公務員試験応援ブログ by 喜治塾・五十嵐

公務員試験合格を目指して頑張っているすべての方が、やる気を最後まで維持できるよう、応援します。公務員試験に役立つ有益な情報も、随時公開します。


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教養の大切さをいつも塾生さんに語っているところですが、
残念ながら年々、教養が軽視される風潮が広がっているように思います。
企業も学生も目先の競争に追われ、実学的なスキルのみ追求しがちだからです。

しかし、先の読めない世の中だからこそ、教養力が底力として求められています。

そんな中、日経ビジネスアソシエで教養の大特集が組まれました。

塾OBのOさんが知らせてくれたのでさっそく購入しました。


なかなか力の入った特集です。

会社経営者などビジネスパーソン1000人の調査を元に分析した、

100科目必要度ランキングを掲載しています。

1位日本史、2位経済学、3位日本文化、4位世界史、5位現代文学…というような感じで、

各々の分野の全体像や勉強の仕方、古典的必読書などをビジュアルに紹介しています。


公務員試験でもおなじみの学者や著作も豊富に紹介されているので、試験にも役立つでしょう。


興味を持った方はぜひ読んでください。店頭では品切れも出ているようです。

日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 02月号 [雑誌]/著者不明
¥680
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受験生の皆さんに大変役立つ本を最近読んだので紹介します。

スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マクゴニガル
¥1,680
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中表紙にこう書かれています。


誘惑や依存症に苦しんだり

物事を先延ばしにしたり

やる気が出なかったりして

困った経験のある方々

-つまり、すべての人-

に本書を捧げます。



もう試験の直前期に入っているのに、

このままではいけないと知りつつも、

ついテレビやネットに何時間も費やして自己嫌悪に陥っている人、

嫌いな科目や面倒くさい科目を先延ばしにしている人、

「民間でいいや」「来年もあるさ」「もうどうにでもなれ」と投げ出したくなっている人、

はいませんか?


こういう場合に「自分は意志薄弱だ」とか「精神力が足りない」などと

自分を責めても何の解決にもなりません。


試験の直前でストレスが高まるこの時期だからこそ、

脳の戦略として誘惑や依存、逃避というパターンを辿りやすいという客観的事実

これは決して「あなただけの」精神の弱さではありません)を踏まえ、

自分の脳と闘っていく実践的な方法を心理学の見地から論じた本です。


なぜ分かっているのにやめられないのか、分かっているのにできないのか。

最新の大脳生理学の理論を元に原因を分析できれば有効な対策が打てるでしょう。


読むのになかなか時間のかかる本ですが、どうしてもやる気の足りない人は一読をお勧めします。

この本に示されているノウハウは、今後、ブログや講義の中で紹介していきます。



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入社1年目の教科書/岩瀬 大輔
¥1,500
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今やビジネス界のニューリーダーとして引っ張りだこの岩瀬氏。

実は以前勤めていた会社で2年ほど一緒に仕事をしていたことがあります。

岩瀬さんは東大在学中で司法試験に合格したばかりでした。当時からだれとでも気さくに付き合う方だったので、家に遊びに来て温泉までドライブに行ったこともあります。

当時から「ほんとうに優秀な人とはこういうものなのか」と感じていたので、いまの成功は至極当然のことと思えます。


さて、この本を紹介しようと思ったのは、就職1年目の悩み多き人はもとより、既に働いて何年もたっている方、また大学生にもぜひ一読してほしい本だからです。この本に書いてあることを認識してスタートを切るかどうかで、以後のキャリアに差がつく可能性があります。



開成中高→東大法学部→ハーバードビジネススクールという学歴や、国際的なビジネスキャリアの面からも参考にならないと思いきやそうではないのです。

書いてある内容は、入社1年目の印象でその人の評価が決まるから、朝はだれよりも大きな声であいさつし、メールは24時間以内に返事を出す…など、ごく当たり前のことが中心。宴会芸は死ぬ気でやれ…など、エリートらしからぬ泥臭いところもありました。それが逆にショックでした。


何か取り立てて成功者になるための秘伝があるわけではない。

「当り前のことを当たり前にできること」が成功の条件であるということです。


岩瀬さんから聞いたこんな話を覚えています。

司法試験の合格者たちがアメリカのロースクールの学生と討論するために渡米した時のこと。皆が寝静まった深夜の飛行機で、翌日の討論に備えて英語を勉強していたのは土井香苗さん(岩瀬さんの同級生でエリトリア共和国憲法の起草に携わるなど当時から有名)だけだったそうです。参加メンバーの中で英語に堪能なのは岩瀬さんと土井さんだけ。英語のできない人が寝ていて、できる人が必死に頑張っている。実力の差がどんどん開くのは、頭の良さではなくてこういうカラクリのせいだというのです。


この本に書いてあることは、やる気になればだれでもできることばかりです。

しかし、頭でそう分かっているのに、ほんとうに全部できる人が何人いるのか。

おそらく1%もいないでしょう。わたしもできませんでした。


若い皆さんにはまだまだチャンスがあるから、ぜひこの本を読んでください。

岩瀬氏が身を置いた一流の仕事現場の実例が豊富で説得力があります。

ビジネス界が舞台になっていますが仕事の基本は公務員でも同じです。


岩瀬さんは「すっきりした笑顔」がとても魅力的な方です。

おそらく頭の中も常にクリアで邪念がないのでしょう。

こういう人が世界から愛されます。



当り前のことを当たり前にする。


さて、自分はいま、何をなすべきなのでしょうか。




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タオ―老子 (ちくま文庫)/加島 祥造
¥672
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失敗を恐れ、こころが追い詰められている多くの受験生へ。

コチコチになった心をほぐすような本を紹介します。


高校時代、倫理の時間に老子の思想を習いました。

タオ(道)に従い、無為自然の時を過ごせば、だれでも幸せになれるという努力放棄の教え。

「孔子と反対の怠け者の思想だ。じゃあ東大に行くような学生が愛読するのは孔子か?老子か?」

と先生は質問し手を挙げさせました。大方の予想を裏切り、答えは老子。

努力家ほどもう一つの世界への憧れを持って精神のバランスをとっているのでしょうか。


この本は2500年前の中国の古典『老子』を現代によみがえらせた自由訳。

原文は非常に難解だけれど、思い切った意訳でその精神を伝えています。


「タオ(道)」というのは分かりにくいかもしれませんが、キリスト教なら「神」、仏教なら「ダンマ(法)」と置き換えてもよい。要は宇宙全体を支配する無限のエナジーのようなものです。



以下は抜粋です。




「たかの知れた社会なんだ」


ぼくらはひとに

褒められたり貶められたりして、

びくびくしながら生きている。

自分がひとにどう見られるか

いつも気にしている。しかしね

そういう自分というのは

本当の自分じゃあなくて、

社会にかかわっている自分なんだ。


もうひとつ

天と地のむこうの道(タオ)に

つながる自分がある。


そういう自分にもどれば

人に嘲られたって褒められたって

ふふんという顔ができる。

社会から蹴落とされるのは

怖いかもしれないけれど、

タオから見れば

社会だって変わってゆく。だから

大きなタオの働きを少しでも感じれば

くよくよしなくなるんだ。

たかの知れた自分だけれど

社会だって、

たかの知れた社会なんだ。


もっと大きなタオのライフに

つながっている自分こそ大切なんだ。

そのほうの自分を愛するようになれば

世間からちょっとパンチをくらったって

平気になるのさ。だって

タオに愛されている自分は

世間を気にしてびくつく自分とは

別の自分なんだからね。


社会の駒のひとつである自分は

いつもあちこち突き飛ばされて

前のめりに走ってるけれど、

そんな自分とは

違う自分がいると知ってほしいんだ。

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良質な本は「魂の栄養」

きょうはそんな本の中からとっておきの1冊を紹介します。



悩む力/斉藤 道雄

¥1,890
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この本、ほんとうに泣けてくるんですよね。

舞台は北海道浦河町にある精神障害者の共同住宅「べてるの家」。

社会から排除されてきた精神病者たちが、

「3度のメシよりミーティング」を合言葉に、

他者とつながるための言葉を探ってゆくドキュメンタリー。


彼らは対話を通して自己をさらけ出し、

傾聴しあうことで問題を解決しようと努めます。

やがて「安心してさぼっていい」「だれも排除しない」会社をつくり自活して行く。

お互いの弱さを認め合うところから生まれる絆がこんなにもしなやかで強いものであることに驚かされます。


この本を読むと最初は不遇な人たちに同情する気持ちになる。

しかし読み進めるうちに笑いが止まらくなる。

ほんとうの絆とは?真のコミュニケーションとは?

次々と既成概念が崩れ、逆に自分の方こそ同情に値する存在だと気付かされる。

この心の中で起きる逆転体験がこの本の鮮やかなところです。


「どんなに絶望したって、安心して生きていればいいんだよ。」

ほろ苦く、それでいて温かく包みこまれるような読後感がお勧めの本。

「癒されたい」人向き。



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まず、試しに以下の項目をチェックしてみてください。

 

□年収が年齢の10倍未満だ

□その日その日を気楽に生きたいと思う

□自分らしく生きるのがよいと思う

□好きなことだけして生きたい

□面倒くさがり、だらしない、出不精

□一人でいるのが好きだ

□地味で目立たない性格だ

□ファッションは自分流である

□食べることが面倒くさいと思うことがある

□お菓子やファーストフードをよく食べる

□一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある

□未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上の方)

 

今年9月に出版されて以来、話題を呼んでいる、

『下流社会』のはしがきから抜粋しました。

筆者によると、半分以上あてはまるものがあれば、

「あなたはかなり『下流的』である」そうです。

                  

この本は、先に紹介した『希望格差社会』の現実を、

さらに日常の生活意識のレベルまで敷衍して分析した内容です。

日本社会において階層格差が拡大し、二極化へ向かう中、これまでの中流が転落し、下流社会を形成しつつあるといいます。

筆者は学者ではなく、在野の研究者なため、内容はかなり主観的で、その分思い切った論を展開しています。

その内容の一端を紹介しましょう。

                  

まず、下流とは、単に所得の低さを意味するのではなく、

コミュニケーション能力や、人生に対する意欲の低さを意味し、その結果所得が上がらず、「自分らしさ」という殻の中に閉じこもって、だらだらと成り行き任せに生きる人のことだと定義しています。

 

下流化する若者の特徴は、統計上、

男の場合はオタク系引きこもり型となり、

女の場合はラテン系歌って踊る型になるのだそうです。

 

消費生活の点では、下流はお菓子やファーストフードをよく食べる、郊外の安穏とした「村」に定住しすべての用事を済ませる、などと指摘しています。

さらに、下流の若者ほど勉強をしていないのに自己全能感が強いとか、

階層格差が広がったために自由恋愛が成り立ちにくくなっているとも言います。

                  ◆

ニートや少子化の分析など、なるほどと思わせる視点が随所にあり、公務員試験の論文にも役立つ内容です。

意識調査のデータから、想像以上にこれまでの社会が変質していることが分かり、改めて驚異を覚えます。

 

しかし、全体を通して、筆者の姿勢に対する疑問も抱きました。

というのも、消費社会論に重点を置いているためでしょうが、

あまりにも労働と消費による生活向上を至上視しすぎていると思います。

また、上流や下流というステレオタイプの言葉で安易なレッテルを貼ることにより、画一化された価値観を読者に押しつけているのではないか、と感じました。

バブルの頃にはやった「マル金、マルビ」と大差ないと思われる記述が、あちこちにありました。

一言で言うと、えげつないのです。

                  

社会学では「階層」という概念を重視しますが、

一個人としての人生全体を考えたとき、

そもそもそれほど重視するに値することなのか、

疑問を感じます。

もちろん、多くの人が気にすることだからこそ関心を呼ぶのでしょうが、

古今東西の哲学・宗教・芸術の営みと比較したとき、

近視眼的な視野の狭さを感じます。

 

もちろん、すべての社会学がこうしたレベルというのではありません。中には、狭い視野を切り開いてくれるような素晴らしい本もあります。

 

現実の社会環境の厳しさを直視することはもちろん大切ですが、それに振り回されて、社会の要求する型に合わせるような強迫的な生き方しかできないのでは、淋しい感じがします。

今はやりの「ドラゴン桜」も、結局は旧来の価値観の焼き直しに過ぎないように思えます。

 

そこでやはり、難しい時代だからこそ、

現代社会の現象面をとらえた本だけでなく、

優れた古典や文学作品を読むことが大切だと思いました。

 

三浦 展
下流社会 新たな階層集団の出現
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もうすぐ政治学の講義が始まります。

私の大学時代の専攻分野です。

政治学は歴史・哲学と深く関わります。

その理解に役立つ本が、藤原先生(故人)の著作です。


藤原先生の「西洋政治思想史」は、大学時代に受けた講義の中で、

もっとも素晴らしいものでした。

「自由」と「民主」という、西洋ですら長い間異端視されていた思想が、

どのような経緯で支配力を獲得し、やがて自己目的化して、

政治と社会から倫理を失わせるに至ったのか、

ダイナミックに論じる骨太な講義でした。


もう20年近く前のことですが、バブルの最中で、

「自由」や「民主」について反省する風潮は、

まったくありませんでした。(アメリカではすでにあったのですが)

先生の思想と著作は今でこそ、ますます重要性を増しています。


自由を乗り越えるものとして、相互依存的な人間関係を基礎とした、

共通善(倫理)や共同体、コミュニケーションの重要性を指摘しています。

こうしたコミュニタリアニズムの方向性を「理想論」と言って批判する人たちが居ますが、

間違えていると思います。


そもそも人間にとって「理想」が必要なのは、

それだけ理想から遠い「悪」を根源的に背負っているからです。

「自由」と「民主」で事たれりとする人たちこそ、

人間の根源的に抱える「悪」について無自覚な人たちです。

共通善の実現という「理想」を捨てた政治は、自ずと悪に傾きます。


では、政治が共通善を獲得することは可能なのでしょうか?

これは政治思想の限界に関わる問題です。

藤原先生はこの点につき明確に述べていません。


ですが、政治システムを変革しても、

人間の本性を変えることはできないと指摘しています。

マルクスの誤りもそこにあったと。

私は政治の限界に気づき、

では人間を変えるにはどうすればよいのかと、

文学書や宗教書ばかり読んでいました。


その結果、ドストエフスキーとチベット仏教に行き着いたのですが、

あんまり私の趣向に走って、公務員試験から外れても良くないので、

また別の機会にします。



藤原 保信
自由主義の再検討
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甘粕事件は、日本史を勉強した人なら、誰でも強く印象に残っている事件だと思います。

甘粕正彦憲兵大尉(32)が、関東大震災直後のどさくさに紛れて、無政府主義者・大杉栄(38)と、

その妻・伊藤野枝(28)、さらに甥の橘宗一(6)を惨殺し、古井戸に投げ込んだ事件です。


単なる狂信的な国家主義者の暴発事件と片付けられない、

時代と人間をめぐるドラマが、この事件の背景にはあります。

被害者・大杉と加害者・甘粕は、あらゆる意味で対照的な人物でした。


大杉は軍人だった父の影響で、軍人を志し、陸軍幼年学校に入学します。

しかし、厳格な規則や上下関係になじめず、問題ばかり起こし、退学させられています。

その後、東京外語学校(現・外語大)仏語科で学び、天才的な語学の才能を発揮し、

幸徳秋水(大逆事件で処刑)に可愛がられました。


大杉は日本史上もっとも過激な左翼思想家で、天皇も国家も認めず、全ての権威を否定しました。

「自由かつ独立した、完全に無制約な個人」の革命を、私生活上でも実践し、

数々のスキャンダルで世間を賑わわせ、若い世代のカリスマになります。


大杉と妻の名が違うのは、完全に対等な男女関係を目指し、男女別姓を実行していたからです。

しかも大杉には3人の妻が居ました。次々と生まれる子供たちには、

魔子、エマ、ルイズ、ネストルといった、常識はずれの名前を付けました。


「反逆と破壊の中に至上の美を見出す」というのが、彼の信条です。


長身でダンディーな大杉は女性からはもてたのですが、

男からは社会主義者の仲間内ですら、嫌われ者でした。

わがままで強情、まともに働かないから借金だらけで生活は乱れ、

周りにさんざん迷惑をかけているのに、自分以外のすべての者を、

馬鹿にしてあざけっていたからです。


大杉栄

大杉栄


これに対して甘粕は、地味でまじめな青年でした。

仙台藩士だった父から「忠君愛国」の思想を叩き込まれ、

日露戦争があった少年時代、皇国のために戦って死に、

靖国に祀られることを人生の目標と定めました。


背が低く、女性と無縁で、外国語が大の苦手でしたが、

律儀で几帳面だったため、陸軍幼年学校、士官学校とも模範生として卒業し、

東条英機(極東軍事裁判で処刑)から将来を嘱望されました。


甘粕を知る人は、口々に彼のことを、

「男が惚れる、男の中の男」、「私利私欲の全くない、国家のことだけを考えた男」、

「冷静で実行力に富み、友情に厚い、誰よりも頼りがいのある男」と、ほめたたえています。

天皇・祖国に対する崇拝と自己犠牲の念は、終生変わらなかったと言います。


大正末期は、自由と束縛の拮抗した、日本思想史上もっとも左右の振幅の激しかった時代です。

そうした空気の中、思想の上でも性格の上でも、これ以上隔たりのある人間は居ないような、

両極端な人物が出現したのです。


甘粕正彦

甘粕正彦


一般には甘粕は、憂国の士として、

「大杉のような男を生かしておいては国家の害毒になる」と確信し、

独断で殺害を決行したとされています。


ところが、事件発覚後、軍事法廷が甘粕に下した判決は、たった10年の懲役刑でした。

しかも3年足らずで出獄し、軍の費用でフランスに留学した後、中国に入り、

満州国建国の黒幕として、工作活動に暗躍しました。


角田房子さんの『甘粕大尉』によると、

どうやら大杉殺害の真相は、軍上層部の命令によるものであったのに、

甘粕が「すべては自分の独断でやったこと」と、罪を一身に被ったようなのです。


甘粕は終戦直後、満州で自決しています。


大ばくち 元も子もなく すってんてん (辞世の句)


大杉事件の真相は最後まで誰にも明かしませんでした。

こう考えると、甘粕という人物は、俗に言われるような悪魔でも怪物でもなく、

大杉と同じ、国家の犠牲者、天皇制の犠牲者だったと思います。

大杉にせよ、甘粕にせよ、純粋すぎたばかりに、時代の「観念」の虜となり、

空虚な生を送り、無念の死を迎えたのだと思います。


私たちが覚えておきたいのは、人間が作り出す『観念』の恐ろしさです。

「国家」も「天皇」も、いや「自由」すらも、この観念から生まれます。

観念の暴走から逃れるには、どうすればよいのでしょうか。

私は、『自然』に立ち返ることしかないと思います。

自然を忘れた人間と文明は、滅びます。


角田 房子
甘粕大尉
殺人犯でありながら、天皇からもらったこの勲章の多さ!
名誉などというものはつくづく「虚」であると思い知らされます。
大杉 栄
大杉栄自叙伝
人間的にはやはりこちらの方に惹かれます。
大島渚の代表作「エロス+虐殺」に描かれています。

松竹
ラストエンペラー

甘粕と関東軍にさんざん利用された、皇帝溥儀の一生を描いた作品です。

坂本龍一が怪物・甘粕役を演じています(あまりうまくはありませんが)。

甘粕は荒俣宏の『帝都物語』にも登場します。



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「金が人生なのじゃ。お金さえあれば何でもできる。」
「金で何でも買えるんだ、自分の娘でも!」

成金の小麦粉商人ゴリオは、娘を溺愛するあまり、全財産を注ぎ込むが、やがて裏切られ、破滅する。

19世紀のパリを舞台に、虚栄と欲望の渦巻く市民社会の諸相を描く「人間喜劇」の最高傑作です。


ゴリオの壮絶な父性愛に共感する主人公の青年ラスティニャックは、

ゴリオとともに貧乏下宿に暮らしつつ、華やかな社交界にもデビューします。

その対照的な舞台設定の鮮やかさが見事です。

貧民窟に吹きだまっている、社会や人生に絶望した人々が、

それでもなお欲望の赴くままに生きようとする潔さは、崇高ですらあります。


生きていくためには何でもしなければならない。それは決して恥ずかしいことではない、

という作者の力強いメッセージが伝わってきます。


同じ貧民窟を舞台にした「居酒屋」(ゾラ)や「どん底」(ゴーリキー)が、

救いようのない絶望感に覆われているのとは違い、

妙に爽やかな読後感をもたらします。


「愛すらも金で買える」を裏返すと、

「愛とはいえ金で売れる」になります。

それはもはや愛ではなく、義理や打算の世界でしょう。

義理が物事の筋道を計算した上で出てくるのに対し、

愛は自然な感情のほとばしりです。


「誤ったものに価値をおくと、人生に幻滅する」

単純な命題ですが、

優れた文学作品ほど、単純な命題が明確な論理に貫かれているのです。



著者: バルザック, 平岡 篤頼
タイトル: ゴリオ爺さん
(クリックすればAmazonで買えます)

 このブログでは、19世紀のフランス、ロシア文学を今後も紹介していきます。

 当時のヨーロッパの爛熟した市民社会を席捲した、個人主義や資本主義、拝金主義が、

 どのように人間や社会を引き裂いていくのか、を考えるよすがになるからです。

 文学を通して、社会や人間に対する洞察力を磨きましょう。

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さて、きょうはまずこの記事からです。http://www.zakzak.co.jp/top/2005_05/t2005051625.html

100億円の年収のあったサラリーマンがいたそうです。

仕事の内容は何かというと、企業から預かったお金で株を運用して大もうけしたわけです。

株の売買は新たな価値を生む仕事ではないですから、

大もうけした人の裏には、大損した人も必ずいるのです。


このニュースを読むと、日本もいよいよアメリカ並みに業績主義が台頭してきたな、

これからますます収入格差が広がるな、と言うことが実感できます。


考えても見てください。100億円稼ぐ人がいる一方で、

100万円の借金を返せずに自殺する人だっているのです。

これって、不平等じゃないでしょうか。

社会の矛盾じゃないでしょうか。


そう思うと、すぐにそれを否定する考えも浮かびます。

金持ちになるのは努力したおかげだし、

貧乏になるのは怠けた本人の責任だと。

少なくとも機会は平等に開かれていて、

自分の努力次第で、いい大学を出れば、だれでも金持ちになる可能性はある、と。


実はこの考え方、いわゆる「自己責任論」は、「近代」という平等な社会が始まって以来、

何万遍も唱えられてきた呪文なのです。

資本主義を促進したカルバン派や、アメリカ建国者たちの教えです。


たけしのお母さんも言いました。「貧乏に付ける薬は勉強しかない」と。

これはひとつの卓見かもしれません。

実際、そうやって成功した人が大勢いて、伝記が書かれたり、ドラマになったりして、

それを見るたび、その他大勢の庶民は自分のふがいなさを嘆きます。

金持ちになれないのは自分のせいだとあきらめ、その確信が社会に広まることによって、

資本主義=自由主義社会は安定し続けてきたのです。


たしかに、最低限家族で暮らしていける収入、たとえば年収400万あれば、

せいぜいぼやき程度で済むでしょう。

しかし、それさえも得られないとしたら…

絶望する人が出てきてもおかしくないでしょう。

なぜなら、「貧乏は本人のせい」という洗脳のおかげで、

社会のシステムに疑問を抱かず、全部自分のせいだと思いこんでしまう。

そうすると、自分はこの社会で生存に値しないと絶望するのです。


事実、そういう世の中になりつつあります。

ここ数年、自殺者は増える一方で、

国民の意識調査が行われるたび、将来に対する悲観的な考えが、

中高年層でも、若い世代でも、子供たちにさえも広がっています。


どうしてこんな世の中になってしまったのか、

これには何か処方箋はないのか。

答えはありませんが、考える資料として使える本があります。


著者: 山田 昌弘
タイトル: 希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

(上をクリックすればAmazonから購入できます)


是非この本をよむことをお薦めします。

これからの社会の想像以上の厳しさを知り、公務員試験のモチベーションが一層高まるでしょう。


そしてこの本は、教養論文に非常に役立ちます。

近年、テーマとして良く出題されるのが「業績主義」です。

「ニート」や「フリーター」も出題のヤマですが、

この本を読めば一段と理解が深まるはずです。

また、社会学の教材としても有益です。

(ただし内容的には学問的というより、良かれ悪しかれジャーナリズム的です。)


それだけではありません。

公務員を志す皆さんは、おそらく直感的に、

現在の資本主義社会の仕組みに大なり小なり違和感や疑問を感じているでしょう。

それをはっきりさせて欲しいのです。

そうした認識から、新しい時代が生まれ、歴史が動いていくのですから。


この本は暗い結末で終わっていますが、

絶望する必要はありません。

答えを見つけ出していくのは、皆さん自身です。


つづく








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