千年の祈り
テーマ:小説・海外- 千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS)/イーユン リー
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「千年の祈り」
イーユン・リー・著/篠森ゆりこ・訳
新潮社・出版/新潮クレストブックス
『まるで鋭利な刃物のような短編集』
新潮のクレストブックが好きだというはなしは、もう繰り返しません。
地味だけれど、いい翻訳小説を出しているシリーズだと思ってください。
このシリーズぐらいでしか、海外の中間小説は読めないでしょう。(探せば、いろいろありますが)
この本も、出てから大分経ちますが、出版当初からずーっと読みたかった一冊です。
新進の在米中国人女流作家が英語で書いた短編集です。
勿論、小説表現が出来るぐらい、
英語が堪能なわけですが、所謂華僑の二世でバイリンガルという作家でなく、
生まれも育ちも中国で、アイデンティティ、バックボーンは完全に中国にある人です。
母国語は中国語で外国語として英語で小説を書いているわけです。
この短編集、どれも本当に冷酷で、冷徹でまるで刃物のような作品ばかりです。
読んでいて、まるで心が切り刻まれるよう、、、。
現実、人との不理解を読者に切り取って指し示すように
ざくざくと描いていきます。中国語で書くと自己検閲してしまうと著者は言っていますが、
多少不自由なガイコクゴで書くことによって、真に描きたいことが描け、
この辺に表現としての斟酌のなさが出ているのかもしれません。
冷酷、冷徹という言葉適切でないかもしれませんが、
この小説たちが、それだけかというと、全く違います。
その真逆が読者の心には、残ります。
どんなに、思い違いがあろうとも、生きる上ではその逆、相手を想うことが、必要なのでは
ないか、、と。
これを一番感じたのは一番最初の"あまりもの"という作品。
表題作"千年の祈り"や、"黄昏"、"柿たち"も凄かったのですが、一番心を打ったのは、
"あまりもの"でした。
巻末に載っていた、著者が米国での永住権(グリーンカード)を
まだ取得できていないと事実にもどこか心を打たれました。





1 ■無題
クレストブックスは本当にいい本が多いですよねえ。
そうか、イーユン・リーはグリーン・カードを取得出来ていないんですっけ…。
次作も楽しみなんだけどなぁ。
「あまりもの」も良かったですよね。
新しい世界を読んだなぁ、と思いました。
最近、ジュンパ・ラヒリの短編集、「見知らぬ場所」を読んだんですが、これも良かったですよー。