当事者が互いに尊重しながらそれぞれの立場で透明性の高い運営に取り組もうということで、一応は落ち着きました。報告の中では、カンボジアのCCCが作成したVoluntary Certification Systemに興味を持ちました。JANICのAccountability Self Check(ASC)とよく似たシステムで、現地NGOが、あらかじめ決められた質問項目について自団体が適合しているかどうかを自己採点し、それをシステムを運営する委員会に提出し、委員会が基準を満たしているかどうかをチェックして承認すると言うものです。ASCと違うのは、現場訪問を実施してプロジェクト内容を評価の対象とすることと、基準を満たしていない部分について国際NGOがフォローアップすることです。JANICの場合、メンバー団体のプロジェクト現場まで見に行くことはできませんが、フォローアップについては当初から課題として認識しており、今後ASC改定の際に検討していきたいと思っています。

その他のTransparency、Public-Private Cooperation、Fragile States(脆弱地域)については、どれもそれぞれの問題に長く関ってきた人たちが専門用語を使いながら議論をしているので、話し合っている内容を理解することもたいへんでしたが、勉強にはなりました。

市民社会フォーラム全体を通して、各国政府や国際機関が国際的な援助の枠組みを決めていくにあたって、市民社会の立場から課題を議論し提言していくというプロセスを見ることができたことが、私にとって大きな学びとなりました。
JANICでは、オックスファム・ジャパン、ODA改革ネットワークと共同で、日本政府に対してMDGsを確実に前進させていくためにも世界的な援助効果向上への取り組みを牽引することを求めて、「援助効果第 4 回閣僚級会合 釜山成果文書に関する緊急提言」を出しました。
引き続き、援助効果/開発効果に関するプロセスをしっかり見守り、提言していきます。

提言型政策仕分け

2011年11月25日 14時33分17秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
11月20日から23日までの4日間、行政刷新会議による提言型政策仕分けが行われました。「原子力・エネルギー」「農業」「社会保障」など10分野に関して行われた仕分けの中で、「外交」に関して、私も仕分け人として出席しました。

仕分けと言うと民主党の専売特許のように思われますが、民主党の仕分けよりも先に自民党が2008年に「無駄撲滅プロジェクトチーム」を立ち上げて、構想日本の協力の下「政策棚卸し(事業仕分け)」を行っていました。この時、私は「外務省・ODA」関連の仕分け人として事業仕分けに参加しました。
その時は、複数の省庁にまたがって実施されているODAを「援助庁(省)」の下に統合して効率化することや、学校建設をはじめとしたODAによる住民対象の事業は高コスト体質なのでNGOへ移管することなどを提言したように記憶しています。
「外務省・ODA」を含めた報告書が、「自民党無駄使い撲滅プロジェクト最終報告書案(全体版)」として、プロジェクトチームを主導した河野太郎議員のウェブに掲載されています。

今回の仕分けは、上記の自民党による仕分けや、その後の民主党による仕分けと少し異なり、「無駄や非効率の根絶といったこれまでの視点にとどまらず、所要な歳出分野を対象として、政策的・制度的な問題にまで掘り下げた検討を行う」ことが目標とのことでした。
したがって、細かい無駄を切り込んで事業の削減や廃止という結論を出すのではなく、中長期的かつ建設的に議論してほしいという注文がついていました。
また、今回の「外交」に関する仕分け対象は「在外公館」に限定され、ODA全体は対象としないと言う、ちょっと中途半端なものでした。

「B2:外交戦略における在外公館の役割」に関して事務局が提起した論点は、以下の4つです。

1)在外公館は日本の国民生活や国益にどのように役立っているか。
2)在外公館の仕事は在外公館だけにしかできないものか。
3)どのような戦略に基づいて在外公館は設置されているのか。
4)在外公館のあり方を含め外交の質の向上のために何をすべきか。

事前に受けたヒアリングでは、さらに細かい切り口として「在外公館の職員の質や人数」「公用物資調達」「広報文化センターと国際交流基金の日本文化センターの重複」などについて議論してほしいと依頼がありました。論点4)では、広く外交一般についてODAを含めた議論ができるのかと聞きましたが、やはりODA全体は扱わないでほしいとのことでした。

議論の中で私が発言した意見は、主に以下の3点でした。

1)過去の経験から、地方自治体からの出向者など語学や専門性の点から、必ずしも適任とはいえない職員も見られた。現地の事情をよく知り、現地語もできて、日本と当該国の架け橋となる意欲を持つNGO出身者やJOCVのOB/OGなど、民間の人材を積極的に活用したらどうか。

2)在外公館が、広報や技術協力など実務的な業務を全て抱え込むのではなく、大使館は司令塔として全体方針を作り、実務はJICAや国際交流基金など現地に出張している関連機関に移管してスリム化をはかった方が良い。大使館が持つ草の根・人間の安全保障無償については、外務省とNGOとの合同評価の結果、JICAへの移管を検討するとの答申も出ている。

3)外務省は、ODA見直しで「開かれた国益」という概念を提案したが、在外公館でも、この理念に基づいて、短期的な日本の利益を求めるのではなく、相手国の市民社会との対話を含めた、長期的視野にたった外交を展開してほしい。

市民社会との対話の必要性は、仕分け人の1人で、元JANIC及びJVC職員だった渡辺龍也東京経済大学教授が指摘したことでした。一部に私の意見も入れられた仕分けの結果は、行政刷新会議のウェブに既に掲載されています。

今回は在外公館に特化した仕分けでしたが、次があるのであれば、ぜひODA本体に関する提言型政策仕分けをやっていただきたいと思います。

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(昨年きれいな花で楽しませてくれたシクラメンが、年を越して再び花をつけてくれました)

ネットワークとは?

2011年11月19日 19時07分03秒 janic10の投稿
テーマ:市民社会と国際協力
先日、岡山県国際団体協議会(COINN)の20周年記念イベント「NGOネットワーク・フォーラム ―めざせ!!国際NGOの連携―」で基調講演を行いました。主催者から与えられた演題は「ネットワークNGOの意義と役割」というもの。引き受けてから良く考えてみると、私はこのようなテーマで講演をしたことがありません。気軽に引き受けたことを少し後悔しつつ、60分という持ち時間でどのような話をするか、組み立てを考えてみました。

話の流れとして、まず「1.ネットワークとは?」でネットワークの定義や特徴、長所・短所を述べ、「2.ネットワークNGOとしてのJANIC」でJANICの組織と実施している事業を説明し、「3.JANICが関係するネットワークの事例」で、様々な形のネットワークとその成果と課題を報告し、最後に「4.COINNへの期待」で締めくくることにしました。

そもそもネットワークとは何か、その定義から調べてみました。
インターネットで調べてみると、「網という意味の英単語。複数の要素が互いに接続された網状の構造体。ネットワークを構成する各要素のことをノード、ノード間をつなぐ線のことをリンクと言う。「NW」「N/W」などの略号で示されることもある」(IT用語辞典)とありました。

ネットワークというと、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)やインターネットなどIT関連、または最近ではfacebookやミクシーなどのソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を思い出します。いずれも、1台1台のパソコンや1人1人に人間が、自らの周辺やさらに世界中と情報のやり取りをしながら繋がることによって、単独ではできないことが実現します。

それを組織に置き換えて考えた場合、ネットワーク組織には、①中心が無いこと、②一つ一つの構成要素が対等な関係であること、③ある目的でつながっていること、といった特徴があると思います。

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ネットワーク型組織の対極にあるのが、ピラミッド型組織です。こちらは、①位置が固定的であること、②上下関係があること、③組織そのものの継続性が自己目的化してしまうこと、などが特徴として考えられます。

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では、ネットワーク組織の長所とは何でしょうか。
第1に「多様性を内包していること」です。個々の構成メンバーは、自立した組織として背景も性格も異なっていますが、その多様性がネットワークにとって豊かさを生み出す元になります。
第2は「相互学習・経験交流」です。持っているものの違いを意識して交換することにより、互いに学ぶことができます。
第3が「相乗効果・ひろがり」です。単独では解決できないことも、協力し合えば大きな力になります。

このような長所の一方で、ネットワーク組織には弱点もあります。
第1が「他律性、受動性」です。自分がやらなくても誰かがやってくれるという期待する、あるいはやりたい人に任せておけば良いという受身の気持ちをそれぞれのメンバーが持ってしまうと、ネットワークの強みが生かせません。
第2が「結びつきが弱いこと」です。ネットワークが目指す目的が具体的で共通の利益として認識されれば良いのですが、そうでないと簡単にメンバーがばらばらになってしまいます。
第3に「ファシリテーター役が必要であること」です。ネットワーク自体は中心を持たず、個々のメンバーは対等な立場で参加するのですが、自由な参加の場を保障するファシリテーター役がいないと、目標に向かって前に進みません。参加団体が少数の内は何とかなりますが、メンバーの数が増えて活動が活発になると、ファシリテーター役として事務局機能が必要になってきますが、この部分には資金が出にくいという現実があります。

では、ネットワークNGOとしてのJANICは、どのようなことをやっているのか?
JANICには、3つの活動の柱があります。外務省やJICAとの対話の場の設定、ODA改善などに関する提言書の作成といった「調査・提言活動」、研修やアカウンタビリティに関する仕組み作りなど「NGOの能力強化と社会的責任の向上」、広報活動や共同の対話の場を持って実施する「NGOの理解促進と他セクターとの連携」です。また、JANICが正会員NGOに代わって募金を募ってそれを配分する「サポート募金」という制度もあります。

これらのJANICの活動は、メンバーNGO及びNGOを取り巻く様々なセクターとの対話や協働を通して、社会に対してNGOの存在を広くアピールし、NGOの声として意見を表明し、共通の目的がある場合に協働するものです。

JANICが関っているネットワークの事例として、「NGOつながりキャンペーン」「NGO-労働組合国際協働フォーラム」「CSO推進NGOネットワーク」「NGO-JICA協議会(登録NGO)」「なんとかしなきゃ!プロジェクト」などを紹介しました。

最後にCOINNへの期待として、以下の3つの提案をしました。
1.地域の特色を生かしつつ、共通の課題を持つNGO同士が学びあい発信する「課題別のワーキンググループ活動」
2.共同広報キャンペーンやJANICサポート募金のような共同募金システムなど「メリットが実感できる協働」
3.企業や労働組合、JANICなど、「地域の他セクターや地域を越えたNGOネットワークとの連携」

個々のNGOは、それぞれ独自の使命(ミッション)を持って日々活動していますが、平和で公正な世界の実現を目指すことについては、多くのNGOにとって共通だと思います。そのためには、豊かで強い市民社会をつくる必要があります。その担い手として、市民に支持され社会的に信頼されるNGOが増えることが重要です。そのために、個々のNGOが努力する一方で、互いに協力し助け合ってネットワークを広げていきましょう、と呼びかけて講演を終えました。

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