夏も終わり秋を感じ始めたある夜のこと、車で農道を辿りある小さな町に入った。

まだ遅い時間でもないのにメインストリートと思しき道には人の姿がない。

しばらく進むと前方にわずかな明かりがぽつりと燈った。

なんだろうと思いながら道を進むとそれはみるみると数を増やし、ようやく無数の提灯である事がわかった。

提灯祭りの準備をしているところに出くわせたらしい。

さらに進むとにぎやかな祭囃子に笑い声、無数の夜店が現れた。

なんとも良い匂いが漂っていたのだ。


またある日のこと。

渓谷沿いの道を進むと、鄙びた温泉街とそこに佇む小さな駅にたどり着いた。

茅葺屋根のその駅はなんとも旅情を誘い、このまま汽車に乗ってしまえば、日本の最深部まで辿りつきそうな、そんな気分にさせられる。


またある日のこと。

田んぼの脇に石碑を見つけ、車を止めてしばし眺めていたら、農作業中のおばあさんと目が合った。

会釈すると、なんともいい笑顔を返してくれた。



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こんなところにも大きな町があるんだと思ったことは一度ではない。

役所があり、工場があり、スナックがあり、カラオケBOXがある。

人々の営みが感じられる。

まだ道も発達していなかった頃から人が住み、道の整備に伴い流通が増え、産業が興り、町が成長していったのだろうとその町の歴史に想いを馳せる。


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今、中央に集められた機能はまた地方へ、そして田舎の町々へ分散されようとしている。

スマートグリッドにも見られるように、自己完結型の地域社会、地域経済が必要な時代になってきたのだ。(歴史は集中と分散を繰り返すものですね)

そうなった時に、地域毎のコアコンピタンスが必要である事はもちろんの事、地域間の人の流通を促す為の情報資源がこれからは必要となる。

その情報資源としての可能性を見せてくれたのが、まさに「Ingress」だと私は思う。


小雨の中、延々と続く車一台がやっと通れる山道を通った事は一度ではない。

深い深い夜の山道で、カーナビとアプリを使っても自分が何処に向かっているかわからなくなったことも一度ではない。

イノシシのカップルに行く手を阻まれた事もある。


でもその先に、進化した田舎の姿が、私には見えて来るのだ。


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「Ingress」に興味がある方は、こちらをご覧下さい。

私はレジスタント(青エージェント)として皆さんをお待ちしております。