久々に映画レビューを。
只今劇場で公開されている
「コンテイジョン」 をご紹介します。
まぁ率直に言いまして万人向け映画ではございません。
しかし私的には今年10本に入るストライク映画だったのでちょこっとまとめます。
ストーリー ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)は香港出張の帰り、 夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅に向かわず、シカゴで元恋人と密会する。 だが、ベスは咳と熱を発症しており、 同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていた。 その事件に疑惑を抱いたフリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、 政府が伝染病を隠しているのではないかとブログで指摘する。 さらに帰国から2日後、ベスが死亡し、続けてベスの連れ子クラークも命を落とす。 報告を受けた世界保健機構(=WHO)の ドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)たちが、 続いてアトランタの疾病予防センター(=CDC)が調査に乗り出す。 エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)の指示でミネソタに派遣された ドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は、 感染が疑われる人々の隔離を実施。 カリフォルニア大学の医師が、 コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスであることを解明したが、 現時点では治療法もワクチンもない。 WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。 ワクチン開発に全力が注がれるものの、 ウィルスは変異し、恐るべき速度で感染拡大してゆく。 折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているとの噂が広まったことから、 中国衛生部のスン・フェンが故郷の村人のワクチンとの引き換えとして、オランテスを拉致。 任務途中で感染するミアーズ。 恋人に極秘情報を漏らしてしまうチーヴァー。 娘を家に閉じ込めるミッチ。 それぞれが愛する者を守ろうとする中、 アランは政府が有効な治療薬を隠していると主張。 恐怖はウィルスよりも早く感染し、 パニックを起こした人々によって、各地で暴動が勃発する。 それぞれが選んだ決断は……? そして明かされるウィルスの発生地点とは……? (goo映画より引用) 予告編 VIDEO 【リアルな世界】 この映画、パニック映画やホラー映画が好きな人には正直なところ微妙かもしれません。
理由は至って簡単で、この映画はウイルスによりパニックをリアルに描いているからです。
ウイルスが蔓延し、街では略奪や殺戮が繰り広げられ人類滅亡へ
なんていうよく映画でありがちな極限な世界を描いているわけではないのです。
しかしそのリアルさは私にとっては見応えのある映画に移りました。
特に私たちは今年東日本大震災を経験しています。
震災直後の東京を思い浮かべられる方は思い出してみてください。
街は異常事態にも関わらず決して人々が攻撃し合うだけの混乱にはなりませんでしたよね。
これは日本人だからこそということもあったと思いますが、
その状況がフィクション的に起きている世界、それが「コンテイジョン」なのです。
致死率が100%でない辺りもリアルです。
死ぬかもしれないし死なないかもしれない。
そんなウイルスの恐怖が徐々に広がりつつも、本当の恐怖はここからでした。
そう「人」と「情報」の恐怖です。
見えないウイルスはそれが存在する以上できる限り気をつけるしかない。
しかしそのウイルスが世界的に蔓延してしまい、
しかも体内潜伏期間が極めて短く発症するウイルスのため、
早期の治療ワクチン開発が焦点になっていきます。
それを求め人々は行動を始めるため街は徐々に均衡を崩していきます。
リアル過ぎて恐い描写でした。
それで終わっていては今までのパニック映画に似ていますが、
さすがはスティーブン・ソダーバーグ監督、ここで現代的な描写を取り入れます。
そう、インターネットです。
病気の発症からワクチンを巡る動きまで政府を徹底的に批判していきます。
インターネットは情報の拡散度は半端ないです。
これはTwitterやってる方ならわかるでしょう。
その情報は時に人々を過激にさせてしまうこともあるのです。
そういった描写も描かれています。
非常にリアルな世界でした。
【アンサンブルな構成】 本作は主人公は実質いません。
ウイルスやワクチンを取り巻く人々を複数描いています。
アンサンブル映画なので場合によっては焦点がぼけてしまいますが、
本作の場合名優がキャスティングされているので彼らが軸となり複数の物語を追うことができます。
マット・デイモン
ジュード・ロウ
マリオン・コティヤール
ローレンス・フィッシュバーン
ケイト・ウィンスレット
グウィネス・パルトロウ
これ以上ない豪華キャストです。
このキャスティングはリアルな世界観を逆に壊しているとの批判もあるようですが、
ここは捉え方次第ですね。
私は彼らを軸に複数同時に進む物語を追えたので良かったと思います。
しかも監督はスティーブン・ソダーバーグ。
彼の大傑作でアカデミー賞監督賞を受賞した「トラフィック」は、
3つの物語が同時進行していましたが、
あれは3つの物語それぞれにカラーフィルター加工を施し、
映像から抱く色によってどの物語が進んでいるかわかるものでした。
あれを知っていると今回の意図もすくうことができ納得のキャスティングでした。
【見せ方の工夫、シンプルな起源】 本作は時間軸の入れ替えが使われています。
私が大好きな演出ですw
物語は「2日目」から始まり、最後に「1日目」が明かされます。
要するに物語は開始と同時にウイルスが舞っている状態です。
そこから物語は中長期の期間を描き、
最後に「何が起きたか」が描かれます。
スティーブン・ソダーバーグ監督の演出と言えば「圧縮演出」です。
間延びせずスピーディーにリアルに演出をしていきます。
よってこれだけ大風呂敷な世界の映画でも2時間を切る上映時間となっています。
2時間切っていることも批判出てますけどね。
ソダーバーグ監督の癖故の受難ですねw
スピーディーに複数同時に進む物語はリアルな世界を描いており、
描写的な恐怖よりも「実際ありそうで恐い」という演出からくる恐怖を抱きます。
実際ご覧になられた方の中でドアノブなど触るのが怖くなった方いらっしゃるのではないでしょうか。
それくらいリアルに描かれているのです。
そして最後に明かされる「1日目」。
これはウイルスの起源が描かれています。
リアルでしたねぇ。
良くも悪くも呆気無い起源でした。
決して政府の陰謀や異星人うんたらかんたらなどではないです。
「実際にありそう」な起源でしたね。
ありそうだからこそ映画の描写としては呆気無いのです。
娯楽として捉えるといま一歩な結末でしょう。
しかし現実で考えるとぞわぞわする結末でした。
実際どこかで・・・・恐いですね。
【人と情報に対する改めての問題】 本作はウイルスを巡って、ワクチンや感染経路等を人々がどう情報を抑え、そしてどう行動するか。
情報を発信するジャーナリストは政府を相手にした抗議で世論を奮起させられるかなど、
実際のパニック時に問題になりそうな描写を描いています。
いや、というか実際今の日本に置き換えると、
震災、そして原発を巡ることでそれらは問題点として浮かび上がっていますね。
このブログはエンターテイメントブログなので、
細かくは触れませんが、「情報はどのレベルにおいても必ず正しいとは限らない」
ということなのは間違いないでしょう。
2011年12月、今年は震災に津波に台風に豪雨にと災害の多い年でした。
それらを経験した中でこの映画を見ることは非常に疲れると思いますし、
人によってはやっと癒えてきた傷に触れるものかもしれません。
しかし映画として見てみたいという方是非ともご覧ください。
ちなみにスティーブン・ソダーバーグ監督って誰かと言いますと、
紹介の通り「トラフィック」でアカデミー賞監督賞を受賞している方ですが、
あの「オーシャンズ11、12,13」のシリーズを監督した方でもあります。
幅広いジャンルの映画を提供してくれる監督としてお気に入りの一人です。
そんな彼が描くリアルなパニック世界「コンテイジョン」。
オススメとは言いませんが、素晴らしい映画でした。