「明日の記憶」 (日、2006年) | 無節操ニンゲンのきまま生活

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明日の記憶  【明日の記憶公式HP】

(C) 2006「明日の記憶」製作委員会



夫婦で行ってきました~。

渡辺謙さんが本を出版して、それとともに話題になっていますね。

監督は意外や意外、「トリック」の堤幸彦監督、出演は渡辺謙、樋口可南子、吹石一恵

あ、でも堤監督ってヒロスエの「恋愛寫眞」も監督してるんだよね。

見てないけど、あれも切ないお話だったような・・・。

そっか、こういう映画も撮れるのね~


広告代理店でバリバリ働いていた佐伯(渡辺謙)は

物忘れの激しさやめまい、頭痛、不眠などに悩まされていた。

とうとう得意先との打ち合わせの日にちを忘れてしまい、病院で検査してもらうことに。

最初「うつ病」ではないかとの心配をしていたが、

診断された結果は「若年性アルツハイマー病」だった・・・というお話。


色々考えさせられる映画でした。

テーマがめちゃくちゃ重いので、映画自体も重いのかと思ってたら、

そこは堤監督、コミカルな場面やインパクトのあるキャラを取り入れながら描いている。

だからこそ現実的な感じがしたのかも。

たぶん病気をしている人も、それを見守る人も、

今日は「がんばろう」と前向きになれても、

明日は「やっぱりだめだ・・・」と落ち込むこともあるし、

色々な人やモノに関わりながら、刻一刻と変化していくものだと思うから。

そういう感じがすごく映画に出ていたと思う。


テーマについては切ない、やりきれないの一言。

自分が自分でなくなる恐怖とか、わからない状態で生きていかなくてはならない絶望とか

他人に迷惑をかけて生きていかなくてはならない恥ずかしさとか。

また介護する者の気持ちとか。誰かにぶつけたい思いとか。

次々と思いが溢れてきて、後半は泣きっぱなしでした。

涙腺が弱い私は、なんと映画終了後30分たっても泣いてる始末^-^;;

夫と映画を振り返って話していたので、泣きながら運転してたもん。


でも現実にどうしようもない病気で苦しんでいる人はいっぱいいるわけで。

自分もそうならないとは決して言えない。

そう思うと余計にこみ上げてくるものがありました。

ラストの樋口可南子はすばらしい!!


キャラクターにもすごく配慮してるなーと思った。

楽観的に人生を生きる老人、ちょっとだけ悪意が芽生える店主。

発病した者を社会から切り離そうとする者。なんとか励まそうとしてくれる同僚たち。

まさしく現実の世界を出そうとしてるんだな~と感じました。


またカメラワークも考えられています。

時々無音の場面、切り取られた静止画のような場面が登場するんだけど、

そこがまさしく「発病」した瞬間なんだよね。

私の祖母もアルツハイマーだったけど、あれはすごくムラがある病気だから。

そこもうまく出せていたと思います。


そういえば、医者役がミッチーなんだけど、

ミッチーが言っていた言葉

「人間は最初の十数年を除いて、あとは老いていくだけの生き物なんです」

けっこうぐっさり来ました。

病気じゃない人も、これから目に見えてくる老いや衰えを怖がるんではなくて、

どうやっても向き合っていかなくちゃならない現実なんだよね。


夫婦、家族のあり方、衰えるということ、生きていくことの意味など

さまざまなことを考えさせられる、いい映画でした。


病気の人や老いている人が「世間に迷惑をかけて生きるなんて・・・」と

決して思わないような優しい社会じゃないとだめだなと思った。

大滝秀治老人(彼の歌う歌はサイコーだったよ!)は作品の中で言っています。


「人間生きてりゃいいんだよ、生きてりゃ。」