韓流イサンあらすじ一覧!大人気韓流ドラマ イ・サンのあらすじ詳細知りたい情報満載!

18世紀後期の朝鮮王朝第22代王、正祖(チョンジョ)、名はイ・サン。
陰謀渦巻く朝廷で幾度もの暗殺の危機を乗り越え、偉大な王として多くの功績を残したイ・サンの波乱万丈の生涯を描く歴史エンターテイメント・ドラマ。
そんなイ・サンのあらすじはこちらをチェック!


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墓所からの帰り、清銭の使用に対し、デモが起こっていると聞いて、興仁門の現場へ寄る。後から後から抗議に押し寄せているのは商人達だった。

原因は、緊急輸入した清の銅銭が偽造されて、市場へ大量に流れていることにあった。


サンは4日間もまともに眠らず仕事に没頭した。寝床できちんと休息を取って欲しいと執務室までわざわざ迎えに来たナム尚膳には、こう言った。

「これしきのことでは倒れはしない。地方に広がるニセ銭の状況を把握しなければならないから」

ナムは仕方なく執務室を後にすると、前庭へ控えていた尚宮に、王様は熱がおありのようだから御医を呼ぶようにと、深刻な様子で指示した。

王様への報告のため、執務室の前庭へ現れたヤギョンには、急ぎでなければ日を改めるよう断りを入れた。


そのためヤギョンの報告は、翌日の会議でとなった。参加者の顔ぶれはサンの他、パク・チェガ、ヤギョンなど検書官6名である。

店を再開できずにいる商人達からサンは直接、話を聞こうと、ナムを伴い、お忍びで市場へ繰り出した。

それから鋳造工房を見学し、すぐその足で、今度は銭の保管部署へ立ち寄った。

四角い穴あき銅銭の詰まった赤い板箱が、使い道のないまま土埃とともに壁の両側へ積み上げられている。問題は、追加分がさらに清からまもなく到着予定だということである。


御前会議を召集し、サンが重臣らに向け発表した解決策は以下の通り。

「清の銅銭の流通令を撤回する。回収によって朝廷は莫大な損失を被るが、民の生活を脅かしてまで信用できない通貨を使うことはできない。これが最善の策だと私は思う」


サンもたびたび鋳銭所に足を運んで、検書官らと一緒に、文献と銭を虫めがねで照らし合わせては、もっと安く銭を鋳造しようと、新種の鉱物の調査に取り組んだ。

磁鉄鉱を使った硬貨の見本をヤギョンが持ってきたとき、サンは昨夜からの泊まり込みで、本当はもう支えなしで立ってはいられない状態だった。しかしヤギョンには、ただ王様が何となく、椅子の背に手をもたれているくらいにしか見えなかったようだ。

サンは銭を指でつまんでよく眺めてから言った。

「常平通宝と比べてみたい」

「では取って参ります」ヤギョンはいったん部屋を去った。


王様が鋳銭所で倒れられたとの一報が中殿に入る。

年老いた恵慶宮は嘆き悲しみ、心配のあまりその場に倒れ込んでしまいそうだったが、持ち前の芯の強さで気力を奮い立たせると、慌ただしくサンの寝室へと飛んで行った。

御医はサンの枕元で中殿らにこう病状を告白した。

「体中に腫れものが出ております。それが膿んで高熱を発したため気を失われたのです。熊臓膏を処方していますが、意識の回復は何とも言えません。加減逍遥散をお出ししましょう。王様もこの処方を望んでおられましたので。これまで医官が反対していましたのは、解熱効果はあっても腫れものには効かないからです。ですが腫れものの治療はあきらめます。3日以上、熱が下がらなければこれ以上打つ手がありません」


御医や医官、医女たちがそれこそ付きっきりで、念入りに王様の看病をした。

しかし3日目の夜には、金の燭台と、模様のついた黄色いろうそくを残して、彼らも全員、部屋から引きあげていった。

サンはまだ深い眠りから覚めようとしない。息をするたび、花の刺繍をあしらった絹の掛け布団が、胸のところで持ちあがる。四角い枕へ置いた頭は、哀れにもぐらぐらと揺れ続けた。唇は乾いてしぼみ、ときどきソンヨンを呼んでいるかのような形に開いた。

ふっと迷路のような格子模様の丸障子に人影がさし、花と副印の銀の刺繍をあしらったスカートのすそから、白い足袋が出て敷居をまたいだ。小さめのその足は、病人を起こさないよう、王様に忍びより、赤い盆を床へ置いた。てっぺんのリボンを持ち、布を取り払うと、煎じ薬の入った白磁の器があらわれた。

ソンヨンは目の周りを涙で赤く濡らして、いかにも懐かしそうに、まるで自分の大切な子供でも見るように、サンをのぞきこんだ。

どうしてもっと体を大切しないのかと、責めたい気持ちも少しある。しかし仕事をやめろと言うのは、やっぱり無理に違いない。だからこそより愛しく、可哀そうでならなかった。

ソンヨンは白いひげのまじったサンのやつれた顔に、自分の小指を流して、手のひらで頬を包みこんだ。

ぽたりと落ちたソンヨンの涙が皮膚に当たって、サンが薄っすらと眩しそうに目を開けた。

手を伸ばしたいのに、重くて動かない。するとソンヨンがサンの手を取り、抱き込むように握り返した。かぼそい息しか出ずに声にもならないまま、サンは話した。

「そなたなのか。そこにいるのは…。ソンヨンなのか」

「はい。王様、私です。私はここにいます。元気を出してください。まだ王様にはやるべきことが残っているではありませんか」

ソンヨンは微笑みながら泣いている。ソンヨンとしっかり目があったことで、サンは何だか急にホッと胸をなでおろした。

大殿の前庭が急に慌ただしくなったのは、その直後である。

御医から知らせを聞いて、中殿らもナム尚膳と一緒に寝室へとバタバタと入っていった。


「王様、私です。お分かりになりますか?」

中殿が涙目で、サンの顔をのぞき込んだ。

ナムも顔を輝かせて後ろに立っている。それから医女が薬を飲ませようと、寝床からぐったりした王様の体を起こした。しかし王様がお尻の真ん中の骨だけで座っているので、コマのように後ろへ倒れてしまわないかと、首と肩を支える必要があった。

皆の目には意識もうろうとした状態に見えても、サンの頭の中は冷静だった。

さっきまでそばにいたソンヨンがいないのが残念だった。まだ死ぬには早すぎたかと、自分でも面白おかしく思った。


サンは何とか自力で座イスに座っていられるようになると、1日中、卓上机の前で上奏文に目を通した。

ナムやテスは心配し、また忠告もしたが、サンにとってみれば、残りわずかな時間だからこそ、1秒も無駄にできなかった。

新しい上奏文を盆にのせ、部屋に運んで、ナムはまたすぐに外へさがった。

サンは丸めがねを手に取り、おぼつかない手で両耳にひもをかけた。レンズの位置を落ちくぼんで腫れた両目へしっかり合わせても、上奏文の文字は、いつまでも大きくかすんでいる。1つ読み終わると筆を取り、紙にできるだけ目を近づけ、署名していった。また次の上奏文を広げて、署名する。羽の折れた白鳥のように、首と顔をうずめて一人孤独に、夜が更けても延々とこの作業を繰り返すのだった。


王様に呼ばれて、テスが大殿へ顔を出した。

幼い王様はテスを見るなり、親しげに笑い返して、まるでいたずらでもしたみたいに、肩をちょこっと、すくめてみせた。純祖、第23代国王である。

亡き王様の友人とあって、テスにはよく懐いていた。テスは純祖と一緒に、時敏堂へ散歩に行った。

「私が11歳の時でした。私が亡き王様にお会いしたのは」

「今の私と同じ年頃だな」

「はい。そうです、王様」

サンとの思い出話は、純祖の方から聞きたがった。


サンの墓は石の飾り柵と塔で囲まれている。塚の方は、周りの松林と同じくらいの高さに盛ってあった。

テスは墓へ話しかけようと、石碑の厚いテーブルに手をのせた。大きな丸脚の台座にのせてある分、肩と同じほどに高い。今の時期は供え物もなく、まっさらしていた。

「王様、いかがお過ごしですか。宣嬪様とは再会されましたか? 決して終わってはいません。止まってもいません。いつしか民は王様の夢を形にしてくれるでしょう」

テスは丘を振り返った。足元の向こうは、芝生がぷっつり途切れた水平線になっている。そのずっと下降に広がる景色は水原の都だろうか。

テスの目には、はっきりと見える。

時敏堂で偶然、出会った幼い子供は、王子と図画署の茶母に成長した。その若い2人が、天国で再会し、手を取り合い、まっすぐ歩いて行った道は、宮中の賑やかな催事が開かれてきた仁政殿の敷石の広場であった。



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王子は目の高さで紙を持って、背筋をまっすぐにした。1枚読んだら卓上机に重ね、また次の1枚を床から手に取る。

卓上机の周りに積み重ねた上奏文や巻きもの、書物の山は、小さな王子をうずめてしまいそうだ。

それでもまだ父上の質問に対する答えが見つからなくて、気分はどうもマンネリになってきた。

もう3日も食事をしていないと、ナムは王子の体をとても心配する。山菜などの小皿3つに、お椀、つけダレの器をのせた膳は、手がつけられないままだった。

王子は民と同じ食事でなければ、この謎は解けないと思い込んでいるらしい。

ひとまずこれが答えだと思うと、すぐに王様に会いに行った。

王様は丸メガネのひもを耳から外して、読みかけの文書を机へおろした。

「どうだ。答えは見つかったか。聖君になるために最も重要なものは何か」と、よほど答えを楽しみにしていたのか、机に前のめりで聞く。

「はい。民の願いを知ろうとすることです」

「その民の願いとは?」

「え? それは…安らかに暮らすことではありませんか?」王子は目をぱちくりとした。

「ではそのために王がすべきことは何か」すかさずまた質問が入る。

「王がすべきことですか。まずは…懸命に学問を修めることです。それから税金を減らして…」

うつろな目で答える王子に、サンが優しい父の声で結論を下した。

「それらも王がすべきことだが、最も重要とはいえない。もう一度ゆっくり考えてみよ」

王子は首をひねってしまった。サンは王子の口から正解が出なかったのを、少しは残念には思っていたが、期待を失ったわけではない。なにしろ自分も幼い頃に同じ質問をされたのだ。根気強く付き合うつもりでいる。

祖父はもっと厳しく、怖い人だった。ときどき火のように怒った。しかし今となっては、祖父の愛情の深さが、しみじみとよくわかる。


以前から仕事中に、頭痛とめまいに襲われていた。

どこまで持病で、どこまで過労なのかが曖昧だ。病状について御医とは詳しく話を交わしている。

市のたつ日だと聞き、市場へ視察に出かけた。景気が悪く、まるで賑わいがない。

宮殿に戻ってから、パク・チェガらと緊急会議を開く。議題は荒銭(デフレ)対策である。

銭の原料となる銅が高騰している。その対応策として、清の銅銭を輸入し、市場に流すことに決めた。

会議の後、訓練場に出向いて、壮勇営の試技を見学した。

執務室にて、テスから新しくまとめた軍の訓練書を受け取る。

サド王世子の「武芸新譜」に加筆された「武芸図譜通志」である。


王の食事係の水刺間の部署は、墓所への供え物の準備に追われた。

特に羅州と聞慶から献上された梨は、宣嬪の好物だから丁寧に扱うよう指示された。

翌日、サンは孝昌園で行われたその祭祀へ出席した。


お供の者は大勢いる。しかし出席者はそう多くない。

囲いも柵もない芝生の塚の周りに、脚が短く、お腹がぷっくり地面に付きそうな石像の馬が、のんびり立っていた。安らかな顔立ちの古来の学者風の像もある。ソンヨンらしい温かな雰囲気の漂う墓地である。

ソンヨンの墓碑からなかなか離れなかったワケを、テスはサンに言い訳した。

「王様のお体を守って欲しいと頼んでいたのです。健康を顧みず政務にばかり没頭されるので、休むよう言って欲しいと…」

「そうか。今夜は夢の中でソンヨンに小言を言われそうだな」

サンはこれを冗談と受け取ったのか、笑みを浮かべた。テスもつられて一瞬ホッとした気分になったが、じゃぁ仕事を減らそうかという雰囲気など、王様からちっとも感じない。現実は深刻だった。

「どうだテス? こうして見ると都の景色は壮観ではないか。私は民にとっていい王でありたい。額に汗して生きていく彼らのために力を尽くしたいのだ」

「王様、その願いはもう叶えられています。こんな太平な世はかつてなかったでしょう?」

「いや、満足するのはまだ早い。私にはやりたいことも、やるべきこともたくさん残っている」

テスは何だかまた心配になってサンを見つめた。雑木林の隙間から、夕方の光がこぼれ落ち、葉の1枚1枚が、サンの背後で白くぼんやり大きくなった。サンは目を細めて、都の景色をじっと見下ろしている。希望と寂しさの入り混じった目であった。これから成し遂げることへの不安と緊張が、サンに、ふと重いため息をつかせる。




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翌日、一行は都へ戻り、すぐまた現実に向き合った。

重臣らの拷問は朝から晩まで気絶するほど続けられたが、担当官は無駄骨に終わるのがわかっただけだった。

重臣たちは連判状に名前がないことを根拠に、大妃の関与をきっぱり否定した。

暗殺計画の前に、慎重なソクチュが念には念を入れたもう1つの作戦とは、本当に合同訓練の会場へ第二の刺客を送り込むことだったろうか?

処刑前日、ソクチュが獄中で、仲間の重臣らに強く誓わせたことがある。

「数百年続いてきた老論派の根を絶やしてはならぬ。忘れるな。老論派だけが我々が生きた証しを…!」


この小屋の石床は冷たい。土壁には手足に装着する鎖や、拷問用の長棒を立てかけてある。

サンが小屋を訪れたとき、大妃の目の周りは赤く、やつれ果てていた。それでも椅子に縛り付けになっているのを感じさせないほどに、威厳を保ち続けた。

「生きたところでどうなるのです? 宮殿を追われ、草葉に埋もれて暮らしたところで。私の命に価値があるのは大妃でいる時だけです。どんな手を使ってでも、私のいるべき場所に戻ってみせます」

「このまま重臣らの命を犠牲にするのですか?」

「ええ、そうです。私はそのつもりです」大妃はサンに小さく頷いた。

「いつかわかるでしょう。そうして手に入れた権力など風に舞い散る一握の灰に過ぎないことを。そんなもののために同士を捨てたことを」

大妃はもう聞くのが辛そうだった。歯をじっと食いしばり、耐え忍ぶ姿が、皮肉にもサンの問いかけに小さく頷いているように見えた。実際、サンの言っていることは、染み入るように理解ができた。自分の命はまさに重臣らの犠牲から成り立っているのだと。

サンがあきらめて小屋を出て行くと、場はしんと静かになった。事件の関与を認める代わりに、重臣らを助けたいとは、大妃はとうとう口にしなかった。それがソクチュとの最後の約束でもあった。

重臣一人一人の命のともしびが降り注ぐように、天袋の小窓から木漏れ日がさした。

外の声に大妃は哀れに耳を傾けた。

「刑場へ連れて行け。特にチェ・ソクチュは厳重に護送せよ。」役人がちょうど重臣らを連行しているようだった。じりじりと土を踏みしめる足音、そしてその様子を眺めているらしい男らの立ち話が聞こえた。

「ついに罪人たちが首を切られるらしい」「全部で8人だそうだ」

ともしびは今にも燃え尽きようとしている。大妃はとても孤独だった。

ふっくらした大妃の頬と、小さく1つに丸めた後ろ髪が、土壁に真黒な影となって映った。赤いひもで、ひじ掛け椅子に縛り付けられた両手は、動かすことさえできない。


特例で貸付米の返納の必要なくなったはずなのに、県監が私的に処罰し、民から米を収奪している。

暗行御史はそもそも地方役人の取り締まりを行う国王直属の官吏のはずだ。その暗行御史の懐に金を入れてやり、うまく丸めこむのも、また地方官吏が至福を肥やすための手段だった。

王命により、地方官吏と暗行御史の不正を、取り締まるよう命じられたヤギョンは、自らも暗行御史として地方を回ることになった。

暗行御史と県監をさっそく逮捕したあと、貸付米を滞納したとして牢に入れられていた民を解放、倉庫に貯めこまれた米も民にすべて返し終わった。

地方へ出たついでに、チャン・テウの屋敷を訪ねることにした。

今や朝廷を離れて隠居生活を送っていたテウは、質素だが質のいい服に、花のがくを3段重ねたような室内用の薄絹の帽子をかぶって、ヤギョンを部屋に迎えた。無駄なものを一切そぎ落としたゆえの品の良さで、中殿の孤独さとはまた違うものだった。

ヤギョンは、ついに五軍営が解体され壮勇営が取って代わったこと、現在は華城の貯水池の建造を進めていることをテウに伝えたが、細かいところではその他にも変化があった。

長い間、図画署に勤めたパク別提が退職することになったこと。

そしてパク・テロは従二品、壮勇営の大将に昇進するテスへの贈り物にと、明の刀匠が作った有名なホウォル刀を市場で品定めした。


その日、サンはまずパク・チェガらの案内で川の上流を視察した。

山から川にふりかかる霧が、空気を重くしている。川べりの小石の間に、飛びぬけて長く成長した1本の草が白い小花を咲かせていた。地面から豊富な水が浸み出すように、川はごく浅くなだらかに流れた。

「こちらが松竹に続く眞木川でございます。」とパク・チェガは説明した。

川幅が広く水量も十分で、堤防を築けば民のための貯水池が作れる。干ばつによる被害も格段に減るというわけだった。

部下の説明だと、すでに着工しており、ふた月もあれば完成するとのことだ。


現場を早々に引き揚げ、宮殿に戻ってからは武官の任命式をこなし、夜は執務室で遅くまで調べものをした。

恵慶宮に仕えるイ尚宮が、寝室へ帰る前に寄って欲しいとの恵慶宮のメッセージを伝えに来たので、すぐに行くと返事をし、ついでに調べものの方も、手じまいにすることにした。

今日はやけに疲れたとサンは思った。




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敷石の広場で合同訓練が行われている。盾、槍、刀兵が、それぞれ縦横無尽に隊をなす。入れ替わり立ち替わりする兵士の多さは、肩が触れ合うほどである。

空は闇。宮殿の赤い柱も奥に行くほど闇に包まれた。

大砲と大太鼓は、これほど大量の兵をひとまとめに動かす合図に使われる。

壇上に沿い半円状に広がった石の土台が、階段とバリケードの役目を果たしている。板で囲ったマス席から見物するのは、黄金のうろこ鎧を着たサンに、ジェゴン、パク・チェガら検書官、そして重臣らだ。

ジェゴンが王様に声をかけると、サンが「はじめよ」と静かに答えた。

「火を消せ!」

禁軍別将の合図で、横長く伸びていたタイマツの炎は、兵士の手で次々に足元へおろされて鎮火した。

同じとき、城内が暗闇になるのを待っていた刺客たちは、五営軍の招きにより城門を抜け、王様を暗殺しようと城内へ侵入した。


1日に2度の襲撃までは誰も予想しないだろう。敵の狙いはそこにある。警戒する兵士の気が、どうしても緩んでしまうからだ。

そう気づいたとき、なんとテスは会場からだいぶ離れた所にいた。それで大慌てで、自分は西暗門から城内へ入るから、今すぐ警砲で王様に危険を知らせるよう仲間に頼んでいた矢先、「火が消えます」と、ちょうど部下がやって来た。

テスは思わず遠くの城に目をやった。レンガ塀や石塀に吊るされたすべての灯篭の灯が、それこそ流れ星を描くように素早く消えていき、城は闇に包まれた。


サンはまるで周りが見えているかのように、宙へ視線を流した。ナム尚膳やジェゴンも眉を潜めた。

何かの影が動く気配がする。しかしまさか目の前で護衛兵が無残に切り殺され、さらに壇上の兵士まで、足元をさらわれたように地面に落ちていったとは、想像していなかった。

黒ずくめの男らは、刀を突き立て、いよいよサンのいる壇上へ忍び寄り、石段にのぼろうと足をかけた。

とっさにサンが、サヤに龍の巻き付いた王の刀をテーブルから取り、テスもまた、ひらりと壇上へ飛び入ってきた。

テスはそのままイノシシが頭から突進するように、刺客らの中へと走った。刺客たちは、切り倒されて、なだれのように石段の下へ振り落とされていく。

「火をつけろ!」

騒ぎに気づいたジェゴンが、怒鳴り散らしたとき、警砲の代わりに放った花火が、空へ高く舞い上がった。火の粉をちりちり飛ばしながら、まるで夜明けのように辺りを紅く染め、下の方に濃い煙を残した。

その数秒後には、広場すべての灯篭の火が灯って、辺りが再び明るくなった。

合同訓練に参加していた大勢の兵に取り囲まれた20名の刺客は、そのまま逃げ場を失い、立ちすくんだ。


城の外れの草地に、高床式の見張りやぐらがぽつんと建っている。ようやく偵察から戻って来た部下が、五営軍の上官の耳元に、ヒソヒソと何かをささやいた。

五営軍の上官は、すぐに五営軍を東門から退却させることに決めた。しかし次の瞬間、木戸と木窓を蹴り破って突入したテスの壮勇営の姿を見たのだった。

焚き火が鍋ごとひっくり返って、草地はたちまち逃げまどう五営軍と壮勇兵の戦場となった。

五営軍を鎮圧したあと、テス率いる壮勇営は、続いてソクチュら重臣とその護衛兵の潜伏先へ向かった。彼らの身柄が捕獲されたのは、役所の敷地内にわりと見られる屋敷風の宿泊場である。


翌日には予定通り、恵慶宮の還暦の催しが開かれた。

かんぬきを閉めた正面の扉門の両側に、同じ門が少し引っ込んで3枚の門になっている。屋根つきの木塀が周囲にわたり、その区切りごとの高い位置に小窓が1つずつあった。

門の手前には、赤と黄の配色がくっきりした塔が左右に2つ立っている。黄色い布柱がキノコのようにぐんと伸び、赤い六角形の傘のてっぺんから、白い鳥が会場を眺めているのだった。

チャン・テウをはじめとする重臣は、赤い布に紫の布を上掛けしたテーブル席から、催しを楽しんだ。

立って見ているパク・チェガら検書官らの後ろには、さらに大勢の役人らがひしめいていた。

中央のスペースに敷かれた赤じゅうたんが、王族たちの壇上席まで道のように伸びている。

広場の後方で演奏される合奏は、笛、琴、びわ、太鼓によるものだ。

鑑賞用の大太鼓の周りを、舞女がくるくるとコマのように回る。大太鼓に描かれた龍や花の模様は、優しくさわやかで色とりどりだった。

舞女は頭に桜の造花を、手には牡丹のような造花をつけ、その先に垂れた布びれをひらひら動かした。

舞女が回転するたびに、衣のスリットが、ふっくらしたスカートに何本も巻き付いては、また巻き戻る。

代表の舞女は、背後の踊り子たちより、うんと幅広の袖を、ゆったりなびかせながら、サンと恵慶宮の方を向いて踊った。

王族のテーブルには、果物、おこし煎餅などが、先っちょを結んだ袋に詰めて並べてある。料理はどれも白地の平皿に放射状に盛られ、白い瓶にはツバキが飾られた。

大柄の花をあしらった背後の屏風は、やはり色とりどりで明るく淡い。恵慶宮の心もまた同じように晴れやかだった。




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イサン第75話-2 あらすじ完全版!








やがて一行は、見晴らしのよい土手までやって来た。草が石垣まで埋め尽くしている。

テスら親衛隊が馬から下り、鼻づらの手綱をくるりと引いて、後ろへ移動したのは、王様が前方の景色を見渡せるようにとの配慮だった。

ここにも野次馬が大勢あつまって来ていた。旅の途中の者も近くに住む者も、皆ぺたりと地面に頭をつけてひれ伏し、尻と背中の荷物ばかりが宙に浮かんだようになった。

入江からの波が、穏やかな横線を描いて無限に広がり、その行きつく先には、なだらかな山々があった。

橋を眺めてサンは思わずニヤリとせずにはいられなかった。

ずっと向こうの川岸まで、板の道が見事に一直線に伸びている。しかしよく見ると、板の道の下には、小船が隙間なく浮かんでおり、後部に取り付けた糸車から、水中へロープが張られているのだった。

すべての舟の前後で旗が舞い、板の道の両端には、丸太で作った手すりの形の通り、弓なりの影が映った。


橋を通過した一行は、水原の城へ到着し、中陽門から前広場へ入った。

記念式典のために、女官らは半端な量でない昼食を準備しなければならなかった。これは裏庭での作業になった。

皿の形の鍋で、太もやしを茶色に炒める女官もいれば、山と盛られた瓜をスライスしては、ザルに放りいれる女官もいる。瓜の次にはリンゴ、大根、ジャガイモ、人参、菜っ葉が待っていた。

出来あがった大皿料理は、一人用の膳にのせられ、次々と運ばれていった。


本格的なスケジュールは、明日からになる。

まずはサド世子の顕隆園の墓参をし、夕方申の刻に龍珠寺で住職に会う。ソクチュ、戸曹判書、刑曹判書、刑曹参判など重臣は、この間、宿場にて待機となる。

その後、城に戻り、盛大に夜間訓練がお披露目される。


参考までに警備態勢は以下の通りである。

顕隆園 五軍営、壮勇営

龍珠寺での王の護衛 少数の禁軍

龍珠寺の外郭 五軍営

ただし壮勇営は、一足遅れて顕隆園から龍珠寺へ移動した後、王様と合流する。龍珠寺での警備場所については不明だった。


ソクチュの極秘計画

五軍営から集めた兵士は合計500人。

ただし王様暗殺を実際に仕掛けるのはジュシクの部隊である。

暗殺は寺でと決めた。壮勇営が墓参りの後、顕隆園に居残りしている間、寺での王様の護衛は、少数の禁軍兵だけになる。

王様の警備については確実な情報を把握している。王様の最も信頼する壮勇兵の中に、情報提供者がいたのは幸いだった。昇進から外されるなど、どうも待遇に不満があったらしい。

しかしソクチュは慎重な性格であった。だからこそ生死を賭けたこの戦いに、万が一、失敗したときの策を練っておく必要があると思ったのだろう。


翌日、悲願だった夫の墓参りを済ませた恵慶宮と別れ、サンは予定通り龍珠寺を訪れた。

ジュシクとその一味の逮捕の一報が入ったのは、僧侶3名と談話中のことだった。手薄な警備と見せかけて、実は敷地内に潜んでいたテスら壮勇営が一気に取り押さえたのだった。

引き続いて、共謀者であるソクチュ、戸曹判事ら大臣が、宿場から行方をくらましたとの一報が入る。

暗殺計画は、お粗末と思えるほどの結果に終わった。

サンはすぐに安東と羅州、全州へ続く道を遮断し、逃走した重臣らを生け捕りにするよう指示を出した。

ともかく、サンの農業技術などの師匠でもあった奎章閣の直提学の殺害と、検書官の襲撃事件の容疑者ミン・ジュシクは、こうしてようやく逮捕されたのである。


あんな騒ぎがあったのでは、今晩の訓練のお披露目は延期した方がいいとジェゴンは心配した。

しかし壮勇営の威厳を国中に示す最も重要なイベントは、サンの強い意向で予定通り幕を開けた。


パク別提は、行幸の間に書きためた記録画を整理するよう図画署のメンバーに指示を出した。

特に夜間訓練のときには、暗闇で何かと作業しづらいから心得ておくようにと注意した。

敵軍の侵入を防ぐのに、四方の火をすべて消すため、たいまつの明かりで昼間のように明るかった会場が、真っ暗になるからだった。

火についての話題は、壮勇営の兵士の間にものぼった。

「火が再びともる光景は壮観でしょう。消えた瞬間は何が起きても分からないでしょうからねぇ」

刺客を捕えた今、兵士たちにリラックムードが漂っていた。




【図解】30分で英語が話せる
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仕掛けに設置した巨大な糸車が、ロープを巻きあげる。5つの滑車に平行に渡した鉄棒と、そこからつり下げられた鉄の鎖によって、人間ほどの大きさもある重い切り石がゆっくりと引きあげられていった。

ヤギョンの改良した挙重機は水原の築城現場へ設置されて以来、大活躍をみせている。

しかし城壁が高くなればなるほど、重臣らの不安もいっそう高まっていったのである。

「王様、恐れながらそれは荒唐無稽な計画です。水原は片田舎ですぞ。都の民を移住させるだけでなく、官庁まで分散させては国の中心が変わります」ソクチュは真剣に唇を震わせ抗議した。

「確かにそうなるだろう。何か問題でも? 今後は漢陽と共に水原が国の中心となる。華城が完成次第、都の民を移住させ田畑と家を与える。母上の還暦祝いと亡き父上の祭祀も華城で行う。それによりこの国はさらに発展するだろう。もう一点、名言しておくが、いかなる抗議があろうともこの決定は決して覆らない」

サンの平然とした様子は、かえって挑戦的に見えた。

都で甘い汁を吸ってきた老論派への宣戦布告なのは、あきらかだ。

便殿からの帰り道、ソクチュは重臣らの不安な話に耳を傾けた。王様はこの先、遷都するとまで言い出しかねないだろうとの声もする。ソクチュにもそれが大げさな噂話だとも思えないのだった。

ソクチュの足は、大妃の部屋へと向いた。

こうして度々、大妃に相談する回数が増えてきた。

「水原の城が着々と完成に近づいているようだな」

「大妃様。我々はこのまま手をこまねいているのですか…?」

「いや。恐らく今度が老論派の生死を賭けた最後の戦いになるだろう」

準備を着々と進めてきたのは、何も王様ばかりではないのだ。大妃の豊富な情報源は、密偵、五営軍の上官、王様が武官2千名を登用した際に潜り込ませた私兵から入る。

特に私兵の訓練を一手に引き受けているのは、指名手配中のミン・ジュシクである。


頑丈なかんぬきの門は、開きかかっており、その隅っこに、酒と書いた小さな灯篭がぶら下がっている。しかし庭には客どころか店員さえ見当たらない。せめてもの救いは温かな湯気があがっていることだ。月夜の光が縁台まで届いていたが、部屋の上り石を照らしているのは、長屋の中からのものだった。

タンスに、せんべい布団が3枚重なった粗末な部屋は、ソクチュには不似合いな場所だった。ソクチュはここでジュシクと密会していた。

ソクチュ、ジュシクの他に、五営軍の上官2名の姿もある。一人はえびす顔だが抜け目のない目つきで、口の周りに細いヒゲを生やしている。王様の暗殺計画の成功を疑っているようだった。もう一人の男は、どうも気持ちが落ち着かず、困ったような顔をしていた。

「しかし壮勇営は精鋭部隊ですよ。彼らを突破できるでしょうか?」

「準備は万端だと言ったはずです」ミン・ジュシクは少しイライラとしてみせた。自信があるようだ。

「大丈夫だ。きっと成功する。すでに五軍営の兵士たちにも手を回してある。失敗するはずがない」

ソクチュは、ひそひそと2人を叱り飛ばすと、話を無理やりおしまいにした。もう迷っている段階ではないのだ。


執務室にジェゴンが築城の報告書を持ってやってきた。4600坪に及ぶ工事が30カ月で終わった。サンの口の端が満足そうにあがったのも無理はない。

「あの者を承政院の承旨に任命するつもりだ」

「え? 承旨でございますか」ジェゴンは重臣らの反発を想像して心配そうにした。

しかしサンは、「もちろん」と当然のように軽く答えた。経費が4万も節約できたのはヤギョンの作った挙重機のおかげなのだから。

「ところで行幸の準備は進んでいるのか」

「各曹の官吏が集まって計画を立てています」

「母上の誕生日に合わせ、還暦の祝宴を開く。準備には万全を期すように」

一応の話が終わると、サンは築城報告書をもう一度、味わうように読み込んだ。


テスより報告が入る。五軍営の上官らが老論派の重臣らの会合に参加し、山へ逃走したとのことだ。

「会合を行っただけでは罪にはならない。私兵の養成所の存在も疑われるが、証拠がない限り摘発は不可能だ。壮勇営は行幸の準備で忙しい。兵士を数人選抜し、彼らの追跡に当たらせよ」

サンは別に驚いた風でなく、むしろこのことを予想していたかのように的確な指示を出した。それでそばで聞いていたナム尚膳は、意外そうに眉を潜めた。王様が次に、「敵が尻尾を出すよう仕向けるのだ。だからこのまま待たなければならない」と付け加えたので、きっと何か敵の裏をかく極秘の作戦でもあるのだろうと思った。


行幸は明朝の虎の刻に敦化門から出発し、8日にも及ぶ。

特に夜間訓練は、壮勇営の威厳を世に示す絶好の機会となるため、かなり大規模なものが企画された。


華城行幸で通過する24カ所の要所すべてに配置される見張りの分担は、以下の通り。

各配置 1班 敦化門外、2班 鐘桜 3班 崇礼門、4班 右隅、5班 蔓川 6班 鷺梁、7班 方背…


出発当日の顔ぶれには、金のうろこの鎧に身をまとった禁軍別将、チャン・テウ、ソクチュら重臣一同、ジェゴン、ナム尚膳があり、パク・チェガ、ヤギョンら検書官の一員、また図画署のパク別提と図画署員と茶母達も、行幸の道中を記録画に残すために同行した。


野次馬たちは、どうみてもわざわざここまで見に来たという感じだったが、パク・テロの妻である女将もその一人だった。

「こんなに盛大な輿行列は初めてだわ」と亀のように首を伸ばしている。「まったくだよ。これだけの人が行くなんて華城は大きいんだねぇ」とさっきから感心ばかりする隣の奥さんに向かって、「漢陽にも負けないってうちの人は言ってるよ。ところでうちの人はどこかね? 小さくって見えやしない」と、いつまでも城壁の前を通過する王様の長い行列を遠くに眺めた。


20本の軍旗がまとまって通過する。玄、武など一文字だけの旗もある。人々の目に焼きついたのは、壮勇軍司命と堂々と書かれた旗だった。

鼓太鼓、平太鼓、ラッパ、ミニシンバルなど黄色い衣の楽器隊員が通過。

テスら親衛隊と王様、重臣、恵慶宮をのせたコシが通過。首まですっぽりベールで顔を覆った婦人の乗った馬を、役人が引いて歩いていく。

銃兵50人の行列のあとは、大きな盾ばかりが行進し、次には槍兵ばかりが続いた。矢を納めた筒バックを肩からさげた弓兵は、各自で馬を操った。

ところどころ行列の切れ目に、鹿の旗や、棒の先に玉と長い房のついた、まとい旗など、旗持ちが目印を高くかかげている。




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太いおさげ髪を、布団に寄り沿わせて寝ていたソンヨンは、少しは調子がいいと思いたくて寝間着を脱ぎ、衣のリボンを胸のところで結んで、普段の生活通り、編み髪を後ろでまとめた。

こうでもしないと、二度と寝床から起き上がれなくなりそうだ。

まもなくソンヨンに呼び出されたサンが、お供を大勢つれて芙蓉亭までやって来た。

楼閣の広々とした板間に、チョビと女官が仕度した下敷きと紙、筆、絵の具皿などの画材が整えられている。

とても寝床を出られるような状態ではないのに、ソンヨンはこんな吹きさらしの楼閣で、絵を描くつもりなのだとサンは思った。

サンの困惑と心配を説き伏せるかのように、ソンヨンはこう説明した。

「これは私のかねてからの夢でした。おきてでは王様の肖像画は画員が描くものですが、日々深みを増す王様のお姿を心に焼きつけたいのです。どうかお許し下さい」

「残念だが今のそなたに絵筆を持たせるわけにはいかない。肖像画なら病が治ってからにしても…」

「王様は病が治ると信じてくださっています。私も絵を描くことで病と闘えるような気がするのです。それにもう一つだけお願いがございます。今後何があっても、絶望せず、必ず乗り越えてみせると。どうか王様、私のためにそう約束してください」

「わかった。どんな困難も乗り越えよう。そなたの願いは私が叶えてみせる」

サンは辛さを一緒に分けあうように、しみじみとソンヨンの前で誓った。


ソンヨンは気力を振り絞って、さっそく王様の肖像画の製作に取りかかった。

デッサンの終わったあと、眉へ1本ずつ葉脈のような線を入れていった。

顔全体に肌色をさっとつけ、まぶたに薄い赤をのせた。

作業中は、金ボタンが2つ付いた王様の腰ひもを、紙の上にお守り代わりに置いた。こうすれば王様や幼い頃の思い出といつも一緒にいられる。

楼閣では線書きの下絵をつけて、色塗りは夜、部屋へ戻ってからもした。日が経つにつれ、ソンヨンの脈はだんだん弱くなっていった。

深く色を重ねた肌が仕上がった。赤い衣と黒の烏帽子も描けた。きなりの下地に白い襟を塗った。筆先で3度ずつ、点をおとして目の焦点を丸く整えると、絵の中の王様がしっかり前を見つめた。引き締まったピンクの唇から、今にも話しかけてきそうだ。絵はもうすぐ出来あがるだろう。

衣の肩からウロコ状の紋様を、明るい黄色で丁寧に塗り重ねていたとき、徐々に風がたち始め、ソンヨンの薄地のスカートのすそが床でなびいた。すぐに止むかと思ったら、風はどんどん大きくなる。それから龍でも通ったように、突風が楼閣を吹き抜けた。

頭のリボンや胸帯、スカートが真上へ持ち上がるほどバタバタはためく間、若い女官らは皆、目をつむって風が通過するのを我慢した。

王様の帯が、房ごと引きずられ、床をすっと逃げるように、遠くへ吹き飛んでいった。


風が止んでから、チョビは女官らを動かして、帯を探しに行った。

階段ブロックの花壇の中まであがり込んで、生い茂る葉や低木、大きな黄色い花弁の花など掻き分け掻き分け、根元を探してみたが帯は見当たらない。そのうち楼閣に残してきた女官が泣きながら駆け込み、宣嬪がいつの間にか消えたのだとチョビに伝えた。

だいたい楼閣の辺りは岩ばかりだった。女官らは仕切りブロックに草の生えた階段状の土手を、行ったり来たりしてソンヨンを捜し回った。内官らは楼閣の石柱がそびえる谷底まで下りた。その真上へせり出た楼閣にも、ソンヨンを捜す女官らがうごめいた。

楼閣の外掘に岩を敷き詰めた1本道がある。サンはそこから道の外れへ入った。

オレンジ色のコスモスに誘われるうち、道はだんだんと寂しく先細り、ついには消え、草の生えた土手になった。

そこに埋もれるようにソンヨンは倒れ込んでいたのだ。生い茂る草木のすぐ向こう側には、楼閣が見えた。

サンはソンヨンのぐらつく首を押さえながら、頬に手のひらをぴしゃりとあて揺り起こした。

「ソンヨン、しっかりしろ。ソンヨン!」

するとソンヨンが死んだように真っ白な顔で、うつろに目を開いた。

「申し訳ありません…。私は先にヒャンのそばへ行かねばならぬようです。でも悲しむことはありません。泣かないで下さい。幼い頃からの王様への想いを置いていきます」

「テスが清から医者を連れて来た。もう少しの辛抱だ。もう少しだけ耐えてくれ」

しかしサン自身も、手のひらからこぼれ落ちる水を食い止めるように、すでに病状を回復させるのは無理なことだと知っていた。こぼれる水はサンの空しい涙へと代わった。

ソンヨンが手に握った帯を見せた。

「王様…これを探していたのです…」

サンは自分の胸の中にソンヨンの頭が落ちてきたのを感じ、とうとう息を引き取ってしまったのだと気づいた。

後ろで見ていたナム尚膳は、王様が悲しみのあまりソンヨンの体を胸に抱え込んだまま、いつまでも手放さないのではないかと思った。


水原府の城が完成間近となり、サンは正式な発表を下した。便殿に集まった大臣らが恐れ、危機感を募らせたその内容とは、以下の通りであった。

「水原府を格上げし、朝廷の機能を分散させる。築城中の城郭は華城と命名する。直ちに水原に移す部署を選別せよ」




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サンはジェゴンと水原へ行って、ヤギョンら検書官のいる築城現場に立ち会った。
切り石の城壁は半円形で、二重構造の壁の底はかなり深い。
職人らは内壁と外壁の間に通路に立って、最上段に切り石を1つずつ重ねていく。半円形の直線部分に建てたあずまやと、獣と鳥の混じった絵柄の旗が、頂上で力強い風をまともに浴びた。
この城壁から作業場の全景が見渡せる。山と丘がすぐ迫る。地上では、ざるや樽を頭にのせた婦人、木づちを肩に抱えた労働者、2人で棒を担いだ役人が、切り石をさげて通り過ぎていった。
筒型の壁に沿って、丸太を組んだ足場が竹林のように伸びている。荷物を上へ運ぶのは、板を並べた橋か丸太の階段を使う。
白い前かけをした作業員が、背負い椅子に切り石を3つのせ、足場の途中に組んだ作業スペースへあがっていった。
役人は2人かかりで、巨大な糸巻きの取手を地面へ尻が触れるまで力を込めて押し下げた。7つの取手が回転して、荷物がロープで引き揚げられていく。押したらまた立ちあがって、次の取手を押し下げる。
石工や木工などの職人の賃金は4両2文、日雇いの人夫は2両5文だった。賦役と違って、民にちゃんと賃金が支払われたおかげで、城壁工事の遅れ以外は、予定通り進んだ。

「奇器図説」を参考にしたヤギョンの試作モデルを見るため、引き続き部署へ移動した。
「想像以上に大規模ですな…」
ジェゴンは期待を込めたように、石の運搬クレーンの出来栄えに目を細めた。天から足元まで10本のロープが川の字に伸びている。
その巨大な仕かけとは、丸太を井の字に組んだもので、てっぺんの横木から、4個の鉄の滑車つきロープと、それに加えて中央に滑車なしのロープが2本、吊ってある。一番外側に装着した滑車のロープは、仕掛けを支える両端のハシゴに結びつけられていた。
「滑車を固定しないことで、2万5千斤の物を40斤の力で持ち上げられます。そこでこの機械を挙重機と名付けました」
「ではなぜすぐに城壁の工事に使わない?」
サンは自分で試すべく、ハシゴに結わえたロープを1本つかんで引き下げた。その瞬間、5つの滑車を装着した足元の枕木が、ふわりと宙に持ちあがり、片側だけが大きく傾いた。
サンはしばらく、ロープを引きあげたり下げたりしてみながら、やがてガッカリしたように手を放した。ロープはスルスルと滑車から滑り落ちて、枕木がぷらんと水平に戻った。
この滑車の問題点がわかったのだ。
両側から同じ力で縄を引っ張らない限り、重心が崩れて石が落下してしまう。
安全に作業するには水平に保つ必要があった。

町におふれを出してからというもの、宮中にはソンヨンを診察しようと、はるばる遠くから医者がやって来た。
肝硬変の患者を実際に治したことがあるという医者も見つかった。
しかしやはりその医者さえも、サンが解雇した医官たちと同じように、手の施しようがありませんと、最後には残念そうに頭を垂れた。
もはやソンヨンの回復は、サンの悲願になった。
サンが今、眺めているのは、首から膀胱まで描かれた内臓の正面と背面図の本だった。臓器の名称と一緒に、説明も添えられてある。
1つ前にページを戻した。こちらの方は横向きの人体図で、長い背骨に沿って肝と腎。手前に肺、心臓、脾臓、胃、大腸などと明記されている。
清から戻った通訳官の話では、西洋医術で肝硬変を治した医者がいるらしい。
噂に聞くばかりで、実際には誰も見たことがないのだから、ソンヨンに試すには大きなリスクがあるだろう。
しかし明日にでもソンヨンが息を引き取るのではないかと思うと、息も落ち着いてできないくらい苦しかった。
テスは王命を受けて、一瞬も馬を休ませないつもりで清へ出発した。
「私が知るところ西洋の医術は体を刃で切り裂き、臓器をくりぬくなど残忍極まりない治療を施すそうです」
最後まで難色を示したのは年老いたジェゴンである。

テスが清から医者を連れて帰るまで、じりじりと時間が長く感じられた。それはサンだけではなくて、テスの叔父パク・タロも同じだった。
宮中での仕事など、どうせ手につかないのだからと、たわら型のカバンを背中に長く垂らし、パク・タロはテスを迎えに旅へ出た。上手くいったら、王様の親衛隊より早くテスと遭遇するかもしれない。
そして山に開けた草野の丘から、遠くを見渡していたパク・タロは、鼻筋に白い模様の通ったテスの栗色馬を、誰より一番先に見つけたのだった。
赤い三角旗を背中に立てた親衛隊の早馬が、この朗報を届けるため宮中へ突っ走った。
かなりの名医がテスの後から着いて来ており、間もなく都入りするという。

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ソンヨンが宮殿をしばらく離れて静養先でお産をしたいと申し出たのにはワケがあった。

息子を思い出すので宮殿にいるのがつらいというのも、決して嘘ではない。しかし本当のところ、秘密の事情があったのだ。

町医者はソンヨンの脈診をしてみて、だいたい病状がのみこめたので、正座したまま後ろへ下がって、背をしょんぼりと丸めた。

「どうだ。正直に話してくれ。私の病は肝硬変なのか?」

ソンヨンは勇気を奮い起して聞いた。部屋には医者と2人きりだった。用心のためおつきのチョビさえ外へさがらせている。

医者は自分の頭に浮かんだその病名が、宣嬪の口から突いて出てきたことに驚いて、息を詰まらせた。しかしすぐ恐れ入ったように深く頭を垂れ、そうだと認めたのである。

ソンヨンの顔が青白く変わった。症状から自分で医学書を調べて見当はついていた。でも宣告されると、さすがにがっくりきた。

医者にはまだ質問することがあったので、気をしっかり持ち直さねばならなかった。そのために、わざわざテスにこっそり町医者を、御殿まで連れてこさせたのだ。

「これから…どれくらい生きられるのだろうか?」

「それは何とも断言できません。温白元という良い薬がございますから、快方に向かう可能性もありますし…」

「いや、薬は飲まない。温白元は毒性の強い薬だ。飲めばお腹の御子を失うかもしれない。私が知りたいのは薬を飲まずに、どれだけ生きられるかだ。答えてくれ。お腹の子を産むまで、私の体はもつのか」

「もつかもしれませんが、すでに痛みの症状があるかと思います。薬を飲まなければ、さらに耐えがたい苦痛が続くでしょう」

医者が帰ったあと、息がとまるほどの激痛がソンヨンを襲った。その痛みが引くのをじっと堪えながら、ソンヨンはある決断を迫られたのだった。

御医の診察を受ければ、王様も病気を知るところとなる。そのうえ赤ん坊を産むと言ったら、きっと止められるに違いない。日に日に衰弱していく体を見て、王様はどんなに悲しむことだろう。

このまま宮中にいてはまずい。

静養に行きたいとソンヨンから打ち明けられた恵慶宮は、もちろん裏に隠された事情など知るよしもなく、むしろ自分のこと以上に深く胸を痛めた。

「王世子を失ったのです。その気持ちは痛いほどわかりますよ。お腹の御子のためにもそのほうがいいでしょう」


夜のうちすぐ出発することになり、庭へコシが用意された。

見送りに来たサンは、ソンヨンの小さな両肩をわしづかみにし、寂しそうに微笑んだ。出産まで4か月ほどの別れになると信じているようだ。

その力強い手が、自分を勇気づけてくれているようにも、つなぎとめているようにも、ソンヨンには思えた。

ソンヨンがコシへ乗り込んだタイミングを見計らい、チョビが金の折れ扉をパタリとおろした。

左右前後の役人8名が、角材の取っ手をかついで立ちあがると、金のベル型の屋根がゆっくりと地面から浮きあがった。灯篭をさげた女官、風呂敷を胸に抱いた女官がついて歩き出し、数人の槍兵のあと、赤服兵のかかげるタイマツの火が長く後ろに伸びた。

一行は闇の通りを静かに抜けた。

コシの障子は八角形の透かし模様である。裏側が赤いせいで、コシの内側から灯がともったように、ぼんやりとするその窓はずっと閉じられたままだった。

この中でなら、ソンヨンは唇を噛んでメソメソと泣くことができた。

誰にも打ち明けず、悩みを一人で抱え込んでいるのが、なぜか今、ひどく惨めに思える。

もうすぐ死ぬことや、激しい痛み、一人で子を産むこと、そして王様との別れが何より辛く、悲しいことだった。


中軍パク・テスがお目通りを願っているとナム尚膳が伝えにきたので、こんな夜中に何事だろうかと最初サンは思った。しかしテスの告白後、事態は急転した。

話によると、テスはソンヨンの病状がどうにもこうにも心配になって、自分で町医者の家の扉をたたいて、病状を聞き出してきたらしい。

王命を受け、テスを含む壮勇衛5名が、すぐにブロックアーチの城壁門をくぐり、ソンヨンのあとを追った。

ソンヨンはその夜のうちに、宮殿へそのまま引き返さざるを得なくなったのである。


診察をこばまれた御医は、途方にくれた顔で、御殿の前に立ち尽くした。その御医から薬の盆を受け取り、サンは自ら一人でソンヨンの部屋へ乗り込んだ。

すでに病は体をむしばんでおり、回復は極めて難しいと御医はサンに告げていた。しかしそのわりに、ソンヨンは美しい着物姿で、しゃんと座っており、まるで罪でも犯したように後ろめたい目つきでサンを見上げた。泣いていたらしく、目が真っ赤だった。

向き合うように座り込んだサンが黙って差し出した煎じ薬の器を、ソンヨンは静かに受け取った。

「王様、お腹の御子のためです。王世子が亡くなった夜、夢を見ました。あの子が私に戻って来ると、そう言ったのです。私は助からぬ状態です。余命を引き延ばすため御子を失うわけにいきません。わが子を守れぬ母親には二度となりたくないのです」

ソンヨンがそのすべてを覚悟しているのが、サンにもよくわかった。

それでも厳しい現実が、どうにももどかしくてならない。

どうしてこんなことになったのだろう…

サンは思った。

「生きてくれ。一生そばにいると約束したではないか…」

うちひしがれ、まるで赤ん坊ようにむせび泣く夫の様子を見て、あわれに思ったソンヨンが、しっかりと首を抱き寄せ、自分の肩に持たせかけた。



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役所の移転地にしては、確かにこの土地は広すぎる。

しかし都の南側に通じる新たな道を作って、都の民もここに移住させるとしたらどうだろう…?

サンは墓を移すと決めたときから、水原に商業と農業が共存する新しい都を作るつもりだった。

そうした計画を初めて明かされ、パク・チェガは、今まで漢陽を基盤に利権を得てきた両班が、きっと反発するだろうと、思わず不安を口にせずにはいられなかった。


サンの毎日は、とてつもなく忙しい。

ナムは王様の顔色がすぐれないのが、どうも気がかりだった。しかし心配したところで何になろう。仕事熱心な王様を止めることなど、しょせん無理な話なのだ。

奎章閣に向かう途中、御殿を結ぶ敷道をまたいで、土の上を歩いていたサンは、ふと物音に足を止めた。

役人たちが、2人がかりで運び出しているのは、最下段に扉のついた飾り棚のようだった。

上二段に並べた風呂敷包が傾かないよう、1人がゆっくり後ろ向きに歩いている。縁側の角の石段からは、黄色い風呂敷を抱えた別の役人が足早におりていった。

主のいない古い椅子が庭に3つ。角材で組まれた頑丈な正方形の椅子、渋い藤色のニスを塗った椅子、木の肌の見えかけた椅子、どれも長年使い込まれた古いものばかりだ。

それらを動かす音が、カタカタと静かにサンの耳を通り抜けていく。

「もう東宮殿のものを片付けているのか…」

「はい。王世子様の葬儀から10日たったので撤去礼が下りましたので…」

ナムが肩越しにそっと答えた。

王子ヒャンが突然、発疹と高熱がもとで亡くなった。

しかしサンはこの10日間も、普段通りに政務をこなしてきた。それはいまだにヒャンが死んだ事実が信じられないからでもある。

だが今、目の前ではこうして、淡々と王子の私物が片付けられている。

庭の隅に置かれた家具には、息子の愛用品が寂しくのっかっていた。

ゆっくり近づいてみると、息子が毎日、字を練習したあの千字文である。

弓を握りしめた瞬間、やはり息子は死んでしまったのだ…と、しみじみ思った。

幼いもみじの手の感触が、糸をしっかり巻きつけた持ち手から、伝わってくるようだった。


引き続いてサンの政務は多忙をきわめた。

水原よりヤギョンの自室が荒ら探しされたとの事件の一報が入る。

水原には、レンガの生産を急ピッチで進めるため、大勢の職人が集められていた。

どうもスパイは、その職人の中に潜んでいたようだ。

サンは水原だけでなく、宮殿内の警備も強化して、数の足りている熙政堂から演慶堂へ兵士を移した。

逮捕後、拷問にかけられたスパイは、自分たちのボスは老論派の逃亡犯ミン・ジュシクであると自白した。


レンガを作る作業場一帯は、わら屋根に土壁と木枠のついた障子扉の建物の他に、屋根と柱だけのガレージ風なのもある。

板の上にレンガを一列に干す作業に借り出された女らの脇を、役人がリヤカーをひいてあがっていった。

みすぼらしい男が、軒の高さほどに盛った赤土をスコップでかき崩しては、細かい網のふるいにかけている。

別の男がロープにつなげた板を踏むと、カマが自動で高く持ち上がった。

板から足をはなした瞬間、そのカマが振り下とされて、ワラは土や水と混ぜ込むのにちょうどいい長さに、ざく切れになった。

泥を素足でこねているのは、ヒゲずらのがっしりした細い男だ。これにはかなりの力がいる。男は天井の真ん中に吊るした棒きれにつかまって体を持ち上げ、飛び降りる力で泥を練った。

練りあがった泥は、別の男がスコップですくいとり、マス型に満タンまで流し込んだ。

上を平らにならした後、型をひっくり返して外したら、刃物で切ったように美しい四角形の土のかたまりが、脚つきの板に残った。

レンガは最終的に、壺をねかしたような大きな土窯で焼く。

窯の入口は肩の高さほどもあり、奥もずっと長い。雨風をしのぐために、窯1つにつき、わら屋根つきのガレージ1つが、あてがわれた。


視察に訪れたサンの目に、焼きあがったレンガは、黒っぽいすす色に映った。

「これが黄土を混ぜて作ったレンガです。強度もすぐれています。華城の築城にお使いください。城にレンガを使うのは一般的ではありません。しかし清では城はもちろん民家を建てる時もレンガを使います」

ヤギョンは、どっしりした重みに耐えられずに、うっと唸ってレンガを抱えあげてみせた。

「石は採取と運搬が困難なうえ、時間と費用がかかります。劣化の早い点も問題です」

パク・チェガら検書官が説明を加えた。

「だがそれほど強度の高いレンガを作る技術があるのか」

「それについてはご心配及びません。私が作ったレンガ工房では、すでに開発を進めているところです」

ヤギョンはどうも自信があるような口ぶりだったが、後日その通りになった。

サンプル品を、さっそく腕っ節の強い兵士に試させたところ、兵士が絶叫をあげながら力まかせに金づちを振り下ろしたというのに、レンガはびくともせずに、台の上で、ぼんと跳ねあがったのだった。

このレンガは、華城の築城の際に石と併用して使われる。




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