2005-04-04 23:55:23

がらくた帝国の脂肪

テーマ:ブログ
働く→食べる→飲む→買う→学ぶ→泣く→飲む→買う→
飲む→遊ぶ→食べる→寝る→買う→遊ぶ→笑う→寝る→(最初に戻る)

こうしている間にがらくた帝国には『立派な皮下脂肪』が養われた。
楽しい時間とあるだけのお金を一気に消費するということは
昼寝をしているのと同じくらい心地よく、あとにはヨダレくらいしか残らない。
僕の脳みそには『立派な皮下脂肪』それは大層に育っていった。

僕は『立派な皮下脂肪』を引き連れて暑い季節を迎えた。

東京駅から中央線で八王子へ向かった。
夏はべっとりと僕らの青臭い背中を焦がした。
僕は友人の家に無計画な滞在計画をもとに訪れた。
僕はペプシを飲み、コーネリアスを聴き、シャワーを浴び
オレンジ色のユーズドTシャツを着た。胸元には大きくsunkistと書かれていた。

「サンキスト」
オレンジジュースです。
僕はオレンジジュースが好きです。
さあ、外は暑いですよ。
オレンジジュースを買いましょう!
みなさんビタミンを摂りましょう。

sunkistのロゴの下にはGood Vibrationとも書かれていた。

引き続き、
乾いたノドを潤しましょう!
甘くてすっぱいオレンジジュースです。
みんなガブガブ飲みましょう。
夏を超えて、明日を超えて、グッドバイブレーション!
ジ・エンド。

オレンジジュースの広告イメージとは程遠い、いびつな汗をかいて
爽やかさの対極にあるカビ臭い新宿西口の中古レコード屋を周り
歌舞伎町で写真を撮り、
代官山で服を買い、
下北沢をうろつき、
荻窪に住む女の子に会った。
会うのは4年ぶりくらいだったと思う。
渋谷のシネマライズで「トレインスポッティング」を見て
LOGOSで本を眺め、ファミレスでシフォンケーキとコーヒーを飲み
そうやって彼女の家に向かった。
彼女は姉と住んでいた。

姉は仕事か何かで帰宅が遅くなるということだった。
僕らは静かに音楽を聴き、
懐かしい話をゆっくりした。


彼女は賢く僕はバカだった。
僕はなんにもわかっていなかった。
ワンスアゲイン。
ボクハナンニモワカッテイナカッタ。


彼女の家でご飯をいただいて、
僕は缶コーヒーを飲みながら友人の家に戻った。

この暑さのなかで脂肪は燃焼されるどころか
ますます肥大化してしまった。

次の朝、僕は大げさな脂肪を引き連れて富士山にむかった。

今夜のBGM : born slippy
2005-04-03 20:17:35

がらくた帝国のがらくた雑記

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1997年4月
僕はあっという間に2回生になってしまっていた。
鏡の前で笑ってみた。
前歯が入れ替わったばかりの小学生のようだ。
情けない。

1996年4月
僕は一人暮らしをするために大学に入学し、念願かなって独り暮らしが始まった。
繰り返す。

1997年4月
僕はとっても情けない。

冬のことを振り返る。

1996年12月
僕はレコード屋でバイトを始めた。
スーパーマーケットの中にあるCDショップなのだが電話では「ありがとうございます。レコードの○○○です。」と受け答えていた。
最初の日を覚えている。
黒いストレートの長い髪に膝の部分がぼろぼろに破れた501。
黒いスウェットパーカーに黒縁の眼鏡(おまけに片方のテンプルはガムテープで止められていた!)そしてリングブーツという出で立ちの青年が僕の先輩になった。
tessyと周りからそう呼ばれていた。
「彼は今年一番良かった曲は?」と尋ねてきた。
僕は少し考えてから「Say it ain't so」と答えた。
答えが同じだった。
彼はとにかくいつもよく飲んでいた。店のストックルームには1.5リットルの空のペットボトルが2本転がっていた。tessyは朝からそれを一気に流し込んで、夜はビールとフォアローゼズを流し込んでいた。
ロックがロールしていた。
僕は彼にギターの弦の張り方を教わってレコードを聴きながら酒を飲んだ。


そう12月の記憶。
クリスマスイブに僕は奇怪なバンドのライブに出演し、ステージからリンゴを客席に投げつけ何かに怒り、笑い、アパートメントで打ち上げをし、女の子に警戒して眠り(その頃僕はストイックだったのだ)朝になって世界が変わっていることに気がついた。
僕はその一面の銀世界の中で生きている喜びと哀しみとそれらにまつわるエトセトラを感じていた。

きっと僕らは間違いなくアル中だった。
2005-02-05 01:42:27

がらくた帝国の出現 その3

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アパートメントには風呂が無く僕は近くの銭湯に通っていた。

風呂のないことを口実に俺は1人の女の子の家に通う。

僕は風呂セットをひとしきり抱え通った。
期待と喜びを石鹸の匂いに忍ばせて。

彼女は全く違う世界に住んでいる女だった。

よく思い出せないのだが、確か電車の中で知り合った。

彼女は夜の女だった。
夜が好きだった。
僕らはいつも夜に会った。
風呂を借りるのだから当然かも知れない。

昼間の顔と夜の顔を持っていたが、
果たして僕に見せていた顔がどんなかおだったかは
今もわからない。

彼女は学生で、年も変わらなかった。
よくマクドナルドを食べていた。
彼女のマンションの隣に店があったのだ。

彼女には年上の彼氏がいた。
彼はデザイナーだった。
デザイナーと言っても、流行やファッションや
都会を彩るグラフィックを作る仕事ではなく
彼はパチンコ屋の看板を作っていた。
それが僕をなぜか苛立たせた。

彼女の部屋には、マルボロの吸い殻があった。
彼女はたばこを吸わなかった。
僕はその部屋に
ハイライトを残して帰るのだが
月曜日にはマルボロが吸い殻がちゃんと置いてあった。

彼女はよく踊っていた。

僕には理解できない音を身体で感じ
バーのカウンターの上でも踊っていた。

彼女は可愛らしい顔をしていたが
目の奥は冬のようだった。
彼女の目の奥にある
白い世界に憧れていた。

深夜、仕事を終えた彼女はタクシーに男と乗った。
同伴をしなければならなかったからだ。
男は検事だった。
彼はポケットから小瓶を取り出し彼女に飲ませたという。

彼女は泣いていた。
3年後、同じ話を別の女の子の口から再び聞くことになる。

僕は無力だった。



僕は

彼女と

寝られなかった。



彼女は春になって
僕の髪の毛を刈ったあと
ふいにどこかに行ってしまった。

今夜のBGM: baby blue
サニーデイ・サービス
2005-02-04 20:58:06

がらくた帝国の出現 その2

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冬が近づいていた。
僕は静岡県の浜松市というところで育った。
浜松は比較的温暖だ。
古くから遠州の空っ風と呼ばれる季節風が吹き
砂丘に美しい風紋を作り上げる。
砂丘では5月に大凧を落とし合う勇壮な祭りもある。
風は強い。
体感温度は低いのだ。
しかしこの底冷えをする京都の冬は今になってもこたえる。
相変わらず今夜も冷える。

俺は部屋を引っ越して、帝国の整備を強化した。

僕はその冬に19歳になり、
初めて一人暮らしの冬を過ごそうとしていたのだった。

俺はバイトを探し、知らない奴と喋り、レコードを漁り、
コンパに行き、夜食を食い、映画を見て、ライブを見て、
ギターを買い、珈琲にこだわり、カーペットを敷き、
バイクをいじり、カフェを巡り、写真にはまり
朝まで遊び、歌い、踊り、眠り、酒をのみ
ソファーを買った。



僕は悲しくも童貞だった。



俺はさらなる帝国の強化を図った。
富国強兵だ。
俺は生産し、増産し、廃棄物を育んだ。

さらば 茶髪。

その凍りついた冬に、僕は長かった髪の毛を切り
なぜか丸坊主になってしまった。

これじゃまるで中学生じゃないか。
鏡を見ると田舎の野球部員になった俺がいた。

今夜のBGM
エリック・サティ: ひからびた胎児
2005-02-03 21:27:13

がらくた帝国の出現 その1

テーマ:ブログ
どうして学生時代なんてものは
そういう風にできているんだろう。

僕は特別な生活を目指した普通の学生になった。
エレキギターをかき鳴らし、僕にとって特別な音を探し、
たくさん酒を飲み、いっぱいため息をつき、
女の子のことを考え、映画をいっぱい見て、
空論を飛ばしあい、髪の毛を茶色くし、
ラーメンを食い、バイクに乗り、バイトをし、
そうして

学校には行かなくなった。

僕は僕であること得るために、街に出て知らない人になる。
似た人が多い学校に行くことは僕を窮屈に感じさせ、
孤独を与えてくれた。
ここにいても僕は特別になれないという妄想は
やがて全身を支配し、そうやって
僕は「がらくた」を集め始めるに至った。

ぼくはハタチになろうとしていた。
身体中が痛痒く、ヒリヒリと火傷をしているようだった。

この感覚。

全身が脈を打っている。

僕は生きている。

手始めに僕は近所の園芸店でアロエの鉢を購入した。
カサカサのアロエ。
それで十分だった。

南向きのアパートの出窓の右側にそっと飾ってみた。
インスタントコーヒーを飲みながら窓に目をやると
もう、日は暮れようとしていた。

今夜のBGM
Radiohead: Fake Plastic Trees

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