ミュージシャン | 元祖!ジェイク鈴木回想録

元祖!ジェイク鈴木回想録

私の記憶や記録とともに〝あの頃〟にレイドバックしてみませんか?

 
 

 かつて・・、ほぼ世界的と云ってもいいエリック・クラプトン研究の大家に、「鈴木さんは何かと唱法とか、奏法とか、或いは機材とか録音状態とか、屁理屈ばっかり捏ねるけど、クラプトンのファンって、そういう理屈抜きに、クラプトンその人そのものを信望している人が多いんですよ」と、指摘された事がある。

 なるほどな・・、確かに私の場合は、かなり異なる。

 ミュージシャン自身には関心がナイ・・、等と断言してしまえば身も蓋もないが、興味は作品そのものにあり、ミュージシャンたあ、そのムコウに実在していたり、或いは既に実在していなかったりするだけだ。
エリック・クラプトン然り、故ジョン・レノン然り、LED ZEPPELIN然り、ジーン・シモンズ然り、或いは故忌野 清志郎に至っても。

 だから、彼らは死なないし、死なないから解散もしない。
彼らは彼らが遺した作品の中で、今も活き活きと〝存在〟し続け、私自身の寿命っちゅう期限付きではあるものの、既に永遠の生命を保っている。

 今、流行りの使い捨てミュージシャン達を、その商品価値を高めたい都合から、滅多矢鱈に〝アーティスト〟等と呼ぶ風潮には殊更、遺憾に感じている。
アーティストたあ芸術家なワケで、芸術たあ永遠なワケで、使い捨てが永遠になる理屈がよく解らん。
THE BEATLESでさえ、聴いていた世代が1人残らず死滅しても尚、存在し続けられるのか否か、まったく分からないのにな。

 ベートーベンやシューベルト、或いはダ・ヴィンチやミケ・ランジェロといった人達には、既に長い間、感動が引き継がれてきたっちゅう歴史的な事実がある。
永遠なんちゅう結果は未だ出ていない・・、否、永遠に出やしないものの、永遠に遺りそうな可能性位は多少なりとも認められるんでね?

 冒頭に戻ると・・、私が何故、唱法とか、奏法とか、或いは機材とか録音状態とか、屁理屈ばっかし捏ねるのか?
 それが主観ではなく、事実だからだ。

 それもまた、う~んとかつて・・、LED ZEPPELINを聴き始める数年前に、ほぼ全国的と云ってもいいLED ZEPPELIN啓蒙の大家、渋谷 陽一氏が私の地元、横須賀にも講演に来られたが、行かなかった。
音楽なんざ、人様に云われて選ぶもんじゃねーと、その頃から思っていたんで、人様にダセーと思われようが何だろうが、自分で聴いて楽しいものを自分で選んできたつもりである。
 LED ZEPPELINも無論、その1つ。

 但し、その選択の参考程度に、音楽雑誌だとか音楽評論家なんちゅう存在も無論、ある事にはあるんだろうけど、記されている事実以外は意味なくね?

 某音楽雑誌はIbanezeという楽器ブランドに、掲載料金がもっとも高い表4(:要するに裏表紙)に、毎月のように広告を出稿してもらいたいが故に、同ブランドとエンドースメント契約をしていたスティーヴ・ヴァイのインタビュー記事を、ほぼ毎月のように掲載していた事がある。
創作者であり演奏者でもある本人が語っているのだから、それもまた事実であり、また難解な楽曲の解説として、ちと変わった音楽の楽しみ方も味わえたものの、果たしてそれがフェアーだったのか否か?

 民主主義に依る業界なんだよな・・、少なくてもタテマエ上は。

 即ち、より沢山の人達に選ばれたミュージシャンが勝つ。
もっとも、そこには議会制民主政治に於ける選挙制度同様・・、否、ンなもんとは較べものにならん不公平も介在していて、云ってしまえば商業戦略の勝利者が勝ち、と云ってしまっても過言ではない。

 例えば、ライヴハウスですげーいい音楽を演ってるんだけど、たまたまレコード会社のお眼鏡に適っていないだけのミュージシャンの作品と、親が音楽事務所に多額のレッスン料を注ぎ込んだ見返りとして、TV出演が約束されているミュージシャン(とやら)の作品では、果たして選ばれる機会が均等なのか否か?
音楽ファン1人1人が、公平に判断出来る叩き台そのものが、残念ながら未だ実現していないのが、その民主主義とやらの現状なのである。

 かつ資本主義でもある・・、しかも、徹底的な。

 デビュー前のZIGGYのデモ・テープを今でも持っている。
和製AEROSMITHとでも呼ぶべき、凄まじく格好いいバンドなんだけど、永チャンの言葉をそのままお借りすれば、「マーケットが未だ追い付いていないのよね、このニホンじゃ」。
それ故に、それをそのまま売っていたら、たぶん100人中2人位にしか選ばれん。
 だからこそ格好いい!っちゅう屁理屈も当然、成り立つんだけどな。

 その2人を出来れば5人に、10人に、15人に増えるように稼働して、それなりの利潤を上げて、法人税を納めて存続していくのが、レコード会社や音楽事務所に課せられている、ごくごく当たり前で純粋な社会的使命であり、また存在意義でもあるワケで。
 解ったかい?(笑)

 けどな・・、それらをいつか、全部ひっくり返してやるのが夢のまた夢。


※文中、一部敬称略