某月某日。
よく買い物に行っている近所のショッピングモールでその事故は起こりました。
普段、奥さんと2人のときはぼくが運転するんですが、その日は奥さんが駅にぼくを迎えに来たついでに寄ったので、たまたま奥さんの運転。
屋上駐車場で係員に誘導されるままに角を曲がったその時、駐車場で追いかけっこをしていた5歳の子供が、「追いかけてくるお兄ちゃんを振り返って見ながら、後ろ向きで車にぶつかってきた」のです。
奥さんは子供が走ってくるのを視認して停止。そこに子供がぶつかって転び、少し足をすりむきました。
これだけ見ると、本当になんてことない軽い事故です。
ですが、もしあなたがこんな事故に遭遇したら、たとえ相手が示談を申し出ても、絶対に警察を呼んでください。ぼくもすぐに警察を呼びました。
とはいえ、警察の事情聴取にも注意が必要なのです。事故を起こしてテンパってる時なので、むしろこっちの方が重要かも。あとで法的な話になったときに、このときの調書は重大な影響力を持ちます。
事故処理をする警察官は、証言を適当に解釈して、事故を起こした本人に過失があるように記入します。「なるほど、では~~~ということですね?」という感じで。
もちろん、警察官に悪気はありません、事故調書のフォーマットそのものが「事故を起こしたら両方に何らかの過失がある」ことを想定しているのです。たとえば「私の不注意は○○でした」とか「私が○○をしていればこの事故は回避できたと思います」という記入欄があり、ここに記入できないと事情聴取がおわらない仕組みになっています。
いくら「不注意はない」「この事故は回避できなかった」と主張しても、「それでも何かあるでしょ」としつこく食い下がられる。だって、この記入欄に何かを書かないと彼らの仕事が終わらないから。
油断すると、彼らはすぐ「ブレーキを早く踏んでおけば避けられた」とか「徐行していれば避けられた」などと書こうとします。もし自分に非がないと信じるなら、強く抵抗することをおススメします。
そこでぼくが調書に書いてもらったのはこういう文言。
■「駐車場において、すべての曲がり角の3m手前で車を停止して、同乗者が車を降り、曲がり角まで行って安全確認したうえで誘導していればこの事故は避けられたと思います」
実際、こんなことしてる奴なんているわけないですが、警察官はフォーマット通りの報告さえ取れればいいので、それで合意。(実際、ここまでしないと防げる気がしなかった事故なのですが)
加えて、「ぶつかったときには停止していた(係員の証言)」「安全速度で徐行していた(係員の証言)」「後ろ向きで走っていた(ぶつかった子供を追いかけていた兄の証言)」旨を明記してもらい、さらに備考欄には「一般的な注意義務はすべて果たしていた」との一文を追加してもらいました。
また、子供から目を離していた父親は「もし病院に行って何かあったらその父親から連絡をする」と言っていたので、事故の瞬間を見ていないことも含めて調書に明記。
ぼくが思うにここで大事なのは、事実がどうかではなく「事実が調書にどう記述されているか」です。
あとで確認しましたが、その甲斐あって、事故は人身ではなく物損で報告されていました。警察に言われるがままに調書を取られていたとしたら、ほぼ間違いなく人身事故。そうなると、一般的には、車対子供なら車が100%悪いことになります。その時点で、青天井な賠償責任が降って湧いてくるのでご注意ください。
というわけで、その場の対応で法的に過失がない状況にはしておきましたが、怪我した子供を気遣い、子供たちの喜びそうな菓子折りを翌日に送っておきました。それで一段落したと思ったら・・・。
その一週間後、事故に居合わせたその父親(建設系自営業の社長)から奥さんに電話がかかってきました。
「子供がショックで学校にもいけず、病院に通っていて、その間の面倒を見るために仕事もできない。治療費と精神的苦痛への補償、仕事ができない間に得られるはずだった収入、すべて保障してほしい。金額の交渉について、直接やるか、保険屋を入れるか選んでくれ」
とのこと。うわ、やっぱり来ちゃった、ってなもんです。
ぼくが奥さんから電話をかわると、「本人か保険屋としか話す気はないです。わかってんですか?奥さんは人身事故起こしたんですよ!賠償がないなんてありえないですよね!!で、保険使うんですか?ご本人が対応されるのですか?」とか言い出した。
ああ、マジめんどくさい!
想定の範囲内とはいえ、ある程度の時間や弁護士費用は覚悟しました。
幸いにして、こちらの準備は万全でした。
ここで一旦電話を切って所轄の警察に電話し、事故の報告が人身ではなく「物損」であがっていることを確認。さらに念のため、弁護士の友達に電話して聞いたら、警察の調書の件も含め、出るところに出たら過失ゼロに間違いないとのアドバイスを得ました。
そのうえで、「何かあるなら弁護士を立てるから言ってこい。こちらに過失はないので、ビタ一文払う気はない」という旨をぼくから伝えました。
それでもゴニョゴニョ言ってたので、自動車保険(アメリカンホームおススメです!)の担当の方に対応してもらうことにしました。その彼から報告があったところによると、「過失ゼロなので補償は一切しない」と強く主張していたら、連絡が取れなくなったそうで。そして彼の提案通り、保険適用の申告を取り下げ、等級も下がらずこの事故は収束したのでした。
余談ですが、「そっちがやる気なら弁護士を立ててとことんやるよ」と伝えるのに自宅に電話した時、追いかけっこしてたお兄ちゃんが電話に出たので、「○○ちゃん大丈夫?」と聞いたら「元気だよ!今も遊びに行ってる!」と言ってました。。。
この天真爛漫な良い子たちが、まっすぐ育ってくれることを祈るばかりです。