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2005-11-25 01:38:26

祈る

テーマ:世界(小説)

  「思うんだ。

  たとえば、世界の平和を祈るのってけっこうむずかしいでしょ? 

 けど、たった一人の大切な人の幸せなら簡単に祈れる。

 たとえば僕が君の幸福を願う。君が君のお母さんの幸福を願う。君のお母さんが君のお父さんの幸福を願う。君のお父さんが彼の友人の幸福を願う。お父さんの友人は自分の息子の幸福を願う。息子は姉の幸福を願う。姉は自分の恋人の幸福を願う。

 そうやって、ひとりがひとりの幸福を願えばいいんだ。

 自分にとって大切な人のいる場所が、少しでも平和で平穏で暖かい日が差していることを願うのは、当たり前のことでしょう?

 せめてその場所に憎しみや戦争がなかったらいいと思うでしょう?

 ひとりがひとりの幸福を祈る。

 それが、結局は世界の平和を祈ることになるんだよ。

 だから、僕は君の幸福を願う。君が幸せであるように。君の、とりあえず半径一メートルの世界が幸せでありますように。

 心のそこから、全身全霊で祈るよ」

 そんなことを言っていた人間がいた。

 僕に言ったわけじゃない。

 僕はたまたまその家の窓辺に落ちたんだ。

 僕は雨粒だ。そうしてその言葉を体にしみこませて、土の中にしみこんだんだ。

 君にはもう会えない。僕は土の中。君は、空の上だ。雲、君は今日も青の中を自由に流れているのだろう。

 僕は君にはもう会えない。

 だから僕は君の幸福を祈るよ。

 ありがとう。



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2005-11-24 04:29:57

自分が壊れないように気をつけて生きなければ。

テーマ:日々の泡々

 11月某日


 自分のことを棚に上げるひと、ひとびと。


 家に帰って、何時間もたって、じわじわと悲しくて、


 意味も分からずに唸りながら泣いた。


 人と、


 距離をとることも大切な交友術なのだと、


 大人になってから知った。



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2005-11-21 20:45:08

牛乳プリンは食べましたか、という質問に答えてみる。

テーマ:質問に答えてみる。

 

 食べました。


 美味しいです。


 しかし、どうしてどれもあんなに大きいんでしょう。


 食べ切れません。





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2005-11-19 21:39:26

韓国語が読める方、ぜひどうぞ。

テーマ:お知らせなど。


 以前、メディアファクトリーから発表させていただいた、


 「国境の南、太陽の西RMX」


 が、韓国にて翻訳出版されました。


 文学思想社から、7800ウォンで発売しております。


 見本を頂きましたが、


 アルファベットじゃない外国語って、


 本当に手がかり何にもなしなのね。


 まったく理解できません。


 7800ウォンが幾らにあたるのかも、見当つきません。




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2005-11-17 10:37:54

顔の良い男は体の丈夫な女を選ぶ。

テーマ:日々の泡々

 11月某日



  渋谷を歩いていて、ふと思ったこと。

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2005-11-15 08:19:15

青春文学

テーマ:お知らせなど。

 野性時代12月号の、


 「作家らによるおススメ青春文学100冊書評」


 に、3冊ほど書評を書かせていただいております。


 3冊とも、すごく好きな本です。


 本屋さんに行かれた際は、是非。

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2005-11-13 03:26:25

愛以上

テーマ:世界(小説)

 まさかこんなところで会うなんて思わなかったから、あたしはびっくりして思わず逆毛を立ててしまった。
 「どうした、なぜこんなところに?」
 と、野良猫は言ったので、彼も驚いているのだと言うことが分かった。

 目の前の野良猫は、あたしが知っているときよか余計に薄汚れ、余計に痩せこけていた。もうほとんど皮と骨だ。

 あたしはあたしの丸々とした体を少し呪った。
 「あんたこそ、どうして」
 あたしは、あなたに会おうと思って、とは言わなかった。そんなの言いたくなかった。
 「俺は、お前のとこに行こうとしていたんだ」
 野良猫は言った。
 「かりかりが食べたくなったの?」
 「いや、まあかりかりも食いたいが」
 そこまで言って野良猫は一度言葉を区切る。
 「俺の余命を、お前と過ごそうかと思ってな」
 馬鹿じゃないの、とあたしは思った。

 死ぬまであたしと過ごしたいなんて、ロマンチックにも程がある。けど。一緒に生きることや、一緒に死ぬこと。それってただ愛さえあれば簡単なことだ。

 けれど、死を看取ることには、それ以上に何かが必要な気がする。

 愛以上のもの。それってなんだか分からないけど。
 たぶんきっと、野良猫はもうすぐ死ぬ。

 そしてあたしは、まだ随分と若い。
 「そうね、そういうのもいいかもね」
 あたしは答えた。
 野良猫は少しだけ口の端っこを上げて笑った。


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2005-11-09 06:26:39

プリンの陰謀

テーマ:日々の泡々

 11月某日


 最近毎日プリンを食べている。


 コンビニにおいてあるプリンの種類が異常に多く、


 片端から食しておるのだが毎日のように新しい種類が入荷される。


 全種類制覇するまで、やめられない。


 いつまでプリンを食べればいいのだ。


 何かの陰謀に違いない。





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2005-11-08 07:14:05

前へ

テーマ:世界(小説)

 ふわりふわり、俺は風に乗り遠くへゆく。
 白くて美しいものを作るから蜘蛛なんだ、飼い猫が前にそう言ったが、それはちょっと違う。
 蜘蛛と雲の共通点は、風に乗って旅するところだ。気ままに。自由に。
 俺は蜘蛛で良かった。あんまり他の生き物に好かれない見た目のせいでときどき嫌な目にも合うが、そんなもん、たいしたことじゃあない。
 ふわふわと風に白い糸をはためかせる。自由という幸福。
 と、俺は、眼下になんだか小汚いものを見つける。

 じっと動かない。薄汚れていて、あまり良くないにおいがする。
 下りていってよく見ると、それは行き倒れた野良猫だった。

 しっぽが折れ曲がり、短い毛がべっとりと体に張り付いている。

 死んでるのか? 

 そう思ったら、その小汚い野良猫が、のっそり顔を上げた。
 「大丈夫か、お前死にそうだぞ」
 俺が声をかけると、野良猫は俺のほうにゆっくりと目をやった。 
 「死なないよ、まだな」
 野良猫は、よぼよぼのくせににやりとニヒルに笑った。
 「会いたいやつがいるんだ。それまでは死なない」
 勝手にしろ、そう思いながら俺はまた風に乗る。猫って生き物は、どうも自意識が強すぎる。
 でも、あいつらのそういうとこ、ちょっと好きだな。
 風に乗りながらちらりと後ろを振り返る。

 野良猫は、ゆっくりとだが少しづつ、前へ前へと進んでいた。



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2005-11-05 05:46:11

ほんものの持つ力

テーマ:日々の泡々

 10月某日


 「プーシキン美術館展」を観に、上野へ。




 わたしは、けして絵に詳しいほうではないのだけれど、


 「ほんもの」の絵を目の前にして


 

 体が震えてしまった。






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