いずみホールのブログ

スタッフのリレー執筆で、ホールでの出来事や、主催公演の詳細&裏話などをお届けします。


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 昨年秋からお贈りしている『シューベルト こころの奥へ』シリーズ(全7公演)が、アンドラーシュ・シフによる最後のピアノ・ソナタ2曲でいよいよ最終回を迎えます。

 シリーズのプログラム解説をお願いしている音楽学者の堀朋平さんに、当公演へといたる道のり=シリーズ全体をふりかえって、文章を寄せていただきました。

 昨夏にはじまったシューベルト・シリーズも、アンドラーシュ・シフによる最後の2つのピアノ・ソナタ(D959、960)で終わりを迎えようとしている。この2曲こそ、私たちのシューベルト巡歴を閉じるにふさわしい。3月公演を聴かれる方々も、そんな思いを強くされるに違いない。

 ふりかえってみると、最晩年の作曲家は、《白鳥の歌》、ミサ曲、弦楽五重奏曲と、ほとんど全ジャンルにわたって新境地を開拓してきた(その集中力には、いつも慄然とさせられる)。亡くなる2か月前に書かれた3つのピアノ・ソナタは、その到達点を指し示すプロジェクトだった。ここでは、短くぶっきらぼうな動機からドラマを築きあげるのではなく、息の長い「歌」を胸に冬の荒野をさすらう音楽が、ソナタのジャンルでも成し遂げられた。こうした風景に、《冬の旅》に通じる最後期シューベルトの秘密が隠れている。

 この「秘密」のテクニカルな側面については当日の曲目解説をご覧いただくとして、その独特で長大な音調は、歴史的にもたいへん大きな意味を持っていた。それは、停滞しがちだったシューマン以降の世代を動かしたからである。死後も新たな春を実らせつづける、シューベルトの冬の風景……ほころぶ城の花の下、そんな想いも馳せつつ公演をたのしみたい。

 

3月17日19時開演

シューベルト こころの奥へ Vol.7 アンドラーシュ・シフ

(チケットは完売しております)

 

※3月14日追記※

演奏家の強い希望により、下記のとおり公演冒頭に曲目が追加となりました。

 

 

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 D894《幻想》 【
         ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959
         ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960
   

終演は21:40の見込みです。

 

 

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