IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。


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5/11付 日経産業新聞に、「三菱地所、今期も最高益見込むが…、丸の内大家に買収リスク、『含み益20兆円』」という記事が掲載されています。


5/10に三菱地所が2007/3期決算を発表しましたが、絶好調の決算の裏で、買収されてしまうのではないかというリスクもある、という内容です。


まずは、2007/3期決算の概要から。


■三菱地所HP IR情報

 http://www.mec.co.jp/j/group/investor/index.htm


売上高 9,476億円(前年比12.3%増)

営業利益 1,661億円( 同 20.7%増)

経常利益 1,516億円( 同 25.1%増) 過去最高ビックリマーク

当期純利益 976億円( 同 74.9%増)


終わった期の業績は、まさに絶好調という感じですね。

地価上昇→東京駅前の「丸の内」地区に持つオフィスビルの賃料収入が順調に増加したと言われています。

まさに「丸の内の大家さん」。恩恵を存分に受けていると言ってよいでしょう。


しかし、5/10に行われた決算発表会では、大手不動産会社では初となる買収防衛策を導入する予定とも。


■当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の導入について

 http://www.mec.co.jp/j/group/news/release/pdf/mec070510-1.pdf


会社側は、海外不動産ファンドが都心の優良物件を買い漁っており、いずれは不動産を持つ企業も買収対象になりかねないとの危機感をあらわにしているようです。


記事中では、ファンドが三菱地所の買収に関心を持っているとのウワサが株式市場で飛び交っていることを紹介しています。


三菱地所は2002年に「土地再評価法」を適用して、当時の7割程度の含み益を顕在化させたそうですが、地価が上昇し始めたのはその後になりますので、含み益はさらに膨らんでいると記事では睨んでいるようです。

(2007/3期 連結貸借対照表の純資産の部に「土地再評価差額金」が約4,700億円計上されています)


同社は丸の内地区の1/3を保有しており、同期末の土地の帳簿価額は1兆4,147億円、総資産は3兆4,472億円にものぼります。


しかし、機関投資家である生保などは、三菱地所に対して強気の見方をしており、周辺を含めた丸の内地区の土地の価値をざっと60兆円と見積り、三菱地所はその1/3を保有しているので、20兆円にはなる、という計算です。


いかにも機関投資家らしい、ガサッと大づかみにする計算だなぁとは思いますが、結構、ファンドマネジャーさんらの、こういうバッサリやる計算って意外に当たっていることが多いんですよね・・・。


ともあれ、同社の株式時価総額は5兆4,000億円だそうですから、ファンドがおカネにものを言わせて三菱地所株を買いまくり、買収後すべて売り払うと14兆円以上儲かってしまう、という計算になります。


なんともはや、強烈な試算です汗


しかし、カネ余りのこの世界、あながち実現不可能とも言い切れないものもあります。

例えば、記事が挙げているのは、米ブラックストーン・グループによるオフィスビル専門の米REITの買収額は4兆7,000億円

このREITはニューヨークなど、主要都市に優良ビルを数多く抱えていると言います。


このくらいのおカネ、世界の規模だと簡単に集まってしまうんですねー。

すごいなぁ。


しかも、三菱地所の外国人持株比率は約4割(四季報では39.0%)だそうで、魅力的な価格でTOBでも仕掛けられて、外国人株主がみんな賛成に廻ると、TOBが成立してしまう可能性も!?


あんまり金額のケタが大きすぎて、どうもピンとこないなぁ。


ちなみに・・・と思って調べてみました。

平成19年度の日本の予算のうち、社会保障関連費がちょうど21兆1,409億円というのがありましたから、だいたい三菱地所の含み益で日本の1年間の社会保障がまかなえてしまうビックリマークというサイズのお話です。

(丸の内の1/3でですよ。)



三菱地所の決算短信を見ますと、意外にも来期は、売上高・当期純利益ともに減収・減益を予想しています。

日経産業が言うような、来期も最高益を更新って言葉を鵜呑みにすると、大変です。

確かに、経常利益は当期よりも伸びる計画で、最高益を更新するんでしょうけれども。


2008/3期計画

売上高 7,930億円(前年比▲16.3%)

営業利益 1,675億円( 同 0.8%増)

経常利益 1,560億円( 同 2.9%増)

当期純利益 845億円( 同 ▲13.5%)


2007/3期の営業利益1,661億円のうち約6割がビル事業、丸の内からの利益はさらにその7割にも達するそうです。

丸の内で稼いで、外に対しては、物件を開発してファンドに売却し、手数料を稼ぐのがビジネスモデルのようです。

しかし、最近は、不動産各社は昔イタイ思いをした海外展開にそろりそろりと動き始めたともいいます。


三菱地所はどっちのほうに動くのか。

それによっては、またぞろ、日本の地価高騰が招く世界の土地買占め、なんて言われることがあるのでしょうかはてなマーク


逆に、丸の内の1/3が外資系ファンドの手に落ちたら、新聞は何て書くんでしょうね。

見てみたい気もします。



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