『RIVER』(リバー)

テーマ:
 映画『RIVER』(リバー)の試写会の機会をいただいた。

 この映画は「ヴァイブレータ」「余命1ヶ月の花嫁」の監督 廣木隆一の作品で、2008年6月に起こった秋葉原無差別殺傷事件をモチーフに、大切な人を失った女性が喪失感から再生していく姿を描いたドラマ。

 主演は「転校生さよならあなた」の蓮佛美沙子。原案・脚本も廣木隆一監督が担当している。

 あらすじは、秋葉原で起こった通り魔事件で恋人の健治を失ったひかりは、家にひきこもる生活を続けていたが、優しく見守る母や再会した高校時代の同級生の助けもあり、徐々に落ち着きを取り戻していく。

 やがて事件が起こった秋葉原を訪れたひかりは、それぞれの事情を抱えながらも懸命に生きている人々と出会いを果たしていく。

 恋人の不条理な死という事件に、映画の後半では東日本大震災の惨劇も挿入されるなど、その背景はかなりドラスチックであるものの、さまざまな事象が主人公達の「物語」にどのような深刻な影響を与えたのか?また彼女がどのように「死から再生への物語」を再構築していったのかのストーリーを期待すると、まったくの肩すかしを食らう。

 しかし、にもかかわらず、自分の身体感覚に叙情的に残るなにかを手掛かりにこの映画を振り返ってみると、映像は、主人公の「つながり」をキーワードにしたフェルト・センスの記録なのだと思えてくる。

 秋葉原の街を彷徨う主人公の前に現れるそれぞれが、秋葉原を彷徨している者たちである。
 そういった人々との出会いの中で、青年に対して主人公ひかりは、「まだ、間に合うよ」と語りかけ、そして、彼女は、再び海に向かう「流れ」(RIVER)の中に命を生きようとする。

 この映画のラストシーンこそ、何をフェルト・センスし、心の再生の物語をどのようにフェルト・シフトできるか、その観客にかかっているという実験的な映画と言えるかもしれない。

 2012年3月10日(土)より渋谷ユーロスペース他、全国で順次ロードショー
 http://www.river-movie.com/



 カウンセリング・心理学を学んでみたい方は、こちら ↓

         




AD
 漫画家のつげ義春さんの奥さんの「絵日記」。
 神経症で苦しむつげさんと、それに寄り添いながらも苦しみ、そして小さな喜びを宝物のように感じるマキさんの姿があります。

 何か「言語化」しにくい感動があります。

幸せって何?―マキの東京絵日記 (文春文庫―ビジュアル版)

 カウンセリング・心理学を学んでみたい方は、こちら ↓

         




AD
 この記事を書いている時、芸能番組では、「占い師」という単語が飛び交っている。
 某有名女性お笑いタレントが、次々に出演番組を降板、自宅に同居しているという女性「占い師」に言われるままに、ひきこもりの生活を送っているというのだ。

 さらに、自宅がある高級マンションの賃料も数ヶ月にわたり、滞納しているとのことで、裁判沙汰になるらしい。
 呼称もいろいろあるようだ。ある番組では、「占い師」とされたその女性が、別の番組では、「霊能者」と紹介されている。
 肩書きを故意にコロコロ変えることで、テレビ局は、その女性に、いかがわしい、というレッテルを貼りたいのだろう。
 しかし、ここで取り上げたいのは、「占い師」のいかがわしさでも、渦中にいる女性タレントの愚かさでも、裁判の行方でもない。
 ある番組で紹介された、その「占い師」が女性タレントに使用しているとされるテクニックについてである。
 「占い師」は、神がいる、という。その神は、肉食を勧めるのだ、という。そして、女性タレントは、肉を食べ続けたためか、明らかに太っていった。
 お笑いタレントではあるが、その女性のルックスは、「きれい」の部類にはいる。
 「きれいな女性」は、自分が笑われる商売に身を置くとしても、その「きれい」を維持したいと願うはずだ。
 女性ならば、誰でも持つであろう、その願望を、「占い師」は、どのように変えたのか。
 紹介された技法によれば、その「占い師」は、こう言うのだ、という。
 「神は、あなたに肉をたくさん食べよ、と言っておられます。しかし、人生は、あなたのものです。したがって、肉を食べるか、食べないかを決めるのは、あなた自身です。すべては、あなたが決めることです」
 ロジックの巧妙さに感心してしまったが、それだけではなかった。
 このやり方が実際に確立されている、ある心理学を骨格にしていることに気がつき、それに、ぼくは驚かされたのだ。
 詳細は割愛するが、その心理学とそれに基づくカウンセリング技法には、
 「神が存在することを私は否定しない。しかし、人生は神が決めるものではない。人生の決定権は、すべて個人に帰する」
 と言う基本的な考え方がある。

 そこで、この「占い師」のやり方をふりかえる。

 神が肉を食べろ、と言っているからあなたも食べなさい、という一本調子の論法では、なかなか肉食主義者への変更はむずかしいだろう。
 そこで、「占い師」は、突然、人生、という単語を持ち出し、心理の舞台を神のいる天上界から女性タレント自身へと「急転」させる。
 「急転」することで、人間の脳は、「急転」に追いつこうとするが、追いつく前に、次の「急転」がやってくる。

 今度は、肉を食べてもよいし、食べなくてもよいというのである。
 ここで葛藤が生じ、女性タレントの脳は、いくつもの「急転」に翻弄される。
 そこで、決め手となる命令が繰り出される。
 自分で決めればよい、というわけである。
 それまで数回におよぶ困難な「急転」を矢継ぎ早に処理しなければならなかった脳にとって、この命令は、オアシスのように心地よい。

 そうだ、右往左往することはないのだ。「占い師」の言うように、自分の意志は、自分のものなのだ。

 そう言ってくれた「占い師」に、女性タレントは、無意識に安らぎを感じただろう。
 つまり、女性タレントの心に、「占い師」と、彼女の信じる神を同時に信じる空間が生まれたわけである。
 そして、女性タレントの脳は、問題解決のためにもっともふさわしい、と思える方途を選択する。
 神の意志を押し付けることなく、人生の決定権のすべてを自分にゆだねてくれたこの「占い師」の言うとおり、肉を食べつづける人生こそ、「自分が決めた人生だ」という結論である。
 言うまでもなく、そう誘導され、思い込まされてしまったのだが、本人が、思い込まされた、と思っていないのだから、気づくはずもない。

 人間の脳には、反証つまり、入ってきた情報の中からまちがっている箇所を見つけ出す機能がある。
 その反証機能を連続急転する情報の群れによってわざと停止させ、最後の一言で、あたかもすべてを自分で決めたように信じ込ませてしまう。

 人生は、たしかに自分自身にしか決定権がない。

 しかし、それを教えるのならば、女性タレントの脳の反証機能をゆっくり、正確に動かし、判断させる時間が必要なはずなのだ。
 それをさせず、脳を、心を操ろうとする行為は、マインド・コントロールと指摘されても仕方がないだろう。

 女性タレントに向けて、多くの著名人がメッセージを投げかける。

 だまされるな、業界に帰ってこい、裁判で負けろ、外に出て、人々の声を聴け・・・などなどである。
 が、これらの呼びかけは、残念ながら、女性タレントの心には響かないはずだ。
 なぜなら、彼女は、行動のすべてを自分自身で判断したつもりになっているからだ。

 マインド・コントロールがカウンセリング技術の悪用ならば、それを解除するには、すぐれたカウンセラーの力が必要だろう。
 報道が真実だとすれば、肉食への極端な偏食は、身体によいわけがないからだ。
 その女性タレントに、ナチュラルな「きれい」をとりもどし、軽快な司会術と愉快なコントを、ぼくたちがもう一度観るためには、「正しいカウンセリングの力」が必要だ。



↓↓↓ カウンセリング・心理学を学んでみたい方は、こちら ↓↓↓

長バナー 
 
AD