実は、最近大学の授業で、私が出ている古いビデオを久しぶりに使いました。たしか20年くらい前に、民放で取り上げられた番組を録画したものです。

シャプラニールのバングラデシュの現場の映像で、内容的には現地住民の活動への参加の意味や住民主体のプロジェクトのあり方を訴えいます。シャプラニールとは以前私が働いていた日本のNGOです。  

シャプラニール → http://www.shaplaneer.org/


そのビデオの中で、何度も成人識字学級のシーンが出てきます。1990年は国際識字年だったこともあり、文字の読み書きを知らない人々が大勢いるという事実が盛んに訴えられ、学びの機会をつくることで、社会性や自己変革のきっかけになる効果が高いということで、注目された時期でもあったと思います。また日本人の支援者の中には、文字の読み書きの大切さを理解する方が多かったこともあり、シャプラニールもたくさんの支援をいただいていたと思います。


残念ながら、今シャプラニールの事業の中では、この成人識字学級はほとんど実施されていません。いくつか理由があるようです。

ひとつは、農村で組織されるグループは、以前のように一緒に何かをしようといって集まるというより、グループを通した共同貯金とローンのサービスを個人的に利用する傾向が強いため、成人識字のような活動への関心やニーズは以前よりは低いようです。

もうひとつは、以前よりも子どもの就学率が上がり、非識字率が徐々に下がってきているからでもあります。2008年度のユニセフの統計を見ると、世界の成人識字率は78%となっています。またバングラデシュの就学率は81%と高いのですが、成人識字率は以前として48%です。当時私が活動していた頃は33%ぐらいでしたから、それほど高くなっていません。


古いビデオを見て、改めて時間がたったことを感じました。活動上の戦略は変わっても、文字の読み書きを知らない人はまだたくさんいます。そういった人々へ、文字の読み書きをする喜びを伝えることは、まだ重要なのかもしれません。


国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長ブログ-12.疾走するコト。(箱根ピクニックランド)
疾走するコト
(写真提供:富野岳士さん)