板村です。
最近忙しくてブログ更新をサボっていました(^▽^;)
6月15日の法律ウオッチは,「自筆遺言」がテーマでした。
(※ルルサスの新スタジオです!)
民法968条1項は,『自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。』と定めています。
このような形式が求められるのは,「自分の意思で書いた」ことを残すためです。
ニュースでは,「花押」のある遺言書を無効とした最高裁平成28年6月3日判決を紹介しました。
この事件,一審,二審は有効としていました。
おそらく,本人の意思を尊重すべきという価値判断だと思います。
しかし,最高裁は「花押を書く慣行はなく,印章による押印と同視することはできない」として原審を覆しました。
この点,最高裁昭和49年12月24日判決は,欧文のサインがあるだけで押印のないロシア人(日本に帰化)の遺言を有効としました。
このとき,最高裁は欧米人の慣習・慣行を考慮して有効としています。
つまり,最高裁は,形式を絶対視する訳ではない(本人の意思は尊重する)が,「慣習・慣行」がない方法まで形式を緩和しないという姿勢を示しているのだと思います。
最近は,日本でも商取引などでは署名だけでOKなものが増えてきています。
「慣行」が変われば,自筆遺言の要件も緩やかになっていくでしょう。