2009年06月01日

私の男

テーマ:小説・国内
私の男/桜庭 一樹
¥1,550
Amazon.co.jp

「私の男」
桜庭一樹・著
文藝春秋・出版


『父と娘の近親愛』


 第138直木賞受賞作です。


 一部のファンには兎も角、1回直木賞を候補になるも落選したのも兎も角
世間的には、本書で桜庭さんは、一大ブレイクしたのだと思います。
 そんなに熱心なファンではなかったけど、もう一流作家の世界にいっちゃった感じです。
 北上次郎さんも、本書あたりから、桜庭さんを大プッシュしだしていました。
(しかし、私的には、そんなに化けたって感じもしないのですが、、、)


 震災で家族を失った、花とその養父となった腐野淳悟との近親愛を描いています。
 お互い、欠損家族だと認め合い、お互いをもっとも必要としている二人。
世間からどう思われようと、絆も強く、求め合っています。
 だが、第三者として、いや、感情移入しながら、
2.何人か称で読んでいる読者にとって
なにか、釈然とせず、どこかおぞましい感じさえする二人の愛。
 本書は、時間が逆行するように構成されていて、淳悟の若いときが徐々に描かれて
いくのですが、ストーカーのように花がおさないときから追いかけていたことも判り、
余計にそれを感じます。 
 二人が求め合い、合致すればするほど、違和感を感じていきます。


 どんな親子でも、母親と息子と関係もそうですが、父親と娘の関係もどこか例えようのない
恋愛とはちがう絆というか、愛情の間柄をもっています。
 それが、小説として作品として描かれることによって、なんともいえない雰囲気とともに
表現されているように思いました。
 これは、実は、桜庭さんの得意技なんですね、、。
しっかりした純粋な想いなんだけど、異常性、狂気みたいなものを含んでいる
家族いや、関係を変だということを全面に出さず、
読者にはしっかり違和感を持たせながら伝える。


 一大メジャーになった桜庭さんですが、
文壇の稼ぎ頭の中心選手として物凄く変わったんだろうなぁ、と思って読んでみて
意外と変わっていなかったのでちょっぴり安心したかもです。


「少女には向かない職業」の記事へ


「少女七竃と七人の可愛そうな大人」の記事へ


つなさんの書かれた「私の男」の記事へ

コメント

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1 ■お久しぶりです!

この本、本屋さんで何度も目が合って、これは買わなくちゃと思って買って読みました。
読んでると違和感はあるけど、あ~こんな関係もあるのかなぁ?と思ってしまいそうになる。
一気に読んでしまったし、不思議な感じでした。

直木賞候補だと知らずに買って、読み終わってしばらくして直木賞作品になりました。
やっぱり不思議な本でしたよ。

2 ■愛情

狂気じみた愛の中に、家族愛を表現したすごい作品でした。
強烈な印象が残っています。

3 ■桜庭さん

なんとも強烈でしたよねえ、このお話。
匂いとか湿度までもが、読んでいる内に再現されそうで・・・。
嫌悪感を持ちつつも、ぐいぐいと読んでしまいました。
(そして気づけば、嫌悪感もどこかに行ってしまいました)

私は初期作品をそう読んだわけではないので分かりませんが、ラノベであろうとそこでの骨子がしっかりしていれば、その後の展開として、割とすんなり一般向けにいけちゃいますよね。
むしろ、「砂糖菓子~」を読んだ時に、なんなんだ!こんな痛いラノベってありなのか!、と衝撃を受けました。

4 ■無題

引きずり込まれるように読まされてしまった感じのする作品でした。
嫌悪感もありましたが、最後まで読むとどうしようもない哀しさが募ってしまいました。

5 ■風子さんへ

 風子さん、こちらこそ、お久しぶりです。
本屋さんでの話、わかります。
平積みでずーっと気になる本ってありますよね。
二人とも求め合っているのだからいいじゃないかと、素直に思えない感じがキーかもしれません。 

6 ■花さんへ

ハイ、桜庭さんの作品の愛って
ちょっとファナティックな感じがいつもします。
なにやら、"あやしげ"です。 

7 ■つなさんへ

>こんな痛いラノベってありなのか!、と衝撃を受けました。
 痛いっていうのも、桜庭作品のキーワードかもしれませんね、
 上手く表現できないけど、なんか、心がヒリヒリする感じ。
 「砂糖菓子、、」は、読めていないんですが、
なんか、評価が高くて伝説化してますね。

8 ■エビノートさんへ

>嫌悪感もありましたが、、
ハイ、構成でどんどん昔にいくでしょ、、。
すると、なにやら、この近親相姦の間柄が
際立つ感じがするんですね、、。
これも、著者の狙い!?。
構成が上手いかもです。 

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