冷めたカレー
テーマ:セシル(短編小説)
目の前のお皿から、ゆっくりと湯気が失われていく。
さっきまで、あんなに温かそうだったのに。
あなたは、そんなことに気づきもせず、冷たすぎる風を生み出し続ける黴臭いクーラーに体を寄せている。
君がつくったの?
と、あなたは嬉しそうに笑う。少し太り気味のあなたの、首の後ろが汗でしっとり湿ってる。
君、料理上手だね。
わたしはにっこりと微笑んでみる。あなたはすでにカレーを半分以上体の中に収めてしまった。スプーンを口に運ぶのが、扇風機の回転速度よりも速い。
その、くるくるまわる銀のスプーンをぼんやり眺めながら、わたしは、カレーが冷めるよりも速いスピードで醒めてしまったあなたへの恋心を持て余しつつ、カレーライスを口に運ぶ。
甘すぎるカレーはどう考えてもオンナコドモの食べ物で、どうやらあなたのために作ったわけではないらしい。






