Isanan の駄文ブログ

… 自作小説(?)やら何やらの駄文を、気が向いたときにだらだらと書き連ねて行くブログです


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 前方の闇の中から、魔物が姿を現し出した。影のような体は背後の暗闇に溶け込んで定かに見えなかったが、爛々と輝く目があなたを捉えた。鋭い噴気音が森の大気を切り裂く。魔物は鎌首をもたげて蛇のような体をうねらせながらあなたの方へ向かってきた。あなたは全力で駆け出して逃走を図った。

 森の中は相変わらず走りにくかった。起伏はあったが全体に平地で身を隠す場所も無い。もっとも松明を持っていては隠れることもできないだろう。だからといって明かり無しでは移動すらも困難だ。最初は開いていたあなたと魔物との距離は徐々に詰まりつつあった。このままでは幾ほどもなく追いつかれてしまう。だが、それを防ぐ手段はあなたに無かった。

 魔物はいよいよ背後まで迫ってきた。噴気音が響く。あなたは木々の間をぬうように走り抜けた。魔物は巨大な顎を開くと、頭部を打ち下ろすようにして攻撃を仕掛けた。その一撃はあなたを外れて木に当たった。木は根元から砕けて倒れ酸のような刺激臭が辺りに漂った。魔物が体勢を立て直すわずかな時間にも差を広げようと、あなたはさらに速度を上げた。

 その足元が突然崩れた。地下の空洞を踏み抜いたのだ。動きを止められてあなたは振り向いた。魔物があなたに狙いを定めるのが見えた。


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 どうやら安全な場所までたどり着いたようだった。あなたはその場に座り込んだ。何にしても今は休息が必要だったからだ。残された時間は少なくまだ森を進まねばならなかったが、だからこそ体力を回復させておくことが求められていた。一人きりの森には闇と静寂だけがあった。体中に痛みが走っていた。それは今回の落盤に限らず、森に入ってからの幾多の危機を切り抜ける際に負った傷によるものだった。そして多少の怪我はこれからも避けることはできないだろう。場合によっては命を失うほどのものも。

 時が流れた。もっとも森の中では時間を計る術も無く、正確にどれほど経ったかは分からなかった。だが休息はもう終わりにせねばならないとあなたは感じていた。あなたは松明に火をつけて立ち上がると、再び闇の森を歩き始めた。

 そのとき前方から何かが近付いてくる気配がした。目を凝らすと、闇の中に光が動いているのが見えた。そして、威嚇するような噴気音が響いてきた。


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 足元の地面が突然に陥没し、地表がその中へと崩れ落ちて行った。あなたも一緒に飲み込まれそうになったが、後へ跳んで危うくこれを逃れた。自分の方へ向けて地割れが走ってくるのが見えた。あなたは方向転換をして走り出し、落盤からの脱出を図った。だがすでに周りの地面は大きく揺れ動きはじめていた。穴を避け亀裂を飛び越え、時に足を取られて体勢を大きく崩しつつもあなたは走り続けた。裂け目の奥には地下へと続く深い暗闇が覗いていた。

 踏み込んだ所が崩れてあなたは転倒した。そのまま地面もろとも地底に引き摺り込まれて行く。あなたは木の根につかまり必死にこらえた。何とか這い上がって再び走り始める。松明はもはや無い。つまづいて転び、穴に落ち込んでは抜け出し、木に体を打ち付けながら暗闇の中をあなたは進んだ。自分がどちらへ向かっているかすらもう分からない。だが落盤の音はあなたの後方から響いており、そして徐々に小さくなっているようだった。どれほど移動しどれほど経ったのか、あなたの立つ場所はすでに震動は収まっていた。今はただ遠くから崩落音が聞こえるだけで、それもやがて止んだ。あなたは落盤から脱出した。


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 あなたは少女の方へと駆け出した。だがその足元も崩れはじめている。目の前で地割れが起きて、あなたは直前で止まって危うく落ちるのを免れた。地底へと続く深い裂け目が覗き、地面が落ち込んでいくのが見えた。あなたは少女に目をやった。少女は穴に飲み込まれようとしていて、必死につかまる手だけが地表に見えている。あなたは地割れを飛び越えて走った。立つのも困難な揺れの中で、何とかたどり着くとあなたは少女へと手を伸ばした。

 あなたを見ると少女は驚きの表情を浮かべた。そして顔に拒絶の意志を示した。何か言ったようだが崩落音にかき消されて聞き取ることはできない。少女は今にも滑り落ちそうになっていた。あなたは強引に少女の手をつかんだ。立っていられず松明を放しあなたは地面に体を伏せた。そのまま手足を突張って少女を引き上げようとする。震動はさらに激しさを増していた。それでもあなたは手を放さなかった。暗闇で目には見えなかったが、少女が手を握り返してくるのが感じられた。あなたは引き上げる腕に力を込めた。だが落盤はさらに広がって、あなたと少女のいる地表も地下の闇へと崩れ落ちて行った。


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