国立大学の大学院生から
テーマ:ブログ先日、或る方の紹介で、某国立大学の学生さんとお会いしました。その学生さんは、大学の学業成績優秀者として学長表彰されており、現在は大学院で農業経済を学んでいます。
お会いした主旨は、日本の農業における課題である「労働力の確保」について 、人材紹介業のプロである私に意見をうかがいたい、というものでした。彼の卒業論文の材料の一つとなるそうです。一流国立大の優等生の卒論とは、私としても責任重大であります(笑)。
私自身、実家の三重県尾鷲市にはミカン畑(約50本)があったり、趣味の一つとして150平方メートルほどの畑を借りて家庭菜園をやっていたりした(10年間ほどですが)こともあり、今回の話をお請けしました。
彼の話として、自治体やJAが主導で「ボランティアを募って労働力を確保」しようとしているが、なかなか上手くいっていない、ということでした。
私個人の見解として、農業におけるボランティアは成り立たないのではないか、とお話ししました。それは、農業従事者・農業体験希望者のそれぞれの「目的の不一致」が理由です。
例えば、東日本大震災の後、瓦礫の撤去にボランティアの方々が活躍されていることは皆さんもご存じの通りです。ですが、彼らは瓦礫を撤去したくてボランティアをしているわけではありません。「東北の復旧の役に立ちたい」という目的があり、それを実行するための一つに瓦礫の撤去があるわけです。また、地元の方々も、「一日も早く復旧するためには人手が必要」ということでボランティアを受け入れている。つまり、双方の利害が一致しているからこそ、ボランティアが成り立っているわけです。
では、農業の現場に目を向けると、農業従事者の方々は跡継ぎ問題等々を含め、労働力不足という課題を抱えているのは事実でしょう。その背景には、生産性向上があるのは言うまでもありません。農業を生業としている方々からすれば当然のことです。
しかし、農業をやってみたいと考えている方の多くは、趣味の域を脱していないのではないかと推察します。つまり、「土いじりをしてみたい」「ヒマな時間で趣味を増やしたい」等々の理由から、自治体が募集しているボランティアをやってみたいというレベルではないでしょうか。
私自身も商社時代、月~金をビジネスマンとして過ごし、土曜の早朝(5時~6時)から畑の草取りなどをしておりましたが、これは趣味だから出来ることであって、これを生業とする自信は全くありません。
要するに、農業を生業としている方々のところに趣味の一つと考えている人が行っても、双方の目的が異なります。これでは上手くいくはずがありません。農家の方々の多くは、労働力確保に資金を投入する余裕はほとんど無く、自治体も「無償=ボランティア」という安易な発想で動くため、その事業がほとんど推進されないのも当然のことです。
では、どうすればよいのでしょうか。
私の考えとしては、「ボランティア」ではなく「インターンシップ」の推進です。
農業の生産性を向上させるには、労働力確保だけではなく、栽培方法の拡大も大きな課題の一つです。例えば、果物の栽培地域の北限を上げていくことや本来は栽培に適さない土壌でも育つような品種改良などです。これらは農学部の学生さんだけでなく、肥料や種などを作っている企業にとっても大きな研究テーマであり、それが達成されることにより、日本の農業を強くしていくという大きな目的があります。そのためは、農家の方々に協力を仰ぐ代わりに労働力を提供するという双方の利害関係の一致につながります。また、それを促進する自治体やJAにしても、地元の農産物の生産が増え、広く世間にPRできる可能性も秘めており、まさに「三方良し」となります。
そういえば、1/26の日本経済新聞に、若い人材の就農拡大のため、農林水産省が新たな支援策を導入するという記事がありました。経営が不安定な就農直後の収入補填のため、国が最長で7年間にわたって年150万円を支給するというものです。これまでの支援策は無利子融資や農機具購入の補助に限られていましたが、農業収入に対する直接給付に踏み切ることにより、農業の担い手を安定的に確保しよういう試みです。
そんな話を1時間ほどさせていただきました。彼は熱心にメモをとっていました。真面目で優秀な学生さんでした。彼が日本の農業政策を支える人材に育ってくれることを強く願っています。















