ちょっと理屈っぽい話になるのですが。


国際協力という国際的な動向は、あきらかにアメリカが戦後作ったものだという認識があります。


第2次大戦のさなかにアメリカのリーダーシップでブレトンウッズ会議が開かれ、世銀、IMFがつくられました。さらに、ヨーロッパはアメリカのマーシャルプランで復興で果たされました。1949年にはトールマン米大統領の熱気ある「援助論」は知られているところです。また、ケネディの国連の開発の10年の演説・・・・こうして国際協力の下地となる基礎は、アメリカが先導してきたものだという認識を私は強く持っています。国連だって、実質アメリカのリーダーシップで作ったといって過言でないのではないでしょうか。


当時、国際協力(=援助)を推し進めるねらいとして、3つのねらいがあったと思います。ひとつは「自由市場の拡大と安定」です。アメリカはできるだけ自由な世界貿易の環境が生まれることを望んでいたと思います。二つ目は、アジア、アフリカ、南米などの経済発展が遅れた国の、「経済開発」でした。「後進国」と呼ばれた国々が国家として安定し、経済発展を欧米の国々のように進めて、仲間入りすることでした。最後は、世界の中の人道的価値に基づく相互扶助システムの確立だったのかと思います。


これらのうち一番最初を除くと、経済開発も、人道的相互扶助システムもまだ十分な確立をされていないのカナァと思います。


もっと気になっているのは、こうしたアメリカのリーダーシップにもかかわらず、アメリカがこうしたシステムから徐々に離脱傾向にあることです。アメリカの単独主義が裏目に出ていることもひとつです。援助の政治の中では、多国間主義的動向が強い中で、ヨーロッパ、特にイギリスに遅れをとっているように見えます。国連の中のアメリカの地位も微妙なところにいます。


アメリカはこれから何をしていきたいのか。はたして多国間主義の中で、アメリカ独自の政治を確立できるのか???非常に疑問です。

国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ-qualia
Qualia(写真提供:Ayako & Ferdi)