クリスマスと書いて有馬記念と読む。


幸か不幸か、最近ニュースの度に目にする雪情報も南関東だけが蚊帳の外である。もし日本海側と同じく中山のターフにも雪が降り積もるようなら、まだエリート大学を主席で卒業したばかりのスーパー新入社員に先輩面できる隙があったかもしれない。しかし中山は晴れるだろう。


長期休養に入る直前の有馬を岡部騎手と共にし、復帰後初の、そして最後となってしまった有馬をも共にしたコイントスが今年も出てくる。ファン投票20位での選出。得票数は今年1年活躍したハットトリックやローゼンクロイツと変わらない数を集めた。本当によく集まったなと思う。重賞2着1回と3着2回以外に特筆すべき点はない。はっきり言ってシンボリクリスエスの3着に入った頃の走りを求めるのは酷だし、まずは重賞タイトルを狙うことの方が先決に思える。回避して金杯あたりを攻めた方がよっぽど無難である。オリンピック精神なのか…。



さて岡部騎手の有馬記念。

勝利は過去3度。ルドルフにオグリ。

しかしここでは負けた1戦を取り上げてみる。


93年の有馬。

前評判では圧倒的にビワハヤヒデ

大川慶次郎氏曰く、「ビワ-レガシーで相当堅いと思う」。

しかしJCを勝ったレガシーワールドが4角で脱落するから競馬は分からない。


3角から自分で動いて勝ちに行ったビワハヤヒデ。

4角では逃げるメジロパーマーのお役を御免とし、マークしてきたウイニングチケットも直線では歴戦の疲労からか大きく後退。岡部が先頭に踊り出る。


しかしただ1頭馬群の中から赤い帽子が迫力満点に伸びてくる。

トウカイテイオーだ。


その前年、自身最も愛するルドルフの子で世界を制した。

この上ないコンビと思えた。

しかし1年後、人馬はそれぞれの道を行く。


トウカイテイオーの相手は、岡部鞍上のビワハヤヒデ。

父を知る唯一の男とのコンビは風のようなものだった。

背にいるはずの男が今、目の前にいる。それも別の馬に。



「他の馬に負けるぐらいならテイオーに負けた方がいい。」

「あれだけの馬だから好走してほしいと願っていた。」


進む道に違いはあっても絆は変わらない。

複雑な勝利と敗北…

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至福の時

今週は岡部スペシャルということで、ジョッキーのジャパンカップにどうしても触れておきたい。写真の枚数を増やし、スペシャル感を出す努力をする。。。



岡部騎手のJCタイトルは2度。

シンボリルドルフと、その子トウカイテイオー

自身の手綱で父子制覇。

それもJCという世界戦を舞台に成し遂げられたことは、岡部騎手の腕はもちろん、海外初戦で無念にも故障引退に追い込まれたルドルフの因縁が感じられる。


日本史上最強として、ぜひとも結果を残す必要があった。

そして故障さえなければ、幾つか戦えば必ずや日本に凄い馬がいることを海の向こうに知らしめることができた。

もう自身は戦えない。

だが日本代表として恥ずべき結果はルドルフの本望ではない。

このままではとても終われない。


ならば果たせなかった野望の全てを産駒に注ぐ。

ルドルフは本当に全てを初年度の種付けで注いだ。

その結晶がトウカイテイオー。

偉大すぎる父の血が真に伝わったと言えるのはこのテイオーだけ。

ルドルフは愚直なまでに全てを初年度産駒、それもテイオー一子に注ぎ込んだ。



だがトウカイテイオーは体がもろすぎた。

4回も骨折を繰り返すようでは、潜在能力の高さは海外で通用するレベルと誰しもが認めても海外遠征のチャンスは限りなく少ない。そして行く意思もあった陣営だが、結局は行けずに終わっている。


ならば父ルドルフの為に息子が是が非でも勝たねばならない舞台。

それが1992年のジャパンカップであった。


世界を舞台に相応しい強豪が来襲。

英愛ヨークシャーのオークス、セントレジャーに勝ち、凱旋門賞でも1番人気に支持(2着)された世界的女傑にして欧州年度代表馬ユーザーフレンドリーを筆頭に、ドクターデヴィアスクエストフォーフェイム2頭の英ダービー馬、アーリントンミリオンの覇者ディアドクター、豪ダービー馬ナチュラリズムなど、相手に不足なし。


これだけのメンバーに加え、テイオー自身骨折休養明けの前走(天皇賞秋)を惨敗していただけに5番人気と評価を下げざるを得なかった。



大外枠から好スタートを決めて無理せず内に寄せていく岡部。

難なく好位にとりつくテイオーに対し、スタートから終始掛かり通しのユーザーフレンドリー。3角あたりでようやく折り合いがつくも、もろさを露呈した前走とは打って変わり何もかもが上手くいっているテイオーとの差は歴然だった。


さあ直線!

最終コーナー。

女傑が意地の抜け出しを一瞬見せる。

しかしそれまでだった。


残り400M。

ラチ沿いから2番人気のナチュラリズム。

鞍上はムチの雨あられ。

テイオーの岡部はまだ各馬を見ている。

もがくユーザーフレンドリーや必死の各馬と対照的に、テイオー1頭だけが悠然と構えていた。この真似のできぬ存在感。これがトウカイテイオーだ。


残り200M。

ここでようやく岡部が本格的な追い出しに入る。

相手はラチ沿いを抜け出したナチュラリズムに絞られた。

しかしムチはほんの数発。


残り100M。

馬体を併せに行く。

これでもかと風車ムチを浴びせ続けるディットマンに対し、華麗という言葉が似合い過ぎる騎乗でテイオーと一体になってゴールを目指す岡部。比較対象が為に際立つところもあるが、この騎乗はため息ものだ…。

最後は追い込んできた4番人気ディアドクターも封じ、使命を果たすゴールへ。

世界の帝王&岡部



今見ても興奮するレースが幾つかある。

1992年のJCは紛れもなくその1つである。

残念なのは岡部Jのガッツポーズが映ってないことか…。


神様の悪戯か、残念ながらテイオーは外敵ではなく内に潜む敵に勝てず、海外に行ってルドルフの敵討ちをすることなくターフを後にした。

だがこの年のJCには間違いなく「世界」の空気が漂っていた。

地の利があろうが、それはどこの国でも発生する。ブリーダーズカップはアメリカ馬に地の利があろうし、凱旋門賞ならフランスの馬に利があろう。言えばきりがない。遠征とはそういうものである。まあこの勝利をそれと決めつける者はいないと思うが。


父ルドルフもJCを勝った。

だが息子は更なる強豪を相手にねじ伏せた。

父に国際GⅠのタイトルはない。

だが息子にはある。

この年からJCは国際GⅠに認定された。

それに相応しい相手を打ち破った。

父の無念はそのまま己の無念である岡部幸雄。

彼を背にその子トウカイテイオーがこの時、「世界のテイオー」となった。

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懸命の勝利!

1999年春のクラシック戦線。

藤沢和雄厩舎には2頭の素質馬がいた。

マチカネキンノホシとシンボリインディ。


デビュー以来両者共に岡部幸雄が騎乗し続け、前者はラジオたんぱ杯でアドマイヤベガの2着食い込むなど早くから長い距離に適性を示し、後者はデビュー戦こそ評判馬スリリングサンデーに敗れたが、その後マイル戦を正攻法の競馬で2連勝。


問題は、まだ外国産馬にクラシックが開放されていなかった当時、このマルガイ両雄の春は必然と「NHKマイルカップ」になることにあった。


岡部騎手がどちらに乗るのか。

魅力的な2頭だが、将来性を考えると長い距離に適性のありそうなマチカネキンノホシに軍配が上がる。朝日杯、ラジオたんぱ杯と間近で見てきた分、心情的にもだ。しかし朝日杯を見る限り1600Mという距離には疑問符がつく。そこへいくとシンボリインディはマイルを2連勝。まだ実力が露になっていないだけに敵に回すと何とも不気味だ。


ともあれ岡部はキンノホシに乗った。

明らかに適性外と思われる1400Mの前哨戦で惨敗。


対するインディは、新コンビに横山典弘を迎えてひっそりと3才初陣を飾る。これでマイルを3連勝。本番に向けて確実にステップを重ねてきた。



本番当日シンボリインディの評価は6番手にとどまる。

しかし、ひたすらに実力を隠し続けたインディは末脚を炸裂させ、直線内を追い込んで決めた。キンノホシも4着と、一応の格好はつけた。だが、捨てた?馬にこうも鮮やかにやられるほど悔しいことはない。



飛躍が期待されたが、以後のシンボリインディはそれまでの優等生ぶりが嘘のように惨敗を繰り返す。同じ路線にブラックホークを抱える横山も彼のもとを去った。


そして4才の秋、京成杯AH。岡部の元へ2才戦以来久々に手綱が巡ってきた。

もはやコンビを組んでいた頃の優等生ではない。そこにいるのは、何とか復活のきっかけをつかみたい思いで必死のシンボリインディである。


レースも必死だった。

もっと切れてほしかった鞍上の思いとは裏腹にズブさを見せ、それでも最後はしぶとく伸びて何とかとらえ切ってフィニッシュ。懸命につかんだ勝利だ。



これで再び軌道に乗ってほしかったが…。

翌年のダービー卿CTで非情の結末が待ちうけていた。



シンボリインディ

牡 黒鹿毛 美浦 藤沢和雄厩舎

父:A.P.Indy

母:ゲーリックチューン(父Danzig)

15戦5勝

1999:NHKマイルC

2000:京成杯AH


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ダートでも強い!!

3才の春。選ばれし同期生たちが華やかなクラシックロードで生涯一度の栄光に挑んでいる最中、後に日本競馬史上最高マイラーの栄誉をほしいままにする栗毛の綺麗な大型馬は、静かに、そして才能の片鱗を匂わせながら遅まきのデビューを果たした。

 

未勝利戦、500万下とダートのレースを楽勝。続く3才オープン菖蒲Sでは初の芝コースも何のその。その勢いで臨んだ菩提樹S。引き続き芝のレースだったが、牝馬テンザンストームの逃げ切りを許してしまう。4角での反応が少し悪く、直線半ばでようやくエンジンがかかるも、差を広げていたテンザンストームに猛追したところがゴール。クビ差の惜敗。

 

この後歴史的快進撃を続けるタイキシャトルの戦歴にただ1つぽっかりと空いた穴。これとは対照的に、“タイキシャトルを破った馬”のその後はシャトル封じに全エネルギーを使い切ってしまったかのごとく、輝くところのないままターフを後にする。

 

 

休養から復帰したタイキシャトルの秋初戦はダート戦のユニコーンS(当時は秋施行)。単勝オッズは自身生涯最低となる3番人気に甘んじる。

 

デビュー当初から変わらぬ抜群のレースセンスで好位をキープすると、直線では内を狙う。一瞬前が塞がるような場面もあったが、これをこじ開けると、外から先頭に立つクリスタルCの覇者ワシントンカラーに内から襲いかかる。2頭の一騎打ちかと思うのも束の間、あっという間にタイキシャトルの勝利が確定する。2馬身1/2突き放す完勝。

 

この1月後に古馬混合の根岸Sを制すなどダート重賞通算3勝の巧者ワシントンカラー、さらにはやはり後のダート戦線を賑わすオースミジェットを問題にしないダート適性は、もちろんダートの舞台でも頂点を狙える能力であったことを物語っている。


の楽勝劇に岡部はかなりの手応えを得ると、いよいよ秋の短距離王道ロードを歩むローテーションが決定する。そして『岡部幸雄・藤沢和雄・タイキ』黄金ラインの視線は、翌年の海外遠征へと大きく飛翔するのである。


・・・シャトルから遅れること1年と半年、テンザンストームも現役を退く。その最初の交配相手に選ばれたのがタイキシャトル。テンザンアモーレ(牝3)と名付けられた青鹿毛の牝馬は年明けの未勝利戦で見事初勝利を飾っている。その後2戦は大敗したが、長い目でこの一味違った夢の結晶を見守っていきたいと思う。

イーグルカフェ


共同通信杯で小島太調教師に初の重賞タイトルをもたらしたイーグルカフェだったが、続くニュージーランドトロフィーで大きく敗れ、さらにこのレースを勝った2才王者エイシンプレストンが骨折により回避と、混戦模様の1戦。イーグルはマチカネホクシンに次ぐ2番人気。

 

鞍上の岡部幸雄は馬のペースで走らせ、中団より後ろからレースを進めて4コーナーでは外目を回る。この時1頭置いた内側に後藤鞍上のトーヨーデヘアの姿があった。

 

中団の外で直線を向いたイーグルカフェから「感じられる手応えは十二分」。スルスルと前の馬をかわしていく。一方の後藤浩輝は、内側の馬群が開けたところを目掛ける。マチカネホクシンは、いつの間にかイーグルの直後にまで接近してきている。

 

「それほど仕掛けていないのにスッと先頭に立ってしまった」

外からイーグルカフェが先頭に踊り出ようとする。しかし勝負する前に先行勢をかわしてしまった為、闘争心をあおるライバルの姿が近くにない。気を抜きはしないかという懸念。マチカネはイーグルに追いつくまでに既に脚を使っている。もはや「放してからのはじけるような瞬発力は凄い」というカフェに並ぶまでの勢いはない。

 

大きく離れた最内。一気に突き抜けてきた後藤が懸命に追っている。

 

外からは51才の岡部とイーグルカフェがただ1頭追い込んでくる。ラチ沿いにはGⅠ未勝利の後藤。こうなってしまえばキャリアだの実績だのは関係ない。どちらも必死である。勝負は鼻差で岡部に軍配が上がる。

 

 

イーグルカフェ

  鹿毛  美浦 小島太厩舎

父:ガルチ

母:ネットダンサー(父:ヌレイエフ)

 

46戦5勝

2000年

NHKマイルC

  共同通信杯

2002年

JCダート

七夕賞

ビワ

「この馬ではもう3200Mは乗りたくない」


単勝1.3倍の圧倒的な支持に応え前年GⅠ1勝の身ながら年度代表馬に選出された貫禄を示した名手だったが、喜び一色というわけではなかった。しかしレース内容は正に堂々たる横綱相撲といえた。

 

有馬記念でトウカイテイオーの感動ストーリーを演出した後、京都記念を持ったままの7馬身差で楽勝して臨む1戦。しかし、当初大阪杯からの始動を予定していたトウカイテイオーは直前になって故障(故障がなくても有力ローテは宝塚記念だったが…)してしまい、日経賞の積極的なレース運びで復活の兆しが見え始めた前年の覇者ライスシャワーも直前で故障。さらに同世代のライバル、ウイニングチケットも休養中と、GⅠホースは菊花賞馬ビワハヤヒデと皐月賞馬ナリタタイシンの2頭のみとやや寂しいメンバー構成になってしまった。

 

そのナリタタイシンは目黒記念で末脚健在をアピールしてきたが、古馬となりチャンピオンの座を確固たるものにしたいビワハヤヒデにとっては負けられないレースだ。

 

11頭立ての少頭数。予想通りルーブルアクトがスローペースで先頭を引っ張る中、1周目の3コーナーでビワハヤヒデが飛んで行きそうになる。それを名手が必死にこらえて抑えて、何とか2番手で折り合いをつけることに成功する。アル共杯、日経新春杯、阪神大賞典と3連勝中のムッシュシェクルが、いつもより前の位置取りでビワをマークし、武豊鞍上のナリタタイシンは自分の型を守って後方から。

 

2周目の3コーナー。ナリタが外からジワジワと差を詰め始める。ビワハヤヒデは持ったままの手応えで終始2番手をキープ。最終コーナーをカーブし、先頭に並びかけると他馬とは違いすぎる手応え。ただ1頭抵抗してきたのは、やはりナリタタイシン。大外から襲い掛かってくる。勢いではナリタが優勢だったが、全快のナリタに対しビワは余力十分。本格的に追い出された瞬間、ビワハヤヒデの勝利が確定した。追いこんできたナリタタイシンにそれ以上追い込ませない伸びを見せ、逆に差を広げてのゴール。この瞬間、名実共にビワハヤヒデが古馬のチャンピオンになったのである。


 

メンバーこそ手薄だったが力の違い、パフォーマンスの違いは歴然としていた。打倒トウカイテイオーに向けて負けられない1戦を見事手中に収め、さらには皐月賞を制した三冠候補の弟ナリタブライアンとの兄弟対決に向けて、ビワハヤヒデが王道を突き進んでいく。

 

しかし、脚元のすぐれないトウカイテイオーが再びターフに戻ってくることはなく、自身も秋の天皇賞の故障で引退という無情の結末。テイオーとの再戦、兄弟対決のいずれもが夢物語と化してしまった。

 

 

また、主戦の岡部幸雄はビワハヤヒデについて“ルドルフの次”という高い評価を下している。

 

 

ビワハヤヒデ

  芦毛  栗東 浜田厩舎  1610

父:シャルード

母:パシフィカス(父:ノーザンダンサー)

 

1992

デイリー杯

朝日杯(2着)

1993

菊花賞

神戸新聞杯

有馬記念・ダービー・皐月賞・共同通信杯(2着)

1994

天皇賞(春)・宝塚記念

京都記念・オールカマー

★代表産駒
サンエムエックス(日経新春杯2着、ステイヤーズS3着)
一発大物の出現を期待!!


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スティンガー

20日ほど前、桜のヒロインを決定する舞台にスティンガー岡部幸雄の姿は確かにあった。しかしヒロインではなかった。3戦3勝で終えた2才シーズンからステップレースを挟まずに直行で臨んだ1戦にもかかわらず、1番人気の支持。ファンからは新ヒロインとして指名されたが、スタートでまさかの出遅れを喫した時点で桜の女神からは見捨てられていた。

所変わって5月の府中。仕切り直しを計りたい陣営は、このオークストライアルを選択してきた。出遅れた桜花賞はもちろん論外。桜花賞2着のフサイチエアデールやチューリップ賞を逃げ切ったエイシンルーデンスなど、現在の実力馬との力量差を測るには格好のレースだ。ここで好勝負できないようなら、2才女王の威信は一気に倒壊する。


桜花賞の結果が評価にストレートに反映され、人気では武豊が操るフサイチエアデールに譲った。

予定通りエイシンルーデンスが逃げる流れを、フサイチエアデールが3番手につけ、岡部は直後でこれをマークするという、実績馬が先行する展開。前の隊列は変わらず、中団に付けていたクロックワークも早めに進出して、スティンガーの外に並びかけてくる。

残り400Mでフサイチエアデールが先頭に踊り出る。4コーナーで深追いせずに脚をためていた岡部は、これをすぐには追わず、外から追い上げてきたクロックワークの脚色を確かめながらエンジンを入れる。後方に敵はいない。完全にこの3頭の勝負になった。

追い出されたスティンガーは一旦並びかけられたクロックワークに競り勝つと、そこからもしぶとく伸び、内で粘るフサイチエアデールをゴール前で僅かに交わし、激しい直線の追い比べを制した。

前半行きたがる場面はあったが、これまでにないしぶとく、そして正攻法の競馬が出来たことは大きな収穫。3才になってもトップクラスの競馬ができたことで、次走以降に大きな期待を抱かせた。また岡部騎手にとってもこの年初めての重賞勝利となった。前年タイキシャトルで海外GⅠを手中にした名手も、この年は4ヵ月間重賞に縁がなかったのである。


この後、オークスでは4着に敗れたものの、秋には果敢にも天皇賞に挑戦。スペシャルウィークやセイウンスカイなど、強豪牡馬相手の戦いに挑んでいくことになる。


【結果】
1着:スティンガー           2.01.4   岡部   2人気   直線競勝 (3-5-5)
2着:フサイチエアデール        武豊    1人気   直一旦先 (3-3-3)
3着:クロックワーク          1/2   横山典  3人気   直線競負 (7-6-5)


しのぎを削ったフサイチエアデールは、繁殖牝馬としても初仔ライラプス(父:フレンチデピュティー)が今年のクイーンCを制して桜花賞に駒を進めるなど、幸先の良いスタートを切っている。スティンガーの仔がデビューする日をゆっくりと待つことにしよう。


スティンガー
美浦  藤沢和雄厩舎  21戦7勝
父:サンデーサイレンス
母:レガシーオブストレングス(父:アファームド)

1998:阪神3才牝馬S(GⅠ)
1999:4才牝馬特別
2000:京王杯SC
        京都牝馬特別
2001:京王杯SC


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ff

前年、休養明けの谷川岳Sを制し、その勢いで安田記念を3着と健闘すると以後のGⅠを2、4、2着と、古馬になり超良血(同馬はヒシアマゾンの父シアトリカルの半弟)の素質が開花しつつあったタイキブリザード。しかし上昇気流に乗った前年はGⅠ以外の重賞には未出走という事情もあり、未だ重賞タイトルをものにしていなかった。

 

そんな中、5才初戦がこの産経大阪杯(GⅡ)。前年の有馬記念でマヤノトップガンの2着に踏ん張って以来の休養明けながら単勝2倍を下回る圧倒的な1番人気に支持されたのも、期待の大きさの表れだろう。

 

前々年の天皇賞馬ネーハイシーザーが単騎で楽に逃げる中、タイキブリザード&岡部は直後の2番手に付ける積極策。同じく勝ち切れない前年のオークス馬2番人気ダンスパートナー&武豊は中団より後ろの定位置を進む。

 

レースは3~4コーナーで一気に動く。

逃げるネーハイを、岡部はまだ交わさない。エネルギーをためにためている。じれったくなった好位グループは一斉に仕掛けだす。武豊はその後ろ。激化する先行集団を避けて進路を外へとる。4コーナーでは横に大きく広がった。

 

直線。岡部はまだ追わない。直後でじっとしていたアラタマワンダーがネーハイとタイキの間を狙う。コーナーで仕掛けた先行勢は伸びを欠く。ダンスパートナーは大外へ持ち出していよいよ追い出しに入る。

 

残り300M。追い出されたタイキブリザードは逃げるネーハイシーザーを交わして先頭に踊り出る。アラタマワンダーは進路を変えて今度はタイキの外から差を詰める。大外からダンスパートナーが勢いよく伸びてくる。しかしタイキとの差がある上、ためていたタイキには余力が残っている。

 

この2頭の2着争いかと思われたその瞬間、画面に入りきらないような更に大外からインターユニークが突っ込んできた。ダンスより後ろから差してきたのだ。勢いはダンスより優勢。ダンスを外から交わす。しかしあと一歩、僅かに首差及ばずそこがゴールラインだった。更に鼻差でアラタマワンダー、首差でダンスパートナー。

 

勝ったのはタイキブリザード。嬉しい重賞初制覇だ。ゴール前は後続の一斉追い上げにヒヤッとしたが、しっかりと残すところが名手岡部。以後の飛躍の為にも落とせない一戦をしっかりとものにしてみせた。

 

タイキブリザード

黒鹿毛 美浦 藤沢和雄厩舎 236

父:シアトルスルー

母:ツルーオブナリッジ(父:ササフラ)

 

1997安田記念

1997京王杯SC

1997:BCクラシック(6着)

1997:オークツリーBCM(3着)

1996産経大阪杯

1996:安田記念(2着)

1996:BCクラシック(13着)

1995:有馬記念(2着)

1995:宝塚記念(2着)

1995:安田記念(3着)

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「これがあのフラワーパークか…」前年の勝利が余りにも鮮やかすぎたスプリント女王が全く別の馬になってしまったかのように後方でもがき苦しむ中、英国ダービー馬ドクターデヴィアスの半弟シンコウキングは中段の内からスルスル進出し、射程圏にとらえた4コーナーでは外側に出し、直線で内ラチ沿いで粘るエイシンバーリンを豪快に差し切ってGⅠ初制覇を飾った。(当時の名称は高松宮杯)

出世が遅れ前年秋からようやく重賞の舞台に登場するもなかなか勝負圏内に絡めず壁にぶち当たっていた超良血馬が、その重責を24戦目にして果たした。


同馬の重賞初出走以降の成績は、
96年 スワンS:4着
富士S(当時は1800Mのオープン特別戦):1着
マイルCS:6着
スプリンターズS:3着
97年 マイラーズC:5着
阪急杯:7着
シルクロードS:3着
高松宮杯:1着
スワンS:9着
マイルCS:16着
香港国際ボウル:3着



成績を見ると“GⅢですら3着が精一杯”という感じ。しかしながら大一番で大仕事をやってのけるあたりは、さすがに期待された血筋の成せる技か、あるいは前日もデュークグランプリで武蔵野Sを制した冴え渡る名手の手腕か。しかもこの1戦を最後に秋は闘志を失ってしまったかのように燃え尽きてしまう。

この高松宮杯は、
シンコウキングがその血筋に恥じない輝きを、
生涯で一度だけ放つことができた瞬間である。


~~

スーパー競馬の大川氏のレース回顧では、直線入り口で勝ち馬がマサラッキとシンコウフォレストの狭い間を狙おうとしている所に着眼し、


「同じ“シンコウ”だから(岡部騎手が)声を掛けて
道を開けてもらったのかもしれない」



とユーモラスなコメントを残している。本当のところはどうなのだろう?ちょっと見た限りでは“狭い間を上手く抜けてきた”と見てしまうが…。深読みするなら外側にいたシンコウフォレストの鞍上は岡部騎手を尊敬する四位騎手。この瞬間2人の間に何かしらの“会話”があったとしたら面白い。


レース後の岡部騎手
「良い脚を使ってくれたね~。向う正面はよくなかったけれど、3コーナーの手応えで“これはまだおつりがある”と感じた」
武豊騎手に並ばれたGⅠ勝利数を再び引き離した(23勝目)ことについては、「そんなのレベルじゃないですから」と、マスコミが話題にしたがる“細かな数字”は全く眼中に入っていない様子。


シンコウキング
牡 鹿毛 美浦 藤沢和雄厩舎 27戦8勝
父:フェアリーキング
母父:アレッジド
半兄:ドクターデヴィアス



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前年の朝日杯チャンプの年明け初戦はこのレース。

バブルの居ぬ間に、今やすっかりクラシックの登竜門としての地位を不動のものとした「ラジオたんぱ杯」組を始めとする新興勢力がメキメキと頭角を現していた。

弥生賞を力強い競馬で完勝したダンスインザダーク、同3着のイシノサンデー。そしてラジオたんぱ杯、きさらぎ賞と立て続けにダンスを破っているロイヤルタッチ


しかし充電を終えて戻ってきたバブルガムフェローのレース振りは、GⅠ馬の貫禄を十分に見せつけるものだった。2才時からすでに優等生的なレース振りを身につけていたが、このレースでは今後に備え岡部騎手の教育を改めて受けることになる。

道中の位置取りは中段よりも後ろと、やや意図的にこれまでと異なる競馬をバブルに課す。そして最終コーナーでもポジションはそのままで直線。

だが追い出されるや瞬く間に性能の違いを披露。最後詰め寄った2着馬を全く問題にしない内容だ。

「やっと思いどおりの競馬ができる
サンデーの子に巡り会えた」



辛口の鞍上からも想像以上の手応えが感じ取れる。この年はサンデーサイレンス産駒の2期目にあたり、ファーストクロップだった前年には同じサンデーの子、おてんばプライムステージに手を焼いていたことを考えると面白い。


しかし、バブルガムフェローのクラシックはここで閉幕。無情の骨折だ。この後は、戦いの矛先を古馬とのステージへ追い求めていくことになるのだ。


バブルを合わせた4頭はいずれも、前年初年度産駒が大ブレイクしたサンデーサイレンス産駒ということで当時“SS四天王”などと呼ばれていたが、結局ダンスインザダークも皐月賞を回避。今年も絵に描いたかの如くストーミーカフェが骨折で春全休に追い込まれる等、いつの時代も名馬が無事に集うこと自体が難しいのだなと改めて実感してしまった。



バブルガムフェロー
牡 鹿毛 美浦 藤沢和厩舎
父:サンデーサイレンス
母:バブルカンパニー(父リファール)

13戦7勝
天皇賞秋
朝日杯3才S
毎日王冠
鳴尾記念
スプリングS
宝塚記念(2着)
天皇賞秋(2着)
ジャパンカップ(3着)


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