2009年12月24日

宋の太祖 趙匡胤

テーマ:中国・時代物
宋の太祖 趙匡胤 (講談社文庫)/小前 亮
¥780
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「宋の太祖 趙匡胤」
小前亮・著
講談社・出版/講談社文庫


『中国時代小説、歴史小説』


 宮城谷さんが、(三国志を書いていたものの、まだ文藝春秋で連載しているんですか?)
日本の戦国時代を書き出して以来、
まだ、名前のブランド力では陳舜臣さんに劣るものの、
中国時代小説の書き手ツートップは、小前亮、塚本青史になったと思います。
 バリバリ量は書いているものの、以前世間的ヒット作がないので、
(基本的に、ジャンル小説ではあるのですが)
知名度は、今一ですが、中国時代小説を読みたい人は、
名前を知っておいて損はないと思います。


 その小前亮さんの、作品です。
 扱うのは、宋の一代目、趙匡胤。
元々、飛竜伝という名で単行本化されていたものの文庫化です。
 宋って文治主義とか、モットーにしていたり、
晩期は、北方騎馬民族の勃興期に丁度当たり、皇帝が連れ去られたり
ちょっと先行きが不安な感じもあるのですが、、、。
 当たり前ですが、王朝が数代で変わる、乱世だった時期から
義兄弟の契りを結んだ、鄭恩と共に、一軍閥の客将の存在からめきめき頭角を表し、
中原に覇をとなえるまでになります。
 伝記小説って小説内のピークと本人のピークをあわせるのが、難しくて、
あわせすぎると、時間の流れが一定でなかったり、主観が強すぎる描写だったりするのですが、
読後の一番の感想は、上手くまとめたなぁ、、、という感じ。
 小説としては伏線がばりばりはられているものの、
ミステリ的なサプライズとして、後継者問題があるのですが、
これは、びっくりするかもです。


 今、小前亮さんは、岩波のYA本で、三国志を執筆中。
中国時代小説って読者が限られる、ジャンル小説ではあるのですが、
バリバリ書いて欲しい。


「エイレーネーの瞳」の記事へ


「李世民」の記事へ

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2009年05月19日

仲達

テーマ:中国・時代物
仲達/塚本 青史
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「仲達」
塚本青史・著
角川書店・出版


『三国志演義を逆から見てみる』


塚本青史さんが、「霍去病」でデビューしたときは、驚きでした。
中国史に詳しい、田中芳樹さんによると、霍去病を描いた少女漫画が以前あったそうですが、
 小説そのものの出来は、あんまり覚えていないのだけど、
世界史好きには、霍去病をとり上げてくれるだけで大満足でした。
 その後、「白起」とか、一連の中国史ものを描いてきた塚本さんが、
(「マラトン」とか、例外もありますが)
仲達を、書くとは、、、。
その事実だけで、読み決定です。


 上で田中芳樹さんのことちらっと書きましたが、
田中さんの作品で中国の名将を100人あげた「中国武将列伝」という本があります。
(小説じゃありません)
 陳舜臣さんも、対談で田中さんのあげた百人をみて、よい選び方をしていると仰っていました。
 そこで、中国史通の田中さんならではですが、三国志のあたりで、
 軍師としては、孔明さんより、仲達のほうが、上って書いてあったのです。
当時、駆け出しの世界史ファンで孔明ファンだった私としては、ひえーと思ったのです。
(後、法正なんかも、高く評価されていました)
 ただ、その本でも、自分がいかに中国史に詳しいかの表現だと思うのですが、
田中さんは、日本では三国志、三国志といいすぎだと。
 日本では、平家物語が一番面白いと外人が言うようなもので、
三国志は、ワンノブゼムだと、楊家将もあるし、中国の国民的英雄は、岳飛だと、書いてあり、
中国史のその歴史物の世界の広さにひっくり返ったのですが、、、。

 ちょっと話がそれました。

 日本で知られる、既存の三国志では、親子そろって孔明さんの引き立て役ぐらいにしか、

描かれていない、仲達は、すごい人なのだそうです。


 で、本書ですが、その司馬懿仲達にスポットを当てた、歴史小説です。
全体としては、曹操が死んだあたりから始まり、曹丕、曹植の後継者争い、
孔明さんとの熾烈な戦い。
 その後、魏内部での曹爽との権力争いなんかが、メインで描かれています。
この本ならではの新機軸というか、新しい描き方は、孔明さんと薬物の関係。
その薬物と医学の面から当時の最高の医者華佗の弟子なんかが、登場します。
 分量なんかもそうなのですが、いい意味でも悪い意味でも歴史小説然としていて、
あんまり人物の感情心理面、重点を置かれて書かれていないのが、
ちょっと読んでいて感情移入しづらく難点かと、、。
 逆に人物の感情、心理に重点を置くと、佐藤賢一みたいになって、歴史の流れに対して
ホモジーニアスじゃなくなるので、この辺は難しいところですが、
 三国志ものは、孔明さんが死んだところで終わっちゃうものが、多いと思いますが、
(吉川英治もそう)
孔明さん以後を知るうえでも面白い一冊だと思います。


中国武将列伝〈上〉 (中公文庫)/田中 芳樹

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中国武将列伝〈下〉 (中公文庫)/田中 芳樹
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2007年04月30日

泣き虫弱虫諸葛孔明 第二部

テーマ:中国・時代物
酒見 賢一
泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部

「泣き虫弱虫諸葛孔明 第二部」
酒見賢一
文芸春秋・出版


『孔明さん出廬から長坂坡の戦いあたりまで』


 軍師ならぬ、ぐんしーの孔明さんを描くシリーズです。 
 

 本書、どんな風に連載されているのか、
全く知りませんが、前作「泣き虫弱虫諸葛孔明」の第二部が出ました。
(中途半端な終わり方だったので、続くのかなぁ位の感じでした。)

 前作は、孔明さんが、三顧の礼で劉備軍団
(まだ、寄って立つ国すら持っていないので、軍団ということで)
に迎えられるあたりで
終わりだったので、今作でフォローしているのは、前作の終わりから始まり
難民を引き連れて荊州脱出、長坂坡の戦いあたりまでです。


 どんな感じでこの小説の企画がスタートしたのかもわかりませんが、
前作は、孔明さん一人にライトが当っている感じでしたが、

(その奇行に、、)
(孔明さんが、世間とかかわりを持たず一人で篭っていたのだから、
 今でいう、ひきこもりですね、、、しょうがないのですが)
 本作では、酒見版「三国志」の本格的なスタートといった感じを受けました。
孔明さん以外のキャラクターにも十二分にページを割いてきっちり書かれていて、
孔明さんサイドで存命時期を描くにしても、脇から敵役まできちっと酒見さんの筆で
書かれています。
 
 「後宮物語」や、「墨攻」「童貞物語」「周公旦」「陋巷に在り・シリーズ」等で、
中国史ならびにその文化に大変造詣の深い酒見さんの博識が相変わらず爆発といった感じで、
誇張と笑いを織り交ぜ、半分歴史エッセイといった体(テイ)でどんどん綴られています。
 荊州脱出のエピソードは、普通、難民を引き連れての涙、涙の、
お話しになるのですが、こんな風になっちゃうとは、、ちょっと吃驚。


 又、書評ブロガーさんの、間で超人気の孔明さんの弟、均君ですが、
(私も大好きです)
本作でも健在です。コメディ・リリーフ的に扱われていますが、
劉備軍団と行動をともにします。
 この後の、呉を魏と戦わせるための孔明さんの超絶舌先三寸外交!?や、赤壁の戦いの
風起こし(実は、入念に地元漁師にインタビューをしてお天気データを入手していた孔明さん)
なんか、あるわけですが、
 どんな風に描かれるのか、本当に楽しみです。
でもエビノートさんも書かれていましたが、

エビノートさんの記事です

このペースだと、ちょっと書き込みすぎって気もしますが、

まぁ、長大なシリーズになるかもしれませんね、、。

2005年12月14日

李世民

テーマ:中国・時代物
小前 亮
李世民


 「李世民」
 小前亮・著
 講談社・出版

 『中国の英傑たち、ここにあつまる』


 今日は先ず、個人的な、お話しから、、。
私は、以前、安能務著の「隋唐演義 上中下」に挑み挫折してしまいました。
 簡単に言うと、途中で投げ出してしまいまいました。
で、つい最近本屋で見かけた、
この「李世民」で、敗者復活というか、リベンジを
挑むことに、しました。


 「隋唐演義」は、隋の終わりと唐の建国初期を扱っています。
中国では、王朝の交代期は必ず、乱世になります。
(まぁ世界中どこでも、だと、思いますが、)
 李世民は、唐の二代目の皇太子です。
(まぁ色々あるのですが、後々書きます)

 尉遅敬徳 秦叔宝 単雄信 羅士信あたりは、
名前をかろうじて覚えていましたが、
 今回読んで、人間関係が大変よくわかりました、
なんだ、そうなっていたのか。


 この辺より、<ネタばれ>があるので、読書予定の方は注意してください。
と、いっても、歴史的事実なので、一応、大筋は、世界史の教科書
に載っていますが、、、、。
 教科書なんかでは、唐の建国者として、李淵のほうが
李世民より、大きく載っていますが、
本書では、李淵の駄目パパぶりが、可愛いです。
優秀な息子二人、長子の李建成と、次子、李世民に、引っ張られる
形で、挙兵にいたります。その後も、この二人の息子
の間で、おろおろしています。ちょっと意外でした、、。
 秦叔宝も、最初は、敵方なんですね、、。知らなかったというか、
忘れていた、、。
 羅士信も、子供のオコチャマのイメージだったのですが、
若武者ぶりを発揮しています。
 後、童顔の若き軍師、徐世勣(後、李世勣)も、良いですね、、
この人も、最初敵方なんですよ、、。
 
 凄いのは、この時期の最強の武将の二人の
一騎打ちです。
尉遅敬徳VS秦叔宝です。痛み分けというか、結局
決着は、つきません。


 読みどころは、世界史の知識から唐が生き残るのは、
判っているのですが、群雄割拠の状態からの、各軍閥の
栄枯盛衰です。
 で、その栄枯盛衰も面白いのですが、
なにより、今回読んで感動したというか、心を、動かされたのは、
本書では、エピローグといっても言い、唐建国後のエピソードです。
 最後まで、唐を苦しめた王世充は、
流刑地へ、移送中に脱走、元々西域の出身みたいですが、
そのまま、「俺を、処刑したことにしろ」と、怯える護送中の
兵に告げ、齢五十いくつにして、新たな、旅立ちをします。
 猛将の一人、単雄信は、李世民に蛮行をとがめられ処刑を言い渡されます。
周りが、取り成して唐への帰順を薦めますが、
「みんな、李世民の徳の高さを言うが、こんな奴が、一人ぐらい
いても、いいだろう」と、家族の後のことを、周りに頼み
 そのまま、処刑を受けます。
で、当時最強の武将の一人、尉遅敬徳は、仙人になったそうですね、、。
みなさん、かっこ良すぎ、、。
 で、本編の主人公の、李世民は、周りの薦め
で、次男にもかかわらず、覇権を握ります。
 
 今回は、本編より、英傑たちの、その後の感動してしまいました。

2005年07月04日

天竺熱風録

テーマ:中国・時代物
田中 芳樹
天竺熱風録

 「天竺熱風録」
 田中芳樹・著
 新潮社・出版


『アジア史冒険スペクタクル』


 本書は、歴史小説です。
主人公の、王玄策は中国の唐の
中級官吏、正七品という位(後に昇進します)
で唐の正使として、天竺に赴きます。
(以前に副使として行った経験あり)
 この天竺までの往路でさえ、物凄く過酷な
冒険行なのですが、天竺についてみると、
なにやら、不穏な気配、、、、
以前の戒日王が、死後、阿祖那なる地方の王 
が位を簒奪し、悪政を敷いているようなのです。
 で、この阿祖那、王玄策らを、正使として、
もてなせばよいものを、彼らを捕縛してします。
 で、王玄策は、副使と共に破獄し
ネパールに行き兵を借りまた、そこに駐留している、
吐蕃の兵と共に、一路天竺に反転、
阿祖那を撃たんとします。
 さて、その結末は、、、。


 本当に、この王玄策と、言う人は、
凄いです。
 天竺に戻ってからの戦っぷりも、まるで韓信
の如し、です。
この戦っぷりは、読んでください。
本作のハイライトです。
(田中芳樹さんのように、武将の名前を挙げてみた)
正に、英雄なんですね、、
破獄してからも、逃げることも出来たのに、
仲間を獄から解き放つため、戻ります。


 しかも、これで、唐の中級官吏ということで、
勃興期の唐は、田中さんも書かれていますが、
本当に、人材が豊かだったんですね、、。
   
 田中芳樹さんは、「中国武将列伝」という本も
書かれている通り、
(読みました)
(実は、この「中国武将列伝」には、底本
 があって、それも田中芳樹さんの本なのですが、
 中国の歴代の武将名将をなにか、リストアップし、
 陳瞬臣さんに、見せてトークしているものなのですが、
 陳瞬臣さんも、良い所を挙げていると、仰っていました)
 物凄い中国史通で、たとえで挙げられている、
武将が、これまた、凄い。

 又、後日談として王玄策は、
復路には、サマルカンドまで行って
シルクロードを通って帰ります。


(マジで正使王さんは、冒険好き)

 田中さん、又中国史の英雄を教えてください。

2005年06月02日

王家の風日

テーマ:中国・時代物

著者: 宮城谷 昌光
タイトル: 王家の風日

「王家の風日」
 宮城谷・昌光・著


 『殷から、みてます』


 本作は、なんと宮城谷さんの処女作(出版作品のなかで)です。
各種中国史歴史小説で、有名になったので、

再販されたか、なにかのようで、(詳しい事情は知りません)
勿論初版本でなく再販版を、読みました。


 これは、視点が大変ユニークというか、面白い歴史小説で、
普通、殷周革命は、新しい国家周側から描きますが、  
本書は、滅ぼされる、殷(商)から、みて描かれています。

 普通と、いうか、よくあるのは、「封神演義」のように
太公望なんかが、居る、武王、周サイドから、
書かれているのですが、
 これは、全くの逆なのです。

 勿論、紂王を全て肯定して描いているでは、なくて、
主人公の、箕子は、
(箕子は、通名で、本名は、"ショヨ"と読みますが、
漢字をフォントで呼び出せませんでした、すいません)
色々と諌めますが、
その結果は、歴史の記すところのみです。


 で、真逆から、描かれているので、
太公望なんかが、結構嫌な人物として描かれています。
「封神演義」のファンなど、ひゃーと、言う感じです。


 宮城谷さんの、歴史小説には、
こういうアプローチも在りますよ
と、いう作家に正にならんと、欲っする
人間の挑戦的意味合いの作品だったのかもしれないと、
読後思いました。


 実は、同じ宮城谷作品の、
「太公望」のほうを、読もう読もうと、思っているうちに、
同じ、殷周革命だと、いうことで、
こっちを先に読んでしまいました。
 直球を、待っているうちに、
先に甘い所に来た
変化球を打って凡打してしまったかもしれない。


 終わり。

2005年05月28日

晏子

テーマ:中国・時代物
著者: 宮城谷 昌光
タイトル: 晏子〈第1巻〉
著者: 宮城谷 昌光
タイトル: 晏子〈第2巻〉
著者: 宮城谷 昌光
タイトル: 晏子〈第3巻〉
著者: 宮城谷 昌光
タイトル: 晏子〈第4巻〉


「晏子」
 宮城谷昌光・著
 新潮社・出版


 『古代中国史に輝く親子』


 中国古代史で宮城谷文学と、言われる、
宮城谷さんの、作品です。

 晏子と、いうと、古代史では、この晏弱(父)晏嬰(子)親子
をさすそうですが、
 その二人の晏家親子を、描いたものです。

 作品として、大体、前半が父親の
晏弱さん、後半が、息子さんの晏嬰さんと、
構成されています。
 
 古代中国の、春秋時代、
その中央に位置する、国家"斉"の、国の大夫だったのが、
 この晏親子です。
父親の晏弱は、将軍としても活躍します。
 息子さんのほうは、主に、文官です。


 古代中国の春秋戦国時代も、
面白いエピソードいっぱいなのは、知っているのですが、
 世界史好きで、三国志も好きな、私としては、
勉強しなければ、いけないことだらけ、なのですが、
 今後の課題の分野の一つです。
今の知識レベルでも、春秋時代の国家の位置と名前が一致しないし、
その後の戦国時代になって、どの国家生き残り、
何処が、名前を、変えたとか、
 こんがらがったままです。
(とほほほほほ)
 詳しいのは、始皇帝の統一のあたりだけですね、、
(もう、本当の戦国時代終わりですから、、ダメです)


 喪に服するところも、あるのですが、
古代中国の喪に服し方も、
命がけですね、
 それだけ、"徳"というもの
(このころから、三国志なんかの、儒教の徳の精神と定義的に一致
 するかは、勉強不足で、わからない)
世間からの評判評価を重要ししていたと、言う事のあらわれ
なのでは、ないのでしょうか


 今、宮城谷さんは、雑誌『文藝春秋』で三国志を、連載されています。
宮城谷さんは"宮城谷文学"と、言われるように
大変格調高く、中国史における、美徳、理想、を謳いあげておられます。
 色んな三国志が、在りますが
三国志のころは、乱世であったことは、間違いなく、
 その辺を、どう、描かれるのか、興味があります。


 終わり。