2017年05月01日(月)

Sat 170408 朝の迷宮フェズを闊歩/売れないお菓子屋のジーチャン(モロッコ探険記34)

テーマ:ブログ
 蒸しパンにジャムに、お砂糖タップリのミントティー。ジャムも甘いが、ミントティーも甘い。お砂糖の飽和水溶液みたいにして、「もうこれ以上お砂糖は溶けません」「ハチミツ以上に甘いです」というぐらいのお茶を、モロッコの人々は嬉しそうに目を細めて飲むのである。

 そんな朝食を朝7時から満喫して、今井君の血糖値は前代未聞に急上昇。「行くぞ♡」「行くぞ♡」「行かなけりゃ♨」と、灰色の脳細胞なり脳味噌なりの中を甘すぎる血液が駆け巡り、名高い迷宮フェズの征服に、もう居ても立ってもいられなくなった。

 朝の迷宮に飛びだしたのは、まだ8時ごろのことである。諸君、「迷宮」というものは、夕暮れとか夜がふさわしい。朝のピリッとした気分で、「まだ準備中です」などという迷宮は言語道断だ。

 薄暗いからこそ迷いこむ快感が高まるのであって、こんなに清々しい空気に満たされ、元気なスズメたちが明るくチュンチュン囁きあい、人々が「今日も今日とて1日頑張って働こう」と労働意欲に満ちあふれた挨拶を交わしている迷宮なんてのは、迷宮の名に値しないじゃないか。
じいちゃん1
(朝早くから、フェズのジーチャンはお菓子屋を開けた)

 こういうふうで、1月17日朝のサトイモ入道が甘い血液の流れを身体中に感じながら飛びだしたのは、「迷宮、現在準備中」というフェズなのであった。開店前の迷宮は、活気溢れる魚市場の雰囲気である。

 店頭に並んだ新鮮な肉からは、動物の真っ赤な血液がしたたり、たくさんのネコや鳥が集まって店頭から溢れた食べもののオコボレを奪い合い、人々は盛んに罵りあい&哄笑しあいながら、雑多な商品をうずたかく積み上げている。

 こんな健康&健全な迷宮が、存在していいものだろうか。さすがイスラム圏。迷宮なのに、酒のニオイが一切しないのである。しゅごーい酒豪の今井君が自分勝手にイメージするところでは、迷宮には酒のニオイが欠かせない。

 強い酒に酔ったエリスグリの悪者がそこいら中に潜んで、とびきりの悪だくみに酔眼をギラギラさせているんじゃなきゃ、迷宮の名に値しないじゃないか。

 ラム酒にテキーラ。ウォッカにバーボン。アルコール50度に迫る甘いお酒が、悪漢たちの脳と正義感をドロドロ融かしているんじゃなきゃ、その迷宮は薄味すぎないか。

 ところが諸君、フェズの迷宮は、もっとずっと奥が深いのである。ここは、甘い甘いお砂糖とハチミツが支配する迷宮だ。すべてが蜜に支配されている。

 どこまでも甘い。ジーチャンの笑顔も、オニーチャンの笑顔も、みんなトロトロに甘い。さっき朝食で今井君のお腹を満たしたジャムやお茶を同じ甘さが、迷宮を満たしているのである。
歯医者
(お菓子がみんな甘いから、歯医者さんも繁盛している)

 そういう街を、サトイモ入道はカンタンに一周した。「フェズにはたった1泊。お昼過ぎにはマラケシュに帰る列車に乗ります」と打ち明けると、人々は「フェズは大きな街です。たった1泊じゃ、フェズは回れませんよ」と、みんな悲しそうな表情を浮かべた。

 しかし、あれれ、8時から9時半まで、ホンの2時間弱で、サトイモ法師はグルッと一周してきちゃいましたぞ。少なくともガイドブックに掲載されている名所旧跡は、すべてそのアリカを確認 ☞ 写真にも収めてきちゃいましたぞ。

 ま、これというのも昨日の夕暮れ、見つからない宿を探してフェズの街を右往左往したおかげなのである。右往左往の間に、街の地図がギュッと脳細胞に埋め込まれ、濃厚&濃密なサトイモ脳は、街のマクロな全体像を完全に把握した。

 読書でも人生でも戦いでも同じことだが、「マクロな全体像を把握」ということほど大事なことはないのである。ましてや世界一の迷宮フェズだ。最初から名所旧跡を1つ1つミクロに鑑賞して回ったんじゃ、あっという間に迷っちゃって当然だ。

 もっとも、迷宮で迷わないのは何だかつまらない。催眠術にかからないとか、お酒をナンボ飲んでも酔っぱらわないとか、パズルというパズルを何の苦もなく解決しちゃうとか、言わばクールな今井君の人生の悲しさである。「何でもお見通し」という冷めた人生は、まあそれなりにつまらない。
じいちゃん2
(1時間半かけて街を一周してきても、ジーチャンのお菓子はちっとも売れた様子がない)

 まだうるさい客引きのいない朝のピリッとしたフェズを、あっという間に一周してきたサトイモ入道は、「何だ、あっけないな」と呟きながら、「ならばもう1周してくんべ!!」と決意。午前10時、2周目に突入した。

 言わば、マラソンの42.195kmを1時間で走破したようなもんだ。他の選手がヒーコラまだ折返点でウロウロしている間に、「もう42kmちょい、軽くジョギングしてきます」というスタンスだ。

 朝早くから店を開いていたお菓子屋のジーチャンは、ちっともお菓子が売れていない様子。それが今日の写真の1枚目と3枚目である。甘い甘い、脳髄がジンジンしそうなほど甘いお菓子である。

 それを積み上げられるだけ積み上げて、「もうこれ以上は無理です」とお菓子が愚痴を言うほど積み上げて、しかしちっとも売れていない。しかも「売れなくったってかまわない」なのである。

 今日も昨日と同じだけ作って、今日もうんと積み上げて、「ほらこんなに積み上げたぞ」というぐらいテンコ盛りにして、売れなきゃ売れないでいい。「とにかく今日もいい天気だ」と、笑顔で街を見つめている。素晴らしいジーチャンだ。
積み上げる
(どの店も、みんなとにかく積み上げる)

 隣の店のお菓子は、どんどん売れていく。ホントは自分が作ったお菓子の方が10倍も甘く、100倍もおいしいのだが、知らない人には売らなくていいし、つまらん観光客なんかに買ってもらわなくても、ちっともかまわない。作ったこと&積み上げたことに意味があるので、売れるか売れないかになんか、全く興味はない。

 お隣のお菓子のほうには、何だか虫がたかっている。「おやおや、ハエですか」「汚いですな」と思っていたら、諸君、どうやらあれは大量のハチである。

 ミツバチか、アシナガバチか、よく分からないが、とにかく間違いなくハエではなくて、ハチの大軍だ。お菓子の強烈に甘いニオイに誘われて、数百匹のハチがブンブン飛び回っている。

 この迷宮は、そういう街である。売れても売れなくても、とにかく商品を積み上げる。間口、3メートル。奥行き、3メートル。しかし高さは10メートル。積み上げて積み上げて、「耕して天に至る」というほど積み上げる。

 その商品の山に、外国からの観光客が関心を引かれようが引かれまいが、そんなことはどうだっていい。無視するなら無視すればいいし、下手に変な外国語で話しかけられても困る。
食堂街
(昨夜の夕食を貪ったお店。朝から開店していたが、お客はちっとも来てくれない)

 大事なのは、自分がここで店を開き、作れるだけ作り、甘くできるだけ甘くし、積み上げられるだけ積み上げ、要するに「どっこい、ワタシは生きている」ということだけである。

 そういうスタンスの店が、行けども行けどもどこまでも続いている。こんなに積み上げたって、絶対に売れはしない。しかしもう一度繰り返すが、売れる売れないなんかどうでもいいので、何よりも大事なのは、今日も今日とて店を開いたことなのだ。

 誰にも負けないぐらい甘いこと、誰にも負けないほど積み上げたこと。隣の店に向かって、「オマエはこんなに積み上げられるか?」「オマエはこんなに甘くできるか」「こんなにハチが集まってきたぞ」と、一瞬の勝利の微笑を向けることなのである。

 それを感じるとこのサトイモ入道も、ふと「おや、それじゃワタクシと同類ですね」と苦笑せざるを得ない。ワタクシがもう9年 = 3300日更新しつづけてきたこのブログは、フェズの人々の日々の活動とソックリじゃあーりませんか。

 もう一度、今日の写真の1枚目と3枚目、お菓子屋のジーチャンの表情を見てくれたまえ。ワタクシの理想は、これからもう20年も30年もギュッと年をとったその先に、こんな穏やかな微笑を浮かべつつ、ニヤニヤ街を眺めて過ごすことにあるのかもしれない。

1E(Cd) Bill Evans & Jim Hall:INTERMODULATION
2E(Cd) John Dankworth:MOVIES ’N’ ME
3E(Cd) Duke Ellington: THE ELLINGTON SUITES
4E(Cd) Bill Evans Trio:WALTZ FOR DEBBY
5E(Cd) Anastasia:SOUVENIR DE MOSCOW
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