この物語には1がございます。
全6話ですが、
各20~30秒でお読みいただけます。
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第一話はこちら↓
http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11735799059.html
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【魔法使いと小さな龍2】
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やがて小いさな龍が目を開いた時、
そこに見たのは羊の群れでありました。
そして羊たちも、魔法使いも、
幼い龍を羊とみなして扱いました。
龍は何の疑問なく、
ゆっくりゆっくり育ちました。
けれども魔法がかかっているので、
さほど大きくはなれません。
他の子羊と同じくらいの大きさでした。
羊たちの日常は、毎日毎日おんなじでした。
魔法使いが定めた敷地で、
おいしい草を奪い合い、
暖かい寝床を奪い合い、
こづきあい、グチりあい、ののしり合って暮らします。
メーメーギャーギャー騒ぎをおこし、
四つの季節が巡っても、
羊はなんら変わりません。
毎年、毎年、同じ月日がめぐります。
羊の皮をかぶせられ、
そのまま育った小さな龍は
羊の群れがあざ笑うには、
羊の群れがあざ笑うには、
ちょうど適した者でした。
龍の手足は地面に向いていませんでした。
龍の口は草を食べるのに向いていませんでした。
龍のヒゲは長すぎて、なんとも不格好でありました。
羊の群れは、龍をいじめて暮らしました。
小さな龍は自分がみじめで嫌でした。
何をやっても不器用でした。
魔法使いでさえ、小さな龍をバカにします。
龍の手足は地面に向いていませんでした。
龍の口は草を食べるのに向いていませんでした。
龍のヒゲは長すぎて、なんとも不格好でありました。
羊の群れは、龍をいじめて暮らしました。
小さな龍は自分がみじめで嫌でした。
何をやっても不器用でした。
魔法使いでさえ、小さな龍をバカにします。
「お前はできそこないの、落ちこぼれ」
ニタニタ笑って言いました。
◆
辛く、悲惨な日々でした。
中でもなにより小さな龍が恐れていたのは、
月に一度の夜でした。
月の出ない闇夜の晩がやって来て、
羊たちが黒々と眠りに落ると、
月の出ない闇夜の晩がやって来て、
羊たちが黒々と眠りに落ると、
魔法使いが羊小屋にやって来ます。
そして小さな龍を抱きかかえると、
そして小さな龍を抱きかかえると、