ルールが違うわけではない
テーマ:審判レポート2010南アフリカW杯準決勝 ドイツvsスペイン カッサイ主審評:5
■主審:ヴィクトール・カッサイ
採点:5
「カッサイ主審。他の審判と違ってファウルをとらない基準でしたね」
これは間違った認識だと思っている。
カッサイ主審は別にファウルをとらない審判ではない。ラウンド16のガーナ対アメリカ戦では、7分に警告を出しているし、影響したファウルはとっていた。よく言われる“欧州基準はファウルをとらない”があるわけではないし、そもそもで彼らに“欧州基準”なんて言っても首をひねられるだけだ。
では、なぜ、ほとんどファウルのない試合になったのか。
答えは簡単で、ファウルがないから。
たとえこちらがファウルをしたつもりでも、相手が影響をうけていなければそれはファウルにならない。たとえば、小学生が私の足を蹴ったとしても、私がまったく影響を受けていなければファウルにならない。
これと同じ理論がこの試合では起きていた。
ドイツの選手も、スペインの選手も。ファウルのようなチャージを受けても、影響されずに前に進む。だから、カッサイ主審はファウルをとらなかった。
今大会の基準。【①影響をしたファウルはとる】が、この試合では影響されることがなく、かつ【②フィフティなコンタクトは流す】ため、流れるようなゲームになったのだ。
20秒のシーンは互いに足をあげていたため。24分のシーンは、互いにボールにいっているためノーファウル。逆に、26分にはポドルスキが足をふまれ、影響したためファウルをとったという一連の流れが物語っている。
その後も基準は変わらない。
41分、イニエスタを体で止めたボアテンクのファウル。
45分、エジルへのPA内でのチャージは腕を使ったようにも見えたが、引っ張ってはおらず、ボールに対するコンタクトということでノーファウル。
62分、クロスに対するセルヒオラモスへのポドルスキのチャージもボールに対するフィフティのコンタクトということでノーファウル。スローでみると、確かにボールにプレーしている。
84分のプジョルのシュバインシュタイガーへのスライディングタックルは、足に入ったが、貰いにいったと判断したのだろう。
このように試合を振り返ると、決して特殊な基準があった訳ではない。むしろ、特筆すべきなのはポジショニング。フィフティなプレーを流す時は、5m以内に入り、‘起きなさい’というジェスチャーをする。
“見えた上で流している”という姿勢が、選手に受け入れさせているのだ。付け加えるなら、カッサイ主審を選手たちが理解しているというのもあるだろう。彼らはカッサイ主審のレフェリングで何度もプレーしているのだから。
審判により基準は変わる。ただ、あくまでも審判という枠のなかでの基準だ。特殊な基準は一部のリーグにしか存在せず、西村氏もカッサイ氏も基本的な基準は同じだ。
審判のゲームコントロールは重要だが、選手抜きでは語れない。審判員には、その象徴のように見えた試合ではないだろうか。
~採点基準~
5:彼なしに試合はありえなかった
4:普通に試合を終わらせた
3:ミスにも見えるシーンがあったが、試合に影響はなかった
2:試合に影響はなかったかもしれないが、カード・得点に対する微妙なシーンがあった
1:ミスから試合の流れを変えてしまった
0:試合を壊してしまった

![レフェリング -Lows of the game- [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51COvvCYedL._SL160_.jpg)







![ジュニアサッカーを応援しよう 2011年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61VrWfA2w3L._SL160_.jpg)

![レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/5171J8OBEeL._SL160_.jpg)



1 ■選手の意識
欧州基準のジャッジというより、選手が欧州基準のタフなプレーを演じた結果、アグレッシブで流れるゲームになったと思います。
審判団のジャッジ基準を受け入れて選手がプレーする見本のようなゲームでした。
代表の強化はまず自国リーグからですが、Jリーグを普段見ていて、選手側がもっと受け入れる努力をする必要があると感じる場面が多すぎます。
タフなプレーをワールドカップで演じた代表選手がJでも同じようにタフにプレーする事で全体にそういう雰囲気を作って欲しいと思います。