足関節捻挫 東洋医学<スポーツ傷害の臨床> 23 | 稲葉鍼灸接骨院・院長のブログ

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下腿のスポーツ傷害(8)

   足関節捻挫 1

 概 念

 あらゆるスポーツ種目において足関節捻挫は最も頻度の高い外傷の一つで


 捻挫は「関節が外力により正常に運動できる範囲以上の過度の運動を強制されたことにより生じた関節周囲の軟部組織の損傷で、しかも關節体相互の関係が正常位に保たれているものをいうと定義されています。



損傷部位は靱帯、関節包、皮下組織で。骨折や腱断裂を伴うものは除外します


靱帯の完全断裂AVULSION OF LIGAMENT は捻挫と呼ばずに、整形外科では靱帯断裂を診断名としています。(狭義の捻挫)

 

一般には、足関節捻挫では靱帯の完全断裂を含めて捻挫と呼ぶことが多いです(広義の捻挫)。

 

捻挫の種類

   足関節の内捻り(内反)で受傷する捻挫 、外捻り(外反)で受傷する捻挫があります


内捻りで受傷した場合は外側の靱帯が損傷され、外捻りのときには内側の靱帯が損傷されます。

内捻りの捻挫の方が頻度が高い。


 この場合の外力には一度の強い外力によるものと反復継続による弱い外力によるものとがあります


捻挫の重傷度

  靱帯の損傷の程度により

軽度 (軽傷) :靱帯が伸展されたが、小繊維の断裂にとどまっ

                           たもの。

中等度(中等症):靱帯の部分断裂

重度  (重症)  :靱帯の完全断裂


足部の解剖:別紙記載



足関節捻挫の治療法

 

1、鍼灸治療法の目的

 鎮痛、消炎、軟部組織の血行改善、運動痛・自発痛の除去、

 運動機能の回復、 再発の防止、



2,捻挫の初期治療

 

A,RIEC の原則

    R:安静(ERST)

    I:冷却(ICING)

    E:高挙(ELEVATION)

    C:圧迫(COMPRESSION)

 

、鍼灸治療

     鎮痛、消炎、腫脹の緩解を目的に行う。

    RIECの原則に基づきながら、損傷周囲及び誘導的に経穴を

  処方する。

 

C、治療肢位の保持

     損傷された靱帯が引っ張られないような肢位の保持が大切

  である。

     踵で治療肢位が崩れないように、ふくらはぎに座布団などを当

 てる等の工夫が必要である。

 

D,その他

     外側靱帯の損傷では、荷重歩行は許可してもよい。

     あぐらや座る等の動作は有害である。

      早期の外反運動や足指の屈曲運動は重要である。

 

鍼灸治療法

      置鍼療法、電気新療法、イオンパンピング療法、

  皮内鍼療法等。   

                            

 使用経穴:以下の経穴を適宜選穴



  足部の経穴:解谿、中封、照海、然谷、崑崙、撲参、申脈、

          金門、大鐘、丘墟、太谿、水泉、復溜、


          足の臨泣、衝陽、交信、築賓、 附陽、京骨


   下腿の経穴:陽関、陽陵泉、陰陵泉、足三里、条口、上巨虚、

         下巨虚、陽交、外丘、公明、陽補、三陰交、蠡溝、

         中都、漏谷、地機

 

 

 3,急性期後:鍼灸治療の併用療法


①温熱療法:温罨法療法、赤外線療法

②電気療法:低周波療法、超音波療法、超短波療法、

         極超短波療法

③運動療法:アイソメトリック、アイソトニック、筋力トレーニング、

         ストレッチ

④手技療法:マッサージ、按摩、モビリゼーション、矯正法等

⑤装具療法:、サポートベルト、サポーター等    


   文字数制限の爲、次回へ続く