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2009年11月19日

ナチが愛した二重スパイ

テーマ:ノンフィクション
ナチが愛した二重スパイ/ベン マッキンタイアー
¥2,520
Amazon.co.jp

「ナチが愛した二重スパイ」
ベン・マッキンタイアー・著/高儀進・訳
白水社・出版


『うそみたいな実録スパイ・ストーリー』


 この本、めちゃめちゃ面白かったです。


 スパイ小説ってあんまりおもしろくすると嘘っぽくなるっていうのが、
私の勝手な説なのですが、本書の場合、実話なんだから、嘘もなにもない。
 ナチのスパイとして、英国にパラシュートで降下、
そして二重スパイになったエディ・チャップマンの話しです。
 
 これ、スパイものとして波乱万丈な話なのですが、このエディ・チャップマン本人の
人生としてもめちゃめちゃ波乱万丈、多分小説化したら、

あまりにも作りすぎたプロットとして酷評されると思うぐらい。
 最初エディ・チャップマンは、ゼリグナイトの爆薬で金庫を爆破し金を強奪する
当時流行りの銀行強盗でした。
 その後、逮捕され重犯罪者として大戦中ドイツに占領された
唯一の英国領土チャネル諸島で服役。
 そこを脱獄するのですが、丁度抵抗活動が起こり、(チャップマンは一切関わっていない)
ドイツに対するレジスタンスの容疑で脱走中にドイツ当局により再逮捕。
 ここで、ドイツ当局により、スパイになるように感化させられ
服役中の友人の命を取引材料に
(この友情の話も、小説っぽいですが、ナチはそんなに甘くなく、口約束に過ぎない)
スパイになる教育を受けます。
 そして、ナチスのスパイ、エディ・チャップマンが完成するわけです。
 ここまででも、小説になるぐらいの面白さなんですが、
実録もののスパイストーリーとしては、ここからが、本編。

 チャップマンのスパイになるための教育も興味が尽きないのですが、
(よくある冒険小説そのまま)
この話、というか、本書、ある意味、英国情報部のドイツとの
情報戦での圧勝いや、完勝のエピソードでもあるわけです。
 英国の情報収集分析能力は、凄まじく、
無線傍受で訓練中のスパイがパラシュート降下訓練中に
負傷し歯を治療したことまで突き止めています。
これまさしく、チャップマンのことで、その後このこともきっちり確認されています。
 つまり、もう本格的なスパイがやってくることを英国は知っていたのです。
そして、チャップマン英国に飛来後、英国側に寝返った後にも、
チャップマンは、モスキート爆撃機の工場を破壊する任務を帯びていたのですが、
ちゃんと工場が破壊されたように見えるように、
プロのイリュージョニスト(マジシャン)を雇い工場の破壊を偽装。
ドイツ側は、このデハビラント社の破壊は、半信半疑だったみたいですが、、、。
 兎に角、英国情報部のアッパレさといいますか、徹底さが、本書の裏の主人公なのです。

 英国側の情報部の活躍は目を惹くのですが、当のチャップマンの心理が読者には、
今一伝わらなかったように思います。
 チャップマンは、内縁の妻と娘がいたために、
英国側に寝返ったみたいに書かれていますが、
一回目のパラシュート降下後、すぐに殆ど自首みたいな形で、英国側に捕まっています。
で、簡単に寝返ります。この辺、やっぱり英国人だからなのか、家族のためか、金銭のためか、
よく判りません。
 
 又、本書、最初から、中盤にかけてはめちゃめちゃおもしろいのに、
後半からラストが、ちょっとぐだぐだになったのも、
チャップマンが二重スパイになったことで、
勿論英国側は情報流出とか、英国内の破壊活動は
免れたし、ドイツ側のスパイ・マスターの情報は得られたでしょうが
このチャップマンを取りこむことによって、所謂、
スパイ小説みたいに、なにか、歴史的事実を変えたか
というと、ちょっと疑問なわけです。この辺が、本書のネックかなぁ?


 でも、実際の最前線の情報戦を描いた実録ものとしては、とても興味深く面白い一冊でした。

2009年11月18日

最近、目をつけている本、「鋼鉄のワルキューレ」

テーマ:本に関する情報
鋼鉄のワルキューレ―ケーニヒスティーガーin WW2東部戦線(オストフロント)/水樹 ケイ
¥1,995
Amazon.co.jp

  最近目をつけている本。
 なんなんですか、この小説は!?
 第二次世界大戦中ドイツ東部戦線でのキング・タイガーの活躍を
描いた本みたいですが、
 なんと、この作者、レディ・コミの書き手だとか、、、。


2009年11月15日

グラーグ57

テーマ:冒険小説・海外
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)/トム・ロブ スミス
¥700
Amazon.co.jp
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)/トム・ロブ スミス
¥700
Amazon.co.jp

「グラーグ57」
トム・ロブ・スミス・著/田口俊樹・訳
新潮社・出版/新潮文庫


『極限の冒険小説』


 本書は、「チャイルド44」の正当なる続編です。
 前作では、共産主義という優れた社会では犯罪者はいないはずという前提のもと
いないはずの連続殺人犯を追う、半分ミステリ、
主人公が追い詰められる状況により半分冒険小説みたいな作品でした。
人に優しくないバックグラウンドを描いている所為かギシギシ音を立てて進んでいるかのような、
ストーリーテリングで、読者をひっぱっていく快作(怪作?)でした。
 
 で、本書。

 冒頭、レオの過去の囮捜査が描かれ、そこでレオのせいで
生き別れになった宗教家の夫婦が描かれます。
 そう、この妻のほうが後に犯罪組織のボス、フラエラとなり、敵役としてレオの前に登場。
前作で養子にした養女をさらい、レオに苛酷な要求をつきつけます。
極寒の太平洋岸の収容所にいる自分の夫を脱走させろと、、。
 で、この拉致された養女のほうも親の敵としてレオを憎んでいて、、、と。
兎に角、苛酷な状況、シリアスもシリアス、主人公を極限に追い込んだ冒険小説なのです。
 前作に比べるとミステリ要素は、殆どありません。


 読みどころは、これぞ、正しく冒険小説だと言わんばかりのめぐりめぐる舞台転換とその戦い。
ソ連の中心部から、囚人護送船、極限の収容所、その後も、ハンガリー動乱に揺れる、
ハンガリーまでその舞台を移し、戦いが描かれていきます。
 そのすべてで、生きるためのぎりぎりの奮闘が描かれます。
もう一つの読みどころは、なんとこの敵役フラエラ。
 最近読んだ作品中でも屈指のというか、物凄い強烈なキャラクターです。
女性で犯罪者集団を率いているのもすごいのですが、
不当逮捕に対する復讐とか、怨念を越えたなにか得たいのしれない悪、
いや、人間が表現しきれる"悪"そのものを体言しているかのようでした。
 
 とまぁ、前作から比較すると、完全なスリラー、冒険小説になった感じです。
まぁ、その傾向は、前作からレオが護送列車で夫婦ともども護送されるところなど、
十二分に感じられましたが、、。
 著者の作家としての資質としてはこっちの方が強いのかもしれないですね。
 冒険小説好きな私としては、おおっという感じなのですが、
一般的ミステリ好きにも波及しうる、前作みたいなのも期待したいです。
それは、ちょっと贅沢な悩みか?。


「チャイルド44」の記事へ

2009年11月14日

勝手に予想、このミステリがすごい! 2010年 海外篇

テーマ:ブログ

 勝手に予想、このミステリーがすごい!2010 海外篇。

 そろそろミステリーのランキング本のシーズンがやってきます。
で、殆どが、読めていないのに、indi-bookが書評ブロガーさん、ネット口コミ、
書店で状態、直感と、風聞流聞を総合して、
海外篇だけ、予想を立てたいと思います。
 
 昨年の12月ごろに出た、可愛そうな本たちもあるんですが、
この辺の本は、よっぽど面白くないと"死に票"になってしまいます。
で、一応こんな本もあったと紹介。

 「最高処刑責任者」ジョセフ・ファインダー
 「審判」ディック・フランシス
 「大統領の遺産」ライオネル・デヴィッドソン
 「スプーク・カントリー」ウィリアム・ギブソン
 「会員制殺人サイト」ピーター・ジェイムズ
 「ジョナサン・ストレンジのシリーズ二冊」スザンナ・クラーク
 「暗黒街の女」ミーガン・アボット 

などなど、、、気になるのは、復活したD・・フランシスかな??。
J・ファインダーは全く読んだことがないので、一度読んでみたい、、。
後、W・ギブソンも読みたいし、ジョナサン・ストレンジも気になります。

「暗黒街の女」は面白かった。


 今年冒頭は、SFやミステリのトリプルクラウンのシェイボンの「ユダヤ警官同盟」が
翻訳エンター界では、一大センセーションでした。
 これ、けっこうクセのある難しい本なんですが、

本読みさんは、やっぱり知的好奇心が強いので
こういうむずかしめの本でも、読み解いてやるってガッツがあるんですね、、。
 私は、ちなみにこういうごちゃごちゃしたややこしいの大好きです。
後は、リー・チャイルドの「前夜」なんかも、評価が高い。
これも、ずーっと講談社文庫で出ていた一応シリーズなんですよね、、?
ハードカバーでは、なんとかメルツァーの「偽りの書」。
どういう作品なのか、プロット読む限り内容の推測が皆目出来ないのですが、
前に「運命の書」というのが、でていたらしい。
久しぶりのコナリーの新作「リンカーン弁護士」に
そして、前作より面白さがUPしたといわれる
スティーヴ・ホッケンスミスの「荒野のホームズ、西へ行く」
 で、その後夏ごろか秋から急激に追い上げてきたのが、
トム・ロブ・スミス「グラーグ57」前作からのリターナーが沢山いて、
こっちも大人気。これ極限の冒険小説です。この後、書評書きます。
 それと、今本屋の平台で売れてそうなのが、集英社文庫の「悪意の森」。
集英社では、「ブーリン家の姉妹」の続編も出ました。(←歴史好きからのプッシュ)
 文藝春秋からランキング狙いの本命なのが、ジェフリー・ディーヴァの「ソウル・コレクター」
こっちは、残念ながらちょっとゆるくなったと聞いております、、。
 もうシリーズ何作目でしたっけ?
よく言われることですが、マンネリ化の打破と

強烈なサイコ系の敵を作るのが、大変だと思います。
私、昆虫好きの少年が出てくる奴でとまっています。
(今まで、英単語二語の題だったのに、猿のなんとか、になったでしょう、、。
 あれで、かなりモーティベーションがおちました)
 後、最近(出たのは、ちかなり前)じわじわ人気なのが、「犬の力」ドン・ウィンズロウです。
こちらは、書評子からも、好評価を得ています。


 この辺でしょうかね??。


個人的には、最近読んだし、冒険小説好きとして
「グラーグ57」を上げたいですね、、。


 国内篇は、高いハードカバーが多いからね、、、。
図書館の予約の競争も熾烈だし、、、。
 いいなぁ、と思っているのは、「退出ゲーム」が結構面白かった初野晴の
「初恋ソムリエ」

2009年11月13日

血税空港

テーマ:新書
血税空港 本日も遠く高く不便な空の便 (幻冬舎新書)/森 功
¥798
Amazon.co.jp

「血税空港 本日も遠く高く不便な空の旅」
森功・著
幻冬舎・出版/幻冬舎新書


『どうにかならないのか、、航空行政』


 民主党に政権が移ってから、JALの再建問題でかまびすしいですが、
それ以前に出た新書です。
 以前より、空港行政、航空行政は、もっとも規制が強い分野だといわれていますが、
その空港行政の、なにが問題なのか、どうしてこうなってしまったのか、
真正面から取り組んだ一冊です。


 空港整備特別会計の元、年間500億円の税金が赤字の地方空港に注ぎ込まれています。
そしてこの空港整備特会、完全なプール制で空港全部の全体で収支をみるかなりaboutな収支。
 関西国際空港は世界最高の着陸料に、利用者数は減少。
 巨大なビジネスソース、マーケットを抱え各国航空会社から着陸枠を要求されている
成田は、周辺問題、非24時間空港の為、着陸回数は頭打ちで制限され、
その補填を羽田に求めたいのですが、国土交通省は、
成田国際、羽田国内の大原則を曲げようとしません。
(地方空港の路線を維持したいが為着陸枠をあけようとしない)
 又、着陸回数、利用者数ともに盛況な福岡空港でさえ高額な土地賃貸料により赤字。
着陸回数、利用者数ともに、パンク寸前だとか、、、。
 で、問題の地方空港は殆どが、赤字。
 兎に角、突っ込みどころ満載の航空、空港行政なのです。
空港も全国で100近く、あるのですが、離島とか、地理的条件によりしょうがないところは
兎も角、はっきりいって造りすぎ。
 東京のとある区民と同じ数しか住民がいない鳥取に、
鳥取と米子と二つ空港がある始末。そこに、無理やり路線を開かせ、儲けている羽田のお金を
まわしているのが、現状です。
 
 問題だらけで解決策がないようですが、解決策がないわけでもない。
 著者は、経営努力のお陰で黒字を維持している、能登空港と
人口が少ないのに、貨物で生き残っている
ルクセンブルクの空港、航空経営を例にあげています。

 早い話、国土交通省の空港経営予測、空港建設予定は、ことごとく外れ、
現状に全くそぐわないものになっているのです。
そして、その、つけを高い航空運賃、(高い着陸料はチケットの中にしっかりいれられている)
で私たちに払わせているのです。
  
 官僚批判もピークの本書ですが、勿論、当局に百パー責任はありますが、
じゃあどうすればよかったのよ、という官僚の涙顔も読了後には浮かんだ
ちょっと悲しい新書でした。

2009年11月09日

シェイクスピア・シークレット

テーマ:海外ミステリ
シェイクスピア・シークレット 上/ジェニファー・リー・キャレル
¥1,890
Amazon.co.jp
シェイクスピア・シークレット 下/ジェニファー・リー・キャレル
¥1,890
Amazon.co.jp

「シェイクスピア・シークレット」
ジェニファー・リー・キャレル・著/布施由紀子・訳
角川書店・出版


『ダ・ヴィンチ・コードのシェイクスピア版』


 こういうハードカヴァーで上下本の海外ミステリには、
弱いですね、、、。
 ハードカヴァーで出ているからには、文庫より面白いはずって
思ってしまいます。(なんの根拠も保証もない)


 グローブ座で「ハムレット」を演出中の新進気鋭の演出家ケイトの下に
師匠でもありシェイクスピア学者のロズが謎の小箱を持って訪れます。
 ロズにより箱を託される、ケイト。
 やがて、グローブ座は、400年前の焼失と同じ日に出火。
ロズは、何者かによって殺されます。
 ケイトは、シェイクスピアの初版本、ファーストフォリオと
彼が残した幻の劇作について歴史的謎を解くことになります、、、。
 
 章前に400年前の歴史的エピソードを挟み、ケイト・モスの「ラビリンス」みたいな
構成かと思いきや、、、。
 これ、「ダ・ヴィンチ・コード」の完全なるシェイクピア版。

 版元を見れば、同じ版元なので、
さもありなんと思い、二匹目の、、と思うかどうかは、読者次第ですが、
 歴史ミステリでもあり、現代的に又、国際的で、

サスペンスフルに話が展開するあたりまで、よく似ています。
 ただ、ストーリテリングはそこそこなのですが、
謎そのものでなく、作者が生きる現代でのサスペンス度といいますか、
"おいこいまれ感"は、ダン・ブラウン、「ダヴィンチコード」の方が完全に上。
 サスペンスとして、ちょっと弱い。
 ただ、作者、本当の、シェイクスピア学者だそうで、(つまりバイトのミステリ作家)
シェイクスピアの薀蓄、シェイクスピアネタ、対象物に対するネタは、こっちの勝利。
 400年前のエピソードのみならず、精神を病み墓まで暴こうとした
19世紀のシェイクスピア研究家のエピソードまで書かれていて、おもしろネタ満載です。
初版本は、どっちでもいいのですが、シェイクスピアが、

セルバンテスのドンキホーテに触発されて
書こうと思った幻の戯曲「カーディニオー」は面白いと思いました。
 かなり興味あり。
 ある意味、シェイクスピアって英語で表現した文芸表現者としてオールタイムで最大の
作家かもしれませんね、、、。
 
 ミステリとしては、兎も角、薀蓄は十二分に楽しめる一冊。


あんまり関係ないけど、

ケイト・モスの「ラビリンス」の記事へ

2009年11月08日

宮崎駿連載中、「風立ちぬ」も佳境? 9試単戦VSMe109。

テーマ:軍事
Model Graphix (モデルグラフィックス) 2009年 12月号 [雑誌]
¥780
Amazon.co.jp

 模型紙、モデルグラフィックスに連載中の宮崎駿の漫画。「風立ちぬ」ですが、

先々月は、休載してましたが、現在鋭意連載中です。


 なんか、宮崎さんの妄想にお付き合いして、どんどんマニアックな

いや、エンスージアスティックな世界に入っている気もしますが、

今月は、面白かった、というのも、

レシプロ機ファンには、メジャーどころなMe109が出てきたから、、。

 堀越二郎が開発している、9試単戦とMe109の比較。

宮さんの描く、フランケンシュタインみたいな

メッサーシュミット博士が戦闘機の速度最強論をぶちたてるのが、面白かったです。

 

 資料的価値のない、宮崎版、9試単戦ですが、

これ、宮崎さん的、レシプロ機のど真ん中なんです。

 半風防に、膨らんだエンジンカウル、そして、スパッツ付きの脚に、

逆ガルウィング。

 そう、宮崎ファンはもうピンときていると思いますが、宮崎さんが、マルマル演出した

ルパン三世に出てきた、飛行機そのままなんですよ!。

 このスタイルが、宮崎的、レシプロ機のかっこよさの頂点なんでしょう、、。


 どんな構想で連載しているのか、皆目検討つきませんが、

実際の堀越さんも、ボクにとっては、零戦より96式艦戦のほうが、エポックメイキングだったと

いっているぐらいで、

 零戦なんって出てこないんじゃないの、、、多分。


「宮崎駿の風立ちぬ」の記事へ

2009年11月05日

約束の地

テーマ:冒険小説・国内
約束の地/樋口明雄
¥2,415
Amazon.co.jp

「約束の地」
樋口明雄・著
光文社・出版


『日本の山岳地帯を舞台にした堂々たる冒険小説』


 本書、日本冒険小説協会大賞受賞だそうで、おめでとうございます。


 樋口明雄さんの名前を最初に覚えたというか、認識したのは、「クライム」です。
 確か、「このミス」に載っていました。
で面白そうだな、、と思ったのを覚えています。
(ところが、最近、本屋に行くと、「クライム」は文庫化されるとともに
「男たちの十字架」として改題されました)

 で、上記した受賞の情報やなんかから、本書を読んでみました。

 本書、主人公は、環境省のキャリアでそこから、八ヶ岳の環境保護の現場に
出向してきたという設定。
 巻末にネタバラシがあるのですが、実は、主人公の出向先は
 著者が作った架空の組織だとか、私は、読んでいる最中全く気付きませんでした、
この組織それぐらいのリアルさです。
 そう日本の山岳地帯を舞台にした、堂々たる冒険小説なのです。
わざわざ、日本の山岳地帯を書いたのには、理由が合って、
 本書、勿論、いろんな"戦い”が描かれた冒険小説なんどけど、
なにより、日本の現在の山岳地帯が主人公といってもいい作品になっています。
まるで、ノンフィクションを読んでいるかのように、
リアルに今の日本の山が抱える、現状、問題点が浮き彫りに成っています。
 後継者のいない狩人たち、住宅地が山に接近した為に消失した里山、
動物保護の問題、農地を荒らせばどんな野生動物でも害獣になってしまう問題
これらの問題を読者に啓発するかのように小説は描かれていきます。
 
  戦いと書きましたが、本書では、いろんな戦いが描かれていて
メインはこれだと、書けません。
 それだけに、やっぱり日本の山を舞台にした冒険小説かなぁ、、と。
で、面白さなんですが、ストーリーテリングも素晴らしく、そして白熱のアクションシーン
で面白くないことな決してない。
 でも、面白いからこそ厳しめに言って名作、傑作には、もう一押しかな、、。
(某宮崎アニメを想起させるものも出てくるし)
しかし、日本を舞台にその雄大な自然をバックにした、
これだけの作品を仕上げるのは、中々の手腕です。
 日本の冒険小説界きっての書き手登場です。

2009年11月04日

大統領の遺産

テーマ:海外ミステリ
大統領の遺産 (扶桑社ミステリー)/ライオネル デヴィッドスン
¥1,050
Amazon.co.jp

「大統領の遺産」
ライオネル・デヴィッドソン・著/小田川佳子・訳
扶桑社・出版/扶桑社ミステリー


『化学者だった初代イスラエル大統領が、開発したもの』


 イスラエルの初代大統領、ハイム・ワイツマンは、政治家であったと同時に
著名な化学者だったそうです。
 その彼が、研究していたのが、サツマイモから生成できる石油に代わる代替エネルギー。
 ワイツマンの書簡を編纂する個人歴史家が、
ワイツマンの謎に迫ると同時に国際的陰謀に巻き込まれていきます。


 本書、書かれたのが、1970年代で、オイルショックやなんかで
世界中が石油依存のど真ん中にいた時代。
 そこに、石油の代替エネルギーにイスラエルの初代大統領が関わっていたなんて、
国際サスペンスの小説執筆のきっかけとしては、充分すぎるネタですが、、、。
 どうも、作品の虚の部分のミステリが、ちょっと弱い、、。

というか、サスペンス度かな?。
 ラストに手に汗をにぎる白熱の場面を迎えますが、
相当ワイツマンの実際の部分、彼の人生に思いいれをもっていないと、
あんまり楽しめないかもしれません。
 作品中、沢山、あたまのいいユダヤ人が出てきて、
ユダヤ人って頭いいんだなぁ、、ぐらい、、。
 それに、実際、バイオエタノールが今日開発されているというのも、
本来、リアリティでプラスに働くはずですが、
あまりにも現実的過ぎて、ダメでした。


 1970年代に読んだら、もうちょっと違ったかもしれません。

2009年10月31日

フルーツ・ハンター

テーマ:ノンフィクション
フルーツ・ハンター―果物をめぐる冒険とビジネス/アダム・リース ゴウルナー
¥2,940
Amazon.co.jp

「フルーツ・ハンター 果物をめぐる冒険とビジネス」
アダム・リース・ゴウルナー・著/立石光子・訳
白水社・出版


『果物について』


 理想郷や、想像上の楽園には、よく果物が成っているように、
果物の中で好みはあれど、果物自体を嫌いな人っていないと思います。
そんな果物についてのノンフィクションです。


 果物に関する、歴史的、文学的、社会的薀蓄を縦糸に、著者が果物に関して
世界中を旅したの内容を横糸にして果物全般について縦横微塵に書かれています。
 珍しい果物、接木、栽培、収穫、ビジネス、歴史的背景、
文学上の比喩として登場する果物、戦争の原因にまでなった果物、
宗教に出てくる果物、果食主義者、、、。
 語る内容は、まったく尽きません。


 本書内の様々な、エピソードを上げたら、止まらなくなるので、
フルーツに関する二次的なものでなく、一応フルーツそのもので興味深かったものを二つ。
 一つは、オオミヤシ。これルックスが、物凄くスゥェクシーみたい、、、。
巻頭の写真でも、それそのものの写真は、なく、何故か、裸婦がこの実を持っている写真が
一枚だけ、、、。逆にそそります。
 もう一つは、ミラクルフルーツ。小さな、赤いグミみたいな、実なんですが、
これを食べて、他のものを食べると物凄く甘く感じるのだとか、、、。
(甘く感じるのと、そうでないのがあると著者は詳しく書いていますが)
糖分を含まない、人口甘味料として日本でも研究されているとあとがきにありました。
 なんか、作用としては、ちょっとやばい、幻覚系の薬物っぽいですが、
糖分を控えなければいけない人には、朗報だと思う。


 本書内で、勿論フルーツハンター的な人は、登場しますが、
(基本的に、本書に出てくる人みんな、スゴイ人ばっかりですが)
読んでいて思ったのですが、多大な薀蓄を屈指しフルーツの本を書くため、
世界中を旅し、禁輸品をカナダ(著者は、カナダ在住)の
税関まで突破させてしまった著者が、フルーツハンターそのものです。
 
 フルーツに関する、マイナスのことも書いてあるけど、概して、読んでいて
フルーツの豊かさに触れられ、ちょっぴり幸せな気分になれました。

 スーパー行って、なんか果物を買おう!。


ちなみに、アマゾンで売ってた。

        ↓

大人気!!★ミラクルフルーツ(5粒入り×2袋)★
¥2,100
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