続々・引越し

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  4月某日   




  すべてのダンボールを開けてみたのに、


  しゃもじ と

 

  ドライ衣料用洗剤  が

 

  探しても探しても見つからない。

 

  これが、


  「なくしてはじめて、その大切さに気づく」

 

  と、


  いうやつか。





 

「闇打つ心臓」

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 4月某日


 長崎俊一監督の


 「闇打つ心臓」


 を観に渋谷シネ・アミューズへ。

 

 現実/非現実、


 の隙間をたゆたうような不思議な感覚に捕らえられ、

 

 観終わってからも、


 何が本当で何が本当じゃなかったのか、


 分からないままふわふわとしていた。



 上映終了後に


 長崎監督、諏訪敦彦監督、矢崎仁司監督のトークショウがあり、

 

 それも観る。

 

 終わった後、


 厚顔にも、監督たちが飲みに行くのに付いてゆく。


 

 

 心揺さぶられたり、ぐちゃぐちゃに泣いたり、心の深い部分をつかまれたりした、

 

 すごい映画を撮った監督たちと、

 

 一緒にお酒を飲んでいるのだ、

 

 そう思ったら、

 

 なんだかふつふつと、感動した。


 神様ありがとう。




 

不幸と感動の一日。

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 4月某日

 

 ずっと観てみたかった、

 

 ピナ・バウシュの公演を観に行く。

 

 が、

 

 まるで映画かコントみたいな数々の不幸に見舞われ、

 

 家から三十分で着くべき場所に、

 

 一時間半かかってしまい、頭の二十分が観られなかった。

 

 

 踊りのことはよく分からないのだけれど、

 

 感動して、

 

 一人で観に行ったのにスタンディング・オベーションしてしまった。




 



 

 

続・引越し

テーマ:

  4月某日

 

  無事引越し完了しました。

 

  といっても、

 

  もちろんまだダンボールの山ですが。

 

  飼い陸亀が、

 

  はじめて歩く畳の感触に、

 

  どきどきしていたようでした。


  緑色だから、

 

  広い草原だと思ったのかもしれない。

 

 

 


 

 

 


 

    

雨の夕方の山手線

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   4月某日

 

   雨の、

 

   夕方の、

 

   山手線に乗り込んでしまい、ぐったりする。

 


   新入社員という人たちは、

 

   どうしてあんなにぴかぴかしていて、

 

   どうしてあんなに大きな声で喋るんだろう。

 


 

   知らない女の人の傘の先がわたしの目を刺そうと狙ってた。

 

    


   雨の、

 

   夕方の、

 

   山手線の人たちがみんな敵に思えた。


 

   けど、

 

   たどり着いた先に、

 

   一緒にお酒を呑んでくれる人がいたから、

 

   ああ良かったって


   ああ良かった良かったって、


   ようやくほっと息がつけた。



    

水面の感触


 うっかり彼女に憧れてしまったわたしは、そのあまり経験のない感情に翻弄され、みっともなくもあたふたしている。 


 わたしよりも一つ二つ年上の彼女は確かに憧れるに足る魅力の持ち主なのだけれど、よりによってこのわたしが誰かに憧れたりするなんて、と自分自身が信じられなくなっていたりもする。

 


 彼女みたいになりたくて、彼女みたいな洋服を着たいだなんて馬鹿げている。そう思っているのに、一括で購入してしまった両手一杯の紙袋の中身は一体なんのつもりだ? 来月のカード引き落とし期日が怖い。しかもちっとも似合わないときているんだから。 


 せめて彼女が男の人だったら、わたしだってもうちょっとマシなやり方で憧れることができるのに。体で片のつく問題は、いつだって心の問題より少しばかり簡単だ。 


 憧れは恋に似ていて、ソーダ水みたいにいつも淡く泡立っている。
 水面の感触にみたいにあやふやなこの気持ちは、一体いつまでわたしを支配するのだろうか。