世界陸上大阪大会2007

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世界陸上が終わる。

初っ端の朝原宣治快走が日本陸上陣にとって幸先の良いスタートに思えたのもほんの束の間。為末大の悪夢の初戦敗退に始まり、末続慎吾も全身ケイレンにより2次予選でまさかの惨敗。

幅跳びの池田久美子は大会直前の調子下降の影響がそのまま結果に出てしまい、目標の7mには遠く及ばず予選敗退。そして残念なことに独占放映権者TBSは、地元開催の檜舞台で、その顔の一人である池田の跳躍を少なくとも地上波ではリアルタイムで放送しなかった。

幅跳びの開始は10:30TBSは放送時間を柔軟に対応するに至らず9:5511:00という“決まり事”を守り、幅跳びの結果は16:0017:30のハイライトという名の“録画番組”に回すのである。しかも最悪でも30分は競技の模様を放送できるはずが、ハイライトの価値を上げるためかリアルタイムの池田に何一つ注意を払わず、中継しないのである。これはもちろん一瞬でも映してしまえば、「何故予選の結果が出る前に放送が終わってしまうのか」という視聴者からのクレームにぶつかってしまうからではあるが。

立ちはだかり続けた11:00~の「ピンポン」はとてつもなく偉大な番組に違いない。もう当分訪れないだろう地元開催の世界陸上、長距離以外の種目で決勝を狙える位置にいた池田というヒロインを凌ぐのだから。

最もメダルの確率が高かった室伏も何とメダルを逃す。

今年、日本選手権の1戦しか試合を経ずに臨んだ今回だったが、ハイレベルな上位争いで底力を発揮できず。素人考えだが、五輪王者として本気で勝ちにいくならこのローテーションは無謀としか思えない。論文に時間を割かれたとされるが自国開催の世界陸上なのだから……。王者の余裕に落とし穴があったか、それとも来年の北京五輪のためのステップでしかないのか…。個人の悔しさなどお構いなしに「優勝争いを楽しんでいただけたと思う」とは何を意味するのか。

決勝進出、あわよくばメダルの期待もあった高跳びの醍醐直幸、棒高跳びの澤野大地と相次いで肉離れ、ケイレンでまともに跳べず。400mの金丸祐三も予選のスタート直後に痛々しく崩れ落ちた。この連鎖、見ていて悲痛でしかなかった。何故これほどまでに日本の有力選手にアクシデントが連発するのか。地の利はどこへ…。調整不足?自国開催のプレッシャー?猛暑の影響??だが彼らは日本代表になるような選手である。自国の世界陸上に準備万端臨むのは言うまでもなく、単純な理由がすんなり当てはまるとは思えないのだ。高野進氏を「ミステリー」と悩ませてしまうのも分からないではない。

2年に一度の大舞台、それも自国開催という燃え上がるシチュエーションで、力負けならまだしも戦わずして去らなければならない彼らの心中はきっとまともではいられないほどだろう。陳腐だが我々ファンは「北京五輪で借りを返してくれ!」としか言えないが、エールを送りたい。

救いのリレーは期待を裏切らなかった。

まだ女子マラソンが残っているが、今大会は朝原に始まり朝原に終わったといっても言い過ぎではないだろう。3走タイソン=ゲイでリードを稼いだアメリカは、日本と同じようなポジションでバトンを受け取ったジャマイカの4走アサファ=パウエル(ちょっと力んだか…)の追い上げを封じて優勝。日本は予選で更新した日本新を更に更新する連続のアジア新記録という快挙。

アメリカ  37.78

ジャマイカ 37.89

イギリス  37.90

ブラジル  37.99

日本    38.03

ドイツ   38.62

ルイスやバレルの時代に作った世界記録(37.40)からは遅れたが、上位がハイレベルな混戦となったため飛躍的な記録更新でも5着にとどまった。しかし銅メダルまでは0.13。金メダルまでも0.25。リレーのメダルがいよいよ現実味を帯びてきた。

ラストラン等とも言われているが、35歳で輝きを取り戻した朝原には来年の北京を真剣に目指してほしいと願ってやまない。ゲイ以外のアメリカ勢がパッとしない顔ぶれだったり、メダリスト以外のファイナリスとも同様だったりということを見ていて感じたが、準決勝でスムーズな走りができていればファイナリストも決して夢ではなかったのだ。

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本当に残念なニュースが入ってきた。

処分が解けるのは8年後。そのときガトリン32歳…。

過去を振り返れば33歳で世界陸上100mを制したリンフォード=クリスティの例もあるが、これはもちろん20代から競技会でライバル達としのぎを削り続けるという陸上選手として至極真っ当なバックグラウンドがあってこそ。ガトリンが8年もの間、大会にも出られずに力を維持できる可能性を探るのは、まだ見えぬ己の未来を予見するのと同様困難を極める。

近年の陸上100メートルは汚れている。複数の世界記録保持者が短期間に連続して記録抹消に追い込まれるという事態がそれを物語る。そのせいで我々はもうドーピングには慣れっこになってしまった。

100メートルのドーピングと言えば一昔前はベン=ジョンソンが代名詞だった。リアルタイムを知る者には衝撃が走った1988年の、あのソウルだ。オリンピックの花形男子100メートル決勝という舞台で、四冠王カールルイスとの世紀の対決という抜群の話題性の中、従来の記録を0.14秒も更新する9.79という衝撃は、その数日後の一大騒動に至るまで何もかもがDeep Impactだった。

ジョンソンショックの効力が徐々に薄らぎ始めたのか、21世紀に入りドーピングの話題が紙面を賑わすようになってくる。そしてあろうことか世界記録保持者が2人も検挙されてしまった。あのソウルのような衝撃は最早ない。残るのは世界記録として君臨していたという歴史だけである。

その後の世界記録の変遷は…

1988年 9.79 ベン=ジョンソン        ※記録抹消)

1988年 9.92 カール=ルイス(ソウル五輪決勝) ※ジョンソン失格による繰り上がり

1991年 9.90 リロイ=バレル(全米陸上決勝)

    9.86 カール=ルイス(東京世界陸上決勝)

1994年 9.85 リロイ=バレル

1996年 9.84 ドノバン=ベイリー(アトランタ五輪決勝)

1999年 9.79 モーリス=グリーン

2002年 9.78 ティム=モンゴメリ       ※記録抹消)

2005年 9.77 アサファ=パウエル

2006年 9.77 ジャスティン=ガトリン     ※記録抹消)

ガトリンとモンゴメリ、そして現在薬物疑惑の最中に揺れる女子短距離のマリオン=ジョーンズに共通する点はグラハムというコーチの存在。思えばジョンソンのときにも同じような人物の存在があった。真相は闇の中。しかし幸いにもガトリンは調査へ協力する姿勢だ。この一連のドーピング騒動は一体何なのか?諸悪の根源は選手かコーチか、はたまた製薬会社までさかのぼるのか。

ともあれ私はセイコースーパー陸上で世界記録保持者の走りを見てくる。今のパウエルなら優勝は間違いない。そして9秒台もそう難しい話ではないだろう。観客も9秒台なら何でも「おぉ~~!!」ではなく、9秒8台で初めて興奮するぐらいの冷静さが必要である。「9秒台」がもてはやされたのは世界記録が9秒9台にあった時代。それは今や日本の末続が目指すポイントである。時は流れ、記録は進化するのである。




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TBSへの抗議文 ~その2~

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100Mはガトリンが圧勝。ライバル以上の存在とみていたオビクウェルが準決勝で自滅し、観客席に最も近い8レーンで戦うことを余儀なくされた時点で勝負あった。


そして一夜明け、不幸にも郵政民営化解散の飛び入りニュースが前に割り込んではきたが、何とか無事に今日の世界陸上が始まった。TBSで・・・。



昨日の100Mのリプレイ。

そして、勝者ガトリンの三冠へ向けたTBSお手製「特集VTR」が流れる。


ロングバージョンとも言うべき、じっくりと時間をかけたVTRである。

問題の箇所はどうなっているのか?全米陸上の場面が回ってくる。全米100&200の二冠を紹介するところ・・・。



"20年ぶり"



快挙を際立たせる文句はこれだけ。問題の“カールルイスも成し遂げられなかった”という(私が思うに)事実無根の大袈裟アピールは消滅していた。



修正してくれたのか?

しかし安堵は禁物。このVTRにはいくつかのバージョンがあり、その時に応じて使い分けているからだ。気を抜いていると今度は200Mが始まったとき、「ガトリンVTR」にちゃっかりと“ルイスも~”の誇大装飾が復活している可能性は大いにある。


もちろん間違いに気付いて修正してくれた可能性もある。だがもしそうなら、私の抗議文に返事をよこさないのは卑怯である。また、私が間違っている場合も無視せずに指摘してほしい。


とにかく一にも二にもまずは返事ありきだ。無視を通すか誠意を示すか、世界陸上を“任された”TBSのやる気を見たい。

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世界陸上男子100Mの優勝候補の1人、アテネ五輪王者ジャスティン=ガトリンを紹介するTBSオリジナル編集VTR。彼が世界陸上の代表決定戦である「全米陸上選手権」で100Mと200Mの二冠を制したことを伝えるところで「あれ?」と気になる点があった。二冠の偉業達成を、


"20年ぶりの快挙。
あのカールルイスも成し遂げられなかった"


との一文で装飾しているのだ。



20年前の達成者とは、1985年の全米陸上二冠王カーク=バプティスト(ロス五輪200M銀メダリスト)を指すのだろう。これはまあいい。


しかし、ルイスは成し遂げているはず。それも二冠どころか三冠を。

少なくとも彼は1983年の全米選手権で100M(10.27)、200M(19.75)、走り幅跳び(8.79)の三冠を圧倒的な強さで制し、更に直後の記念すべき第一回世界陸上では今回と同じフィンランドのヘルシンキで、200Mは辞退するもののリレーを含めた三冠を制覇している。



何故ガトリンより上の「三冠王」ルイスを、あたかも今年のガトリン二冠が素晴らしいかを強調するが如く、格下扱いするのだろうか?真実を伝えることより、大衆受けするキャッチコピーがそんなに大事か?


それとも私の勘違い?実は全米陸上選手権には2種類あって、ガトリンの二冠とルイスの三冠は同じ土俵上のものじゃないというオチか??



TBSは世界陸上の独占放映を長い間やってきている。その彼らが、世界陸上の代名詞的存在であるカールルイスについての知識が曖昧であっていいはずはない。だからルイスの全米三冠を知らずして今回の「ガトリン持ち上げVTR」を作成するなど、常識的には考えづらい。


陸上競技はサッカーや野球に比べるとマイナースポーツの域を出ない。つまり、海外一流選手の試合にお目にかかれる機会が圧倒的に少ないのだ。世界陸上やオリンピックは真のファンにとっては数年に一度の、正に待望の一大イベントなのである。だからこそ良質な番組構成でファンを迎えてほしいのだ。世界陸上に関する勉強も抜かりなくやってもらいたいし、当然やっているはず。


もし今回のミスが本物なら、それは一介の陸上選手ではなくカールルイスという、世界陸上を勉強する上で欠くことのできない人物についての予備知識が不足していることになり、本当に残念でならない。彼の名を使いたいなら、使う前に十分な確認作業を行うべきだ。



抗議のメールを土曜に送った。もし私の誤認であるなら当然教えてほしいし、TBSの勉強不足であったなら、それは当然謝罪をしてもらいたい。少なくとも誠意ある返信があることを望む。

男子100メートル。

直前で9秒77の世界記録を出したアサファ=パウエルが参加辞退してしまった。

五輪王者ジャスティン=ガトリンが全米で100と200の二冠を制し、風格を増したところでの「真の王者決定戦」を楽しみにしていただけに、残念でならない。


辞退と言えば、日本期待の末続も100を回避して200一本に絞るという苦汁の決断を、本当に最近した。ハンマー投げ五輪金メダリストの室伏も、五輪後の休養による調整不足が原因で参加を取りやめた。

そうなると、いや、そうでなくても期待が高まるのは100メートルのベテラン朝原“後半に失速しないニュータイプの日本人”がアトランタであと僅かの差(5位)で決勝行きを逃してから、もう10年ぐらいたつ。彼も30をとっくに超している。

怪我に苦しみ、以前のように走り幅跳びをやることはなくなった。10秒02の自己ベストを塗り替えるのも容易ではない。

しかし大きな大会は記録より勝負である。少しでも組分けに恵まれて、準決勝まで3回は彼の走りを見ていたいと思う。もちろん決勝の期待もあるが、アテネでは2次予選落ちの苦をなめている分、まずはセミファイナル進出を期待する。予選は今日の夜。

“大物”、アサファ=パウエルがその潜在能力を見せつけた。スタートから前半の加速で先頭集団につけると、中盤以降後続を力強い走りでぐいぐいと引き離し、力の違いを見せるフィニッシュ。



9秒77


世界新記録だ!!

 

 

頭角を現した昨年、アテネで初の五輪ステージに立ったパウエル。圧巻の衝撃は2次予選。モーリス=グリーン相手に50メートルを過ぎた辺りから明らかにギアをシフトダウンさせ、そこからゴールまで軽い感じで走り抜けて9秒99。1位通過はグリーンに譲ったものの、シドニー五輪チャンピオンの脚を計ろうかという走りには末恐ろしささえ感じた。

 

しかし、その後は大舞台のプレッシャーか。準決勝では9秒95で首位通過するも、2次予選の走りからすればむしろ余裕がなくなったとも言えた。そして決勝ではそれまで決めてきたスタートでやや出遅れ、さらに中盤でもスピードに乗れず5位に敗れている。

 

 

パウエルの強みは190cm88kgの大型でがっちりとした体型ながら、序盤の加速を並“以上”でクリアできるところだ。そうすれば後半はストライドを生かして更に優位に立つことができる。この世界新は正に「テン良し!中良し!終い良し!」。それが出来なかったのが不運にもオリンピックの決勝。やはり五輪は4年に1度きり、特別なレースと意識しない方が難しいのかもしれない。

 

 

しかし古くは薬物による違反になったもののベン=ジョンソンが、そしてグリーンが正式に9秒7台の世界を切り開いてからも記録はコンマ1秒刻みながら着実に塗り替えられていく。パウエルは歴史に名を残した。しかし、スターになるためにはオリンピックや世界陸上での金メダルが必要不可欠である。記録だけでは記憶には残らない。

 

 

競馬の勝ち時計はほとんど興味のない私だが、どういう訳か陸上競技の数字は好き(笑)


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