内部被曝の注意点☆

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ブログ「人力でGO」より転載
http://green.ap.teacup.com/applet/pekepon/20110402/archive


■ 以前からある低線量率放射線治療 ■

ここ2回程、「低線量率放射線は健康に良い」と主張する稲恭宏の事を取り上げました。
彼は世界各地の天然の高放射線地域の住人が健康で発ガン率も少ないことから、現在問題になっている10(mSv/年)や100(mSv/年)の放射線被曝は恐れるに足らないと主張しています。

彼の主張は古くからあり、放射線ホルミシス学説として知られるものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%B9%E5%8A%B9%E6%9E%9C

日本でも1993年、日本の放射線安全研究センターの主導で研究が行われ、免疫システムの活性や癌の放射線治療に効果が認められています。ですから、稲博士が主張する様に、彼が独自に開発した治療法では無いようです。


■ 外部被曝と内部被曝のメカニズムは異なる ■

最近ニュースで「内部被曝」という言葉を良く聞きます。

内部被曝については、下の資料が分かり易いかと思います。
「内部被曝についての考察」
http://www.cadu-jp.org/data/yagasaki-file01.pdf
今回の図は、そこから拝借いたしました。(スミマセン)

① 放射線にはガンマ線、ベータ線、アルファ線という種類がある
② ガンマ線は光の一種で、紫外線やX線(レントゲン)より波長の短い「光子」
③ ベータ線はエネルギーの高い「電子」
④ アルファ線は高い運動エネルギーを持つ「ヘリウム4の原子核」(陽子2個、中性子2個)

⑤ ガンマ線は浸透力が高く、体外から照射されても体内に到達する
⑥ ベータ線やアルファ線は浸透力が弱く、衣服や体表で止まる

⑦ 外部被曝は主に浸透力の強いガンマ線によってもたらされる
⑧ 内部被曝はベータ線やアルファ線によってもたらされる

ちょっと難しいですね。

⑨ セシウム137はガンマ線を放出する
⑩ ヨウ素131はベータ線を放出する
⑪ ウランやプルトニウムはアルファ線を放出する。


■ 集中的にDNAを破戒する内部被曝 ■



外部被曝と内部被曝とでは、DNAを壊す効果に差があります。

外部被曝が広範囲に渡る爆撃だとすると、内部被曝は至近距離からの自爆テロです。

① ガンマ線による外部被曝は体全体に均一に分布する
② 外部被曝は特定臓器や特定部位に集中しない
③ ガンマ線も体組織に吸収される場合はベータ線を発し、吸収部位周辺の原子を電離する

④ ベータ線とアルファ線は非常に高いエネルギーを周辺細胞に放出する
⑤ ベータ線とアルファ線は周辺原子を電離してイオン化する
⑥ DNAがイオン化すると、結合が切れる

■ 局所的DNA破戒の集中 = ガン化 ■



① ガンマ線によるDNA破壊は分散して起こる
② ベータ線、アルファ線によるDNA破壊は放射性原子の周囲に集中する

③ 集中的に破戒されたDNAを有する細胞は、ガン化する恐れたある

■ 半減期の考え方 ■

ここで勘違いされやすい事を指摘しておきます。

① 放射性原子1個に注目した場合、一回の崩壊(放射線の放出)しか起こさない
② 一個のヨウ素131は1回ベータ線を放出するともうベータ線は放出しません
 (尤も、ヨウ素はセシウムになりますから、そこでもう一回ガンマ線を放出します)

③ 放射性原子は、ある確率でベータ線を放出して崩壊していきます。
④ 100個のヨウ素131は徐々に崩壊して8日で半分になります。
⑤ 100個のヨウ素131は徐々に崩壊して、16日で25%になります。
⑥ 100個のヨウ素131は40日後には3個しか残っていません。

⑦ 半減期の短い放射性元素の影響は、比較的短期間に集中します。
⑧ 半減期の長い放射性元素の影響は、長期に渡ります。

しかし、ここで注意が必要です。あくまでも1個の放射性原子は、1回しか放射線を放出しません。

ですから、100個のヨウ素131と、100個のプルトニウムは、100回しか放射線を放出しません。(エネルギーの差はありますが)

ですから科学的毒性を無視するならば、プルトニウムとヨウ素の影響に大差は無いはずです。

ただし、ヨウ素131は短期間で放射線放出が終わり、プルトニウムは少しずつダラダラと放射線を出し続けます。

■ 特定器官に集中する元素に注意 ■

ヨウ素は主に甲状腺蓄えられます。
プルトニウムは肺と肝臓に蓄えられます。

ヨウ素131が甲状腺にある程度継続的に蓄えられれば、甲状腺の細胞のDNAは壊れていきます。生態には、DNAの修復作用と、ガン化した細胞を食べる免疫系が存在します。

ヨウ素131がこれらの免疫作用の働き以上の濃度で蓄積されるち、甲状腺癌が発生すると考えられます。

プルトニウムも肺にある程度の容量で蓄えれれれば、ガンが発生します。

■ プルトニウムが恐ろしいというのは誤解? ■

プルトニウム1個の原子は、1回しか放射線を発しませんから、プルトニウム1個の原子に注目すれば、アルファ線のDNAの破壊力を別とすれば、他の放射性元素と区別する理由はありません。ウランを含め、半減期の長い放射性物質は、放射線のレベルは半減期の短いヨウ素131などに比べて低いのです。

但し、半減期が長いので一度吸収すると、DNAの破壊がダラダラと長期に渡るだけです。

私はプルトニウムが恐ろしいというのはウソだと思います。
肺が他の臓器に比て極めて放射線に弱いという事が無ければ、「プルトニウムの影響は長期に渡る」という表現が正しいと思います。

プルトニウムが恐ろしいというのは、核兵器の原料物質であるプルトニウムの管理を徹底する為のハッタリではないでしょうか?

あるいは、プルトニウムによる被曝が起こるような状況は、炉心の爆発的崩壊が前提になりますから、当然吸入するプルトニウムの量は多くなります。この様な状況では、他の放射性物質の吸入や吸収も大量に起きており、さらには外部被曝の影響も無視できない線量になるでしょう。

■ 意外とヨウ素131が最も怖いのでは? ■

比較的広範囲に分散し、さらには量も多く、半減期が短いヨウ素131は、一度大量に甲状腺に吸収されると、比較的短い期間に甲状腺にある程度のダメージを与えるはずです。

ですから、チェルノブイリでも甲状腺ガンが多発しており。それも甲状腺の活動が活発でヨウ素の代謝が激しい乳幼児や子供のガンが集中的に発生したのでは無いでしょうか?_

■ 東京など原発から遠い地域では、ヨウ素131にこ注意すべき ■

私の勝手な推測によると、やはり東京など外部被曝の影響が少なく、プルトニウムなどが大量に飛来する恐れの無い地域では、ヨウ素131による甲状腺ガンに注意が必要です。

特にヨウ素の代謝が激しい子供では、安定ヨウ素剤の予防投与が行われても良いのではないかと思います。

自衛策は、とにかく、汚染の心配の無い地域の海草類を多く食べる事でしょう。


<追記>

ヨウ素の取りすぎは体に良くないという情報を頂きました。
ありがとうございます。

成人も子供も一日に必要とされるヨウ素の量は0.1mgだそうです。
http://www.health-mott.com/ingredient/vitamin/mineral/Iodine/index.html

100mgは大規模被曝が予想される場合に服用する安定ヨウ素剤の容量。この場合はヨウ素剤を一回服用した後は、放射線の影響の無い地域に非難する事が前提になります。

日本人は日常の食事(ワカメやひじき)から0.1mg程度のヨウ素は充分に摂取できているので、放射性ヨウ素に対する防御は日頃から出来ているようです。

むしろ、極端に海藻類を食べ過ぎると(例えばダイエットと称してドンブリ1杯を毎食など)、甲状腺の機能が亢進しすぎて体に変調を来たすので注意が必要だそうです。

何でも、ほどほどが一番。
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