2005-04-25 23:59:52

大きな脂肪と小さな富士山

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早朝の新宿西口。
排気ガスとアンモニアの匂いが暑さのなかで行き場を失ってたちこめていた。
コインロッカーが並び、道が交差しどこが地上か見失ってしまう。
地下を交差し、何人もの人とすれ違う。
早朝にも関わらず果てしなく
暑い。

東京。

暑さは
人を
おかしくさせる。

照り返す日射しに頭の脂肪はすっかり融解し
思考は完全に機能を失いつつある。
コンクリートの中で肉のかたまりがうごめいている、
そんな気分だった。

東京に慣れていない人間だからか、幾分張りつめた気持ちでいる。
幾つか階段をのぼり、地下道を歩き、
段ボールを幾つか横切った。
僕は空が見えてからほっとした。

西口のカメラ屋の前には観光バスが並んでいて
僕らはその1台に乗り込む。
生まれて初めての野外フェスティバルを体験しに行くために
僕らは集まり
その夜にミラクルとエクスペリエンスを求め、
機能を失ったブヨブヨをなんとか働かせ
それらのバスで首都高から目的地『富士山』へむかったのだった。

会場に着いた僕らはビールを飲み、タイだとかインドネシアだとかの
それっぽいスープやらカレーとかを食べ歩き
そういう国々のアクセサリーを物色したり、お香にむせたり
テントを渡り歩いたり、踊ったり、観察したりしながら
スペシャルなミッドナイトを待った。

しかし、ガイドブックの一冊ももたないままの
Tシャツ姿の我々を待ち受けていたのは
ジミヘンの火遊びや、おっぱい丸出しのギャルたちや
ヘラクレスの武勇伝や、ラブ アンド ピースや
ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズや
ウッドストックのような泥んこ遊びの代わりに

なんと、空から女の子が振ってきた!

なんてことはなく
大きな富士山にあったものといえば、
しょぼくれた遊園地と、それを覆う白い霧と
底知れぬ
真夏の冷気だった。

霧に包まれた我々は全ての荷物を確認した。
僕らはそれぞれTシャツを2枚、タオルを1枚、フェイスタオルを1枚
靴下を1枚、あとはデイパックだけを持っていた。
僕らはTシャツを2枚重ね着し、
ありったけの段ボールを身にまとったのだった。

野望は野望であり続けた。

段ボールの外では細野晴臣にあわせて揺れる人々がいて
悲しくも僕らはそれぞれ段ボールの中でその音に吐き気がするほど
酔いしれることになった。

もちろん下山したらこの武勇伝を下界の人々に伝えるのだ。
そう決めていた。

僕らは何番めかのタフガキになれてただろうか?
2005-04-04 23:55:23

がらくた帝国の脂肪

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働く→食べる→飲む→買う→学ぶ→泣く→飲む→買う→
飲む→遊ぶ→食べる→寝る→買う→遊ぶ→笑う→寝る→(最初に戻る)

こうしている間にがらくた帝国には『立派な皮下脂肪』が養われた。
楽しい時間とあるだけのお金を一気に消費するということは
昼寝をしているのと同じくらい心地よく、あとにはヨダレくらいしか残らない。
僕の脳みそには『立派な皮下脂肪』それは大層に育っていった。

僕は『立派な皮下脂肪』を引き連れて暑い季節を迎えた。

東京駅から中央線で八王子へ向かった。
夏はべっとりと僕らの青臭い背中を焦がした。
僕は友人の家に無計画な滞在計画をもとに訪れた。
僕はペプシを飲み、コーネリアスを聴き、シャワーを浴び
オレンジ色のユーズドTシャツを着た。胸元には大きくsunkistと書かれていた。

「サンキスト」
オレンジジュースです。
僕はオレンジジュースが好きです。
さあ、外は暑いですよ。
オレンジジュースを買いましょう!
みなさんビタミンを摂りましょう。

sunkistのロゴの下にはGood Vibrationとも書かれていた。

引き続き、
乾いたノドを潤しましょう!
甘くてすっぱいオレンジジュースです。
みんなガブガブ飲みましょう。
夏を超えて、明日を超えて、グッドバイブレーション!
ジ・エンド。

オレンジジュースの広告イメージとは程遠い、いびつな汗をかいて
爽やかさの対極にあるカビ臭い新宿西口の中古レコード屋を周り
歌舞伎町で写真を撮り、
代官山で服を買い、
下北沢をうろつき、
荻窪に住む女の子に会った。
会うのは4年ぶりくらいだったと思う。
渋谷のシネマライズで「トレインスポッティング」を見て
LOGOSで本を眺め、ファミレスでシフォンケーキとコーヒーを飲み
そうやって彼女の家に向かった。
彼女は姉と住んでいた。

姉は仕事か何かで帰宅が遅くなるということだった。
僕らは静かに音楽を聴き、
懐かしい話をゆっくりした。


彼女は賢く僕はバカだった。
僕はなんにもわかっていなかった。
ワンスアゲイン。
ボクハナンニモワカッテイナカッタ。


彼女の家でご飯をいただいて、
僕は缶コーヒーを飲みながら友人の家に戻った。

この暑さのなかで脂肪は燃焼されるどころか
ますます肥大化してしまった。

次の朝、僕は大げさな脂肪を引き連れて富士山にむかった。

今夜のBGM : born slippy
2005-04-03 20:17:35

がらくた帝国のがらくた雑記

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1997年4月
僕はあっという間に2回生になってしまっていた。
鏡の前で笑ってみた。
前歯が入れ替わったばかりの小学生のようだ。
情けない。

1996年4月
僕は一人暮らしをするために大学に入学し、念願かなって独り暮らしが始まった。
繰り返す。

1997年4月
僕はとっても情けない。

冬のことを振り返る。

1996年12月
僕はレコード屋でバイトを始めた。
スーパーマーケットの中にあるCDショップなのだが電話では「ありがとうございます。レコードの○○○です。」と受け答えていた。
最初の日を覚えている。
黒いストレートの長い髪に膝の部分がぼろぼろに破れた501。
黒いスウェットパーカーに黒縁の眼鏡(おまけに片方のテンプルはガムテープで止められていた!)そしてリングブーツという出で立ちの青年が僕の先輩になった。
tessyと周りからそう呼ばれていた。
「彼は今年一番良かった曲は?」と尋ねてきた。
僕は少し考えてから「Say it ain't so」と答えた。
答えが同じだった。
彼はとにかくいつもよく飲んでいた。店のストックルームには1.5リットルの空のペットボトルが2本転がっていた。tessyは朝からそれを一気に流し込んで、夜はビールとフォアローゼズを流し込んでいた。
ロックがロールしていた。
僕は彼にギターの弦の張り方を教わってレコードを聴きながら酒を飲んだ。


そう12月の記憶。
クリスマスイブに僕は奇怪なバンドのライブに出演し、ステージからリンゴを客席に投げつけ何かに怒り、笑い、アパートメントで打ち上げをし、女の子に警戒して眠り(その頃僕はストイックだったのだ)朝になって世界が変わっていることに気がついた。
僕はその一面の銀世界の中で生きている喜びと哀しみとそれらにまつわるエトセトラを感じていた。

きっと僕らは間違いなくアル中だった。

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