imayouo610
2008-07-04 23:16:34

樹木希林自由自在、『歩いても 歩いても』

テーマ:ブログ

【タイトル】『歩いても 歩いても

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】是枝裕和

【主演】樹木希林、阿部寛

【製作年】2007年


【あらすじ】

 兄の15周忌で帰省することになった良多は、妻と妻の連れ子を伴って実家にやって来る。家には既に姉の家族が来ていて、賑やかに過ごしていた。しかし楽しいばかりの時間にはならず、事あるごとに良多と父親は反発しあう。その後も、思いがけない家族の本音が明らかになり、良多は戸惑うことに。


【感想】

 つくづく家族は不思議な存在だと思う。他人だと思えば良識や遠慮が働いたりもするが、家族同士だとついつい甘えや本音が出てしまう。そして強い絆や血で繋がっているように見えても、ある部分では全くの他人であったりするから厄介。心地のよさと煩わしさが常に同居している感じ。きっと、どこの家族にも似たような部分はあるのだと思う。


 この映画にも、典型的と言いたくなる日本の家族が登場してきた。祖父母を原田芳雄と樹木希林が演じ、姉と弟をYOUと阿部寛、嫁役に夏川結衣が配されている。なかなかの布陣でホームドラマを形成している。この芸達者な俳優陣が、さりげない家族の日常風景を彩っていく。淡々としたリズムで映画は進むものの、何度となく笑いのポイントがやってくる。ホント家族は面白い。


 まず樹木希林とYOUによる、母と娘の会話が見事。自然に放たれる言葉の応酬や振る舞いが、一筋縄ではいかない母と娘の世界を築いていく。仲が良さそうに見えても、無防備ではない。母と息子の関係に比べると奥深さが違う。そして原田芳雄と阿部寛による、父と息子の論争も笑いを誘う。お互いに相手が理解できず、せこさを競う。似たもの同士は仲が悪い。


 もちろん笑わせる部分ではなく、ハッとさせられるサスペンス調の部分もある。随所で女の恐さを樹木希林が示していた。何気ない言葉に意味があり、知らぬ間に伏線が張られている。それにしても、夫婦の関係は分からない。発展していくものなのか、はたまたジリジリと後退していくものなのか。とりあえず、我慢と諦めは必要不可欠な要素に思えてきた。


 映画は、一日の中で起きる出来事を追っていく。笑いがあり、ケンカがあり、優しさもある。オーソドックスで古臭いホームドラマをイメージしたくなるが、決して古びることのない家族の姿を捉えていた。今も日本中にありふれていそうな家族が、スクリーンの中に現れる。家族は面倒くさくもあるが、同時に大切なものにも思えてくる。


 徹底した自然な流れは、監督の演出力の賜物だと思う。キャスティングも、これ以上のものはないと思わせる程はまっていた。約2時間の上映中、様々な感情を体感させてくれる。そして最後には、清々しさも用意してある。至せり尽くせりな映画。説教臭さや古臭さがないのも嬉しかった。

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