【ニューヨーク加藤小夜、錦織祐一】ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、各国政府代表が非政府組織(NGO)の意見を聞く会合が7日(日本時間8日)あった。秋葉忠利・広島市長が「未来の世代のために力を注いでほしい」と演説。田上富久・長崎市長が「『核兵器のない世界』だけが、国際社会の永続的安全を保障する」と呼び掛けた。長崎市の谷口稜曄(すみてる)さん(81)が被爆者を代表して演説した。

 被爆者代表で演説した長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄さんは、原爆の熱線を浴び真っ赤に焼けただれた自身の背中の写真を手に「人間が人間として生きていくため、地球上に一発も核兵器を残してはならない」「私は忘却を恐れます。忘却は新しい原爆の肯定に流れてしまう」と各国代表ら約400人に語りかけた。

 16歳の時、郵便局員として郵便を集配中に爆心地から1.8キロの近距離で被爆。数千度の熱線に背中一面を焼かれた。1946年1月に米軍が撮影した治療中の写真を谷口さんが掲げ、スクリーンにも大きく映し出されると会場は静まり返った。

 「身動き一つできず、腹ばいのまま痛みと苦しみの中で『殺してくれ』と叫んだ。誰一人、私が『生きられる』と予想する人はいませんでした」。入院治療は4年間にも及んだが現在に至るまで完治はせず、右目の眼底出血など原因不明の症状に次々と襲われる。本人も「これが最後の渡米」と覚悟を決める。

 最後に「私は見せ物ではありません。でも、私の姿を見てしまったあなたたちはどうか目をそらさないでもう一度見てほしい」とかすれる声を絞り出すように呼び掛け「核兵器は絶滅の兵器。ノーモア・ヒバクシャ」と訴えると、各国の政府代表らは立ち上がって拍手を谷口さんに送り続けた。

 谷口さんの証言を会場で聴いたロシアの政府代表の一人は「私たちは、第二次大戦の戦勝国としての見方しか持っていなかった。深く感銘を受けた」。再検討会議のカバクテュラン議長(フィリピン)は「(原爆投下を)二度と起こしてはいけないという強いメッセージを表現した。被爆者は高齢化しているが、政治家が耳を傾けるよう、メッセージを発信し続けてほしい」とたたえた。

 演説を終えた谷口さんは「やるべきことはやった。しかしこれが終わりじゃない。話を聞いた人たちの(核廃絶を)実行につなげてもらわないと」と期待を込めて語った。

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