ある日、わたしの宇宙はおっしゃった。
「限界を突破せよ!!!」
…と。
とってもお世話になっている人であり、良き友人でもある、Rさんのお嬢さんが婚約した。
…という話をRさんから聞いたのは、昨年10月の日本滞在中、Rさんちにお世話になっている時だった。
実はそのお嬢さんとカレシを知っているわたしは「あのふたりったらもう…まるで吉野朔実が描いた美男美女のカップルみたい……」といつも思ってた。
とにかく繊細で品があり、尽きることのない幸せ感に満ちているふたりなのだ。
お似合いを越えた雰囲気で、周囲をやわらか〜くしてしまう。
誰しもあの美しくもみずみずしいふたりを見たら、未来ってものへの輝きを感じることができるんじゃないかと思う。
食後にRさんちの台所を磨きながら「ぉお〜〜、ついにあのふたりも…!!!」とニヤニヤしていたわたしに、グラスに残ったワインを楽しんでいたRさんが上機嫌で言い放った。
「でね、ふたりのお祝いを『いなわら亭』でやろうと思うの!!! 時期が決まったら教えるから!たぶん、来年になると思うんだ〜〜〜!H(娘さん)も喜ぶと思うのよ〜〜!」
…意外ではあったけど、Rさんもお嬢さんのHちゃんも大好きだから、大切なお祝いにひと肌ぬげるのはとっても嬉しかった。
「え〜〜!!!そりゃあ嬉しいですね〜〜、ぜひいらしてください!!」
これはもう、完全な本心から出た言葉だった。
…とはいえ、頭パカーンどころか人生が変わっちゃったくらいの怒涛の日々にいた当時のわたしは、あんまりそれを重く受け取ってはなかった。
一人娘の婚約なんて人生で何度もあるものでなし、きっとアイディアのうちのひとつとして出てきたものなんだろう…「いなわら亭」じゃなくっても、ベストなものになるといいな……と。
その後、帰国して一ヶ月くらいした頃にRさんからメッセージが来た。
どうやら、2017年早々、マジでお嬢さん+カレシとともに「いなわら亭」に来るらしい。
そしてまた、Rさんはいつもの調子でサクッと言った。
「こみーちゃん、ここは限界を突破したお料理をお願いね!!!」
文面からは、Rさんの満面の笑みが想像できるくらいの嬉しそうなエネルギーがビンビンくる。
※わたしはフォントの表示であっても文面からエネルギーが読めますw
期待十分がハッキリわかるオーラがすさまじい。
……ほ………。
本気だ…。
この人、本気だ…。
なーーんの疑いもなく「アナタナラデキルデショ!!」って言ってる…。
ハイッ、Rさん名物「無茶振り」キタコレ!!!!!!!
いやもう……来たよ…。
いっつも別の人(例:支配人)がRさんから無茶振りされてるのを「(´∀`*)ウフフ」ってながめてたのに……ついに自分かよ…。
この人、どんだけハードル上げてんねん…。
…っつーか、そもそも意味がわからんやない。
意 味 が !!!!!!!
限界を突破???????
げんかいをとっぱ????
なにそれたべられるの??おいしいの???
いみがわからん。
げんかいをとっぱって…どゆこと??????
………。
理 解 不 能 。
わたしは真っ白に固まった。
戦う前から「燃え尽きたジョー」だった。
実はこの「タンタンのこころ」で書いていることは、これをきっかけに考え始めたのです。