いつも大切にご使用いただき
配慮し、薬用石鹸を設置しており
ますので、ご利用ください。 」
今年に入ってからの新型インフルエンザ騒動。
春にはマスクが売り切れ、秋口に入ってから連日のように感染者が増えている。
そんな世相も反映してか、公共のトイレを始め、あちらこちらで手洗いを推奨する貼り紙を見掛けるようになった。
中には手洗いとはどうやってやるか?という、HOW OLD ARE YOU?にも通じる手洗いの方法を教える貼り紙まで存在する。
そして上の貼り紙でお分かりのように、トイレの洗面台には手洗い用石鹸なりを置き始めた箇所もちらほら。
今まで「水で十分」という態度だったトイレたちも、「明日は我が身」とばかりに石鹸が設置されている。
ここのトイレでは、免罪符のように"薬用石鹸ミューズ"が洗面台に立っている。
誰もが他人事ではない。
例え銀行強盗をする予定がなくたってマスクはする。
「防御は最大の攻撃」という言葉もあったりなかったり、あれは「攻撃は最大の防御」か?
ともかくタンクトップ一枚で雪山を登れば当然風邪をひくように(それどころで収まらないだろうが)、何事も先を見据えての予防というのが大事だ。
「ご使用は計画的に」というのとは、また違う。
そこで、そこそこの石鹸なりを置き始めれば置き始めたで、起こる問題というのも生まれてきたようで、
「薬用石鹸 (ミューズ) は皆さんで
ご使用いただくものです。
いつも大切にご使用いただき
ありがとうございます。 」
なんだろう、この歯にスルメでも挟まったかのようなモノの言い方は・・・。
どうやらトイレ独自の台詞が出てきたぞ。
ミューズでもポセイドンでも氏神様だろうが石鹸の種類はお任せするとして、「皆さんでご使用いただくものです。」と、わざわざ書くからには、これは反対語と捕らえても間違いないかもしれない。
「皆さん」ではなく、我のために使われた方がいらしたんだろう。
なんならボトルごと一本お持ち帰りになられた輩もいたのかもしれない。
まさかそんなタフな心臓を持った人が?と思われるかもしれないが、世の中には一般常識枠の想像を超える行動をされる人ってのが存在する。
時と場所によって天才と何やらは紙一重だ。
何より、ここはある程度の繁華街の商業施設内。
いろんな方々がひっきりなしに出入りしている。
なんなら、チャンスとばかりに”手洗い”どころか、”手以外のところまで洗い”を強行された方もいるかもしれない。
誰かにとってはなんでもないことでも、誰かにとってはチャンスだったりすることってある。
そのチャンスを見付けることが出来るこそが人が世の中では秀でるのだが、ミューズの乱用はあまり誉められたもんじゃない。
そして極めつけの台詞が、「いつも大切にご使用いただきありがとうございます」。
どこかで耳にしたような言い回し。
卒業式にて、頬を赤らめ駆け寄ってきた後輩がここぞとばかりに口にしたか?いいや、否。
そう、いつものならばこのフレーズはトイレの使用に向けて使われがちだ。
トイレの貼り紙でよく見掛ける、トイレ独自の口説き文句。
「いつも綺麗にご使用いただきありがとうざいます」と。
だがしかし、ここではこの薬用石鹸ミューズへの釘刺し。
姑が自分の息子の義嫁に対して、イヤミっぽく言うが如し、誉め殺しのデス・セレナーデ。
決して、それはその日本語のまま読み取ってはならない。
全ては反対の意味で読めてこそ、本当の大人。
つまりは「大切にご使用していただいておりません」という意味だ。
普段はトイレの使用について使われがちなフレーズが、新型インフルエンザが流行ると共に設置され始めた薬用石鹸に向けて使われるなんて・・・。
また独自のイヤミフレーズをちょっとだけ進化させて流用するなんて・・・。
世の中、何と何とが連鎖反応を起こすか分からないものだ。
日本語ってどこまで素直に読みとっていいか分からなくなるときがある。
ちなみに、
ミューズは鏡の背面にかかるように設置されていた。
どうも消極的な性格のようだ。
もしくはよっぽど大切に使われておらずに、人間に対して少なからず恐怖心を覚えてしまったか。
本当のところは使わせたくないのかな?
そして新型インフルエンザも思わぬ連鎖反応で、特効薬なんても物が出来るといいですね。
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