熱心なことに正月早々、元旦から営業が始まる、とある特大ショッピングセンター。前日、つまり大晦日もみっちり働いているのは言うまでもなく、誠にご苦労なことである。
祝日の中でも特に趣のあるのが元日。それは普段の土日祝日は営業してもこの日だけは休む店が多いことからも明白で、だからこそそこに活路を見出して勝負するわけだが、自由競争とは恐ろしいものである。


今年の福袋。狙いを服ではなく雑貨に絞った。特にBAGである。
12月の半ば頃から始動し、幸福なイベントなどでは決してない、世の中を勝ち組と負け組みに冷徹に二分するイベントの収束を待ち、そこから本格的に情報を集めた。


チラシで福袋情報を確認。


 「¥10000(50000円相当)限定20個!」


この雑貨屋はBAGがメインの店。
50000円相当ならBAG(レザーもしくはフェイクレザーあたりの)の一つは入っていて不思議ないだろう。レザータイプが主力商品なのだから。しかし、かのノストラダムスの大予言だって外れるのがこの世である。凡人の愚かな予測など簡単にあざ笑われるのがオチである…。


戦利品?を披露すると、
・ダウンジャケット
・カットソー2枚


……。
はっきり言って不要である。
福袋だから色や形に対して文句を言うつもりはない…(黄色のカットソーなどいつ着ればいいのか?なんて言うつもりは、、、ない……)。
そして肝心のBAGがない!!!!
もしかして、衣類が収められていたこのナイロン袋をBAGと言いたいのか???
なるほど広義にとればBAGだろう。しかし当事者から言わせてもらえば単なる袋である。アウターが収まるぐらいだから容量はある。持ち手もある。そしてつぶしてしまえばポケットに入るぐらいコンパクトに(ペシャンコに…)なる。要は東急ハンズの便利グッズコーナーに¥1000で売られているような代物でしかない。


この袋に服が3枚。


もう一度言うが雑貨屋である。
服をメインとして雑貨をサブに扱っているわけではない。
雑貨屋である。
BAGをメインに財布やマフラー、手袋、サングラス、アクセサリー…。
この店のカラーを成す商品群が唯の一つも含まれていない。
すぐに活躍できるマフラーや手袋が入っていればまだ救いようがあるが、この店の福袋に入っていて然るべきアイテムとは見当違いな、あたかも福袋のために都合されたかのような同じラベルの服が3枚…。


服が欲しければ純粋に洋服屋に行っている。
服以外のファッション小物を狙ったからこその選択だったのだ。



オープンは10時。
20個限定では当然気合いが必要。
日光も暖房も届かぬところで、時計の針は優に1回転。そして2回転目指してぐんぐん進んでいく。おまけに今朝は今シーズン一番の冷え込み…。
この苦労をいとわぬ者だけがお目当ての福袋をゲットできるのである。


終盤になると完全防備のつもりでも足先など徐々に感覚が麻痺してくる。膝がガクガクくる。おかげでいざ走り出すや下半身が硬直しすぎて上手く走れない。
そして辿り着いた先に待ち受けていた現実は、「¥5000(30000円相当)の福袋しか取り扱っていない」。


3万相当だと当たりのBAGを引き当てる可能性が少し減る。
だが、周到に準備を重ね、2時間近く凍えながらオリの施錠が解かれるのを待ち焦がれていた空腹なライオンに、冷静な思考を求めてはならない。


目の前にある待望の餌をパスして、そもそもありつけるかどうかも分からない他の餌を探し求めることなど出来ないのだ。情報は限られている。それにライバル達に大きく先行を許しているというこの状況で…。
だから買わざるを得ない。買えば当たるかもしれない。しかし買わなければそれまでの努力が水泡に帰すのみ。ライオンは哀れである…。



その後クレームをつけるも、良心的な店員の対応により何とか和解に至る。
2008年、こんなところでつまずいてはいられない…。