猫も杓子もヒーローに、『グリーン・ホーネット』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『グリーン・ホーネット

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ミシェル・ゴンドリー

【主演】セス・ローゲン

【製作年】2010年


【あらすじ】

 創業者である父親から新聞社を受け継いだブリットは、典型的な二代目社長だった。金遣いが荒く、わがままで気まぐれ、そして会社経営には何の関心も持っていなかった。しかし父親の車の整備を担当していたカトーと親しくなったことで、ブリットにある考えが浮かぶ。それは子供のころから憧れていたヒーローになる、というものだった。ブリットは格闘技と発明の天才でもあるカトーを伴い、夜も街に繰り出して悪者退治を始めた。


【感想】

 今も根強い人気を持続させているのが、仮面ライダーやウルトラマン、そして戦隊ものシリーズ。毎年ローテンションを組んでいるかのように、それぞれの劇場版映画が公開されている。興行成績もハイアベレージを残しているようで、その人気には相当に底堅いものがある。ただしこれらの作品は、子供をターゲットとしている。保護者が観ても楽しめるようには作られているのだろうが、圧倒的に男の子好みの物語が展開していく。


 おそらく内容や作風は、時代と共に変化しているのだろう。仮面ライダーやウルトラマンの内容を追うことで、時代の特徴や嗜好が分かるかもしれない。一方、ハリウッドで製作されるようなヒーロー映画は、幅広い年代に向けて発信されている。もちろん、かつては日本と同様に子供向け映画の側面が強かったのだろうが、徐々に作品自体の奥行きが広がり、大人の鑑賞に堪えうる内容に発展してきた気がする。


 特に、2000年代以降の「スパイダーマン」や「バットマン」シリーズには、その傾向が顕著に表れていると思う。単なる子供向けの映画ではなくなってきた。小学生の子供が無邪気に楽しめ映画ではない。そしてこの「グリーン・ホーネット」も、大人ウケを狙った味付けになっている。


 ストーリーは、昨年末に公開された「キック・アス」に似ている。ヒーローに憧れるボンボン社長が、コスチュームと最新の武器を用意して裏社会のボスに戦いを挑んでいく。「キック・アス」のようなシャープさはないものの、30代以降の男性が喜びそうなやや緩めのアクション映画になっている。


 ストーリーの展開やアクション・シーンは、とにかく手堅かった。相応の技量を持つ職人たちが、きっちり仕事をして作った映画といった感じ。基礎体力の高さを示していた。大人が無邪気に楽しめる映画になっている。張り詰めたような緊張感とは無縁だったことも、どこか新鮮だった。いい感じで肩の力が抜けた映画。ビール片手に気楽に観ていられる。