池上彰が聞いてわかった生命のしくみ 東工大で生命科学を学ぶ 1,620円 Amazon |
池上彰の本、めっちゃ好きなんです
この人の出してる本さえ読んどけば、一定の水準の社会で求められる知識は一通り身につくのではないかと信じて疑わない、池上信者です
僕なんか、高校で世界史しか勉強してないので、日本史の現代史を読むときや、本書のように理系分野を優しく解説してくれてる本を読むときとかは、結構楽しかったりするんです。
特にこの本は、僕たち文系人間のためを思って作ったのか、かなり簡単な内容だけで構成されていました
僕でも1回で理解できたので、もしかしたら理系の方たちには物足りないかも
印象的なのは、遺伝子組み換え食品とか食べても意味ないよ、ってところと(ある程度のプラシーボ効果はあるのかもしれませんが)、人類は進化してきたのではなく、「変化」を重ねて今の僕たちがいる、という部分でした。
確かにまだまだ僕らの想像を絶するような出来事がこれからも起きるはずだし、現状に甘んじていては駄目だと思いました
明日の自分は少しでも「変化」しているのだろうか
常に自問自答しながら、日々を過ごしていきたい
とりあえずジムに行って、1,000mほど泳いできます
以下抜粋
すべての生命は細胞からできている
細胞の3つの定義 「境界・自己増殖・代謝」
「合成生物学」
DNAを全部化学合成で作って、それを細胞の中に入れて自己増殖させること
「細胞内共生」
ミトコンドリアや葉緑体のように、別の細胞に入り込んで棲みつくことがお互いの利益になる現象
動物はエサを食べないとエネルギーを獲得できませんが、植物は光合成を行うことでエネルギーを自ら作り出せるという違いがあります
遺伝子やゲノムは生命の中の情報であり、DNAと染色体は物質である、さらに、遺伝子をまとめたものがゲノム、DNAの集まったものが染色体
DNAの塩基の並び方には、人それぞれにほんの少しだけの違い、つまり個人差があります
DNAが増えすぎたものが一種のがん細胞になるのです。核が2個以上できたり、染色体の数が増えたりするということがあります
ES細胞
受精卵がある程度、細胞分裂したときに採取された細胞
胎盤にはなれませんが、それ以外の種類の細胞に変化できます
iPS細胞
皮膚や白血球など、すでに特定の細胞に変化してしまったものを、変化前の状態に戻した細胞
代謝
細胞が増えたり活動をしたりするときに、細胞の中で起きるいろいろな化学反応や物質のやりとりを一括りにしたもの
タンパク質は、細胞が生きていくための機能、さらにいえば生命現象のすべてを司っている
タンパク質を分解するのも消化酵素というタンパク質だし、自分に必要なエネルギーやDNAを合成するのもタンパク質
コエンザイム
日本語で「補酵素」と訳されているもの
タンパク質ではないのですが、酵素を助ける、潤滑油のようなもの
アミノ酸はタンパク質のパーツであり、それを細胞内で都合よく組み合わせている
コラーゲンを食べても、コラーゲンを含めたすべてのタンパク質のパーツとして使われる、というのが正しい考え方
食べたものは、遺伝子組換え食品であろうがなかろうが、生体内では区別されずに分解されます
自分で作れないものを必須アミノ酸と呼んでいます。ヒトでは20種類のアミノ酸中9種類が必須アミノ酸となります
「セントラルドグマ」
DNAから「RNA」という分子に情報がわたり、RNAからタンパク質が作られるという流れ
リボソームでタンパク質を作るのはどの生命にも共通だけども、リボソームの構造には少しだけ違いがある
コドン
一つのアミノ酸を指定する3つのRNA塩基の並び(配列)のこと
どの生物も暗号表が同じ
すべての生物の祖先は共通であるという考えの元
DNA内の遺伝子が見つからない部分でも、実はRNAまで転写されているところが多くある
アルツハイマー病、パーキンソン病も、異常な形のタンパク質が病気に深く関わっています
対外と体内という2つのルートからアミノ酸を調達している
「オートファジー」
タンパク質は、いったん膜に包まれてリソソームに運ばれ、リソソーム内で分解されます
ユビキチン・プロテアソーム系はタンパク質だけを分解するしくみですが、オートファジーは細胞内のさまざまなものを分解できます
細胞社会も人間社会も、循環というしくみをもっていないと社会として維持できない
個体の一部の細胞のしくみが破綻すると、最終的には個体の死につながって遺伝情報を残せなくなる
全体として数十兆個という数は変わらないけれども、細胞一つひとつはリニューアルされている
細胞の中のタンパク質もどんどん壊され、新しく作られています。それができなくなったときに、個体としての死を迎えてしまいます
水晶体には「クリスタリン」というタンパク質があるのですが、クリスタリンは作り替えられることがなく、一生同じものを使い続けます
「アポトーシス」
細胞が不要になったときに、自分で死ぬためのしくみを備えていて、結果として全体が制御されている
細胞の3つの定義の一つである「代謝」ができなくなるということ
物質の取り込みも排出もできなくなった状態が、細胞の死である
もう一つの細胞の定義である「境界」がなくなっても、細胞の死
もし不老不死が実現していたら、そこで生命のダイナミックな動きは止まってしまう
アルコールが分解される途中で出てくる分子で、悪酔いのもととなるもの
アセトアルデヒドを素早く処理できるかが、お酒に強いかどうかを決めています
DNAの複製エラーが小さな差を作り、そしてレトロトランスポゾン、染色体の組換えが大きな変化を引き起こす
ゲノムの無駄なところが、実は多様性を作るのに重要であった
多様なものの中からたまたま生き残ったというしくみを考えると、進化は「変化」に過ぎないのです。変化したもののうち、たまたま環境に適応したものが生き残ったというだけなのです