吉田裕子BLOG「国語で人生に輝きと潤いを!」 国語講師、古典講座、日本語本

国語を学ぶことで感受性と対話力を磨いたら、人生はもっと楽しいと思う。国語の先生を始めて14年目。(予備校講師、高校教師、カルチャースクール講師(大人向け古典入門講座)、著述家) 東大教養学部・慶應通信(文学部第1類・教職)卒。放送大大学院在学中。

国語講師・著述家の吉田裕子(よしだゆうこ)の最新活動情報をお届けします。著書・講座などのまとまったご案内は、吉田裕子 公式ウェブサイトにございます。

   

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吉祥寺 古典を読む会、2月の定例会は『とりかへばや物語』を取り上げました。


今回の着眼点は大きく二つ。


一つ目は、平安時代も後半の作品である『とりかへばや物語』(今とりかへばや)には、先行する物語の影響がかなり見られること。

例えば、『源氏物語』では、光源氏が、理想的な美しさと心ばえとして語られるのに対し、友人でありライバルである頭中将は、一般に見れば、十分立派であるが、光源氏に比すれば少し劣っている、と語られています。『とりかへばや物語』の男君(実は女)と宰相の中将の様子も、彼らの設定によく似た形で、語られているのです。

自分は后にもなるべき身だったのに、と、年下の一貴族との結婚に不満を覚える四の君も、『源氏物語』の葵上を髣髴とさせます。


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二つ目の着眼点は、読者をドキドキハラハラさせる設定・シーンが続く、『とりかへばや物語』の娯楽作品としてのおもしろさを感じてもらうことでした。

男女を入れ替えたことと、宰相の中将の好色さとのせいで、なかなか人間関係は複雑です。物語の進行に合わせて、系図をお示ししましたが、皆さま苦労していらっしゃいました。(下の系図ひとつ見ても、厄介さが伝わるかと存じます……)


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奇想天外な物語にたくさん驚かされた二時間でしたが、最後に、主人公の一人、男から女の姿に戻って帝のきさきになった人物についてお話しすると、皆さま、なかなか思うところがおありだったようです。

何せ、もともと社交的で、幼少期から漢学や笛の素養を身につけて生きていたのに、望まない妊娠を機に女性に戻ると、それまでの能力や人間関係などを全て封印して生きねばならなかった人ですからね……


ご感想を一部ご紹介します。


いつの時代もあまり変わらないように思いました。女性の置かれた立場はあまり違わないようです。


複雑な人間関係をわかりやすくご説明いただき、よく解りました。


平安時代にこんか発想をする人がいたなんて!


『源氏物語』に比べると文章が分かりやすいように思われたので、自力で原文に挑戦してみたいと思います。


『源氏物語』を起点にした文学史の説明がとても興味深かったです。



次回も少し妖しげな物語、『篁物語(たかむらものがたり)』を取り上げます。母は異なるとはいえ、父は同じ、異母妹に恋してしまった男性貴族の物語です。

気になる方は、こちらから場所などご確認の上、お運びくださいませ!



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天狼院書店のウェブサイトに短編小説を載せていただきました。ご覧いただけたら幸いです。
 
 
藤堂文昭(とうどうふみあき)。29歳。「職業は何ですか?」と尋ねられれば、「書籍編集者」なのだろうけど、堂々とそう答えることには少々ためらいもある。

俺が編集してきた本の中で、代表作を挙げてみよう。

『声に出して読みたい日本文学』
『底辺校のヤンキーが1年で偏差値40上げて早稲田に合格した話』
『批判される勇気』
『体がかたいアナタもズバーッと開脚できるようになるたった3つの方法』


どの書名も、どこかで聞いたことがあるのではないだろうか?

それはそうだ。そういう風に感じてもらえるように名付けているからだ。

他社でベストセラーの本が出たら、それに近い内容の本を作り、そこそこの売り上げを確保する――それが、俺の仕事スタイルだ。

そう、二番煎じである。
 
続きは天狼院書店サイト『職業:二番煎じの俺より』でご覧ください。
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18歳から11年間、塾講師をしてきた私は、29歳の春、教員免許を取りました。そして、とある女子校で教壇に立ち始めました。


塾と学校。


国語を教えるという点では同じ仕事なのですが、やはり違う点もあります。

 

学校で教え始めて、1番新鮮だったのは、小説をじっくり読む授業を担当することでした。


『羅生門』『山月記』、そして『こころ』。


それらの学習のまとめとしては、やはり定番の感想文に取り組みました。


生徒から出てきた中で、特に面白く感じたのが、小説の形で感想文を提出してきたものでした。後日談、主人公以外の目線で語り直したもの、脇役のエピソードを考えたものなど、その小説から自分で膨らませた物語を書いてきた子たちが複数いたのです。

 

それに触発され、私も『こころ』から発想した短編小説書いてみることにしました。


その小説が、天狼院書店に掲載されています。


ご覧いただけたら幸いです。

 



夏目漱石『こころ』のあとがきを考えてみた


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この『こころ』という小説は、もちろん小説家 夏目漱石が書いたわけですが、作品内の世界としては、「私」が一人称で語る「上」・「中」、「先生」の遺書である「下」から成っています。

 

「上」を「私はその人を常に先生と呼んでいた。」と、過去形で語り始める「私」は、「先生」の死後に振り返るスタイルで語っています。あれは、いつ、何のために語っているのだろう? その素朴な疑問から小説を書きました

 

「私」は『こころ』を出版した。その「あとがき」として、本編の後日談を綴った。――という設定のもとに書いております

 


* * *

 


墓場まで持って行く秘密、というものがある。私が今回書き綴った話も、本来はそういう類のものかもしれない。しかし、私は書かずにはいられなかった。そして、公にした。どうしてそのような真似をしたのか。いささかの弁明のつもりで、この「あとがき」の欄に書き付けておく。



続きは、夏目漱石『こころ』のあとがきを考えてみたでどうぞ。


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