チャイに詰まった歴史

インドといえば、「チャイ」を思い浮かべる方も多いと思います。
暑く乾燥したインドで、疲れを癒すために座ったチャイ屋でいただくあまぁ~く、濃厚なミルクのチャイは本当に体も心も癒されます。

家庭や季節、体調などによって入れるスパイスもさまざま。

生姜はもちろんのこと、カルダモン、シナモン、ミントの葉、ターメリックの葉、レモングラス、ナツメグブラックペッパーなどなど、効能や香の違うスパイスを組み合わせて作ります。

作り方も様々で、水からスパイスを入れる人、ミルクも一緒に暖めてから茶葉を入れる人、
暖めたミルクと分けたスパイス紅茶をつくって混ぜる人、砂糖も一緒に煮込む人、出来てから入れる人、牛乳で作る人、水牛乳で作る人、。。。

本当に一言でチャイといっても、別物のような味のこともありますね。

私のインド生活でもっともチャイについて思い浮かぶのは、今は無き、とあるチャイワーラーです。
プネーに滞在していたことのある人には、とっても有名なチャイワーラーで、キャンプ地区のセンターストリートにありました。センターストリートは商店街なのですが、お茶を座って飲めるのはそのお店しかなかったので、誰もが知っていました。

そこでチャイを作るババ(おじさんと呼べる雰囲気はありませんでした)はとても雰囲気のある方でした。




これがその方。

チャイワーラー


たっぷり蓄えた白髭と長髪がなんとも聖者のようないでたち。
ほとんど言葉も発しません。英語で話しかけても、「私は英語は話さないから」といように、静かにクビをふり、こちらが次の言葉を発するのを躊躇するほどの雰囲気がただよいます。
たまに店の人に、ボソっとないかをつぶやく姿しか見たことがありません。

身の回りで店番をするチョトゥ(小僧さん)が、まるでおつきの人のように彼をケアします。

様々な噂が流れ、彼はアーユルヴェーダの本を書いたえらい先生だとか、聖者だとか、、、、
でも、結局誰も彼のことを詳しく知る人はいませんでした。



彼は1日中すわり、チャイを瞑想的に作り続けます。

チャイワーラー



鍋から濾し布にチャイを落とすのも、ミルクを注ぐのも、まるで水の中を動いているように
優雅で滑らかに、空気と一体になるかのように静かに美しくチャイを作り続けます。
ある意味、その彼とチャイ作りはかけ離れたもののように見えることすらありましたが、
彼にとってはそれがチャイ作りでも、香高いワインを飲むのでも、同じことのように
瞑想的であるように感じられました。
なぜか客として座席でチャイを飲むのも、瞑想のフィールドにいるような神聖な感覚になるものでした。

そんな彼はもうセンターストリートにはいなくなってしまいました。
近所の人の話では「彼は町を出たから、もうここには戻ってこない」とのことです。
噂ではアメリカに行ったとか、よその町にいったとかいろいろ耳に入ります。
でも、彼のチャイを、もうここで飲めないのが残念です。


話はまったく変わってしまうのですが、チャイっていつごろからインドで飲まれていたのでしょう?

インドの友人に尋ねたことがあります。

彼が言うには、チャイの歴史はそう長くは無く、東インド会社が設立された頃からのことだといます。

紅茶といえば、イギリス、アフタヌーンティでも知られてますね。
そんなイギリスの支配下にあったわけですから、おいしい紅茶はどんどんイギリスへ輸出されました。
そして紅茶の栽培は盛んになったわけですが、おいしい紅茶ばかりが出来るわけではありませんし、
残ったクズ茶すらもお金にしたかった会社は、それを現地の庶民に飲む習慣を作らせたのです。

しかしクズ茶はやはり苦く、そのままでは飲むのも至難の業、そこでミルクやスパイス、甘く砂糖をたっぷり入れて飲むチャイが生まれたというのです。

これはあくまでも知人から聞いた話。事実かどうかはわかりません。

でも、そういう認識が少なからずのインド人の中にはあるのですね。
そう思うと、なんだかチャイにはインドの歴史が詰まっているようで、ちょっと切なくも感じますね。

それでも、こうしていまやインドの代名詞的な地位にまでのし上がったチャイ、健康でおいしい飲み物として世界でも市民権を獲得しつつありますね。

そうやって、どんなことでも明るく前向きに、自分たちの歴史に自信と誇りを持ったインドの力を感じずにはいられない、そんな背景を感じながら、寒くなった今日も暖かいチャイで温まりたいと思います。

今では街中のひとつのパフォーマンスともなった、いろんなチャイワーラーをご覧ください。









それと埋め込み禁止なので、これはURLだけで。

http://jp.youtube.com/watch?v=zg9cqL4OMLk



チャイの楽しい映像はたくさんありますね。

みんなチャイが大好き!

これからどんな歴史を作っていくのでしょうね。
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