国内では、かつて洋酒の代名詞として君臨したウイスキーが、ワインにその座を奪われている。だが、世界的に日本のウイスキーはスコッチウイスキー、バーボンに代表されるアメリカンウイスキーなどとともに世界五大ウイスキーの一角を築くまでの存在となっている。世界的なウイスキーコンテストでジャパニーズウイスキーが最高部門賞を受賞するなど、世界の愛飲家から高い評価を受けている。(太田浩信)

 ◆ゼロからのスタート

 イギリスの専門誌『ウイスキーマガジン』による世界的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード」が2月、発表された。日本からは、サントリー酒類の「響(ひびき)21年」がブレンデッド部門、ニッカウヰスキーの「竹鶴(たけつる)21年ピュアモルト」がブレンデッドモルト部門でそれぞれ最高賞を受賞。世界各国のウイスキーメーカーを対象に業界の発展に著しく貢献したとして、サントリー酒類が「ウイスキー・ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。

 「もともと日本のウイスキーは品質がすごく高かった」と語るのは、スコッチ文化研究所を主宰するウイスキー評論家の土屋守さん。「今までは国内で飲まれるだけで、メーカーが海外にマーケティングしようということはなく、世界で知られていなかったと思う」と、ダブル受賞の快挙を解説する。

 しかし、スコッチやアメリカン、カナディアン、アイリッシュなどと比べるとジャパニーズウイスキーの歴史は浅い。寿屋(現サントリー)創業者の鳥井信治郎が、スコットランドで蒸留技術を学び後にニッカを創業する竹鶴政孝を招き、大正12年に山崎蒸留所(大阪府島本町)の建設に着手。ゼロからのウイスキー造りが始まった。

 ◆世界一の品ぞろえ

 手本にしたスコッチは、100ほどある蒸留所の個性ある原酒をブレンダーが組み合わせてウイスキーを造る。しかし日本にはない仕組みだ。「それぞれのメーカーが仕込みの条件、発酵、蒸留であらゆる方法を駆使。ウイスキーの出来を決める樽(たる)もミズナラなどさまざまな素材を使って熟成させ、あらゆるタイプの原酒を造り分けた。こうした努力で技術を磨き、研究を続けてきた成果が花開いた」と土屋さん。

 ディスティラー・オブ・ザ・イヤーの受賞を鳥井ら歴代社長の墓前に報告したサントリー酒類の水谷徹ウイスキー部長は「伝統と革新を言い続け、あらゆる面で労を惜しまない。そんな努力が実り、海外での評価を実感できるようになった」と顔をほころばす。 

 世界的なシングルモルト(ブレンドしていない原酒)のブームが続き、ロシアやインドなど新興国でもようやくウイスキー人気に火がつき、消費は拡大の一途をたどる。熟成に長い時間を要するモルトの将来的な品薄傾向も懸念される。

 土屋さんは「実は日本のバーはシングルモルトの品ぞろえが世界一。どこを探してもこんな国はない。本当にラッキーなことです。ぜひ1度味わってみては」と教えてくれた。

                   ◇

 ■ハイボールブームで出荷1割増

 日本洋酒酒造組合がまとめた平成21年のウイスキー移出数量(メーカー製造場からの出荷数量)は6739万リットルで、前年比10・6%の伸びを示した。人気の要因は各社が力を入れるハイボールブーム。価格も手ごろで若者を中心に支持されている。国産高級品も売れ行きが好調だが、土屋さんは「ウイスキーの本当の魅力を知ってもらわないとブームで終わる可能性もある」と指摘する。

 スコッチ文化研究所ではワインのように資格認定試験を実施し、ウイスキーの歴史や文化の知識を深めたい愛飲家育成に努めている。問い合わせは同研究所(電)03・5774・4142。

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 中国電力島根原発1、2号機(松江市)が地震で大事故を起こす可能性があるとして、周辺住民ら133人が中国電に運転差し止めを求めた訴訟の判決が31日、松江地裁であり、片山憲一裁判長は「島根原発が安全性に欠け、住民に具体的危険があるとは認められない」として請求を棄却した。原告は控訴する方針。

 中国電力は1、2号機について、「周辺に活断層はない」との前提で国から設置許可を受け、運転を始めたが、98年、3号機増設前の調査で約2.5キロ先に活断層(宍道断層)を確認。住民らは、設置許可の重要前提が崩れ、95年の阪神大震災直後に当時の通産省が示した「原子炉は活断層の上には作らない」などの立地条件を満たさない--などとして提訴していた。

 宍道断層の長さや原発の耐震性について、中国電は断層の長さを当初は8キロ、追加調査で04年に10キロ、国の耐震指針改定に伴う再評価で08年に22キロと修正し、住民側は学者の調査を基に「少なくとも30キロになる可能性がある」と指摘した。これに対し、片山裁判長は「中国電力は資料と根拠を適切に示しており、22キロとする評価は相当」と判断した。

 想定する地震の規模について、住民側は、揺れを推測する中国電の計算方法は不適切と指摘し、中国電は「詳細に断層を調査し、条件設定をした。揺れの計算方式は全国の原発で適用されている方法で、合理的」と反論。判決は中国電力側の計算方式を「問題ない」とし、島根原発の耐震性を十分と判断した。

 東京電力柏崎刈羽原発で複数の機器が破損した新潟県中越沖地震(07年)など、裁判中、原発が想定より大きな揺れに襲われるケースが相次いだ。原子力安全委員会は06年、耐震指針を25年ぶりに改定。全国の原発で耐震安全性が再評価された。中国電は08年、「約22キロの宍道断層」を震源とする地震に対しても安全性が確保されていると報告し、経済産業省原子力安全・保安院は妥当と認めた。【岡崎英遠】

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