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あらさらむ この世のほかの 思い出に

  いまひとたびの 逢ふこともがな


20151208 倭塾・動画配信サービス2

もうじき私はこの世から去りますが、あの世への思い出に、もう一度あの人に逢いたいのです。

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この歌を詠んだ和泉式部は、日記文学の代表作『和泉式部日記』でも有名な女性です。
和漢の詩歌に通じ平安時代を代表する女流歌人であった彼女が、晩年、「自らの死を前にして詠んだ」のがこの歌です。

この歌は『後拾遺集』(七六三)に掲載されていますが、詞書には「心地例ならず侍りける頃、ひとのもとにつかはしける」と記されています。
病に侵され、あと数日の命と知ったとき、彼女は自らの思いを歌に詠み、親しい人にこの歌を送っているわけです。
逢いたい相手が誰なのか定かではありません。
仏門に帰依した身としては不謹慎とも思える歌ですが、彼女は人生の思いのすべてを、この一首に託したのです。

いかでわれ この世のほかの 思ひ出に

   風をいとはで  花をながめむ

                 西行

 心もて  この世のほかを 通しとて

   岩屋の奥の  雪を見ぬかな

           藤原定家


いかに和泉式部が天才歌人だったかということ、たった三十一文字の短い言葉のなかに、一人の女性の壮大な人生ドラマと、その時代背景までをも詠むことができるということ、そして彼女が今も私たちの心の中に生きていることを、藤原公任の「名こそ流れてなほ聞こえけれ」の歌と並べることで、定家は伝えたかったのだと思います。






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