ちょいデキ! | A Day In The Boy's Life

A Day In The Boy's Life

とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

ちょいデキ! (文春新書 591)


この本は現サイボウズ社長の青野慶久氏がその仕事術をまとめたものでありますが、この本の帯を見れば他の仕事本、成功本と違う事が伺えます。


北斗神拳のごとき達人仕事術より
誰でもできる太極拳的仕事術を極めよ!

そう、本当にこの人が東証一部の社長をしているかと思うほどにゆる~いものに。

が、そこに返って最大の興味が生まれるわけです。「自分もできるかも!」と。


この本の多くは、氏に対する質問とその回答を羅列したQ&A方式で書かれています。

氏の仕事に対する考え方から健康管理に至るまで。

そのどれもが(こう言ってはかなり失礼ですが)平凡なものでもあります。

しかし、その平凡でも考えを一貫して突き通すことことこそが重要な視点なのではとも感じます。

この本のあとがきにはこう書かれています。


私が編み出した仕事術は、世の中で支持されている仕事術よりも、ずいぶんショボいものばかりです。たとえば、車酔いをしない方法。「だから、どうした」と言われると元も子もないのですが、私にとっては重要な仕事術のひとつです。
(略)
もしかすると、あせらずに「ちょいデキ」を積み重ねていけば、私のような人間でも「スーパーデキ」になれる日が来るかも知れません。そう考えると、今、目の前にある問題を、ひとつひとつ大切に解決していきたいと、心からそう思えるのです。

納得です。

自分を氏と比べる事はおこがましいほどかけ離れた存在ですが、こういう一つ一つの積み重ねが同じ道につながっているかと思うと少しワクワクします。

私は天才ではない事は十分承知しています。

しかし、その天才たちが存在する世界で勝負するには、天才の考え方をいきなり身に付けようとしても仕方がありません。

天才の考えが分かるのは天才だけです。

凡人には凡人の理解方法があるはずだ。そんな考えと勇気を与えてくれる本です。


この「ちょいデキ!」を読んで一つ思うことは、氏は諦める技術がうまいのかなと。

書かれたQ&Aのどれもが無理せず、背伸びせずに行きましょうといったものです。

先ほども書いたように天才の考え方は、天才にしか分かりません。

その天才たちの成功術を真似したところで成功する事は難しいでしょう。

であれば、それらの成功術を諦めてしまおうと。

自分の身丈にあった考え方、仕事術を一つ一つ身に付けていけば、いつか「スーパーデキ」になるのだと。


なにせ天才たちが身に付ける北斗神拳は一子相伝です。

伝承者にしかそれを受け継ぐ資格はないわけです。

しかし、太極拳ならカルチャースクールで身に付けることができるのです。

そんな「ちょいデキ」仕事術をまずは身に付けてみるというのもよいかと思います。