いずみホールのブログ

スタッフのリレー執筆で、ホールでの出来事や、主催公演の詳細&裏話などをお届けします。


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みなさまこんにちは。

いずみホールでは、3年に1度の《大阪室内楽コンクール&フェスタ》が開催中。連日繰り広げられた熱演もいよいよ完結、きょうの受賞者披露演奏会で閉幕します。

 

さて、室内楽といえば、6月にお贈りする「弦楽四重奏のフロンティア」には、このジャンルの最先端をゆく2つの弦楽四重奏団が登場します。そのうち、6月18日に登場するアルディッティ弦楽四重奏団を、音楽ジャーナリストの渡辺和さんが取材しました。今回のプログラムに登場する作品をはじめ、数多くの初演を手掛けてきた、「現代音楽のスペシャリスト」ならではの作曲家との協働、演奏への考えなど興味深いお話です。

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アルディッティ弦楽四重奏団(以下Q)が「現代音楽を専門とするアンサンブル」なのは、音楽ファンの誰もがご存知だろう。だが、結成から43年を経て創設メンバーが現役の長壽団体であり、多様化し選択肢が増えた21世紀の弦楽四重奏界にあって「どうしても招聘せねばならない唯一無二の団体」であり続ける事実は、案外、気付かれていないかも。作曲家イサン・ユン生誕地でのフェスティバルにメインゲストとして招聘され、2回の演奏のためにヨーロッパからシベリアを横断しソウルに到着、文字通りの「国際的な活躍」真っ最中のアルディッティQが、今を語る。

 

アーヴィン・アルディッティ (第1ヴァイオリン)

アショット・サルキシャン (第2ヴァイオリン)

ラルフ・エーラース (ヴィオラ)

ルーカス・フェルス (チェロ)

◆コラボレーションについて

――アルディッティQは、これまで世界中で作曲家、演奏家、舞踏家らとコラボレーションをなさってきたわけです。6月の来日でも、大規模なコラボレーション作業がありますね。オーケストラとのコラボレーションは、今回が2度目ですか。

アルディッティ:ええ、2014年にデュサパンの協奏曲をサントリーホールで演奏しました。今回は日本人作品、友人の細川俊夫の協奏曲を演奏します。(注1:東京オペラシティ 6月30日(金)19:00東京都交響楽団 第835回 定期演奏会、細川俊夫《フルス(河)》日本初演)

――弦楽四重奏団というグループとしてオーケストラと共演する際の難しさは。

アルディッティ:最も難しいのは、オーケストラの音が大きく鳴りすぎることです。もうちょっと音を押さえてくれないか、頼むことがしばしばです。

――つまり、皆さんが指揮者になるということですか。

アルディティ:いいえ、それはありません。指揮者にアドヴァイスします。

サルキシャン:そこが指揮者との仕事の難しいところです。普通はオーケストラとの仕事は指揮者という存在がありますからね。そのために、ちょっとトリッキーなことにもなります。

――指揮者とのコラボレーションは難しいですか。

アルディッティ:いいえ。今回は指揮者がとても良いですから。ですから、問題があるとすれば、オーケストラが大きくなってしまう可能性だけです。

――この細川作品では、オーケストラと弦楽四重奏のコラボレーションはどのようになっているのでしょうか。コンチェルト・グロッソのようなものなのですか。

アルディッティ:そうではありません。モダンな協奏曲で、対話です。この作品は、波を意図しています。オーケストラが浮かび上がり、私たちが浮かび上がる、組織だったコラボレーションです。

エーラース:弦楽四重奏がオーケストラの中から膨れあがり、また戻って行きます。河がそれぞれに混じり合うように。

アルディッティ:そうして、オーケストラと私たちで波となる。とても巧妙になされています。

――完全に「オーケストラと弦楽四重奏のための協奏曲」ですね。

アルディッティ:その通り。

――なるほど。今回の来日では、作曲家とのコラボレーションも用意されていますね。ラッヘンマンさんが水戸の演奏会のためにわざわざいらっしゃるという。(注2:水戸芸術館6月17日(土)ラッヘンマンの肖像、神奈川サルビアホール6月26日(月)サルビアホール・クァルテット・シリーズ)作曲家がそこにいるのといないのでは、何か違いがあるものなのでしょうか。

アルディッティ:現実問題として、違いはありません。私たちは一緒に仕事をするほぼ全ての作曲家と、とても親密な関係を築いていますから。私たちとすれば、ラッヘンマンは最も親密な共演者のひとりです。彼とは頻繁に定期的に一緒に仕事をしています。彼がその場に居て私たちを聴いてくれて、ときにコメントをくれるのは、とても喜ばしいことです。彼の音楽は良く知っていますし。

フェルス:彼が自分が演奏する五重奏を書いてくれればいいんですが、そういうわけにはいきませんしね(笑)。

アルディッティ:今度の日本で演奏する、西村朗(注3:大阪いずみホール6月18日(日)弦楽四重奏のフロンティア、東京文化会館小ホール6月24日(土)18:00)と細川俊夫(注4:東京文化会館小ホール6月24日(土)18:00、ロームシアター京都サウスホール6月23日(金)19:00)というふたりの日本の友人も同じです。私たちは彼らをとても良く知っていて、本人らがいてもいなくても、あちこちで演奏しています。彼らが演奏会で聴いてくれて、リハーサルでもいろいろ言ってくれるのは、無論、歓迎しています。

――そこにいる作曲家が、突然、楽譜を書き換え始めたりはしないのですか。

アルディッティ;ありますよ。珍しいことではありません。でも、それはそれでOKです。私たちは忍耐強いですから(笑)。

――リゲティさんはどうだったのでしょうか。

アルディッティ:リゲティとは何度もリハーサルをしましたが、彼は常にテキストに厳密であることを要求してきました。ですが、リゲティの作品は私たちではなく他の団体のために書かれているので、最初はどうだったんでしょうかね。

サルキシャン:私たちとの練習のときに、リゲティは第1弦楽四重奏のある箇所でテンポの変更をしましたね。

アルディッティ:ああ、そうそう、テンポの変更をしました。というのも、第1弦楽四重奏の冠する限り、リゲティは私たちに出会う前には弦楽四重奏と一緒に仕事をしたことがありませんでしたから。

――そのテンポ指定は、今、世に出ている楽譜に反映されているのですか。

アルディッティ:今は彼の校訂で新しい版になってます。リゲティはドイツに移ったときにこの作品を一度撤回しているのだけど、後にこの曲の演奏も喜んで許すようになりました。私たちは2作品とも演奏し始めました。ですから、私たちは第1弦楽四重奏に意見しているわけですね。今回の日本公演で演奏する第2弦楽四重奏(注5:大阪 いずみホール、6月18日(日)15:00、ロームシアター京都サウスホール6月23日(金)19:00)はとても巧みに書かれていて、彼とリハーサルしても、書かれている通りに演奏するよう求められました。ですが第1弦楽四重奏については、彼はテンポをどんどん上げたがった。もっともっと、って(笑)。

 

◆現代のオーセンティック

――ところで、皆さんは今日はたいへんな移動の真っ最中なわけですが、アルディッティQはホントにたいへんな職場ですね(笑)。

サルキシャン:でも、私たちはもう12年一緒にこんな風にやっていますよ。

――このメンバーになって、もうそんなになるのですね。いままでで一番長いんじゃないかしら。

サルキシャン:ええ、最長です。

――アルディッティさんがこの弦楽四重奏を始めたのは、所謂ポスト前衛時代で、その頃は音にするだけでも一苦労な超絶技巧型の作品が多かったように思えます。

アルディッティ:そうですね。

――21世紀の今は、ミニマリズムや、新ロマン主義とか、はたまた、所謂「オーセンティック」な奏法を要求する新作とか、本当に多彩になっています。ある意味、アルディッティQとは最も遠い場所にありそうな所謂「オーセンティック」演奏と呼ばれる奏法など、アルディッティQの在り方に影響を与えているものなのでしょうか。

エーラース:興味深い質問ですね。そもそも「オーセンティック演奏」という考えは、作曲家の生きていた時代にその作品がどう演奏されるか、というところから始まっています。それこそ正に、私たちがやっていることです。私たちは作曲家が生きている時代に、そのやり方で演奏している。

アルディッティ:そう、オリジナル楽器、ですよ(笑)。

エーラース:ですから、もう最初から「オーセンティック」なのです。

アルディッティ:勿論、所謂「オーセンティック」な意味ではありませんけど(笑)。ですが、私たちがこの仕事を40数年前に始めたのは、作曲家と一緒に作業するためでした。

エーラース:私たちはホントにいろいろな作曲家と一緒に仕事をし、それぞれの作曲家のスタイルに最も適切な演奏をすることが出来ます。

アルディッティ:それはとても重要です。私たちはそれぞれの作曲家のスタイルを探求しようとしています。多くの作曲家で、まるで違うものなのです。

――つまり、皆さんは「オーセンティック」な演奏家である、と。

エーラース:そう。

(2017年4月7日ソウル金浦空港にて)

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アルディッティ弦楽四重奏の公演は6月18日。29日のハーゲン弦楽四重奏団公演とのセット券も好評発売中です。詳しくは下記リンクよりそれぞれの公演ページをご覧ください。

■弦楽四重奏のフロンティア(セット価格¥9,000

(1) 6月18日(日)15時開演/アルディッティ弦楽四重奏団
                  【一般¥5,000/学生¥2,500】

(2) 6月29日(木)19時開演/ハーゲン弦楽四重奏団
                  【一般¥6,000/学生¥3,000】

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皆さま、新年度もそろそろ落ち着いた頃でしょうか?桜の季節も過ぎ去り、いずみホールの周辺は新緑がまぶしくなってきましたクローバー

 

いま、5月11日の「青春の吹奏楽」part IVの準備を進めています。今回はオリジナル作品に特化した過去3回とちょっと趣向を変えてみようということで…前半は他ジャンルからの“編曲もの”も取り上げることになりました。

 

Osaka Shion Wind Orchestra(シオン)の演奏を、いずみホールの豊かな響きで楽しむこの企画も第4弾ビックリマーク
せっかくの機会ですから、多くの皆さんに共通して楽しんでもらえる曲を、ということでプログラムは決まりましたが、吹奏楽少年だった企画担当にとっては、いつものように楽しくも苦しい作業でした。楽譜をみたりCDを聴いたりすると、自分の演奏や他バンドのすごい演奏を聴いたりしたこと、コンクールや定期演奏会など、うまくいったりいかなかったりした部活の思い出の数々がよみがえり…ちょっと切ない気持ちになりました。(そして、泣く泣くあきらめた作品は数知れずしょぼん

 

そして前半を編曲作品、後半を「吹奏楽の神様」とも呼ばれるA.リードの作品で構成した今回のプログラムが完成しました。

下矢印下矢印こちらをご覧ください下矢印下矢印

バーンスタイン:《キャンディード》序曲 
サン=サーンス:《サムソンとデリラ》~バッカナール
ワーグナー:《ローエングリン》~エルザの大聖堂への行列
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565 

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リード:音楽祭のプレリュード  
    アルメニアン・ダンス パート1
    吹奏楽のための第3組曲
    エル・カミーノ・レアル

 

※一部曲目はHPから試聴できます。

 

どれか一つでもピンときた方おいで目

このコンサートはそんなあなたのための公演です!!

 

今回は開演時刻を19:30に設定しました。開場はいつものとおり18:30ですのでロビーで開演をゆったり待つもよし、お食事を済ませてきていただくもよし…。お仕事帰りの皆様も、少し仕事が長引いても焦らずお越しいただけるとおもいます。(※終演は21:00頃の予定です)

 

皆様、お誘いあわせの上ご来場くださいペンギンペンギンペンギン

 

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こんにちは。企画担当ヒヨコです。
今朝ウィーンからM・ハーゼルベック氏とウィーン・アカデミー管弦楽団が日本に到着されました!

 

こちらにこられるちょっと前にハーゼルベック氏から、ベートーヴェンの交響曲が初演された場所を示したウィーンの古地図の画像をいただきました。 

 

印をつけたところが、交響曲《田園》と《運命》が初演されたアン・デア・ウィーン劇場です。

image
ベートーヴェンの音楽は斬新で、それまでの作曲の常識の枠を飛び越えていて、当時の人々にとって、ワクワクする新しい音楽だったそうです。

 

この古地図を眺めていると、そんな音楽を聴きに行くのに、当時の聴衆はどんなお洒落をしていたのだろう、ベートーヴェンの演奏会にはいくらぐらいかかったのだろう、とちょっとした疑問が湧き出してきます。

 

ハーゼルベック氏が学者とタッグを組んで初演会場をつきとめ、演奏会を行っている『リサウンド』プロジェクトですが、
「21世紀にはそんなことをやっている楽団があるのか!」とベートーヴェンもびっくりしているかもしれません。

 

おいしい珈琲を入れるために豆の数にまでこだわっていたといわれているベートーヴェン。
ハーゼルベック氏とアカデミー管は、「作曲当時の響きの再現に挑戦する」というこだわった音楽作りをしています。

 

アン・デア・ウィーン劇場で人々が聴いた交響曲…これまでとは少し違った気持ちでお聴きいただけるのではないでしょうか。


4/18 10時よりチケットセンター窓口で当日券販売いたします。

●4月18日(火)19時00分開演 ウィーン・アカデミー管弦楽団
●ベートーヴェン:交響曲第6番 《田園》、交響曲第5番 《運命》
→公演の詳細はコチラへ
●チケットセンター 06-6944-1188(10:00~17:30日祝休)

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こんにちは。企画担当ヒヨコです。

 

4/18にベートーヴェンの交響曲《田園》と《運命》を演奏するウィーン・アカデミー管弦楽団。

彼らがウィーンのニーダーエスターライヒ宮ラントハウスザールで第3番《エロイカ》を演奏している動画を入手しました。
楽団の創設者で指揮者のハーゼルベック氏からメッセージも入っています。

使用している楽器や彼らの演奏スタイルなどもご覧いただけます。

 

 

 

4月の日本ツアー、東京公演では数日に分けて全曲を、大阪公演では交響曲第6番と第5番を演奏します。

彼らの生の演奏をいずみホールでお楽しみください!

 

●4月18日(火)19時00分開演 ウィーン・アカデミー管弦楽団
●ベートーヴェン:交響曲第6番 《田園》、交響曲第5番 《運命》
→公演の詳細はコチラへ
●チケットセンター 06-6944-1188(10:00~17:30日祝休)

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こんにちは、企画担当ヒヨコです。

 

いずみホール情報誌「Jupiter」はご存知ですか?
1990年からいずみホールが発行しているフリーマガジンです。
いずみホールのロビーやご協力くださるホール・楽器店・CDショップなどに設置しています。

→設置場所はこちらです。関西が中心ですが、東京、愛知でも配布しています。
 

最新号は163号、なんとベートーヴェンが表紙です。

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Jupiterのバックナンバーを振り返ってみたところ、1993年の5月発行号に「ウィーン音楽祭 in OSAKA」に出演するウィーン・アカデミー管弦楽団の記事を発見しました!

 

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この時は音楽祭ということもあり、2日連続で管弦楽団の演奏があり、その後にオルガン奏者としてハーゼルベック氏のリサイタルがありました。

 

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プログラムをよく見てみると・・・オルガン・リサイタルの最後は彼の即興演奏だった様です。

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あれから20年以上――

様々な活動を経て、さらに知識豊かに熟練されたアカデミー管とハーゼルベック氏のタッグに期待が高まります!


●4月18日(火)19時00分開演 ウィーン・アカデミー管弦楽団
●ベートーヴェン:交響曲第6番 《田園》、交響曲第5番 《運命》
→公演の詳細はコチラへ
●チケットセンター 06-6944-1188(10:00~17:30日祝休)

 

ちなみにハーゼルベック氏のインタビューはJupiter162号(青い表紙・シューベルトが目印)に掲載されています。

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