クロ
テーマ:ごくまれに本気とかいてまじ
クロが死んだ。
年末から口が腫れたりあんま散歩いかんなったりして調子わるなっとったけん正月帰ったら、正月は元気そうやって、散歩も昔からいきよるコース普通にいけたし、車で重信川までいくときも自分から車に飛び乗ったし、飯もよう食べよった。
けど4日、俺が千葉に戻る時、いっつもやったら小屋からでてくるのにそん時はでてこんかった。
8日、おかんからメールがきた。「クロが歩くのがしんどそうやわ。食欲はあるけど。」
やっぱりしんどかったんやなあ。
10日、「つらいかもしれんけど覚悟しときよ。クロは腰が落ちて歩くのが難儀そう。もう小屋のまわりでウロウロさしてやるくらいや。餌は食べてくれよる。お正月あんたと会えたから安心したんやろ。クロも頑張って長生きしよんやから、心配せず仕事しいや。」
もう長くないやろな。でもご飯たべよるけんまだ大丈夫かもな。
12日、長男から電話。
「もうクロいかんわい。もうあと2,3日じゃ。」
「嘘やろ。まじで。」
「けどもうお前帰ってこんでかまんぞ。金もいるし。」
「・・・・・・。」
「帰りたいんか?」
「おーちゃりたいなあ。帰りたいわい。・・・・・とりあえずまた様子がかわったらゆうてや。」
「わかった。じゃあな。」
13日は会社の方の送別会いってそのあとagehaで朝まで踊り狂う。クロの事が気になりつつもその場が楽しいけん騒ぐ。あれからおにいから電話ないし、調子よくなったんかもなとかおもって。
14日はホッシーとメガネ買いにいっとった。そしたら21:39おにいからメール。「さっきクロにからあげとしろごはんやったら嬉しそうに食べたぞ!!また明日も俺が行ってやるけん心配するなや!」
元気でたんか!よかったなあ!よろしくたのんます。ってメールかえしてその後も遊んで寝た。
15日。昼の12時頃に隣人が起こしにきた。「さっきおばちゃんから電話あったんよ。クロ死んでしまったんやって!はよかえったげな!」
寝起きでなんがなんかわからんかった。携帯みたら長男次男とおかんから10件ぐらい着信。メールも。
10:50「ごめんよ、さっき10時40分にクロ天国へいったよ」
11:28「連絡ちょうだい」
11:49「クロねえらかったよ。最後まで辛そうになかんかったし、便も外でしたし、おにいとおかんが見守る中で息ひきとった、あんたに会えて本当に嬉しかったんよ。どうしてやりたいか?」
速攻電話した。
「ごめんねとった・・・。死んだんか。」
「そうよ。クサリはなしてやっとってみてみたら小屋におらんかってね、探しにいったらすぐそこの草むらに倒れとった。昨夜たべたからあげもはいとったわい。便もでとった。」
「ほうなん。」
「昨夜はもう自分で最後やてわかっとったけん頑張って食べたんやろねえ。どうする?霊園つれていくかうめちゃるか。庭にうめちゃりたいけど屋敷内に埋めるんはようないんやて。やけん重信川に連れていっちゃって埋めるか。」
「どうしよか・・・」まともにしゃべれんかった。
「あんたのしたいようにしたげる。」
「かえろか。今から飛行機のったら着くん夕方やけど。」
「もうええことない・・・?正月おーてくれてクロ嬉しかったわい。そやし今から帰ってきてもあんた余計つらかろがね。」
「そやけど・・・ちょっと考えてまた電話するわ」
電話切って着替えながら考えた。実際金はそんなあるわけちゃう。明日は仕事もある。
考えた。
・・・・「俺クロがやばなったら絶対速攻帰るで」えらそうにいよったん誰や。金なんか後からどうにでもなろが。帰ることにした。月曜そのまま会社いける準備して隣人に一言ゆうてバイクで駅までいって空港行きのバスにのった。バイクでもバスでも、20分置きぐらいに涙がでてきてとまらんかった。
14:25の飛行機に間に合った。16:00に着いたら長男が迎えにきてくれとった。家について小屋のぞいたらクロがおった。毛布かけられて寝とるみたいやった。抱っこしてやったらもう体が固まってきとった。けどまだぬくかった。目開いたままやったけんおにいが閉じさしてくれたらしいんやけど、完全にはしまらんかって、遠くをみつめとるみたいやった。抱いたまま泣いたけんクロの口に涙が入った。
そのままクロの横にすわってずっとなでよった。寝顔を写真におさめた。死んどん撮るんはようないんやないんてゆわれたけど、一枚でも多くクロを残しときたかったけんとった。その間おかんとおにいはスコップとか軍手とか用意してくれよった。あれこれ話して、いっつもクロ車にのっけて遊びにいきよった重信川の側に埋めてやることにした。本当は話したくなかったんやけどな。しばらくクロと二人がよかった。
車にスコップと軍手と、ドッグフードと水をのっけて重信川にいった。埋めれそうなとこ探して、土がやわらかそうなとこ選んで掘ってみたんやけど、掘っても掘っても石ばっかで埋める土もなかった。
「これはクロがかわいそうや、横四駆が通るし犬の散歩する人も多いし、どうする山のじいちゃんちの横の畑に埋めちゃる?」
「その方がええかもなあ。じいちゃん家行く気にもなるし。」
「荒らされる心配もないし、クロもじいちゃん家いったことあるけんさびしなかろ。」
もう19時前で真っ暗やったけんとりあえずじいちゃん家の横のおばちゃんに電話して雪大丈夫かきいてみた。まだのこっとるけど大丈夫そうやゆうから速攻山にあがった。おにいが運転して助手席におかん、後ろで俺がクロ抱いてのった。のっとる間にウトウトきて寝てしまったんやけど、むっちゃ気持ちよく寝れた。クロの体が温かくて、鼻もまだ濡れとったけんずっとほっぺたつけてなでながらねよった。死体やなんかて思えんかった。一時間ぐらいで着いて、じいちゃんちいったらおばちゃんが穴ほってくれよった。やけんじいちゃんちにクロ置いて俺もほりにいった。車置きにいっとったおにいもあとからきて一緒にほった。
おばちゃんはたまげとった。「えーあんた東京から戻ってきたんけ!犬にこないにしてやるんかえ~。すごいのう。クロも幸せじゃろうが。おばちゃんらなんかは犬死んだら川に流したり裏の山に埋めたりしよったけんどが。」
「最近は違うんよー。町中は埋めるとこもないけんねえ、霊園に連れていく人も多いんよ?」
「ほおよなあ私もこないだびっくりしたんよちっちゃい墓があるけんなんじゃろおもたら犬のやったけんなあ。」
山の人は感覚が違うけんしゃあないなとか思いながら穴ほって、クロが入るぐらいの大きさになったけんじいちゃんちからクロ連れてきた。米の紙袋を敷いて、クロ寝かして、上から毛布かけちゃった。で腹へらんように口元にドッグフードとジャーキー置いた。最後に顔にちっちゃいスヌーピーのフリースかけて、埋めた。
涙はでんかった。
首輪ははずしてやらんとずっとつながれたままで成仏できんて言われたけんはずして俺がもろてかえった。
今頃クロはもう天国いっとるやろか?
死ぬ前の数日間はおにい、お前がくるしんどんみたくないけん家に帰りたなかったいよったで。病院いったら心臓悪いゆわれたんやな。歩けんぐらい痛かったんか。
もっと前から気にかけてわしが病院連れてっちゃっとったらもっと生きれたかもしれんな。ごめん。
正月もほんとはしんどいのにわしがはしゃぐけんつきおうてくれたんやろ。悪かったなあ。
最後まで気いつこて。前の晩のからあげも皆に心配かけんように無理して食べたんやろ。
お前は絶対庭でうんこせんかったやん。そやけん最後も苦しいのに草むらまで頑張って歩いていって吐いてうんこしたんやろ。庭でしてよかったのに。
金曜と土曜は俺が遊ぶ用事あったけんそれもわかっとって日曜に逝ったんやろ。平日は皆仕事やし。
おすわりしかできんかった奴がそんなことしてくれんでええんよ。
死んだ後のお前みたらベロから血ぃでとったな。苦しくてベロ自分で噛んでしもたんか。
もう痛くないか?
今までありがとう。小学校入学前にお前拾ってきて、それからずっと一緒やったなあ。
昔はやんちゃですぐに近所の犬と喧嘩して、そのくせ負けて帰ってきたり、俺が皆とこっそり育てよった捨て猫に散歩の途中会って、かみついて殺したりしたな。あん時は骨折れるんちゃうかゆうぐらいお前殴ったなあ。でも子犬が小屋にまぎれこんできたときは優しかったな。自分の子供みたいに抱えとったな。結局おとんに追い出されたけど。
あと公園で遊びよった時タカシとアヤカがのっとったブランコにしゃがれて前足の親指折れたな。それからずっとブラブラのまんまやったけど、大丈夫そうやったな。強いやっちゃ。
フィラリアで一回死にかけたりもしたな。あん時皆に死ぬ死ぬゆわれたのにビンビンしとったな。雑種は強いんはほんとやったな。
中学校ん時は皆と遊びよっても夕方にはお前の散歩いきよったな毎日。皆がうちでタバコ吸いながらファミコンしよる中。けどカツんちがチロ飼いだしてからはたいがい一緒に散歩いくようになったけん楽しかったなあ。チロお前のこと大好きやったけんねえ。
嫌なことがあったりしても散歩しながらお前に話したらだいぶ楽になりよったんで。
あと近所のガキのリョウとレンとユカの3兄弟が遊びにくるようになってからは毎日クロクロゆうてきよったな。大人気や。ちっちゃい公園いってお前が逃げんように柵してから放して遊んだなあ。お前すべり台、階段からのぼれよったもんね。あれできるん他にあんまおらんかったな。
すべり台の上から呼んだら走ってかけつけてきてくれよったやん。あれ自慢げやったで俺。
高校入ってからはバイトがあったけん学校おわったらダッシュで帰って散歩やったけんちょっとしかできんかってすまんかったな。ゆっくりうんこできんかったろ。
風が強い日とかお前夜中にギャンギャン泣き叫ぶけんいっつも起こされて、散歩してしばらく小屋で一緒に寝てやって落ち着かしよったな。あれ結構ノイローゼやったで俺。笑
夜中眠いのに外でるんたいぎいけんきこえんように耳ふさいだりしよったもん。
免許とってからはボロの軽にのっけてよう重信川まで散歩いきよったな。窓あけたらいっつも顔だしてよだれたらすけんべちゃべちゃやったわ。
あ、俺が意味もなくテント買ってきて庭にはって、夏やったかな。野宿しよったやんお前の横で。
いっつもは新聞屋きても吠えんのに、あん時だけ吠えよったらしいな、おとんが俺を守ろうとしとったんじゃていよった。それきいてなんかこしょばくなったで。嬉しかったわい。
高校卒業したら俺家でたやん。勝手にごめんやった。お前ほっぽっていっておかんに任せて。でてしばらく、正直お前の散歩毎日いかんでええってちょっと楽や~とかおもっとったんよ。けどすぐさみしなったわい。実家帰る度お前に会うんがほんと楽しみやったで。洗ってないけんくっさいけど、なんともおもわんかった。首かきかきしたったらむっちゃ気持ちよさそうにするやん。ほんで腹みせて。腹かきかきするやん。ほしたら足ピョンピョンうごかすやん。あれおもろかったわ。腹にノミおってそれつぶすんもおもろかった。なんにも汚いとおもわんかったよ。
お前にあってから15年たって、幼稚園でたてやった俺ももう21になったよ。
ずーっと一緒におってくれたな。お前は幸せやったんかのう。15年間うちの庭で過ごして。退屈やなかったかのう。俺は幸せやったで。お前がおらんかったらほんと今よりもっと優しくない人になっとったと思う。ありがとう。
おつかれさん。もうゆっくりしいや。また今度帰ったらお前んとこ遊びにいくけんね。散歩いこでな。




































