さすらい人の徒然日記

マイペースに更新中



テーマ:

ヴァイオリン奏者のアドルフ・ブッシュ(1891~1952)が

EMIで録音した音源を網羅した、CD16枚組のボックスセット。

(数年前、EMIがワーナーミュージックに売却された結果、

EMIの音源がワーナーの名の下に発売されることになり、

なんとも不思議な感じがする)

 

録音されている曲目は、

J・S・バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、

シューベルト、ブラームスなど、

ドイツ・オーストリア系の作曲家の名曲ぞろい。

ヴァイオリン・ソナタは元より、

弟のヘルマン・ブッシュ(1897~1975)も参加している

ブッシュ四重奏団の演奏による

弦楽四重奏曲の録音群も聴き応えがある。

サラサーテやヴィエニャフスキらの

超絶技巧を活かした華やかなヴァイオリン曲は

一切収録されておらず、

アドルフ・ブッシュの音楽家としての趣味嗜好がうかがえる。

収録楽曲は全体的に渋い雰囲気だが、

じっくりと聴き入ると、

その燻し銀的な演奏の魅力を充分に味わえる。

 

さすがに20世紀前半に活躍した演奏家なだけあって、

現代人の耳からすると、

テンポの緩急が比較的大きく、

ポルタメントを各所で効かせたこの演奏は

明らかにオールド・スタイルだ。

だが「デフォルメ系」と呼ぶほどの大胆不敵な演奏ではなく、

抑制すべきところはしっかりと抑制させている。

「古典的ロマン主義」とでも形容したくなるような演奏だ。

20世紀後半の主流であった

インテンポの演奏様式を聴き慣れた耳には、

かえって曲全体にメリハリがある

表情豊かな演奏に聴こえるだろう。

終楽章の終盤において圧倒的な加速をかけるところなどは、

聴き手の気分を確実に高揚させ、実に面白い。

 

ピリオド楽器を用いた軽快な響きの演奏が

現代の主流となっているバッハの曲では

アドルフ・ブッシュの演奏もさすがに重々しく聴こえるが、

ブラームスの演奏ではまさに水を得た魚のごとく

生き生きとした表情を聴かせる。

ルドルフ・ゼルキンも参加した

ヴァイオリン・ソナタ第1番及び第2番、

ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲第1番及び第2番、

オーブリー・ブレイン(デニス・ブレインの父)も参加しての

ホルン三重奏曲など、

「よくぞ、これだけの演奏を録音してくれた!」と

叫びたくなるような魅力的な演奏だ。

無論、SPレコードからの復刻ということで、

音質は極めて古めかしく、貧弱な部分もあるけれど、

20世紀前半に活躍した名ヴァイオリニストの

芸術的足跡を辿れる音楽的遺産だと評しても

決して過言にはならないだろう。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。