アコム訴訟外和解を錯誤無効とした判決をいただきました。


前回のアイフルについての記事で取り上げたのと同じ,さいたま地判平成27年3月6日(平成26年(ワ)第718号不当利得返還請求事件)です(アイフルとアコムの両社を被告とした訴訟です。)。


依頼者のご承諾を得たので,判決文 をpdfで掲載します。


以下はその抜粋です。

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(1) 証拠(乙B2ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,原告と被告アコムは,平成17年12月21日,原告の被告アコムに対するローン債務について,残元金99万9036円と利息1万8182円の合計101万7218円が残存していること,このうち残元金を,月額1万5000円(最終回9036円)に分割して,原告が被告アコムに支払うこと,被告アコムはその余の債権を放棄することなど内容とする合意をして,その旨の平成17年契約書を作成し,その後,原告と被告アコムは,平成23年7月29日,原告の被告アコムに対するローン債務の残金が8万6781円であること,これを月額1万5000円(最終回1万1781円)に分割して支払うことなどを内容とする平成23年契約書を作成し,さらに,平成24年2月7日,同様に原告の被告アコムに対するローン債務の残額が5万2952円であること,これを月額3000円(最終回1952円)に分割して支払うことなどを内容とする平成24年示談書を作成したことが認められる。


(2) 上記各合意の内容に照らすと,これらが和解契約に該当することは明らかであり,また,過払金返還請求権は,貸金債務と表裏をなすものであり,上記貸金についての和解契約に過払金返還債務が含まれないとすることは困難であって,これらの点に関する原告の主張は採用できない。


(3) しかしながら,本件各契約は,原告が,法的な専門家を代理人とすることなく,裁判や調停といった法的な手続を介することなく締結したものであり,本件各契約で確認したローン債務の額は,約定利率で計算した貸金残額と同額であり(乙B1ないし4),本件各契約締結時において,取引履歴が開示されたことはうかがわれず,過払金の有無や貸金業法43条1項の適用の話も出ていなかったものであるところ,実際には,本件各契約締結時点で,利息制限法所定の制限利率に引き直して計算すると,本件和解契約締結当時の残債務額は,残元金16万5621円と利息2123円の合計16万7744円にとどまり,平成23年契約当時は73万2993円の過払金元本と8万9918円の利息,平成24年契約当時は76万7964円の過払金元本と10万9672円の利息が生じていたことが認められる。


そして,本件各契約の前提と,利息制限法による引き直し計算に基づく残額が大きく乖離していることを原告が認識していれば,およそ本件各契約の締結に至らなかったことは明らかであり,上記のとおり,本件各契約の締結においては,専門家の関与や取引履歴の開示もなく,みなし弁済の適用等の話題も出ていなかったことからすると,本件各契約においては,残債務の存在及び額は当然の前提として争いの対象とされず,原告は,引き直し計算が認められる可能性があることや引き直し計算をした場合の残債務の有無及び過払金の有無等について認識せずに本件和解契約を締結したものと認められ,このことは当時貸金業者である被告アコムも認識していたものと推認するのが相当である。


したがって,原告の意思表示には動機の錯誤があり,かつ,その動機は少なくとも黙示的に表示されて法律行為の内容となったと認められるから,本件和解契約は錯誤により無効であると解するのが相当である。

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アコムの訴訟外和解については,数年前から,錯誤無効とする判例が出始めたように思います。

この傾向は,アコム以外の業者の訴訟外和解についても同様で,先日も,東京高裁にて,新生フィナンシャルの訴訟外和解を無効とする控訴審判決(東京高判平成27年2月25日)がなされました(詳細は,私もよく情報をいただいている,名古屋消費者信用問題研究会のサイト を参照ください。)。


私自身,この訴訟中,「これは誰がどう見ても錯誤無効だろう。」と思っており,勝訴を確信していたのですが,他方では「やはり判決が出るまでは何があるかわからない。」という気持ちもあったので,勝訴判決をいただいてホッとしましたニコニコ


ただ,アコムは,この論点で敗訴すると控訴する方針のようで,代理人から早速,「控訴します。」との連絡が来ました。なお,アコム代理人は,「第1審判決で認容された金額を仮払いする。」とも述べていたので,とりあえず支払いを受けるつもりです。


今後,アイフル同様,東京高等裁判所の控訴審判決をいただくことになると思いますが,同じく最後まで気を抜かないで対処しようと思います。

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