Isanan の駄文ブログ

… 自作小説(?)やら何やらの駄文を、気が向いたときにだらだらと書き連ねて行くブログです


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 河原を過ぎるとすぐ森の入り口だ。あなたの前を立ちふさぐように木々が立ち並び、中は暗く全く見通しが利かない。入り口といっても木立がそこだけ切れて入りやすくなっているだけで、道が続いているわけではなかった。日は完全に沈み月は明るかったが森の中ではほとんど用をなさないだろう。あなたは松明に火をつけた。予備を含めて数本の松明と、手斧一本だけがあなたの装備だ。

 あなたは闇の森に足を踏み入れた。松明の光の届く外は漆黒の闇だ。明かりに照らし出された森の木々はどれも幹も枝も奇妙に捩じれて、不気味な影を浮かび上がらせてあなたの周りを取り囲み追いかけてきた。森の土は固く崩れやすく、木の根が地表に這い出て足に絡みついて歩みを妨害した。時には誰が造ったのか、崩れかけた石積みが行く手をふさぐことがあった。非常に古いもののようで表面がびっしりと根に覆われていた。

 森の地形は起伏が激しく壁のような斜面が繰り返し現れた。進む先が突如切り立った崖に落ち込み引き返すこともあれば、谷間を行くうちに袋小路に入り込んでしまうこともあった。そして時にはその斜面をよじ登り、また這い降りねばならなかった。あなたは来た方を振り返った。そこには闇が広がるばかりで、まだ入ってから幾ほども進んでいないはずなのに森の深部に飲み込まれてしまったかのような思いにとらわれた。

 森には何の生き物もいないのか、時に木々が風にざわめく以外は物音すらしなかった。進めども不気味な木々と切り立った斜面が繰り返すだけだ。あなたは足を止めて一息ついた。そのときだ。どこからか微かに音が聞こえてきた。最初は風の音かと思ったが違うようだ。しばらく耳を澄ましていたが、あなたはこの正体不明の音の方へ向かってみることにした。近付くにつれてそれは規則正しく鳴るふいごの音のように聞こえた。そして生き物の息遣いにも似ていた。斜面の作る壁を折れた所からそれは聞こえていた。その先はここからでは見えず何があるかも分からない。あなたは躊躇したが、思い切ってその角を曲がり松明をかざした。噴気音とともに不気味で巨大な影が動くのが見えた。


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 あなたの気持ちは変わらなかった。女は話を続けた。

「秘宝のことを知っているのなら、ここが闇の森と呼ばれて誰も恐れて近付かないことも、魔物の伝説があることも知っているのでしょう。入ったら二度と出られないと言われていることも。伝説では秘宝には望みを叶える魔力があると言う。でもここはとても危険な所。それも命を落とすかもしれないほどの。そんな中でそこまでして探し求めるような価値が果たしてあるのかしら?この森のどこにあるかも分からない、実在しているかすら怪しい秘宝に。それに…。」

女は一瞬言葉を切ってあなたの様子を窺った。あなたの決意が動かないのを見て取ると、さらに言葉を接いだ。

「それに、秘宝にまつわる伝説はもう一つある。聞いたことはある?この森に隠されているのは、呪われた秘宝だと言うのを。秘宝の魔力を使った者は、代償にその身に呪いを受けると伝えられている。その呪いがどんなものかはよく知られていない。でも伝説の終わり方は悲しいものばかり。秘宝を手にして望みを叶えたとしても、それで本当にあなたの望んだ結末が得られるのかしら。…秘宝も魔物も呪いの伝説も、全ては真実か分からない。確かなのはこの森が危険だということだけ。それでもあなたは行くと言うの?」

 あなたは森へと歩き始めた。時間が無かった。後ろから女の声が響いた。

「闇の森の迷宮は、ときには心も惑わすでしょう。あなたは正しい道を選ぶことができるかしら?」

あなたは振り返った。もう女の姿は無かった。あなたは森の中へと踏み込んで行った。


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 あなたは言われたとおり引き返すことにした。川を渡って戻り振り返ると、もうどこにも女の姿は無かった。ただ森だけが周囲より一層暗く、闇の中に静かに広がっていた。

 あなたの冒険は終わった。


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 あなたは森へと続く道を進んだ。その前を横切るように川が流れていた。これを渡ればもう森の入り口だ。向こう岸までは飛び石のように石が並んでいる。あなたは滑りやすい石の上を注意しながら渡った。渡り終えて顔を上げたときだ。目の前に女が一人立っていた。女は突然現れたように思えた。先ほど川の向こうから見た時には人影は見当たらなかったからだ。金色の髪の若い女だった。だが暗い森を背に夕闇に浮かび上がったその姿は、古木に咲いた花を思わせ一瞬とても年をとっているかのような印象を受けた。女はあなたに話しかけてきた。

「この先はとても危険な危険なところよ。」

女は言葉を続けた。

「命が惜しいのなら引き返した方が良いわ。」

 あなたは

言われたとおりに引き返す。
気は変わらない。

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 あなたの目の前には不気味な暗い森が広がっている。日が暮れて周囲が闇につつまれようとする中で、その森はより一層暗く沈んで見えた。そこは人々が不帰の森、死の森、そして「闇の森」と呼ぶ森だった。

 この森には不思議な伝説があった。森の奥深く何処かに秘宝が隠されていると言うのだ。秘宝の正体は定かには伝わっていなかったが、手にした者の望みを叶える魔力を持つとされていた。だが手に入れたという話はほとんど伝わっていなかった。何故なら伝説では森には恐ろしい魔物が棲みついており、秘宝を探す者達を襲って餌食にしているからだと言う。そのため一度森に立ち入ったら、二度と生きては出られないと言われていた。

 森にまつわるこれらの話も今や昔話として語り継がれるだけとなり、秘宝と魔物の伝説を信じる者の数も少なくなった。だが今もなお人々は森を恐れて近付こうとはしなかった。森には不吉で不気味な空気が満ちており、例え魔物が出なくとも昼なお暗く迷宮のように入り組んで危険な場所とされていたからだ。

 あなたは今、その森に足を踏み入れようとしている。秘宝を手に入れるためだ。あなたの大切な人が重い病に冒されて倒れ、その命を救うにはもはや伝説の秘宝の魔力に頼るしか無いと考えたのだ。もう残された時間は少ない。あなたは森へと向けて進み出した。


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